ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

なけねぇぜ。『BIOHAZARD RE:4』レビュー。

みんなーはやくスペインに帰ってこーい!(挨拶)

名作のリメイクって大変よね。
アレがないこれがない、この追加はいらなかったと押すのも引くのも難しい。
けれどその無理難題を一度は突破したバイオハザードシリーズ
その最新作である『BIOHAZARD RE:4(バイオハザード RE4)』レビューしよう。

ではよしなに。

 

 

□概要

ラクーン事件から6年──。いま 過酷な救出劇の幕が上がる。

 

俺にとって忘れられないあの日、アンブレラの手によってラクーンシティは地獄と化した。
俺、レオン・S・ケネディは多くの救うべき人を残して地獄から生還”してしまった。”

直後、合衆国政府からエージェントになるよう誘いを受けた。
俺に拒否権はなかった。

訓練の日々で受けた辛酸・苦渋・苦労…
そのすべてをもってしてもラクーンシティの悪夢は消えなかった。

合衆国大統領の娘、アシュリー・グラハム
彼女が誘拐され、スペインの片田舎に連れていかれたという情報が入った。
今度こそ救うべき人を救ってみせる。

 

あの悪夢を超えるため、俺は再び悪夢に挑む。

信者、RTAVtuber、ホモビ実況とありとあらゆる動画コンテンツで扱われたため
プレイしたことのある人は勿論、プレイしていなくても知っている人も多いであろう、
ホラーアクションアドベンチャーの金字塔。
バイオハザード(以下、原作)のリメイクタイトルである。

 

さて、隙があるので自分語りをするとオリジナルとなる原作は
自分にとってバイオデビューの一作である。

元々ホラー系統が漫画・映画・アニメ、そしてゲームと全て大嫌いだった。
何故なら倒せないから。
笑ゥせぇるすまんや貞子といった怪奇現象寄りのキャラクターは
絶対に勝てないところから人間は愚かねー!ってするから
ムカつく・きたねぇ・火の鳥*1かよコイツラって感じで嫌いだし怖い。

しかし、当時Wiiを持っていてコアなゲームが全然出ておらず
やることないしこれやってみるか、安かったし!とやってみると激ハマり。
怖いから最低難易度でやるか…と始めたのに全難易度を一周ずつクリアして計四週してしまった。

そこで俺は天啓を得た。

敵を殺せるゲームはホラーじゃない。

ゾンビだろうがゴーストだろうが後に殺せるならホラーじゃない。
これに気づいてからはゲームのプレイ範囲がグンと広がった。
ゲーム人生を変えたタイトルだと言ってもいい、感謝しているタイトルだ。

そんな本作。
元々原作が神ゲーであり、それを多少手直ししつつも原作の要素を踏襲しているため、
まずは差異についてを中心に語っていこう。

 

□美しい剣は人と人つなげて

↑パリィタイミングは画面右下に「L1」と表示される!ジャストタイミングだとそのまま体術に移行可能!

きな変化としてはナイフによるパリィの実装である。
原作でも飛んでくる斧をナイフで撃ち落とすことはできたが、本作では正式実装。
投擲物は勿論、敵の近接攻撃などを完全に防ぐことができるようになっている。

ナイフ自体はこのパリィや掴まれた時の反撃として使用すると
耐久値が減るため無限には使えないがそれでも「これがある」、ということが非常に心強い。


↑敵が倒れると一定確率?ランダム?で震えだし変異体になってしまう。ナイフで突き刺し敵を永遠に眠らせろ!

また、敵を倒してダウンした際に敵が倒れたままビクビクッと震える。
このタイミングでナイフでトドメアクションをすると変異体を出現させることなく倒せる。
(放置すると頭から触手を出した変異体が発生してしまう)

変異体が発生するのがランダム*2ゆえに今一つオトク感がないものの、
なんかカッコイイ。それだけでいいじゃないか。

↑後ろから忍び寄ってあすなろ抱き!たいていの雑魚はコレ一発よ!

さらに本作ステルスキルが導入されている。
これだけですべての敵をせん滅することは無理な作りになっているがアクセントとしては有効であり嫌いではない。

 

と、ナイフ関連は非常に大幅な調整がされている。
が、大きな変更となるとほぼ”これだけ”でもある。

 

↑今回も登場の商人。青い光を見ると心が休まる。そして依頼書(サブクエスト)をこなすとアイテムと交換してくれる。

もちろん細かいところで言えば、変更はあって
原作でも存在したトレジャーハンティング要素が強化され、
一部のトレジャーが嵌めた宝石の組み合わせによって値段が上がったり、
店主からの青い依頼書というサイドクエスが追加されたりして
原作よりも店の重要度が上がっている。

↑はめ込む宝石の種類で価格が上下する。これ本当に発明です。凄く面白くてお気に入り。

特に前者のシステムはかなりのお気に入りで、
今ある宝石でささっと売っちゃうか、より高いコンボを目指して今は耐えるのか…
というやきもき感にときめきがある。
つまり、店にトレジャーを売るということに戦略性が追加された。
今後の続編に店があるのであれば是非続投してほしいシステムである。

ただ、やはりシステム上大きな違いはない。
ではそのほかの違いは…というと…?

 

□黒くくすんだ暦を新たに書き直す

つも移植された原作も元々はゲームキューブのタイトルであり、
ぶっちゃけ当時のガバガバさというのが大きく反映されていた。
本作はその原作のガバガバさをバッサリ整理し、原作での突っ込みポイントを解消した。

↑村長、メンデスの義眼は換金アイテムに。…こんなもん買うな!売るな!

例えば原作では、
ボスである村長の義眼がキーアイテムになっておりこれが本当に鍵になって扉が開く。
恐らく網膜認証だと思われるが実は義眼に網膜はないのだ。僕も最近知った。

他にもクラウザー戦の戦闘しながら行う謎パズルが無くなっていたり、
後半の存在意義がわからないボスがいなくなっている。

ボスの削除自体は賛否あるだろうが元々ゲーム後半は割と長く、
彼が残っていた場合ゲーム後半のダルさがさらにしんどいものとなってしまうため
決して悪いものではないと思う。

 

とにかくアバウトな時代に作られたありえない要素が削られて現代的になったと言える。
しかし原作が持っていたB級映画要素・ギャグ描写が少なくなっており
特に残念なのは


皆大好き走る城主ロボが無くなっていること。

これはネタとかではなくガチで残念。後々後述する。

 

また、そういった修正のほかにシナリオ周りの修正も行われている。
一点凄く褒めたいのは虫(プラーガ)の感染進行に関して。

↑村長による虫注射。お前も家族…いやむらびとだ!

本作でレオンは序盤少し進んだタイミング、アシュリーは発見当初から虫に感染している。
感染初期は正気を保てるがじわじわと侵食されるという設定で
薬品を使うことでその感染スピードを遅らせることが出来る。

↑アシュリーの感染が進行したシーン。本当にビビる。本作で一番怖かったのここカモってくらい恐怖する。

ストーリー上のムービーにて、この感染に関する描写が定期的に挟まれる。

特に感染を遅らせる薬自体は原作に登場するタイミングより遅い上、
入手タイミングではより感染の進んでいるアシュリーと離れ離れになっており
間に合うの?間に合うよね?と原作を知っていながらもドキドキする。
原作のシナリオは「引き」が無かったのでこの改変は素直に良かった。

 

↑左からアシュリー・ルイス・クラウザー。全員ヒロインみたいなもん。お好きなものをどうぞ。僕は左でいいよ。

もう一つわかりやすいところではシナリオにおいて原作にはなかった
アシュリー・ルイス・クラウザーの三人への深堀が行われてること。

アシュリーは原作にはほぼなかった自身が変異するという恐怖。そして成長。
ルイスは何故レオンたちを助けるのかという理由。そして希望。
クラウザーはレオンと戦うための宿命。そして…。
それぞれが原作よりも深く語られ、敵であるクラウザーを除いて感情移入しやすくなっている。

特にクラウザーは原作では一切深堀りされなかったため、
何やコイツ…知らんけどやたらレオンに執着するから過去の作品で出てきたんやろなぁ。
Wii版をプレイした当時は思っていたのだが
なんとビックリ誰もこいつを知らなかった。

 

本作ではとりあえず何故このような強行に走ったのかという点が補完されており、
一応これだけでも十分わかるようになっている。

ただ理由はわかったものの、
何やコイツ…という感想は変わらずだった。
イヤほんまコイツ何なの…マジで…。

 

と、なんかよくわからん奴を除いては
基本的にシナリオの改変に関しては絶賛。
しかし、本作が原作を越えた、とは決して言えない出来ではある。
その理由としては大きな2つの理由がある。

 

□刻が未来にすすむと 誰がきめたんだ

きな不満点は2つ。
一つは爽快感の欠如である。
これの原因は複数あって、体術の弱体化とレティクルの仕様変更が最も大きい。

↑ヘッドショットで敵は怯み、怯んだところにキック!原作でもおなじみのキックは続投。だが…。

原作では体術は二種類あり、足に当ててベリィトゥベリィという投げ技。
そしてバイオ4の代名詞ともいえる、頭に撃って怯んだ敵へのハイキック。

このハイキックは非常に強力で、
余裕で三人くらい巻き込んだUSAでエージェントなキックが出来る。
どんな逆境でもどうにかなるほどの黄金のティケットであり原作の面白さの一翼だった。
物理的に無理じゃね?バカ言え合衆国エージェントだぞ?これぐらい出来るよ。

しかし本作は頭に当てても怯みは確定ではなくなった。
恐らく怯み値のようなものがあり、それを超えるかどうかで判定があると思われる。
しかしこの弱体化によって(頭に当てても怯むとは限らないから)
近距離で銃を撃つという行為が非常にリスクになっている。
パリィ、という近接攻撃を弾く要素を入れたにもかかわらず、だ。

↑ある程度距離を離して戦闘すると体術に間に合わないこともしばしば。正直後半はほぼ狙わなくなってしまう。

結果的に一定以上の距離を取ったうえで射撃戦をする形になるのだが
ヨシ怯んだ!ダッシュで近づいてキックだ!と駆け出すが
レオンのダッシュの初速がなんかスンゲー……遅い。
どうしたスーパーでUSAなエージェント!初老か?!
と、足の遅さで体術の受付時間に間に合わないことが多々ありピンチを招いたことがある。

原作であれほど強かった体術がとにかく信頼性に欠ける行動になってしまった、
ということが非常によろしくない。

 

↑画面中央の白い十字。今作は何故か視点移動でも開いてしまうことになり非常に扱いにくくなった。

そしてREシリーズになって以降恒例となったレティクルについて。
画面中央の十字なのだが、構えて、静止して、ようやく収束する。
収束した状態で銃を撃つとクリティカル率+怯み値が上がるんだが、
収束した状態で撃つことがほとんどない。

事実上の手振れの表現なのはわかるんだけど、とにかく敏感なのだ。
移動射撃したらブレるのはわかる。
けれど視点移動でブレるな。老眼かよ。

↑バイオ4名物最初の村での大規模戦闘!しかし本作はとにかく全部のシーンで敵が大量に登場する。

んでとにかく本作敵が大量に出てくる点がね!マイナスなの!
無論、原作でも敵自体は大量に出てくるのだが、
本作は全ての場面で大量に敵が出てくる。
全ての場面で、だ。

そして先述の通り
・敵が怯みにくい。
⇒敵が怯まないから隙が出来ない。
⇒怯んでもいざ出した体術が弱体化しているし巻き込みにくい。
⇒向かってくる敵が多いから引き打ち(下がりながら打つこと)となる。
⇒するとレティクルが収束しない。
⇒敵が怯みにくい。
…と見事な悪循環となっている。

原作は殺せるからホラーなのに楽しい!と思っていたのに
本作では怯まないから銃を撃ってても気持ちよくない、というのは本格的に致命的。

 

原作でも敵が多いのは多かったけど、体術で薙ぎ払えてしまうという点が大きく、
ここまで数の暴力で圧殺されることなかった。
ソウルシリーズ登場以降、ゲーマーは難易度の高さを歓迎する印象があったが
うお~難易度高くておもしれぇ~~ってするにはレオンが足も目もジジイ過ぎる。

 

↑原作でも楽しかったマーセナリーズが搭載。文句なく爽快で面白い。このシステムで本編やりたかった…。

余談だが、無料DLCであるマーセナリーズではそういった爽快感の欠如を補うかのように
敵がやわらかくて体術が強くて爽快感マシマシとなっている。
やっててそうそうこういう本編楽しみたかった!となるほど。残念である。

 

↑新鮮な空気は味わえましたか…?

そしてもう一つの不満点が
原作からの改変点がイマイチということ。

シナリオこそ絶賛したものの、なんつーかその…お行儀良くなりすぎて
「良くない箇所をカットする」という改変ばかりになっている。
これ、本作最大の問題だと思う。

勿論、新マップや改変マップはある。
切られた部分も基本「ここは切ってほしい」部分が大半だったから評価はする。

ただまぁREMAKE(作り直し)で評価される項目が要らないところを切ったとこ。なのは寂しいよね。

今回前作より明確にパワーアップしたのはトロッコと一部盛られたシナリオくらいで、
ゲームシステムとしての強化は正直イマイチだし。

新マップや過去マップの改変もあるんだけど印象にあまり残らないのよね。
なぜなら他のマップとおんなじでとにかく大量に敵を出す、というスタイルだから。

↑今作明確にパワーアップした唯一の点がこのトロッコ。いや本当に楽しかったしこういうのもっと欲しかった。

今回、QTE*3がほぼほぼ削除されておりとにかくゲームプレイの中心が戦闘になっている。
昨今はQTEが嫌われており、シリーズの中でも
バイオハザード6はゴミみたいなQTEがてんこ盛りで大不評だったこともあり
削除自体は間違っていない。
のだが結果的にゲームの印象が戦闘ばかりになってしまった。

先ほどの走る城主ロボに関して言えばクソバカな内容であり現実的ではない、とカットされたのだろうが
敵と戦わない印象的なシーンやシチュエーションが本作にはあまりにも欠けている。
なのでとにかくメリハリに欠け、終わった後にはイマイチ全体の印象が戦闘ばっかだったな…という感じに。

風雲サラザール城と呼ばれたあのハチャメチャな作りが、
いうなればテーマパーク(遊園地)となっていた原作と比べ、
本作はただのパーク(公園)になっている。

無論、時間制限やパズル等「面白くないしめんどくさい」要素は切られてるので遊びやすいのは事実なのだが。

 

本作は原作を越えてやる、とも原作の良い点をもっと強化したいとも思えなかった。
原作当時はスペックや技術が足りなくて出来なかったことをやります!とも見えない。
原作は当然やってるよね?と知っている前提で組み込んだであろう既プレイヤーを驚かすトラップもほぼなかった。
じゃあ原作通りのものを現代に復活させたいかというとそうでもなかった。

時代を前に勧めることも過去に戻すこともなかった。ゆえに、

本作は何処を目指して作ったのか?という大きな疑問を抱いてしまったのだ。
だから俺はなけねぇぜ。ってなっちゃった。

 

□総評

個人的には良作だが一般的には傑作だろう。
やり始めてからは熱中してプレイする部分はあれど、
やはり堅実なリメイクであることから新鮮さは薄い。
正直原作の時点でもっとこうなればいいのになぁと思ってる要素は大体抑えており、
リメイクとしては驚異的な完成度を誇る。

少なくとも全くの未経験の人が今からやりたいけどどれやればいい?
って聞かれたら本作を推すし、今気になってる人はとりあえず買うてみい、とおススメする。
ただ、原作をやりこめばやりこむほど気になる出来になっているのは何ともではある。

 

あと細かいことだが、本作はそれなりに長いのに本作のプラチナトロフィーには攻略情報を仕入れて常人なら最低でも5週。
普通にプレイしてたら6週は必要なのはちょっと考え物。
トロフィーコンプリートも含めて完成していたバイオRE2を思うとやや落ちる印象。

と、文句を言いつつもプラチナトロフィーは取得した。

トロコンするほどプレイしてる時点で嫌いじゃないのだ。
そして決して出来が悪いわけじゃないのだ。
だが自分自身、アレっ俺ここまで原作好きだったんか…?と首を捻る結果となった。
間違いなく自分が頭おかしいんだろうな、とは思うものの思っちゃったから仕方ない。
リメイクを評価する上で原作の神格化は良くないと思ってはいる。いるのだが。

 

さて、バイオハザードREシリーズも2・3・4と来ていわゆるHDゲームより前の作品は全てリメイクが終わったことになる。
個人的にはここから先は元々グラフィックがリッチなものとなるためリメイクはないかな、と思っていたがエンディングにてRE5の匂わせがある。

元々バイオハザード5はそこまで出来の良いゲームではなかった。
(後に6というカプコン暗黒時代の象徴のようなタイトルが出るが)
ラッキーにも神格化する余地はない。

もし、本当に出るのあれば是非、面白いものにして俺を”なかせて”欲しい。
ではまた。

↑新しい時代…果たしてRE5は出るのか。そしてそれはちゃんと面白くなるのか。期待はしています。

*1:手塚治虫先生の書いた漫画に出てくる害鳥。はっきり言って鳥としてはクズの分類に入る。

*2:ナイフの耐久値が減る代わりに変異体を発生させない、でトレードオフなのだろうが
そもそも変異体が恐らく?ランダムなので偶然悪い目を引いてその後始末をさせられてるイメージ。

*3:クイック・タイム・イベント