仕事が忙しいと更新丸ひと月吹っ飛ばしちゃうよね(挨拶)
2022年楽しみにしていた作品の一つ!
・・・をえらく長く書けずにいたがようやく書けた。
はたして出来は天国か地獄か。知っている物語の見知らぬ人が待つ、『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN』(ストレンジャーオブパラダイスファイナルファンタジーオリジン)をレビューしよう。
なお、例によってストーリーの直接のネタバレは無いが、本作の特性上FF1のネタバレは必須。そこはご注意を。
ではよしなに。
戦士たちは戦いの記憶を心の底にしまいこむ――
「混沌の闇」に覆われるコーネリアの大地でジャックは、
ジェド、アッシュと出会う。目的を同じくする仲間とともにカオス討伐の旅が始まる。
彼らは半ば渇望するようにカオスを倒すことだけを考え、
モンスターを斬り伏せ続ける。コーネリアの救世主「光の4戦士」だと考えられているが、
彼らが持っているのは黒い水晶だった。※公式サイトより引用、また一部改変。
https://www.jp.square-enix.com/sopffo/about/
仁王を作ったチームニンジャとFFがミックスしたことでFF仁王!と呼ばれていたが
死にゲーとは似て非なる高難易度アクションRPG!それが本作だ。
↑そして…たんきゅうのたびははじまった。FF1の名シーンが再現されている。
なお、シナリオについてはFF1と関連する要素が割と盛り込まれており、
FF1をやっていないと追いつけないのでは?と思われるかもしれないがそこは心配ご無用。
最初のボスとラスボスがガーランドってこととループしてることだけ知っとけばいいから。(ガチネタバレ)
あと犯人はヤスな。
先述した通り、死にゲーとは似て非なる高難易度アクションRPG。
どの辺がどう違うのかを説明しながらレビューしていこう。
□友よ 私ははっきりと言う。私の場合はこうだった。
まずはっきりと言っておこう。
本作の完成度は非常に低い。
ここで言う完成度ってのは搭載されたシステムが余すところなく使われる、あるいは使う価値があるか、ということだが
通常のガードとソウルシールドが2つある点やクリア以降まで本領を発揮しないトレハン等、
ビックリするぐらいシステムの出来が悪い。
あえて死にゲーとしてカテゴライズして完成度を評価するなら『CODE VEIN』よりはマシというところ。
ただそんな本作でも評価する理由はもちろんある。
と、先に死にゲーとの違いについて語ろう。
↑敵を倒しても経験値は無し。死んでもそこに経験値は無く…。
一般的な死にゲーと言えばやはり経験値(ソウル)の概念だろう。
敵に倒されるとそこに落としてしまい、おっかなびっくり拾いに行く。
これが独特の緊張感を生んでいた。・・・デモンズソウルまでは。
ただ昨今、特にエルデンリングでは経験値稼ぎ方法が爆速で拡散されており死んでもまぁいいかという感覚が芽生えていてあまり意味がない要素のように思っていた。だが本作では
経験値ロスト要素は完全カットされている。
敵を倒すと道中でMPの最大値が上がっていくのだが、死亡時にはそれがロストされる。
ただ、すぐさまあげられるしなんなら初期値で全く問題ない。
はっきり言ってデスペナルティは無いも同然である。
ちょっとだけ寂しい・・・。
あまり意味のない要素と言っておきながら無くなるとそれはそれで。
チクショウなんで男はいつだって無くなってから気づくんだ。
↑レベル?ありませんよそんなもの。
また、経験値のロスト要素がない、ということはつまり
経験値によるステータスアップ要素がないということでもある。
仁王も含めて死にゲーと言えば、という要素の代表格でもあったこの2つの要素がない。
つまりこれははっきりときっかりと明確に
本作は死にゲーではないと主張している。
んじゃ結局どういうゲームなんだいッって話になってしまうがそれはここから説明していこう。
完成度が低いと冒頭でディスられた本作だが、2つの大きな魅力がある。
一つはジャック・ガーランドという主人公だ。
主人公であるジャックはとてつもなく変な男であり、
最初から口を開けば「カオス」「カオス」しか言わない変な男である。
勿論、その理由はシナリオ内で言及されるのだがゲーム序盤はかなり”強引”だ。
Q.何故カオスを倒さなければならない?
A.カオスを倒す!
最終学歴が保育園でももう少しまともな大人になると思う。
残念ながら本当にこんなノリで目的に対する動機がない。
プレイヤーに感情移入される暇すら与えず、かなり強引に冒険に旅立たせ、戦わせる。
一応最後までやると、やってよかったと思えるシナリオではあるのだが
その最後の決着・解決までも強引な手段でもって解決する。
まさにカオスなシナリオだ、とおそらくプレイヤーの殆どが言うのは間違いない。
テーマ曲であるフランク・シナトラのMyWayの歌詞とジャックの境遇が似通る点もあるが、
これほど強引グMyWayという死語が似合う男もいないだろう。
さて、察してもらえたと思うが本作のある意味テーマとなっているのが、
強引さである。
↑ソウルバーストは全てのモーションを強引にキャンセルして放てる。きんもちいいぞ!
本作のアクションは通常通りにHPを削って倒すほかに
ブレイクゲージ(他作品で言うところのスタミナ)を削ることで
ソウルバーストという一撃必殺の技が出せる。
ブレイクゲージが切れた敵相手に〇ボタンで発生させられるのだが、この技、なんと
全ての行動をキャンセルして強引に発生可能である。
魔法の詠唱はもちろん、攻撃モーションに入っていても〇ボタンで移行できる。
周りの敵も巻き込んで吹き飛ばせるため、非常に爽快で非常にクールなアクションだ。
↑敵の攻撃をはじく!このまま反撃に即転じられるのが良い。
そしてもう一つ、ソウルシールドという特殊なガードがある。
ブレイクゲージがある状態で受けさえすれば完全無敵。
SEKIROの弾きに似ているが敵の特殊な攻撃を吸収してコピーしたり、MP上限を上げる等様々な効果がある。
しかし何より、敵の攻撃を無効化しそのまま攻撃に転じられるというのが良い。
敵の攻撃が総て攻撃チャンスに変わるのだ。
隙が無い敵?だったらこじ開ければいいだろ!
と言わんばかりにかほそい隙に強引に体ごとねじ込む様は
ジャック・ガーランドという男の生き様をありありと表現している。
↑本ブログ初のGIF。
あと細かい話だが、GIF画像の様に連続シールドが決まると気持ちがイイ。
プレイしててこういった自分が上手くなったと理解できるポイントがあるのはモチベに好影響を与えるぞ。
□私はやるべきことをやり見極めてきた。例外なく
少し強引さとは離れてしまうが、本作での第二の魅力であり悪い点を紹介しておこう
ゲームの面白さにはスイートスポットがあると思う。
レベルが足りなさすぎると砂場でコンタクトレンズを探すような不毛さを。
レベルが足り過ぎると砂場で作った城を蹴り壊すような虚しさを感じさせられる。
結局俺たちが求めてるのは程よく苦労して程よく悪態をついて程よく時間をかけた後、
「ナイスファイト」と握手を求められるようなクリーンファイトなのだ。
でもそんな程よさがあるんでござるかぁ~~~~?
あるよ。
程よさ、あるよ。
とにかく本作、全編通して難易度が非常に程よい。
これは恐らく、本作のバランス制御部分がかなり特殊なことが大きい。
↑ジョブで一部ステータスは強化できるが基本的に装備のみがステータスを強化する。
先述の通り経験値によるレベル・ステータスアップはない。
実はステータスの殆どを装備に依存している。
そして、ステージごとに拾える装備のレベルは決まっている。
従って道中きちんと敵を倒していれば必ず敵からちょうどいいレベルになるよう装備が拾える。
つまり本作は常にスイートスポットで遊ばせてくれるのだ。
この発想はなかったなー、と感心した。
↑ボス戦は毎度毎度ちょうどいい強さが抜群の楽しさを生む。決して諦めない。諦めきれない楽しさがある。
その仕様はボス戦で特に効果を発揮する。
死にゲーでよくある「ああ、レベルが足りないんだな、じゃあ上げてくるか」が全くない為、面白みの感じられないレベルアップ作業が(クリアまでは)ない。
結果的に滅茶苦茶バランスが丁度良くなっている。
頭の悪い俺だから、このゲームをやってようやくわかった。
面白いアクションのボス戦には何が必要なのか?それは
「あいつ…戦いの中で成長してやがる!!」なのよ。
敵の方があまりに強すぎて、延々とHPを10%削れるかどうかぐらいで止まると詰まらんワケ。
逆にこっちが強すぎて圧勝し続けるだけってのも面白くないワケ。
最初はこれ無理じゃね?勝ち筋無くね?ってところから何度も戦ってパターンを見つける。
何度も戦うところが普段の死にゲーだとめんどくさかったりレベルが足りてないと不安になったりするんだが本作は先述の仕様の通り適正レベルなのは理解できてるし、
何より常に光明が見えてるから決して投げ出す気が湧かない。
そのわずかな光明を見出して敵の隙をソウルシールドでこじ開けて強引にぶち込んで光を掴み取る。
たまらん。まさに光の戦士。まさに主人公。
半面、悪い点は勘のいいひとはこの文章を読んですでに気づくであろう、
ゲームの自由度が全くない点である。
レベルを上げて悠々倒すという自由はなく、トレハンと言えば装備を組み替えて楽しむ・・・なんて要素も(クリアまでは)ない。
ゲーム内で武器が拾えてそれが決して適正レベルでしか出てこないのだからひたすら順路を通っていくしかない。
ボス戦で詰まった場合は難易度を下げるか、マルチプレイでクリアする、ぐらいなもんである。
そもそもマルチプレイしなきゃいけないほどの難易度は無いのだが。
(本作はHARDが適正なのでは?と思えるほど全体の難易度が適正かつ抑えめ)
この自由度の無いゲームにおいて唯一の自由、それがジョブである。
↑唯一の自由度、ジョブ。恐ろしいほど大量のジョブが待っているぞ。
本作のジョブはまごうことなく本作唯一の自由度のある要素である。
ジョブを極めることで基本職⇒上級職⇒最上級職という形でランクアップしていくこともできるが
あげること自体に制限は一切ない。
クリア後のとあるジョブを除き、シナリオを進めないと解放できない等の要素もない。
各ジョブにはパッシブ・アクションスキルが備わっており、敵を倒すことで得られるジョブポイントを注ぎ込むことで習得する。
当初微妙だなと思っていた職と武器種がたった一つの技を身に着けたことでガラッと印象が変わるなどもしばしばだ。
↑コンボアビリティはどれも派手。この派手さが本作を支えてる。抑えろとか言う人はわかってる風分かってない。
そして覚えられる技(コンボアビリティ)が強い!カッコいい!派手!
非常に爽快で非常に気持ちがイイ。
ちょくちょく派手すぎて視認性が悪いというレビューも見るがバカ言っちゃいけねぇ。
このバカみたいなエフェクトがあるからこそのこのゲームだ。
↑ん゙お゙お゙お゙お゙お゙ぞごば出゙ず穴゙に゙ゃ゙あ゙!!いい声で鳴くニャンちゅう。
そして技を当てることで敵のブレイクゲージが切れ、ソウルバーストに繋げられる。
じゃーなー!ではなく「じゃ゙ぁ゙あ゙な゙ぁ゙!!」
消え失せろ!じゃなくて「消゙え゙失゙ぜろ゙!!」
という威勢のいいダミ声がたまらない。
この殺意にまみれたニャンちゅうボイスがコンボからの爽快感を増してくれる。
↑敵が黄色く光っている。雷攻撃を叩き込み続ければ弱点は雷になるのだ。どんな敵であれ。
そして一部の攻撃と武器には属性が付与されており、
敵に一定以上の属性攻撃を続けると敵はその属性が弱点になる。
つまり、雷属性で殴り続けるとどんな敵も雷属性が弱点になるワケ。
雷耐性だろうが雷で殴れば雷弱点になるんだよ。そういうもんなんだぜへっへっへ。
この道理を蹴っ飛ばして無理やり筋を通す強引さもまた、
ジャックというキャラクターを補完しているようにさえ見える。
↑わかった?
テーマ曲・シナリオ・アクション・そして諸々の仕様。
ここまで言ったらもうわかっただろうか?そう、
全てはジャック・ガーランドという主人公を引き立たせるように作られている。
つまり、このゲームを気にいるかどうかはジャックが好きになるかどうかにかかっているともいえる。
ただしかし、素直にジャックを、そしてゲームを好きになれるかというと
細かなマイナスポイントが邪魔をしてくるのだ。
□全てに立ち向かい堂々としていた。それが私の道だった
↑とかくマップが面白くない。せめてレアアイテムが落ちてれば…なのだがこのゲームでは難しかったか。
本作は最初に言った通り完成度が低い。
ゲームバランスは良い。爽快感もある。ボス戦は極上。ではなぜ…?
その中でも大きい点はマップのつまらなさだろう。
とにかく基本一本道。分かれ道に宝箱はあるが開いたところでいいものはない。
その割に迷う。マップデザインが非常に似通っていて特徴がない。
↑本来嬉しいショートカット。だが本作は先にタネが見えてる手品だ。
特にひどいのはショートカットに何の喜びも感じられない点だ。
殆どのショートカットが見えている。
最初に横切った瞬間に「あ、ここに戻ってくるんだな」とわかってしまう。
タネが割れた手品を必死で演じるマジシャンを見ているような冷めた気持ちが去来する。
↑落下ダメージありますよ。でもこれがあっても面白いと言えることは全くない。
また、手癖で作っている部分がキツイ。
本作にはジャンプが存在しない。特定の技でジャンプはするが標準装備としては無い。
つまり、落下という概念は意味がない。*1仕様として無くして良いものだ。
だが本作には落下ダメージはあるし細い通路で歩いて落ちることもある。
つまりこれ、なんも意味ない仕様が(仁王の)プログラム流用で作ったからという理由だけで存在するのだ。
とにかく全体的にマップに対する嗅覚もこだわりもない。
それならいい加減ミニマップの一つくらいつけろ、と言いたくなる。
↑自分も意見を送った魔法数が多すぎて選びにくい。が改善されてる。左が体験版、右が製品版。
落下に関しては割といろんなプレイヤーから文句も出たろうに、
プレイヤーからの意見を聞いてなお、MyWayを強引に貫き通したのだろうがそこは通すなよ。
そろそろボカァね。
コエテクもMyWayを見つけるべきだと思うんですよね。
仁王2でこれまでの死にゲーの要素を集約して最終版といってもいいものは作ったと思う。
フロムに追いつけ追い越せで様々な要素をパクってアクションは凄くいいものは作れてる。
後発であり、オリジナリティは抑えたから完成度も割と高かったし。
ただ今回、オリジナリティは低いわりに完成度も低いんですよね。
それであればもう、我を通してオリジナリティを取るべきだろうと。
楽しくプレイは出来たもののマンネリ感は否めない。
エルデンリングという傑作を出してきたあっちに勝たなきゃいけないんだからさ。
そろそろ自分の道を見つけてほしい。もう自信をもって胸を張って自分の道を歩け。
プレイヤーとしてももう知っている”未知”は飽きたのだから。
□総評
どんだけがんばっても良作が限界のライン。人によってはそこそこでしょうね。
シナリオのエンジンがかかるまでが遅いのも難点。
序盤はアクションの面白さで引っ張って後半はシナリオが引っ張る。
これだけ言うと理想的に見えるが、序盤のシナリオの魅力の無さったら!
褒めるところも突っ込むところもねぇ!後半は出来いいから!ね!と誤魔化すほかないもん。
ただ、クリア後はまた別種の面白さがある。
これまでフレーバー程度だったトレハン要素が完全解禁され装備の厳選という悩ましくも楽しい時間が必要になってくる。
装備の組み換え等により、様々なビルドが出来るようになる。
クリア前の意味の無さから一変、こんなにも自由でこんなにもぶっ壊れてたのか…と驚くはずだ。
一切死なないゾンビ戦士、尋常じゃない速度で魔法を連発する赤魔導士、バカ力で押しまくる暗黒騎士などプレイの幅が大きく変わる。
自分の強みをより強引に出せるようになるのだ。
これを本編中に出来んかったかな…と苦笑するほどに装備が面白くなる。
輝きはあるもののやはり完成度がネック。そしてマンネリの兆候はある。
そろそろMyWayを見つけてくれコエテク。
エルデンリングを、フロムを越えるのは海外のメーカーじゃなくてお前らであってくれ。
それはそれとして強引にでもドラクエ仁王は作ってくれ。
いや絶対DQ1で仁王システムは面白いと思うよマジでマジで。
そんな淡い期待とデカい信頼で〆させてもらおう。
ではまた。
↑FF1への新解釈としては面白かった。DQ1も面白く出来ると思うんだよね。だから頼むよ。
*1:ジャンプしてショートカットする余地もないので落ちる場所はゲームが決めれるってこと。見えない壁作っていい。