君の手で切り裂いて。遠い日の記憶を(挨拶)
なんだかんだで好きなジャンルはアクション。
その中でも死にゲーはやっぱ好きなんですけど大分こう玉石混交になっていって良いものは良いけど悪いもんは悪い、そういうのがはっきりし始めたような気がします。
んじゃこのゲームはどうなのか?ドイツ製の死にゲー
『THE SURGE2(ザ・サージ2)』をレビューしよう。
例によってネタバレはないが本作はネタバレするほどストーリーのの中身がねぇので安心してくれよな!
□概要
↑町のはずれに墜落する飛行機に乗っていた主人公は目覚める。童貞を殺すような検査着で。
日常は突然崩壊する。
あなた(主人公)が乗った飛行機は街のはずれに墜落し、
あなたともう一人の少女だけが生き残ってしまった。あなたは刑務所のベッドで目覚める。
どうやら囚人の暴動が起こっているらしい。
本来特に逃げる必要もないはずなのになんとなく脱走し、
特にかわいくもなければ助ける義理もない
もう一人の生存者(少女)のために奔走する主人公。
・・・ってあー中略。
果たしてその先に何が起こるのかみてぇな話なわ゙け。
いーんだよ死にゲーにシナリオなんて求められねぇよ。
と言わんばかりの雑な物語が始まる。
概要はふざけているわけではなく、
割とガチでこんなノリで見てくれ。
飛行機事故での唯一の生存者ってのはいい。
刑務所の中で目覚めるのは良い。
だがそこから主人公の目的というのがほとんどないまま進む。
道中妙な少女の幻を見ることになるが
「何故その子を助けなければならないの無関係の主人公がさぁ」
という疑問はなぜかゲーム内の主人公は持てない様で
プレイヤーをよそに「待ってろ見知らぬ幼女!」とやる気元気いわきになっている。
まぁブラッドボーンもダークソウルもよくわからんまま物語が動くっていう意味じゃ
同じようなもんっちゃそうなんだけどさぁ
もうちょっとこう…あるだろ?!
もう素直にシナリオには一切期待しないでくれ。
吹替もないし翻訳も明らかにおかしい所があるしでまるで追う気持ちになれない。
↑冗談抜きでまともに顔が出てきた初めのムービーでこの顔をされる。怖い。
さらに言えば幼女はまともに顔が出てきた最初のムービーでホラー丸出しの顔する。
こんなのを俺は追ってきたのか…。とルッキズム丸出しの妙な呆れが襲う。
いや可愛くしろってことじゃなくてさ、せめて最初のムービーはさ、
もうちょっとこう…あるだろ?!
さて、ゲームの内容にようやく移ろう。
↑ソウルライクなので倒されると経験値を落として、倒れた後に回収が出来る。時間制限があるのがニクイ。
さて、本作はドイツ製のソウルライクゲーとなっている。
ダークソウルシリーズとの大きな違いとしては
魔法の概念が無く、武骨な強化スーツのような機械を身にまとうような形となる。
頭・胴体・両手・両足と最大6つの装備と武器、
そして遠距離攻撃が可能なドローンを装備することになる。
この強化スーツを見て、
オール・ユー・ニード・イズ・キルを思い出すか
ビーダマンのOSギアを思い出すかは読者の判断に任せよう。
コロコロ黄金時代読者はともかく
これだけのパーツ数、一見複雑に見えるかもしれないが基本はシンプル。
装備の容量以内に収める形でそのまま装備する形になり、
装備の種類をあわせることでさらにプラススキル効果が表れる。
↑どれだけ頑張ってもおっさん、死んだ魚の目をしたサラリーマンに帰結する日本の社会を表現してる。
なお本作はキャラメイクも出来るのだが、
この休日に家にいるお父さんのようなパーカーを着たおっさんが主人公だ。
勿論変更や修正は可能だが、どれだけ頑張っても死んだ魚の眼をしたサラリーマンみたいな顔にならざるを得ない。日本の社会が抱える闇かよ。
恐らく日本人をモチーフにしていると思われる。
ドイツ人はよくわかっとる。
まさに日独同盟。次はイタリア抜きでやろうな。
□このブレードは俺の分身。力の限り燃えろ切り裂け。
おばあさんのお耳はどうしてそんなに大きいの?
おまえの声がよく聞こえるようにだよ。
おばあさんの武器はどうしてそんなに大きいの?
お前の首を狩るためだよーーーーー!!!
↑ガオー!飛び掛かれ!ガオー!食らいつけ!と首を掻き切る。野生の魂が今響きあう。
はい、というわけで本作最大の特徴かつ魅力は部位破壊である。
とはいえまずは優秀な通常攻撃の話をさせてほしい。
↑部位を狙って水平に、あるいは垂直に攻撃を当てることができる。モーションもかなり多い。
アクションパターンはかなり豊富で、
水平攻撃(R1ボタン)、垂直攻撃(R2ボタン)という基本攻撃にそれぞれのチャージ攻撃もある。
それに加えてジャンプ攻撃、ダッシュからはスライディング攻撃が発生するなど多岐にわたる。
そして水平攻撃と垂直攻撃はボタンを押す順序でがらっとアクションが変わる。
さらにそれが武器種ごとにあるってんだからすさまじいパターン数だ。
この辺りは恐らく2(続編)ってこともあり無印の遺産なのだろう。
上手く遺産運用しておられる。いいことじゃ。
とはいえやはりこのゲーム最大の魅力は部位切断だ。
敵は自分と同様6つの部位に装備をしており、
プレイヤーは敵の部位を狙って攻撃しその部位の耐久値を0にすると、
特殊なカットイン付きで部位を破壊するモーションが入る。
流石Z指定ということもあり、首ちょんぱ、胴体ぶった切りとやりたい放題出来る。
敵もほとんどがサイボーグのようなものなので血はほぼでないためグロさは薄い。
正直こういうゲームで論理感なんてかなぐり捨てろ。気持ちよく敵をぶった切れ。
特に首を切り落とすとそこらへんに首がコロコロとコミカルに転がる様はたまらんぞ。
成程これがコロコロコミック…!強引だなオイ。
↑先ほどの画像で切り裂いた右腕部分のパーツをゲット。こういった楽しみ方ができるのは素晴らしい。
そして本ゲームのお楽しみの一つとして、
首をちょんぱすれば頭装備が、腕を切れば腕装備が手に入る、といった具合に
部位破壊した際に始めての武装は設計図を貰いそれを作れるようになる。
ついでにボスを特殊な部位を攻撃して倒した場合は、特殊武器ももらえるぞ。
このおかげもあり探索に張り合いが出るし
新たな敵が出るとグフフお前の装備も貰うねぇ…と
悪い笑顔で敵の体の何処を切り刻むか考えてしまう。
ジャックザリッパーか俺は。
なお、一度新しい装備を作ったら部位切断は不要かというとそうではない、
アップグレードにその部位のフレーム(素材)が必要になるため
部位切断は積極的にやる必要がある。
まっそんなん関係なく気持ちいいからボコボコ切断していくわけだが。
そう、こういったように
切れ!
切れ!!!
ぶった切れ!!!!!
ごめんやっぱ俺ジャックザリッパーかもしれん。
ただこの楽しさには抗えないぜグフフフフ。
↑わかりにくいだろうが画面中央下の水色バーが事実上の回復(バッテリー)ゲージ。消費して回復できる。
また、特徴的なのは回復方法について。
本作はいわゆるエスト瓶にあたるような最初から回数が制限されている回復手段が無い。
ではどうするのかというと敵を攻撃するのだ。
敵を攻撃することでバッテリーが溜まり、
そのバッテリーを消費することでHPを回復する。
つまり、HPが減ってる時こそ殴れ、という仕組みだ。
この仕様もあってか敵の攻撃は全体的に大振りで回避しやすい。
特に雑魚は顕著でパターンさえ把握してしまえば敵の隙をついて攻撃し回復が出来る。
敵をちゃんと見ろ、突っ込め、欲張るな、態勢を整えろ。
ギリギリの時でも活路は前にしかないがその活路はちゃんと開かれてる。
これ、上手い仕様だと思います。
とにかく攻撃に比重を置いた設計になっていて潔さと一本気を感じる。
こういう”粋”を感じるゲームは大好きですね。大好き。うん。
↑画面に出ている緑の矢印の方向にガードしながらスティックを倒す。弾いてドン!気持ちいい!
攻撃・回避の他にパリィが存在し、これもよい。
本作のパリィはタイミングよくガードではなく、
ガードしながらタイミングよく攻撃の方向にあわせてスティックを倒すスタイル。
メタルギアライジングのシノギに近いが、あれをもっとわかりやすく誰にでも出来るように進化させている。
これの強い点は弾いてチャンスを作れる点…ではなく、
スタミナがある状態であればノーダメとなり
パリィに成功した場合、スタミナを一切消費しないということ。
タイミングが遅れてもスタミナ・ダメージともに軽減されるため滅茶苦茶強い。
勿論、パリィに成功すれば攻撃タイミングも作れる。
つまり回復チャンスにも繋がるので大幅に安定するのだ。
ヌルく見えるかもしれないがこのぐらいじゃないとパリィなんて使わないだろうし大正解だと思う。
難点としては仁王やダークソウル以上に複数相手がキツイこと。
本作はいわゆるバックスタブ*1や
パリィからの致命の一撃が無く敵を倒す場合はHPを削り切るか、部位を破壊してとどめを刺すかの二択だがこれはどちらも時間がかかる。
しかもダークソウルや仁王と違い、敵を怯まつづけることが出来ない。
スタミナゲージを減らして一度怯ませると
必ずスーパーアーマー付きの反撃が来るようになっている。
つまり、ずっと俺のターン!で倒しきることは不可能で、
どれだけ頑張ってもボルバルザーク*2止まり。
敗北にはならないが必ず反撃が来るのである。
実にコロコロ仕様だが…って
すいません読者のお前らついてこられてるか?
結果的に二体以上に囲まれると猛烈にピンチになる。さらには
ギエピー!敵が三体も一気に取り囲んで来たッピー!
となるともう死を覚悟するしかない。
対処方法?まずは走って逃げるでござるよ。そう、正確には逃げるふりでござるな。
追いついてきた敵から一人一人倒していくという幕末ゲッターチェンジを彷彿とさせる戦い方しかできないし、それが非常にめんどくさいのは残念だ。
なお、幕末ゲッターチェンジがわからない人はググってくれ。
一対一ではボス戦すらヌルイが、死亡回数がガンガン増えていくのはこのせい。
そしてもう一つ。マップの誘導が悪くヘンゼルとグレーテルが迷子になるからだ。
□実家とお菓子の家の場所を教えてクレーテル。
↑ミニマップなんてものはなくこんなのしかない。目的地はムービーで表示されたがどこに行けばいいのか…
死にゲーって実は構造的にホラーゲームに近いんですよ。
んでもう一つ、ヘンゼルとグレーテルなんですよね。
意味わかんないだろうから説明すると、
基本的に死にゲーはプレイヤーが自主的にマップ探索をしているようでしてない。
細分化していくとどのゲームも基本的には一本道なんですよ。
結局のところこういうルートで攻略してねってのが明確。
Falloutシリーズのようなオープンワールドは北東の目的地に行こうとすると
- 東に行ってから北に上がるか、
- 北に上がってから東に行くか、
- 北東ど真ん中(ななめ)を進むか。
- 寄り道して行くか。
と選べるけれど、死にゲーの場合は多くて2つ。①と②がせいぜい。
というより、目的地となる「北東」を最初に提示されないんですよね。
ただ、道しるべに沿って歩いていくと目的地に着くという形。
本質的にはロックマンやマリオに近い。
その道しるべが何かはゲームにもよるんだが死にゲーは往々にして
敵とアイテム、んでオブジェクトの配置。
なのよ。
↑敵が奥にいるから俺も奥に行くゥ~。てなノリで考えずに前に進むことは多かろう。
死にゲーやったことある人は分かると思うんだけど
プレイヤーは基本的に敵を見たら倒しに行く。
「あっ敵いるな。倒しに行かなきゃ」って思考になって実際敵を殴りに行く。
ヘンゼルとグレーテルにとってのパンくずが
プレイヤーにとっての敵、あと門や家のような特徴的なオブジェクトなんだよ。
敵を倒すと少なくともプレイヤーはその場所へ移動しているわけで、
その場所から次の敵を見つけるか、
何かあからさまに怪しいオブジェクトやアイテムを見つけることでその先に進む。
このパンくず拾いを繰り返して家に帰る(ボスを見つける)のが
死にゲーの基本的な構造になってるわけよ。
問題はこのゲームって正しいパンくずが見つけにくいってこと。
同じ死にゲーの仁王も大分そういうところあったんだけど、
「いかにも何かありそうな何もない外れエリア」を作ったり、
パッと見特徴が無い2つの分かれ道を作ったり、
とにかく無造作に敵を配置するのでどこが正規ルートなのか?というのが分からない。
これではヘンゼルとグレーテルは帰れねぇじゃん魔女の釜の中じゃん。
プレイヤーをガッカリさせたりドキドキさせたいのかもしれないが
そのガカドキは一回でいいねん。
ザサージ2はそのガカドキを何度も味合わせてくる。
倦怠期のカップルのテコ入れじゃねぇんだから。
↑ちゃんと袋小路にアイテムはあるのだが…そして上下にすら移動が必要なマップはわかりづら杉内。
分岐の先にご褒美を用意するようなアフターサービスはばっちりなんだけど、
分岐の先に分岐を作ったり、分かれ道が右か左か以外に、
本作はさらに上か下かみたいな作りになってて物凄い複雑。
なおかつショートカット開通用の通路まみれで、と
プレイヤーにとって何が正解なのかが分かり辛くされてしまっている。
進んだつもりが実は単なるショートカット開通でした。
というのはびっくりするぐらいプレイヤーの心を萎えさせる。
なにより、
「果たしてここであってるのか?もしかして俺は
無駄なところを探索して死んでいるんじゃないか?」
という懸念が頭をよぎるともう心が乾く。そして複数相手に囲まれてやられると萎えぽよ~。
これは僕の持論だが、
「ホラゲーも死にゲーも(そのエリアでの)緊張感が続くのは新鮮さがあるときだけ」
だと思っている。
バイオハザード1にあった「犬が窓を破って襲い掛かってくる」シーン。
これの衝撃はプレイヤーならば間違いなく覚えていると思うが、
一度でもそこで死んでリプレイすると格段に恐怖は薄まる。
二度三度となるともはやコントだ。
死にゲーも同じで見知らぬ土地を歩き回るという恐怖が緊張感を産む。
だが同じ場所で繰り返し繰り返し死に続けると
「もう強行突破したほうが良くない?」という発想がプレイヤーに生まれてしまう。
考えてみてほしい。
どれだけ怖いお化け屋敷でも全力で走り抜けると面白いと思えるだろうか?
プレイヤーがゲームからのフリに乗ってくれないとゲームって成り立たないんですよね。
どんなRTAを見ても最適解は逃走⇒どこか効率の良い所で稼ぎとなるように
ホラーも死にゲーも駆け抜けてしまうのが事実正解なんだけどそれをやらないのは
プレイヤーにこれを楽しもうという気概があるから。
先ほどの誘導の件、複数の敵が強くてやられてしまう点、と
やられたり、迷って何度も同じ道を通るともうやる気がわかなくなってくる。
気持ちがなえてくる。
しかもヒロインの顔がコレで、
コレだし。
↑美白。
アクションこそは凄くいいだけに、探索していく中で気概が無くなっていくのを感じていくのはすごく残念だった。
□総評
良作寄りのそれなりという印象。
大枠を占める戦闘と敵から武器を奪うという点は物凄く褒める。
ただ、それ以外の要素は基本的にかなりよろしくない。
特に探索は結構どころか相当、いやホンマモンのカスだから。
素直に道なりに進むようなゲームにしちゃえばいいのに
下手に探索させようってのが完全に判断ミスだと思う。
ただ、戦闘でお釣りが返ってくる人には十二分に楽しめる作りになっていると思う。
童話要素やところどころに垣間見えるコロコロコミック要素を考えると小学生男子向けタイトル。そういっても過言ではないのだろうか。
…まっ、Z指定なんだけどな!
大人になってから買ってくれよな!!!!
↑なんとなく好きなスクショを置いて〆。戦闘だけはいいんだけどねー…。