ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

古代から受け継いだ進化に煌めく田へダイブ。『天穂のサクナヒメ』レビュー。

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主食!主食!日本のお米は世界一!(挨拶)

そろそろ師が走るためのクラウチングスタートをし始めるこの時期、まさかのダークホースが登場した。
いや、ちょっと気になってはいたんですよ。
でもなーどうしようかなぁと決めかねてるうちに近所のゲオから姿を消してしまうというまさかの令和のコメ騒動をキメてしまった本作。

何とか入手して一週間、ハマりにハマって楽しんだ
『天穂(てんすい)のサクナヒメ』をレビューしよう。

ではよしなに。

 

 

□概要

 

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むかしむかし、あるところにおとうさんとおかあさんがおらぬが
その遺産と名声で働きもせず日々都でぐーたら生きてきたサクナという女神がおったそうな。

しかしある日、人の世と神の世を繋ぐ天浮橋に人間が迷い込んでしもうた。
ひょんなことからひと悶着あり、サクナとその人間たちは一緒に鬼が住むという鬼島へ追放されてしまったそうじゃ。

女神として鬼を倒すため彼女の力を強くするために必要なもの、それはコメ。
さて、サクナと人間たちはそれぞれ帰るべき場所へ帰れるのじゃろうか。

右手に鎌を、左に手には鍬を構えた女神サクナヒメの冒険活劇、あ、はじまりはじまり~!

ゲームとしては牧場物語キャッスルヴァニア(悪魔城)」というのが最も分かりやすいか。
販売元であるマーベラスはご存じ牧場物語シリーズの割と大きなメーカーだが、
開発元はなんとアメンバーがたった二名!だが5年という歳月を費やして作ったタイトルが見事な大金星を挙げたのだ。

本作は一貫して「成長」がテーマになっていると思う。
2名から始まったプロジェクトが5年という歳月が実を結び見事な大輪の花に・・・いや、
黄金の稲穂に成長させたのだと考えると非常にロマン溢るる美しい話だ。

ではレビューしていこう。

 

□夢の隠し場所はつづらの中

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↑ダンジョンは各地にいっぱい点在。そしてお宝つづらをゲットだ!

まずダンジョン探索とアクションについて。

ステージ制ではあるが、先述の通りキャッスルヴァニアのような2Dアクションとなっており、
ダンジョンごとの固有の目的、例えば敵を〇体倒す、特定の装備で探索する、といった条件をこなすことで探索度が上下ていくのが目的となっている。
探索度を上げることで新しいステージが見つかる、あるいは田んぼが広がるなどプレイヤーにプラス効果が発生する。

また、ダンジョンの中には多くの宝が宝箱・・・ならぬつづらに収まって隠されている。
これを見つけるのもまた、このゲームの楽しみの一つだ。
和風で昔話調の作品でつづらというと、「欲を出して大きなつづらを選ぶと…」等と考えてしまう謙虚な人もいるかもしれないが心配ご無用。我らがサクナヒメは
「ぜぇ~んぶワシのものじゃー!ハッハッハー!」というキャラなのでご安心。欲を出して丸っとかっさらおう。

この探索度とつづらが上手く作用し本作のステージ攻略のモチベーションの大きな要素となっている。

 

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↑本作の象徴「衝突」!敵に攻撃を当てて弾いて近くの敵に当ててさらにダメージ!

そしてアクションだがコレが非常に面白い!

様々な要素があるが何より「衝突」という要素が非常に素晴らしい!
簡単に言えば敵を弾いて別の相手にぶつける、ということなのだがこれにより従来の2Dアクション以上に爽快感がグンバツ
雑魚が一列並べばボーリングの要領で丸っと吹き飛ばせる!
アクションに関して全く飽きずにプレイできたのはこの要素が大きい。
終始気持ちよく楽しくプレイできた。

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↑通常攻撃!そして上を押しながら攻撃すると敵を浮かせることが出来るぞ!

探索自体はキャッスルヴァニアといったがアクションは2D時代のテイルズオブシリーズに近い印象がある。例えば各種攻撃ボタンと方向キーを合わせることで攻撃が変化する。
↑を押しながら通常攻撃をすると空中で浮かんだりするあたりはモロやな・・・とちょっと笑ってしまった。

んで、アクションは成長する。

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↑ちゃんとエフェクトなども変わるのでやっててすごーくたのしい!武技をどんどん使え!強くなれ!

武技(いわゆるスキル)には熟練度が設定されており、使い込めば使い込むほど強くなる。
最初はこれ強いか・・・?という技も使い込むと大幅に使い勝手が向上し強くなるということもしばしば。
最初のほうの武技のほうが強い、ということはあまりなくサクナ自身の成長に従いどんどん強い武技を習得するため強くなることが楽しい。
次はどんな技を覚えられるのだろうと成長することが楽しい。

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↑敵の後ろに回り込め!敵を突き刺しぶん投げろ!バフをかけることも可能!高難易度ではこれが必須!

もう一つの特徴として、羽衣技というものもある。

サクナが装備している羽衣は神の力が宿るアイテムであり、様々な力を持つ。
羽衣技は衝突に並ぶ本作の象徴ともいうべきアクションであり、敵に突き刺すと敵の後ろを取ることが出来るし、武技同様、いや敵にデバフをかけるなど唯一無二な様々な技を繰り出すことが出来る。

回り込み中は当たり判定がほぼ消えるため、ひらりひらり右に左に螺旋を描いて敵を倒し、さらにさらに天に昇る。
それはあたかも龍が如く…だとヤクザなので神が如くと言っておこうか。

本作は2Dアクションとしては驚くほど空中で浮かびながら戦うことが出来る。
最終的にプレイヤーは空中で飛び続けて戦うことも出来るようになる。
そう、プレイヤーも成長するのだ!

・・・と言いたかったのだがここからは少々マイナスポイント。
羽衣技自体の発想は非常に面白く評価したいのだが、回り込む羽衣技以外は武技と共有のMP(本作では”技”)を使用する。
しかし、このMPが共有というのが厄介で基本的に武技の方が強いため、羽衣技は先述のデバフをかけるのみになりがち。
ぶっちゃけ、羽衣技は殆ど使わねぇ。*1大体地上で武技連発となる。

せっかくならヒット数に応じて羽衣技の消費MPを減らすなど使用するためのハードルを下げる仕様が欲しかったかなと。次回作以降に期待か。
ただ、本当にしっかりとアクションとしても楽しめる一品。ウム、見事じゃ!

 

□夜に肥料忘れてもやってくる明日を信じて

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↑ちっちゃなおててで頑張るサクナ。しかしコレ、どれもこれもめんどくさいぞ・・・。

さて、本作のメインディッシュである稲作である。
牧場物語だと耕す、種をまく、水を撒く、というたったの3ステップで完了するのだが、
本作は稲作特化ということで、現実とも似通った以下の工程が必要となる。

  1. 田起こし
  2. 種籾選別
  3. 田植え
  4. 一次分けつ
  5. 二次分けつ
  6. 三次分けつ
  7. 出穂
  8. 収穫(稲刈り)
  9. 稲架掛け
  10. 脱穀
  11. 籾摺り

驚異と怒涛の11ステップである。アホなん?

ちなみにこの作業の間に間に水の量の調整や、雑草引き抜き、そして肥料の投入が必要である。肥料?そらもう

f:id:exa_axe:20201129005957j:plain↑うんこーー!!まぁ皆ここはスクショするって!ウンコは農業のお友達!

クソよ。ウンコよ。便なんよ。

なお、もちろんこれはサクナ含む人間たちのソレ、なわけで昨日食べた食事によって若干肥料ステータスが変わるという、なんというか・・・ウンこだわりがあるゲームとなっている。
事実、ここまで稲作に対してリアリティのあるゲームというのは少なくとも自分は初めて見た。

 

f:id:exa_axe:20201129010847j:plain↑実際しんどくなって放り出しちゃうサクナ。ここからの成長を見よ!

ステップ数が多いだけでは?と思うかもしれないが少なくとも序盤の稲作は普通に苦痛。
サクナ自身がやだもうクソォもう知らんと口から漏らす・・・いや、そういう意味じゃないぞ。
プレイしていて不満を言うのだがプレイヤーも結構しんどさを味わうようになっている。
なんせボタン連打では絶対にできぬようになっているため(長押しやボタンの組み合わせがいる)稲作自体のしんどさをプレイヤーに味合わせるような調整になっている。

ただ、このゲームはここからが上手い。

f:id:exa_axe:20201129011006j:plain↑唐突に覚えるスキル。一気に農作業が楽になる。

農作業をしているとヒョイッと農業スキルを覚えるようになっている。
これえらい。
実際、農作業自体は結構苦痛なんだけどスキルを覚えることで成長できる。
勿論、スキルを覚えることで楽になるし、何より成長できるわけだから田んぼに対する意欲が湧く。
苦痛をただ苦痛で終わらせず、プレイヤーがわくわくする仕組みにしているのは本当見事だと思う。

 

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↑新米完成!さぁステータスアップと新米を頂こう!

様々な工程をこなし、冬から秋にかけて丹精込めて作業をし、コメが出来るとその年の結果発表が行われる。
この結果次第でサクナのステータスがアップする。また、コメは事実上通貨としても使用可能だ。
おっと、アクションの所で言い忘れたがサクナは戦闘では決してステータスがアップしない。
ステータスを上げるためには必ずコメを作らねばならない。
キャッチコピーにもある「米は力だ!」とはそういうことなのだ。

そしてまた一年を繰り返し、稲作と同時並行でダンジョンを進めることでゲームが進行していくことになる。

結構めんどくさそうに聞こえるかもしれないがゲーム用にヌルく作られているのでご安心。
極端な話、適当にやってても稲は必ず穂をつけてくれる。
田んぼに手をかけるのはあくまで効率よくステータスアップするためであり、稲作を繰り返せばクリアできる、適当な人にも優しいゲームになっている。


□膨張し続ける稲穂の海泳いで

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↑意外ともらえるアドバイス。最初はちゃんと話を聞いてあげようね。

さて、ここまで色々書いてはいるがもしまだプレイしてない人であるならば
最初の三年は攻略サイトを見ないでほしい。

え、農林水産省のサイト*2も?と思うかもしれないがそうだ。見るな。

何故なら、本作は「過去の先人の知恵と努力に感動する」ゲームだと思うからだ。

実際何も知識を得ずにプレイしてみるとビックリするぐらい間違える。
SNSなどで話題を呼んだトライフォース農法や塩害トラップ等やってはいけないことを必ずやる。
特に塩害トラップは酷い。詳細は言わないが確実に引っかかるように作ってやがらぁ!と言いたくなる作りである。

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↑肥料の分量なども事細かに設定できる。正解はあるけど失敗は実質無い。色々やってみよう。

そして間違えたままのプレイを続けるうちに仲間のアドバイスやあとで手に入る母親が残したマニュアルで自分が間違えてたことに気づく・・・のだが、
本作は農家が実際にプレイすると最初からそこそこ以上のコメが出来るほどかなりリアルな稲作をやっているわけで。

つまり、本作の攻略情報は日本が、あるいはコメが誕生してから誰かが現実に実践して試したことなのだと気づいた。

・・・これ、すごくない?

いやマジで考えてみて?
仲間から「三次分けつという工程では水を抜いて乾かすんだよ」と明確にアドバイスをもらうんだけど、その前後の工程は逆に水をたっぷり入れるんだよ。
前後で水たっぷり使うならどう考えても三次分けつでも水いれっぱが正義だと思うやん? 
誰が試したんだよ。そして正解を引くのかよ。

よほどのひねくれものか、あるいはとても頭がいい人なのか。先人は凄い。

 

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↑出た!歴史の教科書で毎回出るやつ!(今の若い子の教科書ってどうなんでしょ?)そして合鴨はキュート!

そして、農機具。
歴史の教科書で習ったであろう皆大好き「千把扱き」を筆頭に様々な農機具が登場する。
一気に農作業が効率化して技術に感動するぞ。

また、「合鴨農法」といった変わり種も。
冷静に考えると合鴨農法って凄くないすか。
僕なら絶対稲穂食われるじゃんこんなの・・・!って思って試したりしないと思う。

でも、誰かはやったんだよ。

そしてその知識や技術をまさか令和の僕が驚き桃の木山椒の木。
むしろ驚きを超えて感動さえしちゃってる。このゲームすげぇなってちょっと震えちゃった。

この感動を味わうために。そして失敗をみんなで笑うために是非初見はノー攻略サイトプレイを推奨したい。

なーにどんだけ失敗しても稲穂はつくし、来年にはリセットされている。
いっぱい失敗して、そして、
先人たちの知恵と努力に感謝して良いコメを作ろうじゃあないか!

 

□総評

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傑作だ。

割愛してしまったがストーリーもサクナの「成長」譚として王道で癖がなく、非常によくできていた。
最後はちょっとホロリもあるよ、で実にいい塩梅でした。
それも踏まえて文句なく万人にお勧めできるゲームだと思う。

今年いろんなゲームをやってきたがPS系のゲームって難易度が高かったり暗かったり「俺は好きだけど」人に勧めにくいゲーム多いじゃないですか。
特に本ブログは「これ誰がやるねん」みたいな作品多いし。
ここに来て、オウいいからやれやれ!おもしれーぞ!と老若男女問わず勧められるゲームが出てきてある意味ほっとしてる。(switch版もPC版もあるよ)

 唯一ちょっとだけ惜しいな~って点は食事について。
プレイヤーとしては苦労して初めて作った一年目のコメ。
量は少ないながらも作れたことに感動していたんだけど、コメが出来た初めての夜に特にイベントもなく、「美味しい!」みたいなセリフもなかったんですよね。
(汎用のボイスで「美味しい!」はあったかもだがイベントはない)

んで、5時間ぐらいぶっ通してこのゲームをやって、やれやれアー疲れた俺も飯にするかって選んだ夕食がラーメンだったんですよね。

つまり、コメの美味さを描けてないんですよ。 

夕食時のイベントはかなりの量があるし、レシピは本当に書ききれないくらいあるのにそこの拘りが浅いな~~~惜しいな~~~コメ作りのしんどさは描けてるのに~~~ってなっちゃった。
本当は優等生的に「お米が食べたくなるゲームでした!」とか言って〆るべきなんだろうけどラーメン食っちゃったからなぁ・・・と。

なのでそこは次回作に期待!

今回あまりにダークホースすぎて予約しておらずコメ騒動に巻き込まれてしまった(ゲームが手に入らなかった)が次は予約する!
皆も買おう!やろう!
そして過去の先人の努力と知恵に涙しろ!お勧めして〆!

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↑貴方も美味いコメを作りましょう!うおー!

*1:ゲームクリア後のやりこみダンジョンとかは別だが、メインストーリーは無くてもいいぐらい。

*2:攻略wikiより使える!と話題を呼んだ。実際はそんなに使えない。