急いては事を仕損じるけど先んずれば人を制すともいうわけで(挨拶)
今回はコラムであり、本記事は別の方が書いた記事と結論が全く同じです。
これはパクリではなく単純に二人で雑談をしていてその中から生まれた記事であり、
まぁ機会があったら書くかなと思ってたら先を越されてしまったわけです。
ねぇどんな気持ち?ねぇどんな気持ち?
そんな気持ちで気が向いたら読んでほしい。
ではよしなに。
□泡、おぼえていますか。
こないだゲーム友達のNeverAwakeManさんとスト6で対戦しながらダベっていたとき、『フォームスターズ』の話題になった。
そう、フォームスターズ。"泡スプラ"と書いたほうが通りがいいかもしれない。『Warlander』のトイロジックが開発しスクエニが販売している、アワパーティシューター(公式名称)だ。
皆さんはこのゲームのことを覚えているだろうか?*1
本作はオープンベータの段階では自分はかなり絶賛しており、
めっちゃめちゃ楽しみにしてたんですね。
丁寧なシステムに魅力的なキャラデザ、圧倒的に高い音楽クオリティ。
基本無料なら売れるだろうな、流行るだろうな、と。
いざ発売され、PSPlus会員向けに一か月以内にDLすれば無料!という鮮烈デビュー。
これはイケるやん!Vやねんスクエニ!と思って喜んでやってみたんですが…うん…。
1週間もしないうちにまぁええかって…なりまして…。
オープンベータの時って仲間内でキャッキャやって問題を見過ごしたり
ある程度の不満は製品版で直るやろって甘く見るのもあるんですが
製品版にはとあるデカい問題があった。
本作は「良く出来たゲーム」です。
これはマジで本気で絶対に思っている。
「楽しいパーティ」というコンセプトが明確でそれに向けて全ての要素が整っている。
ゲームデザイナー・プランナーが相当良い腕をしていると言える。
非常に丁寧にストレス要素を潰しており、すごく良くできたゲームデザイン。
しかし一つ、ゲームプレイヤーのある習性を見逃していた。
基本的にマルチプレイというのはソロでやっている人の集合体であり、
それらのモチベを保つ必要がある、ということを見過ごしていた。
感動とは”感情”が”動く”と書く。
このフォームスターズというゲームをやっていても感動しないのだ。
もっとはっきりと言おう。
ムカつかないのだ。
□自分一人だけが空回りしていると
ゲームで実生活のストレス解消、これはよく聞く話だが
そもそもゲーム自体にもストレスは存在する。
どこまでも追いかけてくるバイオの追跡者。
ただただ強いエルデンリング・マレニア。などなど。
彼らは最終的に倒せるからこそ許容されているストレス=ムカつきである。
だが、チームシューターはどうしても倒せないものがストレスになりがちである。
それは味方の存在である。
自分はオーバーウォッチ(以下、OW)というゲームを愛好している。
このゲームの民度はゲロの中のタンカスである。
チャットに暴言を書きこむクズは売るほどいるが暴言をVCで吐くカスはバーゲンセールだ。
最もヤバかったのはテキストチャットで暴言を吐き、
わざわざマイクを繋いで「マ〇〇(女性器)ーーー!!!」と叫んできた人間がいたことだ。
これはネタではない。事実である。2024年5月の話だ。
あまりの衝撃に動画を撮ろうとしてしまったが、
流石にこんなもの見て喜ぶ人間はXにはいないと正気に返り通報だけしておいた。
そんなクソみたいなゲロ民度のゲームを何故400時間以上もプレイしているかというと
僕の性格が悪いという点もあるが、
ムカつくポイントが多数あるから、である。
OWは一人一人にロール(役割)が与えられており、
各プレイヤーはそのロールにあった仕事をする必要がある。
必ずではないが一人戦犯がいるとそのチームはまず負けてしまうシビアなゲームだ。
で、そのOWには戦犯リストならぬスコアボードが存在する。
ちなみにフォームスターズにはこれが存在しない。
スプラトゥーンにもマッチ終了後に同様のスコアボードが表示されるが
OWはマッチ途中でこれが見れる、というのがヤバい。
途中で見れるからこそマッチ終了後のみならず攻守交代時やマッチ中に
「tank gap」「DPS Diff」「しねまじで」といった味方への誹謗中傷が飛ぶのが少なくない。*2
1週間もプレイしてれば1日目にはお通しのように見ることができるだろう。
LOLという世紀末より少しだけ治安がいいだけのスラム街。
これがOWだ。感動しろ。
しかしその分「上手に勝ったときの興奮」は著しい。
まるで今まで不ぞろいだった5つの歯車がガチンと噛み合いフル回転で動き出したような感覚。心も疾る(はしる)。
脳汁が出るという言葉があるがこれはもうツユダク玉子入りだ。
禁煙した後のタバコは美味い───。
よく聞く話だが、あのうまさを感じるためなら何度でも禁煙できる人を知っている。
カスみたいな仲間たちが急に美味く感じるときがある。
しかし反面フォームスターズは全くもってタバコが美味くならない。
今負けたマッチは結局何が悪かったのか?がまずわからない。
戦犯がいたのか?敵に大暴れしていたつえーやつがいたのか?
そもそも俺がダメだったのか?
これらが全く分からない。
フォームスターズにはスコアボードが存在しないから仲間の戦績が全く分からない。
一部の「キミのここが良かったよね!」という表彰のみ。
なぜならパーティに”戦犯”は必要ないから。
コンセプト通りの設計である。
だが今勝ったマッチは何がどのくらい良かったのかすらもわからないのだ。
□幸せ悲しみかわるがわるの波


今更だが当たり前の話としてスコアボードは戦犯リストではない。
スコアボードはマウントを取るための機能である。
これは自分の実体験だが『BattleFieldV』を毎晩仲間内で狂ったようにプレイした時期があった。
鬼畜米英を倒すためにスモークを焚いてバンザイ突撃をする日本人になりきる夜は楽しかった。
だが、それと同時にスコアボードを見てほくそ笑んでいた。
味方チームの中で自分が上位であることを確認しながら。
あるいは自分より上の味方を見てチクショ~負けねぇぞ~と思うことも。
文字面で読むとうわ性格悪ッとギョッとするだろうがこれは別に不思議な話でもない。
恐らく多くのゲームプレイヤーが同じようなことをやっている。


例えばガンダムEXVSシリーズは二人vs二人ゆえに
「負けた時に相方のせいに出来るからヒットした」という言及を聞くことがあるが
それは半分抜けていると思う。もう半分は
「負けたとしても相方よりスコアが良ければマウントが取れる」という点も大きいと思う。
EXVSはマッチ終了後に敵味方まとめて1~4位までスコアが出る。
1位が自分、4位が味方、これで負けた場合は「相方にイラつきつつも自分は上手い」という状態を維持できる。
ただ相手のせいにするだけではなく、数字のお墨付きが付いた上でのマウントである。
「俺はこんなに頑張っているのに味方のせいで負けた!!」
実はモチベを上げる上でこれほど優れた負け方はない。
この4位はいわゆる戦犯だが、戦犯がいる負け方の何が良いって
「次のマッチに行く行為がそのまま最適解になること」なんだよね。
分かりにくいと思うので説明すると
格闘ゲームでコンボミスで負けたなら、コンボ練習する。
バトロワでエイムで撃ち負けたなら、エイム練習する。
という問題と対策がある。
では戦犯が味方にいた場合は?
そう、その対策こそが「次のマッチに行くこと」。
俺が悪いわけではない、ということがものすごい勇気をくれる。
2vs2における利点は「他責」である。
そして「次に行く勇気とその根拠」でもあるのだ。
フォームスターズには1位だけは分かるMVPシステムがあるのだからそれでいいじゃないか、という人もまた抜けている。
圧倒的な一位(キャリー)と二位にギリギリ競り勝ったMVPの時点で明確に違う!
自分が他の味方よりどれだけ優れていたのか、
そしてあるいはどれだけ劣っていたのかというのを
数値で出されることには紛れもなく”意味”があるのだ。


ただ勿論、スコアボードがあればモチベが勝手にわいてくるわけではない。
フォームスターズの少し前に出た『THE FINALS』というチーム制シューターがあるのだが、こちらは難しすぎた。
ゲームメカニクスは非常に洗練されていて、
三次元的な戦略性やほぼすべての壁や床をぶち抜けるというのが革新的だった。
しかしそれ故に、VCがないとまともな連携が出来ない。
難しいゲーム過ぎるゆえ「悔しい」という感情すら湧かなかった。
あーこりゃ勝てないわやめとこやめとこ。とあっさり見切ってしまった。
□心の不思議が語り掛けてくる
極端に言えばゲームで楽しさだけを享受したいならPvEのゲームだけやればいい。
無双やヴァンパイアサバイバー等でばっさばっさと、ね。
それでも俺たちがPvPのゲームをやるのは何故かというと
「PvEより強く感情が動く」からだと思うんだ。
もっとはっきりとエレガントに美しい日本語を使うと
「相手がムカつくと気持ちいい」からだ。
格ゲーは基本的にタイマンであり、チームプレイではない。
これまでと違い味方がストレスになるのではなく自分自身が問題になる。
だが、ムカつきは必ずあるし相手に与えていることもわかる。
当然、オンライン対戦では基本相手がムカついてるかどうかは分からない。
ではなぜ相手がムカついてると思えるのか?
自分がそれをやられてムカついたことがあるから、である。
そう、自分がムカつかないと相手がムカついていると確信できないんだ。
投げ、投げが来たら次はないと思っていたのに投げられた!ムカついた!
だからそれをそっくり別の誰かにやり返す!!
ムカつきロンダリングである。
世界が平和にならない人的証拠がここにある。
俺がムカついたから相手もムカついてくれるはずだ。
祈りにも似た無垢な信頼こそが僕たちのモチベを支えている。
だからムカつかないゲームはやり甲斐を感じられない。
そう、俺たちはムカつくためにゲームをやっている。
そして相手をムカつかせるためにゲームをやっているのだ。
だからムカつく要素を取っ払っているフォームスターズは厳しいよね。
という話になるのだ・・・。
□最後に


この記事を書くために改めてDLしてやってみたんですが、
やっぱ本当に良く出来たゲームなんですよね。うん。
どれだけ言葉を尽くせば貴方がこの言葉を信じてくれるかわからないけれども。
ただ一点プレイヤーのモチベを保つということに関してだけ完全に考えから抜けていた。
楽しいことでも毎日続いたらそれと気付かずに、退屈と変わらない。
だからこそ一定のストレスはどうしても必要になる。
勿論、ゲームにムカつく要素を山盛りにすれば面白くなるわけではない。
それが事実なら毎年GOTYはリーグオブレジェンドになってしまう。
ゲームクリエイターも何をやったらプレイヤーはムカつくかなぁ!?ということばかり考えたくなかろう。
switchに出てたら、PCに出てたら、発売時期が…といったタラレバも聞くが正直、
やればわかる。
決して悪いゲームではないので間違いなくオススメ自体は出来るのだ。
だからやってほしいのだ。
そして出来れば───。
こんな風に「俺はハマったからお前が下手なだけでは?」と煽るくらいにハマってほしい。
正直そうなってくれるほうが嬉しい。
しかしもし、この記事を読んでプレイしてくれた人は
この記事を読んで感じた「ムカつき」が原動力ではないのかと思わなくもないのだがそうであってもゲームにハマることは良いことである。
大量にゲームが発売される現代において、各メーカーには無関心こそが恐怖である。
愛の反対は無関心。
だが無関心の反対は愛でなくてよいのだ。
是非プレイしてみてね。
ではまた。