ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

欲張りな神と乙女が待つ。『グリードフォール』レビュー。

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また一か月休んですまん。(挨拶)

リアル優先で生きてる生きてく人間としては資格試験とか急に来た俺の中の格ゲーブームとかのせいもあるんですが何より大作タイトルが中々出ないもんで、なんかほしいゲームがなかった。

とはいえ、ぱっと見で「あ、俺が買うゲームだ」というゲームはある。あるのだ。
ということで、「これは俺が買うゲーム」だった『GREEDFALL(グリードフォール)』をレビューしよう。

 

なお、シナリオに対して本質までは突っ込まないけれど、若干のネタバレ込みなのでそこんとこはよしなに。

 

 

□概要

 

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マリコールという未知の病が故郷を襲い、数十年がたった。
美しかった母の顔にまるで呪いが自分こそがこの体の王であるというかのように走る痣。

主人公デ・サルデはマリコールの解決のため、いとこのコンスタンティン、そして護衛のクルツと共に帆を張り、船を出す。
目指すは、富と秘密にあふれていると噂されている未知の離島。
しかしそこには同じく富と秘密を求めた者たちで溢れかえっている。

私たちの組織、商人会衆。
傭兵集団のコインガード。
船乗りのギルド、ナウツ。
宗教国家、セレマ。
知識の探究者、ブリッジ同盟。
そして原住民・・・。
これらが戦争を起こしかねない火薬庫でもある。
デ・サルデは外交官としてこれらと上手く付き合い、そして出し抜かなければならない。

 

各国の未来を、マリコールという病を、そして島の未来を。
すべての未来をあなたの掌、いや舌の上で転がし掴め。

ゲームとしては一般的なRPGだ。国産ゲームで言うとPS2頃のよくあるRPGというか・・・。
一部メディアでオープンワールドと紹介されているがアレは間違い。
エリア制となっており、これをオープンワールドと言い張るのはおむすびに魚をのっけてジャパニーズ寿司と言い張るようなものだ。
17世紀のヨーロッパをモチーフとした剣と魔法、そして銃のファンタジーRPGである。

グリードフォールという名前の通り”欲張り”な作りになっていて様々な要素をいろんなゲームから詰め込んでいる。
ただ、欲張った分だけまとまりに欠けている部分も強いし、似たゲームを見たことがあるため既視感が強い。

ぶっちゃけ、「The Outer Worlds」をやった人はアレのまんま、と考えてくれていい。
様々な要素が似ており参考にしたのかな?と考えてしまうほど。
(実際のところ海外での発売日はかなり近いのでパクリパクられはないだろうが)

しかし、俺はThe Outer Worldsより面白いと思った。
と、いうことで解説していこう。

 

□欲張りすぎて肥え太ってしまった豚のように。

さて、早速だが大きくダメな点が2つほどある。
面白かったんだがコレを語らずに話すのはちょっと無理ですわ、うん。

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↑タイミングよくガードするとカウンターが発動!銃を使うことで遠距離からも攻撃は可能。だが…

まず戦闘がダメダメである。

僕はゲームの完成度ってのは要するに使わない機能がないこと、だと思ってる。

通常攻撃・(敵の態勢を)崩し攻撃・ドッジ(回避)・受け流し(カウンター)・魔法による攻撃・バフ・銃・レイジアタック(火力の高い攻撃)・・・と
まさに名は体を表す、と言っていいほど欲張りの名に恥じぬ異彩に多彩なバラエティーに富んだ戦闘が楽しめるのだが、
いかんせん様々な要素を詰め込みすぎたせいでまとまりがない。

無論、多彩な戦闘スタイルがある、というのは評価すべき点だろうが、
各攻撃からアクションがつながらない、という以前に
このゲーム、2分でハメが見つかるんだよな。

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ヤクザキックヤクザキック!あいてはしぬ。特に人間相手は本当にこれだけでいい。

少しわかりにくいだろうが、動物相手に蹴り(崩し攻撃)を入れているのだが、
このヤクザキックで敵の態勢が崩れる。その間にもう一回ヤクザキックを入れる。
崩れる。蹴る。崩れる。蹴る。
いずれ相手は倒れこむ。こと切れて二度と立ち上がらぬ。

花山薫かオメェ。

スクショは獣だが人間相手だと本当これだけやってりゃ勝てるってレベルで勝てる。
本格的な冒険に出て2分くらいした頃に「おいおいまさかこれ・・・」と気づけてしまった蹴りだけで倒せてしまうガバガバ・バカ・バランスとなっている。

ただ安心してほしい。この戦法も序盤だけだ。(あと流石にボスには無理)
後半は敵のHPが上がり、蹴りだと時間がかかりすぎるようになる。(相変わらずハメは出来るが)

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↑殴ってゴロン、ただ、モンハンってちゃんと攻撃のターンがしっかりとれるダウンがあるから面白いのであって・・・

ただ、後半は敵の火力が上がることと、スーパーアーマーがつくことで一発殴ってゴロン(回避)という戦法しか取れない。
モンハンライクな戦闘をイメージしてくれてよいのだが、いかんせんモンハンと違い、一気呵成に攻撃する瞬間が訪れない。
モンハンだって大剣振り回しつつも、タメ切り当てないとつまらないでしょ?
ああいった「一方的に攻める展開や瞬間」が訪れない。
やっててカタルシスを開放する瞬間がないため、これ面白くねぇなーってなってしまうのだ。

 

んで、もう一個のダメな要素。
それは探索だ。

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↑世界はエリアで区切られている。これ自体はプラマイ0って感じです。

先述の通り、オープンワールドではなく、エリア制になっている。
ただこれはちょっとガッカリしつつも全体的なロードはかなり快適であり、それほど不満はなかった。
各エリアから移動するときはしっかり時間経過することで「それなりに距離がある旅」であることを表現していたし、ただ広いだけのマップはげっぷが出るだけ。
そういう意味ではこの割り切りはありだと思った。
しかし、森、

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森!!!

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とロケーションが一切変わらない。

どうぶつの森」ならぬ「どういっても森」というこの世界。

冷静に考えるとこの世界は単なる孤島である。
ある程度の広さはあるとはいえゼルダBotWのように火山と雪山・砂漠が近い世界や、ゴーストオブツシマのようにそんな広くない島の北と南で季節が丸々違う、
といった環境がグレた・トゥーンベリのようなぶっ壊れた世界になるわけがない。
非常にまともな世界なのだが…それにしたって全部森やぞ。飽きるに決まってんだろ。

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↑猪は本当にいろんなところにいる。そしてなんか固い獣もどこにでもいる・・・。

また、敵の種類も非常に少ない。

未開の島を探索するわけなので基本的に戦う敵は獣フレンズなのだが、イノシシ・熊・狼・蝙蝠・あとなんか固いやつ、この5種類のローテである。
ドラクエ1で言うならスライム・ゴースト・ドラキー・おおさそり・まほうつかい。
この5種類と亜種だけ出てくる。みたいな感覚だ。

さっきまでドラキーを倒し、強くなったからと新たなエリアに向かい、現れたのがタホドラキー
タホドラキーを倒してさらに強くなり、意気揚々と次のエリアに向かい現れたのがドラキーマ
これ、楽しいと思います???

分け入っても分け入っても森!!そして出てくるのはどっかで見た敵!
物語上で獣が暴走し始め、いよいよ新しい敵が!?と思ってたら
現れたのは黒いオーラを纏ったドラキー!!!!!

とにかく探索しててワクワクしねぇええええ!

 

…という戦闘にも探索にも少々ガッカリな出来なのだが、では何が良かったのかというと
それ以外の大体だ。雑すぎへん?

 

この醜くも美しい世界の描かれ方

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↑キャラメイク可能!また、スキルも割り振ることが出来るぞ。口が上手くて化学音痴なキャラなんてのも作れる。

ストーリー自体は外交官たる主人公デ・サルデが島に降り立ち、病の治療方法を探すのが主目的だが、まずクエストの出来に唸らされた。

島に降り立つ前の故郷での簡単なクエストとして、
「船の船員が2日ほど帰ってないから探してきてほしい」というクエストを依頼される。

さて、他の船員に話を聞くとどうも最後に見たのは酒場ということだということはわかった。
酒場ということは「酒に酔って海に落ちた」やないか!その特徴は確実に「事故死」や!
でも酒場の店員が言うにはな、どうも妙な集団に囲まれたらしいねん。
ほな事故死ちゃうか。集団に囲まれたということは喧嘩やな!「喧嘩で死んだ」で決まりや!
いやでも客が言うにはな、どうもそいつらに連れていかれたらしいねん。
ほな喧嘩ちゃうか。連れてかれたというより連れ去られたんやろ、「誘拐」で決まりやがな!
いやでも真相を追ってくとな、

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どうもその船員は幼いころナウツ(船乗りギルド)に金で買われてしまったらしくて、偶然母親が船員(つまり実子)を見つけて何とか取り戻そうと誘拐してしまったらしいねん。
ただ、父親が当時金で困っていて子供を売ってでも金が欲しかったらしくそれを突きつけたら解放出来たねん。
んで、子供も流石に5歳の時の話やから母親の顔も覚えて無くて自分の家はナウツやと言って帰っていくねん。
結果主人公はナウツから評価されて丸く収まったということやな。

・・・おもろいやん。

ミルクボーイならぬコーヒーアダルトな苦い真実だが非常に上手い。
プレイヤーの予想を裏切りつつ上手に物語が進行していく様子は見事というしかない。

そして何より気に入った点として、
17世紀のヨーロッパらしさ、というのが描かれてる点が好み。

例えばだが、アメリカ人はUSA!USA!と叫んでいてほしいし、ロシア人は何かにつけてウォッカを飲んでてほしい、中国人の富裕層は太っていてほしいし、京都人は”いけず”であってほしい。
そして17世紀のヨーロッパといえば「性格が悪く、人権という概念がなく、そのくせ身内には甘く、そして性格は悪い」というイメージがある。
勿論これは僕が各種創作物と、実際のイギリスを見て培ったイメージだが、
これがそのままお出しされる。容赦ない。

 

開発会社はフランスのメーカーのようなのだが、まさにそのまんま、俺が頭に描いた悪いヨーロッパを描いてくれて非常に嬉しい。
こういうところを誤魔化さず、しかしきっちりとクオリティが高く出してくれて、
おやっこのゲーム面白いのでは?と思い始めたときに初めてのボス戦闘が始まる。

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きっちりムービーからシームレスでつながるボス戦を見て、
(まだつまんなさがバレてないから)手ごたえのある戦闘をして、
コントローラーを握る手に汗が、そして面白いという感情が沸き立ってくる。

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そして一枚絵としてもキマるようなハイクオリティなムービーが確信させる。
このゲームは面白いゲームだ。と。

このゲーム、妙にムービーがハイクオリティなんですよね。
戦闘には必ずシームレスでつながって熱を冷まさないし、カット割りが見事でおお、カッコいい!と魅せてくれる。

それでいて短い。実に見事。世界観と演出面は大幅に合格ラインを上回る。

 

□仲間との物語のつくり方。

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↑仲間のシオラとクルツ。ほかにもあと3人の仲間が存在するぞ。

主人公はパーティインするコンパニオンを最大5人仲間にできる。そしてこれは各組織から一人ずつとなる。
当然、組織の考え方もあるので、プレイヤーがその組織と敵対するような動きをしていたり、仲間にとって致命的に許せない行為をすると離反する。マジで離反し、復帰しないこともある。

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↑シオラは原住民。なので土地荒らしのブリッジ同盟とはそりが合わずガンガン突っ込んでくる。でも仲間には優しい。

ただ、それはちゃんとコンパニオンそれぞれが考えのあるキャラクターであるということを意識していることであり、実際、クエストによってはコンパニオンが別の仲間を励ますような言葉をかけるシーンなどが発生する。
また、イベント中に自分の組織をけなされたりすると怒りながら反論するなどガンガン台詞を言う。
とにかく喋る、存在感をガンガン出してくるのだ。

この点は意外と他のゲームでやられないだけに、このゲームでそのシーンを初めて見たときには驚いたし喜んだ。
決して単なる同行者(コンパニオン)ではない、キャラクターとして描くのだという意思を感じた。

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↑シオラとのロマンス!そして最終決戦では今生の別れかもしれないが故の優しくも悲しい会話が。

また、ロマンス、つまり恋愛要素もある。
単純に「そういう関係」になるだけではなく、物語のラストで専用の会話をしてくれる等非常に嬉しい作りになっている。
血ではなく心でつながった家族となれる。
こういうことをちゃんとやってくれるから僕はこのゲームを信用できたんだな、と心の底から思う。グリードフォールを信じて良かった…

 

なお、仲間は初期装備から見た目を変えることも可能。
ちょっとえっちな装備・・・は残念ながら存在しないが同じような装備にすることで親近感を沸かせたりチーム感を出したり、何より、ダサい防具を変えられるのがうれしい。

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↑シオラとは別の女キャラなのだがこう・・・どれ着せてもうわぶっさコミュ抜けるわ的な・・・その・・・
まぁどれ選んでもぶさ、似合わない子もいる。
まぁその・・・ファッションの向き不向きはあるから・・・

 

さて、仲間というとパーティインしないが志を共にするものものいる。

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いとこのコンスタンティンがそうだ。

序盤から同じく島に降り立つ本作における最重要キャラとなる。
もーなんか顔を見た瞬間に「あーこいつ甘ちゃんでボンボンなキャラなんだろうな」と思うだろう。
事実そうだ。120%そうだ。ジオンのガルマより坊やだ。

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だがそれがいい

アホの子なんだが、主人公への信頼は抜群であり、たとえ主人公が何をしようとも決して信頼を失わない。一応主人公の上司のようなポジションだが実質物語のヒロインでもある。
先ほど血ではなく~とは宣ったがこっちは血も心も繋がった家族といえるキャラクターだ。

ただ、最重要人物ということもあり、このキャラクターにも試練がおとずれる。
物語の中盤で一気に二つの試練が同時に襲い掛かるのだ。

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↑とある大事件が起こり、さらにそこに追い打ちをかけるような大事件が!真相は見て確かめてくれよな!

このあたりの狼狽ぶりは上質なムービーもあり、守ってやらねば!という気持ちが沸く。
僕は男だ。男エクサだ。
しかし、心の中に「乙女エクサ」もいる。
乙女エクサが萌える、
乙女エクサが(゚∀゚)ノキュンキュンする。

何やコイツ…俺の心のやらかい場所を締め付けてくるやん…
皆に覚えてもらいたいことが一つだけある。「男はいつだって女なんだよ!!!!」

主人公デ・サルデと心をシンクロさせられたこの中盤のドラマに関しては文句なく面白い。
すわAAA級のゲームじゃないか?と思ってしまうほどにわくわくした。

ただ、盛り上がりとしてはここが最高潮。ここをピークにじわじわと盛り下がっていく。
一定の面白さはあるしサイドクエストはクオリティをちゃんと保ってくれる。
けれどもメインとしては「島の未来を決める」という重大なクエストがありながら面白くなくなっていくのが非常に残念。

ただ、それでもクリアできたのはコンスタンティンのおかげ。
是非、島の未来と共に、彼の未来もまたあなたの手で見届け、決めてほしい。

 

□総評

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うーん、序盤は傑作の雰囲気があったが「そこそこ」で落ち着いてしまった感じ。

面白いのだが、クエストがすべてお使いなので、物語の途中で飽きが襲い始める。

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↑スキルを上げればいけないところにも行ける!喋ることで道を開くこともできる!

今回、(長くなるから)説明できずに省略してしまったがスキルレベルを上げることでいけない場所が行けるようになったり、口八丁手八丁で物語を楽に進められるようになる等、そしてマルチエンディング!と面白い要素はあるのだが冒頭でもいったように
要素が多すぎてまとまりが欠けている。

こういった「要素の塊」ってゲームは全部のクオリティを上げないといけないんだけど先述の「どういっても森」が示すように、予算と時間が足りなかったように思う。
あと翻訳は驚くほど糞です。
これまでのスクショを見ると何となくわかったと思うんですが機械翻訳+ほんのちょっと人間監修って感じなので、面白いシナリオなのに相当気合を入れて読まないとついていけなくなる。

 

お勧めできますか?と聞かれると、無造作に勧めることはできない。
虎は子供を崖から突き落として鍛えるというが、興味のないプレイヤーにこれを渡すのは溶岩に叩き込むようなものだろう。

ただ、興味はあったけど買うかどうか迷っている、という人ならば容赦なく谷に突き落とそう。
そう、今この記事を見ているアナタだ。興味があるから調べたのだろう?一考の価値はあるゲームだよ。

さぁ、勇気の帆を張り、好奇心を船にし心の乙女と島へ向え!

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↑興味があるなら損はさせない出来。貴方の船は島に降り立てるか?