あけましておめでとうございます。本年もホスピタル病院をよろしくお願いします(挨拶)
正月気分もとうに抜けたであろう1月下旬にようやく更新してあけましておめでとうとか言ってるブログがあるらしいですよ、怖いですね。
さて、新年一発目として相応しい…かどうかは微妙だが
『Devil May Cry 5 Special Edition(デビルメイクライ5スペシャルエディション)』をレビューしよう。
なお、本記事では核心を含めたネタバレをかましている。
本作は元々PS4で2019年に発売されているし、ちょっと考えればわかるレベルのネタなので
今更ネタバレもクソもねぇだろ!という判断のもとだが、
気になる人は申し訳ないがブラウザバックを推奨する。
ではよしなに。
□概要
前作DMC4より数年の時がたった。
地方都市レッドグレイブ市に、巨大な樹木が街の中心を貫き、血を吸う根が生え人々を襲い始めていた。
現れた魔王ユリゼンを倒すため、Vという青年から依頼を受けたダンテが、
そしてユリゼンに腕を奪われたネロが樹木の頂上へ向っていた。だが、ユリゼンの力は圧倒的であった。
文字通り歯が立たず力尽きていく仲間たち。
ネロを逃がすためダンテは叫ぶ「俺が抑える!逃げろネロ!足手まといだ!」と。―――1か月後、命からがら逃げ伸びたネロの右腕には義手が、そして瞳には決意が宿っていた。
心を燃やし今再び彼は舞台に上がる。
もう二度と誰も失わない。守るために戦うと。新たな敵、新たな戦い、新たな味方、新たな誓い。
DMC is Back!!
何もかも新しいデビルメイクライがPS5でスペシャルに再演(リバイバル)。
なんと10年ぶりとなるナンバリング新作である。
その完全版がPS5で登場ということで、高速ローディング等様々な恩恵を受けている。
完全に0ということにはならないがミッション開始前のローディングは3秒程度で開始可能でありノンストレスでプレイでき、フレームレートも安定している。
ゲーム業界に「スタイリッシュ」という概念を植え付けた言わずと知れたアクションシリーズだが、
本作は過去作と比べて様々な改修が施されている。
□カプコンの理解度は異常
↑一応全く無いわけではないがほぼノンストレスの謎解き。アクションに集中できる。
まず、いくつものサイトで言われているが
これまであったマップ内の謎解きの要素がほぼほぼオミットされている。
一応、別の場所にあるキーを取ってきたり特定のオブジェクトを破壊するという仕組みはあるが
プレイヤーは基本的にまっすぐGOー!!という感じで指示された順路を進んで敵を倒す作りになっている。
ご丁寧に迷ったときはゴールへの方向を指示してくれるヒント機能までついていて
プレイヤーは正直なところ何も考えなくてよい、というレベルだ。
一見手抜き、あるいはプレイヤーを馬鹿にするような要素に聞こえるかもしれないが
結局のところ僕らがやりたいのは、敵を”カッコよく倒す”ことである。
いちいちパルプハンドルを拾ってきてヘリを消火したり、警察署の秘密の地下に下りたいわけではない。
何も考えるな、カッコいい馬鹿になれ。CoolなFoolなら上等だろ?
黒髪ダンテ含めて6作目にして漸く…ではあるがこの英断には拍手を送りたい。
もう一つ良い点として、パリィの存在がある。
名前こそパリィといってもソウルシリーズとは違い盾はないため、
敵の攻撃を自分の攻撃ではじくという格ゲーの「相殺」に近い。
少々判定がよくわからないことが多いものの、
とある一部のボスで適当なプレイですらバンバンパリィが入った際は素直に興奮した。
決してスタイリッシュではないダークソウルのアクションが気持ちいいと感じるのは
プレイヤーの攻撃に敵が反応してくれるからなんだよね。
つまり、ゲームプレイヤーは自分の行動でゲーム内の何かが反応を示すことに快楽を見出す。
DMCはそれをわかっている。
DMC1のCMで使われ、そして今回も初期必殺技として打ち上げ技が設定されているのは伊達じゃないのだ。
今回のパリィの存在はいわゆるガチャプレイ者への救済であると同時に
更なる新しい快感の提供として非常に効果的に働いたと思う。
半面、まだまだ改善されていない点が2つ。
↑とにかく怯まないのでコンボを決められない。ただ敵の攻撃に合わせて回避をしてあてるだけになる。
まずは大型ボスの問題。
人間大のボスは別として2倍3倍では済まない大きさを持つボスが本作も登場するのだが、
如何せん、これが基本的には面白くないのだ。
大型ボスのほとんどは攻撃に対するリアクションを取らない。当然、打ち上げも出来ない。
ダメージの蓄積により一定時間無防備になる敵もいるものの、
先述のパリィで言及した「自分の行動に対する反応」が無いために壁に対して殴っているような感覚を覚える。
したがって基本的なボスの攻略方法は敵の攻撃をよけてコンビネーションもクソもなく何回か殴る、という物になる。
だがスタイリッシュって敵の攻撃をよけて壁を殴ることではなかろー?って思っちゃうのよね。
人間大のサイズのボスは楽しいだけにこれが残念である。
大型ボスにこそパリィや弱点の存在が欲しかったかなと。
そして最後の問題。
シリーズを通して自分のアレルギーとなっている、
「DMCのジレンマ」問題だ。
□ハリネズミのジレンマって言葉を知った人、八割はエヴァからじゃね?
苦手なゲームは何?
と聞かれると個人的には
アドベンチャーゲーム(面白くなるところまで興味が持たない。テキスト読むだけってのがキツイ)、
ネプテューヌシリーズ(女の子だけのゲームは苦手、あと題材というか元ネタがわかるだけにね)、
そしてこのDevil May Cryシリーズが苦手だと答える。
勘違いしないでほしいがアクションは好きだ。
カプコンならモンハンやドラゴンズドグマはプレイしているし、
無双シリーズやトゥームレイダーなども好んでプレイしている。
下手か?といわれると否定はできないが、
嫌いか?と言われると顔を真っ赤にして否定する。
ただ、DMCシリーズに関しては1・3・4・DmC(いわゆる黒髪・名倉ダンテ)とプレイして
DmC以外はクリアまで持たず投げている。
手を出すけど面白くなくて辞めてしまう、という最悪のパターンなわけだ。
なぜこうなってしまうのか、それがこれ、
「DMCのジレンマ」の問題である。
命名は俺だ今決めた。
↑ほぼすべてのアクションがレッドオーブによる購入となる。そのため最初はやれることが少ない。
通常のゲームはプレイしていく中でアクション(やれること)が追加されていく。
ゲーム側が「ここまで進めてくれたご褒美」として用意してくれるってわけ。
同じカプコンで言えば、
バイオハザードは当初ハンドガンだけだけど進めていくとショットガンやロケットランチャーが追加されていくだろ?
あれよあれ。
ただ、DMCの場合は武器をくれるパターンもあるが、
多くのアクションはレッドオーブ(本作の通貨)での購入が基本となる。
DMC1から連なる伝統ではあるが、コレが俺が本シリーズが苦手な主原因である。
・アクションを解禁するためにはレッドオーブが必要。
⇒レッドオーブを大量に入手するためにはスタイリッシュランク(評価)を上げる必要がある。
⇒評価を上げるためには複数のアクションを決める必要がある。
⇒アクションを解禁するためにはレッドオーブが必要。
・・・と、ゲーム自体が矛盾し食い合っている。
経験者のみを採用する人手不足のエンジニアかよ。
一応このゲームにおいてこういった購入要素ってのが必要なのはわからんでもない。
レッドオーブの使い道も無いとスタイリッシュランクを上げる理由が一つ減るし、
高いアクションは、「これを買うぞ!」とゲーム後半のモチベ維持につながる部分はある。
なので無くしちゃうと困っちゃうのよ。
ただ、序盤に関していえばアクションの制限が障害にしかなっていない。
何より、「買う」という行為が100⇒101にするのではなく、10⇒100を目指すような感覚となる。
ゲームから与えられるご褒美じゃないから強くなったなぁ!じゃなくて
ようやく人並みになったね、という感覚がある。
しかも前作をやっていたらそれは昔使えていた技である。
DMCシリーズのキャラクターは常に痴呆なのかよ、という悪態もついて出てしまう。
もっと言えば何を覚えるのか、というのがプレイヤーの自由意思にされてしまっているので
段階を踏んで解除されるわけじゃないから
アクションの階段を昇っていく感覚が無い。成長感が全くないんだよね。
(ジャンプを覚えた後に二段ジャンプが解禁される、みたいな”発展”が無いってこと)
さて、ここまで言ったら
「つまり本作DMC5はこれらの欠点が治っているのか」と期待する方も多かろう。
残念だったねぇ!
様々なアクションは追加された!謎解きもほぼなくなった!
だがこれらのジレンマは一切直っていない!
そのため!
やっぱり序盤が辛い!
□サスケェ!お前は俺にとっての光だァ!
本作は3人の主人公(+1)がシナリオによって切り替わっていくのだが
最序盤のネロが本当にキツイ。
特に本作、序盤のネロは死ぬほどつまらない。
スティンガー(距離を詰める突進技)が出来ない、
複数ヒットする連続技が無い、攻撃範囲が狭い、とナイナイ尽くしで
なら何ができるんだよお前は!とキレたくなる。いや、キレた。実際キレた。
とにかく安パイな技が初期状態だとないし囲まれると途端にピンチになり、ちょいちょいゲームオーバーにすらなる。
貧弱なボウヤ、という印象が植え付けられたのもこのせいだろう。
自分が下手、というのもありスタイリッシュランクが全く上がらず
コイツ面白くねぇな、というかゲーム自体が難しすぎない?と思っていた俺にとって
救世主が現れる。
この、ダースベイダーに憧れた光オチ野郎こと、カイロレンにも似た本作初登場の
第三の主人公V(ブイ)こそが俺にとっての光であった。
彼は自分自身で敵にダメージを与えることはほぼ不可能で魔獣を使役して戦うというキャラ。
他のキャラで言うところの通常攻撃が魔獣に置換されている、ということわけね。
↑画面にいるヒョウ、そしてタカと巨人のみっつのしもべに命令だ!未強化でもかなりやれるくらい強いぞ!
ただこの魔獣先輩、雑に強い。
R1ボタンを押しながら□・△ボタンを連打!
たまに変化を付けつつも基本はこれだけで迫真の派手派手なぶっ飛びアクションが出来る!
まるで一人だけコエテクから来た無双みたいな最初っから強いキャラである。
平たく言えば
DMC苦手勢にとっては待ち望みようやく登場したガチャプレイでも十分強くてスタイリッシュランクも上がっていくキャラである。
勿論ただ□・△ボタンを連打してるだけなら面白くない。
しかし彼の場合、他のキャラには存在しない
「自らが敵にとどめを刺す」アクションがあるのだがこれがとんでもなくスタイリッシュでクール。
適当にやってたら敵が勝手に死んでた、という状況ではなく
自ら倒すことで爽快感を与えているわけよ。
しかもとどめを刺している間のアクション中も□・△の攻撃は続けられるため流れを失わず…というより自らが流れの中に入り込み、流麗なアクションを出来る。たまらぬ。
あと、敵によってとどめアクションは異なるという拘りもあってどれもこれもカッコいいのもいい。
それこそコエテクの無双であれば□と△の連打でOKなんですよ。
でも、敵数が基本少な目のDMCではそこで止まっちゃうのはダメ。
・・・コエテクなら止まってただろうけど。
本来不便になるであろう「とどめを刺す」という行為を付けてしまい、あまつさえ良い点になっちゃう
カプコンのこの辺りのアクションへの嗅覚と自作品への理解はマジで凄い。
実際、Vが使えるようになってからはぐっとゲームが面白くなる。
そしてダンテ解禁からはガラッとゲーム自体の印象が変わってく。
↑ビックリするぐらい多くの武器と技を持つ元主人公ダンテ。やはりこいつがいないとね!
本作ダンテはスタイルと近接武器と銃で4×4×4の64通りのアクションが可能。
数字だけなら64だがしかも一つ一つのアクションの引き出しが凄いので無限大にさえ思える。
引き出しの中に引き出しがあるんじゃないかってくらいにいつだって新しいダンテを見ることが出来る。
引き出しの中に引き出しは欠陥構造ですが俺にとってはワンダーランド。
何をやっても新鮮な印象が消えない。女だったら男にとってはたまらぬいい女だったろう。
ただそれでも
っぱVよ!
実際レビュー書くときにスクショを見直しましたがぶっちぎりでVが多くて笑ってしまった。
この角度によって印象が変わる微妙にブサイクとイケメンがまじりあった顔が俺を狂わせる。
一部のステージでは三人のうちどれを使う?と選択式になるが即Vを選ぶほど。
絶対さぁこれさぁラスボスは三人のうちどれか選択して戦うことになるじゃん?
絶対アタシVでラスボス倒しちゃうー!
とか思いながらプレイしてしまう。まさに魔性の男であった。
半面、ネロはどうしたって選ばんだろうなーとも。
中盤に差し掛かってなお、兎に角この子の強みがわからんかった。
引き寄せるのは便利なんだけどスタイリッシュランクがぜんっぜん上がらなくていやこれ分からんなぁ・・・と。
Vやダンテで稼いだレッドオーブをちょろちょろ注ぎ込みつつもラスボス戦で選ぶことはないな、
だって俺の相棒はVだもの!
という俺の偏愛・・・もとい純愛を受けて進むVとゲーム。
が、しかし。
なぁ相棒!
・・相棒?
おい。
なぁ!
AIBOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!?
お前かよ!!!
はい、というわけでVの正体はバージルである。
あとついでにネロの親父はバージルで確定した。*1
冷静に考えるとSEで「バージルモード」が追加される以上、*2
バージルが復活するのは目に見えていたし、
Vっておもっくそイニシャルだったので深く考えればバレッバレでしたねコレ。
事前に伏線は貼られていて、
「アレ?コレもしかしてVが消えてバージルになるんでね?」と予想する時間はありました。
ただ、それは多分無い、それはきっと違う、と都合の悪い予想を都合のよい妄想でかき消してましたが
事実を突きつけられるともう・・・ね。
これもう絶対ラスボスはバージルやんけ~~~!
□悪魔でも、親子ですから。
俺の占いは当たる(予想的中)やんけ~~!
ワンチャンVがもう一回出てきてバージルと戦うかと思いましたが絶対にそれはなさそな状況。
悪い予想は当たる。何故俺が愛した男は離れていくのか。
ただ、このバージル戦は非常に面白いのが困りもの。
大型ボスにはなかったリアクションやわかりやすい事前動作等、
プレイしていて楽しい非常に良ボス。
間違いなく本作の評価を一つ上に上げている要因です。
しかしこのバージル強い!強い!
基本的にはネロよりスタイリッシュランクが上がりやすく強いと思っていたダンテで
二度も膝をつかされる(負ける)始末。
本作、これも改善点なのですがレッドオーブか復活用の石(道中で拾える)で復活できるため
ごり押しでクリアは出来るのですが代わりにミッションクリア後の評価が駄々下がっちゃうんですよ。
そしてまさかのクリア後の評価はD判定。いや2度も復活使ってりゃそうなるんですが。
そしてラスボスで使わねぇと思っていたネロが乱入!
正直思った!おまえじゃねぇ座ってろ!
実際のところ、使いこなせるか不安だったんですよね。
ゲームとしてもあえてネロを使わない場合、このラストバトルの前はあまりネロを使う機会が無いんです。
なのでどうやって使えばいいのか不安になったほど。ただですね。
ネロ、楽勝。
まさかのSランクで撃破というD判定から逆転合格!武田塾!
当初マジで自分が一番驚いていたのですがこれ、からくりがありまして。
カプコン側の意図がちゃんとあるんですよね。
シリーズおなじみのデビルトリガー(いわゆる変身。スーパーモード)が本作でもあるんですが、
ネロは物語の冒頭で悪魔の右腕を奪われて使えなくなってるんです。
仕方なく義手を使ってるんですが、結果として戦力的にはダウンしてるんですよ。
んで、実際序盤のネロって先述の通り弱い。
ダンテに足手まといだって言われるのが納得できるほど。
デビルトリガーの無いVにさえ使い勝手の悪さで弱いな、と比較されてしまうほど。
ただ、最終面でようやく悪魔の右腕が帰ってきてデビルトリガーが使えるようになったことで戦力アップ!
そして彼固有の技、引き寄せがバージルに特攻かってくらい入りまくる。
その前のダンテでの戦いと比べて楽なのは間違いなくコレのおかげ。
ゲームとしては明確にネロは親父(Vでありバージル)を越えてしまうわけです。
つまり、結論を言うとカプコンは序盤のネロを弱くして後半真の力を使わせることで
親父を超えるという青年の成長譚を描きたかったのかな、と。
そして悪魔だからこそ殴り合って分かりあうしかない、そういう歪な親子関係だからこそ描ける上手くシリーズのジレンマを生かした成長譚。
本当にそれを狙ってたなら完璧でした。お見事カプコン。
あと、ついでに言えばレッドオーブは共通のため、
紛れもなくネロは父(V)が稼いだ金で強くなったわけである。
ど直球のネグレクトかましたクソ親父でしたが、これもまた親子の絆なのでしょうか。
ただのこじつけだと思いますが。
□総評
シリーズファンには間違いなくお勧めの一本。
ただ、シリーズ未経験者には正直うーんというところ。
高品質なアクションゲームなのは間違いなし!
Vはガチャプレイでも楽しめるため初心者でも面白くプレイできると保証するがそこまでのネロ編が辛いのは変わらず。
経験者の自分ですら辛いので未経験者には厳しいだろう。
複雑怪奇すぎる操作のダンテなんて相当キッツいと思う。
ただ、Vがいるうえ様々な改修をされているし、エンディングも爽やかでクリア後感もいい。
あとPS5だとものすごくロードも早いので快適である。
入門編としても応用編としても使えるって感じでなんとも言いづらい。ジレンマか?
ただ、面白いよ!
とはいえる。実際俺は投げに投げまくったDMCシリーズの内、久しぶりにクリアできた一本だ。
PS5を買えた人、あんまりゲーム出てないからPS5専用タイトルやってないんじゃない?
ちょっと気になるならやってみるといい。ほかの専用タイトルよりちょっと安いしね。
おそらく来るであろうDMC6に向けて親子喧嘩を楽しんでおこうぜ!
↑貴方も泣くかも。親子とアクションと難易度、どれに泣かされるかは貴方次第だ!