ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

コーエーテクモは死にゲーの夢を見たか?『仁王2』レビュー。

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期待せず買ったゲームが面白い時より、期待のゲームが面白い時のがずっと嬉しい。(挨拶)

アルファ版、ベータ版、と付き合ってきたこのタイトルもとうとう製品版が登場。
そしてもう先に言っちゃうけど期待通り、いやそれ以上に面白かった!

だからこそ語りたい、だからこそ書きたいこのタイトル。
『仁王2』をレビューしよう。

 さて、いつも通りだが「致命的なネタバレ」は避けているがストーリーの内容には触れているため新鮮な気持ちでプレイしたい人は本稿を読むのを避けてほしい。

だが、迷っている人なら読んでくれ。
滅茶苦茶面白れぇってことを伝えたげるからな!

ではよしなに。

 

 


□概要

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時は戦国、相次ぐいくさに魑魅魍魎が跋扈する混迷の時代。
人と妖怪の間に生まれた貴方、「秀千代」は妖怪退治を生業に俗世から離れて生きていた。

しかし、薬売りの「藤吉郎」と出会いをきっかけにその俗世で名を上げていく。
そして二人はこう名乗る。
「二人で一人の”秀吉”」だと。

そして史実通りに世界は進む。
桶狭間・墨俣・姉川と戦果を挙げて昇り詰めていく秀吉。
しかし、史実通りということは秀吉の末期もまた同じである。

これは貴方が”秀吉”になる話。
そしてあなたが”秀吉”ではなくなる話。

ソウルライクと呼ばれる死にゲーにハクスラ要素ぶっこんでアクションマシマシした。
それが仁王シリーズである。

自称しているダーク戦国アクションの名の通り妖怪はびこる戦国時代、それも本作は最も美味しい時期である織田・豊臣時代を舞台としている。 

当然ながらほぼ史実通りに物語は進む。
しかし今作珍しい設定として秀吉は二人いた、として
プレイヤー(主人公)は秀(ひで)として、そして木下藤吉郎は吉(よし)を担当する
戦国修二と彰こと”秀吉”をプロデュース。する物語である。

 

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↑前作から続投する服部半蔵と弥助。もちろん、前作よりちょっとだけ若いぞ。

※3月30日追記
上記で服部半蔵が続投、と書いていましたがこれは先代半蔵のため厳密には同一人物ではありません。すでに読んでくださった方もいるので画像は差し替えず上記のままとします。
上記の弥助・家康、(若干姿が違うものの)信長・濃姫等は続投しています。

さて、前作仁王1は関ケ原の戦い前後を描いた物語となっていた。
つまり、豊臣⇒徳川への遷移していく時代が中心であった。
が、仁王2は少し巻き戻っているわけだ。

これについてははっきり言っておくべきだろう。
仁王1と仁王2は完全なる地続きの物語であると。
一部キャラクターの続投のみならず、物語自体が地続きである。

シナリオ自体は仁王2だけでも十分わかるようにはなっているが、
仁王1をやっていないと事の重大さが分からない部分があるので
仁王1をやっていない人お断り、というほどではないがその点は留意されたし。


□みっちり語るためにあえて不満から。

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↑阿吽ボーナスも勢力戦も細かい点だがとにかくそこへ案内してくれない。

みっちり語るために先に不満点について述べておく。
まず、要素が山盛りすぎる割にその導線が今一つな点。

阿吽のボーナスや鍛冶屋、勢力戦といった細かなものから陰陽術や忍術といった基本的な要素までとかく導線がしっかりしていない。
下手したら一部のプレイヤーによっては阿吽ボーナスなんて気づかないままクリアするだろう。

 

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↑紫エフェクトは本作初登場の妖属性。技にセットして発動するように出来る。

せっかくの新要素、武技カスタマイズなんかは非常に強力なのに
Twitterのフォロワーから「これやってないけど意味あるの?」と聞かれてしまった。

単純に各種ダメージを強化できるというのもそうだし、
自分が愛用していたトンファーの場合、上中下段で同じ技を設定できるのだが、
上段は雷、中段は妖力、下段は炎と同じ技でも追加属性効果を変えられる。
異なる構えから同じ技を放ち、それでいて構えで異なる属性を使える拳法家…!
カッコよくない?

というようなロールプレイング的な要素も導線がしっかりしてないのでスルーされがちなのは残念だなと。

とはいえ、これはまだいい方。

 

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↑序盤はマシだがとにかく分かりづらいマップ。木霊の位置も嫌らしさは変わらず。
最大の問題、今作もマップは酷いものがある。
序盤はほぼほぼ一本道あるいはゴールが分かりやすいようになっていたが
浅井長政の城*1・金ヶ崎の退き口を筆頭にすさまじく分かりにくいマップが点在。

本作のマップは(うまく表現しづらいのだが)
A地点からB地点に行くためにはXルートとYルートという分かれ道があり、
どちらを通ってもB地点にたどり着く、という作りをしていることが多い。

問題はXルートを通ってBに到着したとしてもそもそもB地点が正解かが分かり辛い。
さらに問題はB地点から次にC地点に行くためにはZルートを辿らなければならないが、
先ほど通らなかったYルートを選んでしまって逆戻り…。要するに、
正しいルートはどれか、ということが判断できないことが問題なのだ。

自然とプレイヤーが「あっここが行くべきところね」と理解できることが理想。
だがソウルシリーズの病み村ほどではないが
分かりやすいランドマークが存在しないことが多くとにかく迷う。

いい加減DeadSpaceよろしく正解ルートを表示する機能か、諦めてマップをつけて欲しい。
マップ塗りつぶし症候群なんて言葉もあるし、
マップ機能をつけることで探索の面白さが減ることは無いと思うんですよね。

はい、不満はそんなとこ!
あとは大体褒めるだけだよ!

地元じゃ負け知らず。そうだろ。

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↑ど派手なエフェクトど派手なアクション!ひたすら気持ちよくぶっ飛ばせる!
本作はアクション要素が前作以上に強化されており、一つの目的に向かって作られている。

前作仁王1では槍メインの装備だったが本作ではトンファー(旋棍)を使っていた。
これがまー気持ちいいのよ。
60fpsでヌルヌル動き、プレイヤーの操作にあわせてすさまじいスピードでビュンと動く。
そして単純明快に音とエフェクトがグンと良くなり敵を殴っているだけで楽しい。
上段・中段・下段でちゃんと打撃音が変わっているので色々使い分けが楽しい。
ひたすらド派手なエフェクト!キモチイイ!
敵を殴ると汁が出る!気持ちいい!
きも、いい。とIQが下がっていく感覚が楽しい。

 

f:id:exa_axe:20200329012418j:plainトンファーの組み打ちは殴りからのキックで〆!トンファーキック!!なぜかトンファーの攻撃力が乗る!

本作では雑魚のスタミナを削ると組み討ち(いわゆる致命の一撃)という
特殊モーションの攻撃を発動できるが
これが通常攻撃から簡単に繋がるため音にすると
ドカッ!ドカドカバキッ!ビュン!ゴッゴッゴッ!ドゥーン!!!って感じでたのちい!
ほらIQ下がってるだろ?

 

ただ、IQが高まる要素もある。
それが気力と気力上限。そして妖怪技だが
まず今回の目玉として搭載されたカウンター(特技)について語ろう。

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↑左からパリィ、ステップ、ガード。どれもこれも一長一短あるため好きなものを選ぼう。

猛:パリィ
迅:ステップ
幻:ガード

敵の赤い攻撃にあわせて発動させ、成功させると
スタミナの上限を減らす、スタミナをごっそり持っていく、
そして勿論攻撃をキャンセルさせられる、といいことづくめ。

β版と比べてステップ・ガードの判定がかなり緩くなり、
雑に出しても大体カウンターできるようになっている。
これぐらい緩くないと使われないのだから好意的に受け止めたいし何より気持ちいい。

カウンターを搭載したことにより、前作の
近づいて一気呵成に殺しきるか、一撃当てて一気に離れるかの二択だったところに中間点が出来た。
程よく近づき敵との間合いを図ることもできるようになったのは進化だ。
あと何よりカウンターの「バァーン!」という音が決まると
ヤーイヤーイざまぁwww気持ちえぇ!!となるんだ。

となると、カウンターゲーになるのでは?と思う人も多かろう。
実態としてはカウンター自体は非常に強いもののそれだけでは倒せない。

そこで重要なのが妖怪技。

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↑画面内の蛇のような妖怪を召喚する妖怪技。登場する妖怪の殆ど、雑魚もボスも自分の力に出来る。

本作はボスであっても気力を枯渇させると相手が怯み続けるため殴り放題になる。
しかし流石に相手も常闇というフィールド展開技を発動させて無理やりカットし気力を回復してくるが、妖怪技はその気力上限を削ることが出来る。

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↑画面下部の二本のゲージの内、紫のが気力。右画像では気力上限を削りきり組み打ちを入れたところだ。

妖怪技発動にはMP(正確には”妖力”だが分かりやすさのためにMPと表現)が必要になるがこれは敵を殴ることで回復する。
妖怪技を発動させて気力上限を削り、気力上限を削りきると特殊ダウン状態となる。
その際プレイヤーは組み打ちを発生させて大ダメージを与えられる。
そして敵が常闇を発動させて気力を回復するので上の流れを繰り返す。
もちろん、この流れの中でカウンターを狙える時は狙っていく。

というのがボスの基本的な攻略パターンだ。 

ただ殴るだけじゃなくカウンターを見極めたり妖怪技をどこで使うのか等戦略性も高い。
また、敵の発生させる常闇は自身のスタミナ回復速度が遅くなるデメリットがあるが、
MPの回復にボーナスが入ったり、妖怪技が強化されるなど、
一長一短ある面白い要素に仕上がっている。
当初はいるかぁ?と思ってたがむしろゲーム後半はボーナスタイムという認識になった。
このあたりに気づいた時には素直に中々やるじゃないのコエテク!と感心した。

 

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↑完璧なタイミングの残心は残像が発生する。この音が癖になる。

そして本作の象徴でもある残心は相変わらずいい音をする。
残心は行動時に使用した気力を回復でき、次の行動に繋げられる、というアクションだがプレイヤーが馴染んでそれを完全に習得するには少々時間がかかる。

特に本作が初めてのプレイヤーは最初こそよくわからないだろうがやっていく中で
ジワジワとこの残心を半ば自動的に習得し、うまくなっていくだろう。
シャキーンという切れ味のいい音は自然とプレイヤーの心をも研ぎ澄ます。
いつしかそれはプレイヤーの癖となり、プレイするうえでの”一本の軸”となる。
そしてその軸はいずれ刀を”闇を払う刃”とするのだ。
まぁ僕の武器はトンファーなんすけどね。

 

もうおおよそ分かっただろうがこのゲームのアクションは
「触ってて気持ちいい」に特化している。
敵を殴って気分爽快、敵の行動を阻害して気分爽快、
スピーディーに動く自分の分身に酔いしれることが出来る。

国産アクションの中でははっきり言ってかなり高いレベルにある、と断言していいだろう。


□夢中になるハクスラ、夢中になる難易度

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本作の難易度に関しては、前作も今作もプラチナトロフィーを取得したプレイヤーからすると
前作とほぼ変わらず、という印象。
クリア時は死亡回数500回超えてたしね。
ただ序盤に関してだけはかなりマイルドになっているかな、と。

 

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↑背中にデカい武器を担ぐ。カッコええ。背中の武器って男の子だよな。

やはりハクスラはよい。
今回殆ど性能の吟味はせず軽い防具を選んでいきましたが
やっぱ単純に見た目がどんどん更新されるのが嬉しいんですよね。
しかもキャラクリで作った推しがそれを着るのが堪らない。
武器を背中に担いでくれるからあえてデカい獲物を装備するのも楽しい。
いいよ~似合ってるよ~じゃあまず年齢を教えてくれるかな?

 

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↑製法書はレアドロップ。鍛冶屋に持ち込んで鍛造することが出来るようになる。

また本作では製法書や秘伝書といった超レアドロップもあり、
これがまたハクスラ心をくすぐる。
レアドロップって言葉はマニアのハートに火をつけるわけよ。

実際、僕は仕込み旋棍欲しさにラスボスをしばき続ける作業をしてます。
ともすればめんどくさい要素ですがグラブルで鍛えられた周回力の前には無力。

こういったレアドロップや装備がどんどん更新されていく、という点については
モチベーションの片翼を見事に支えており、
前述の通りたとえマップがクソでも前へ前へ進もうという意欲が湧く。

 

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↑今回のエロ妖怪枠。浅井長政ぜってぇ許さんからなお前。3日後十倍だかんな。
んで、本作全体的にボスはそこまでの理不尽さはない。道中と比べりゃよっぽど楽。
浅井長政*2だけは許さんが。
無論、負けてしまうことはあるだろうが本作から搭載された
ボス部屋に限れば自動で刀塚(ロストしたソウル)を回収できる仕様が救う。
んで本作はステージ制を取っているため死んでも3秒程度で復活できるほどの爆速ロード。

死にゲーは死んだ際のロード時間=賢者タイムが長ければ長いほど嫌になるが
俺のナックエディションPS4という絶大なハンデがあるなかでこのロードの速さは驚異的。

そして先述の通り刀塚は自動回収できるとリプレイ性は物凄く高い。
これならば何度死んでも大して負担にならない。
死んでもハイ次!ハイ次!と何度でもストレスなく死ねる点は嬉しく、程よい難易度もあって、中毒性が物凄く高い。
実際、休日にプレイしていた分には止まる気力が全く湧いてこないぐらいだ。

 

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↑仲間と共に戦うもよし。スキルはいつでも振りなおせるから凶悪なスキルを取り直せるぞ。

ん?なんだって?それでも勝てないって?ならば
・青刀塚(味方NPC呼び出し)
マルチプレイ常世同行、いわゆる白ソウル)
・レベルアップ
・スキル振り直しでスキルビルドをやり直せる
という強力な救済措置がある。

なに?まだキツイ?
ははぁ、君は真っ向勝負を挑んでいないか?
このゲームは強力なバフを自分に、そしてデバフを敵にかけることが出来る。
それを用いて敵を倒すことは確かに卑怯だ。

だが考えてみろ。
敵はHPを回復する手段がまずない。
しかし君はこれまで当たり前のように薬草やエスト瓶、
そして本作の仙薬を使って回復しているだろう?つまり、
「通常プレイと信じている今の行為」ですら既に卑怯なのだ。
卑の意思を継いだ卑劣様なんだ。

 

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↑今作でも出来るぞバトル開始前ヘッドショット。なごんでいるところ悪いが後ろからブスリ♂させてもらう。
いいか諸君、忍術を使い敵を毒にしろ。麻痺にしろ。
手裏剣を投げろ。爆弾で吹き飛ばせ。
陰陽術で動きを止めろ。罠を仕掛けろ。
岩を盾にしろ。段差も利用しろ。
敵がこちらを認識する前にヘッドショットしろ。
後ろから突き刺せ。そして倒せ。

敵を倒すということに全てを懸けろ。

このゲームはどんな戦略も許す多様性の高さ、この点が素晴らしい。
どの武器を使ってもどんなビルドを使ってもそこそこ以上に戦えてしまうし
どんな卑怯な手でも許す。
コーエーテクモは何も禁止なんかしてない。愛してる。愛してる。

そして相手は殆ど妖怪と戦国大名
この2つに人権は無いからポリコレ的にもオールOK。
何なら俺は浅井長政*3にウンコ玉ぶつけてやったよ。
それに人権があったら現代で女体化なんてされないよ。

貴方は秀吉の秀。秀は卑怯の卑でよいのだ。

□Si 俺たちはいつでも二人で一つだった・・・のか?

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↑この設定、必要だったかなぁ…?主人公は秀次や秀長ポジションでよかったような。

さて秀吉大好きっこの俺が期待していたストーリーについてだが
”秀吉”の生涯を描けているかというと、微妙。

というのも美味しい要素をかなりかっ飛ばしていることが問題。
彼の代名詞である墨俣一夜城や金ヶ崎の退き口は流石に再現されているが
次いで有名な高松城水攻めや中国大返し等は再現されず、
また、長篠の戦といった織田軍の有名な戦いは描かれぬままである。

単純に描写が足りないんだよね。
藤吉郎=いいやつ、という描写が足りぬまま闇落ちした印象が強い。
共に戦った親友が闇落ち!?というより
なんか勝手に敵になったよコイツ!感が強い。
コイツのいい所顔が竹中直人ってことしかねぇな。声の演技微妙だし。

2人で一人の秀吉という設定はそんなに役立っていない。
ぶっちゃけ本編では存在が消されている弟、
豊臣秀長(あるいは秀次)の設定を流用したほうが良かったのでは?と思う。

 

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↑青い目の半妖、主人公秀千代。キャラクリはとにかくカッコよく決められる。

そんなもんだからストーリーは秀吉および藤吉郎より
秀千代(主人公)の半生を見ることが面白い、という印象であった。
ばっちりモチベーションのもう一つの片翼を支えていた。

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↑開始十秒で母親との別れ。外に飛び出したところ様々な出会いがあるが…

秀千代はいきなり母親(妖怪)を殺され、俗世から離れて一人で生きてきたが
藤吉郎と出会い、人間の世界へ飛び出し、
父親は誰なのか、他に肉親はいるのか、といった自身の出生や
自身に定められた運命を知ることとなる。

また、お市の方(信長の妹)のお付きになったり、
様々な武将や妖怪と出会うことで彼は多くの表情を見せる。
正直なところ前作の主人公ウィリアムと比べて、
プレイヤーが主人公に感情移入する力が段違い。

これは物語は完全に秀千代を中心としているということもあるが、
何よりキャラクリと表情の力だ。

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↑彼の半生は殆ど別ればかり。ひたすら不遇な目に会う彼がいとおしくなる。

キャラクリできるゲームは今までいくつもあったが
無表情のままや口パク程度のものが多かった。あとちょっと眉を曲げる程度。
しかし本作はほぼすべてがリアルタイムムービーであり現在の装備が反映される。
そしてキャラクリそのままの顔が呆れたり驚いたり、顔を歪ませるなど非常に良い表情をする。
これが非常に良い。

キャラモデル自体のクオリティも高いんだけど、
違和感なく表情をつけれてそしてカッコいい。
ムービー中に無意識にパシャパシャスクショ取っちゃうもんアタイ。
嘘…私の分身カッコよすぎ…!?

決して喋らないながらもとことんまで深く深くプレイヤーの没入感を高めてくれる。
本作は割とずっと曇りっぱなしの秀千代の顔を見ていつしか同じく悲しんでしまう。
辛い、悲しい、苦しい、その感情を理解してしまう。

だからこそちょっと中途半端な描写の藤吉郎、その最期でさえ
画面の中の秀千代の表情を見てグッと来てしまった。

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↑青い目の半妖である主人公が何故赤い目に・・・?この先は自分の目で確かめよう!

そしてシナリオに文句言いつつも最後に待ち受ける展開は素直にグレート。
前作プレイヤーにとっては衝撃のサプライズに歓喜のプレジャー。
詳細は一切書かないが「や…やりやがった!w」と本当に興奮した。
終わり良ければ総て良し。それを体現するシナリオでした。

もしプレイするつもりがあるなら攻略サイトすら覗かず、なんならロンチトレイラーも見るな。
可能な限り本当に何も見ずにプレイしよう。
攻略サイトは風情も糞もなく目次部分で展開をバラシてやがったぞオノレがめうぃず・・・!


□総評。夢の後に。

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死にゲーってデモンズソウルを起源として今現在、
ソウル・ブラッドボーンシリーズの本流SEKIROの亜流があると思うんですよ。

で、本作は本流における完成形だと思うのよね。
つまり、俺にとっては傑作。
まぁ高難易度故に他人にゃ良作止まりになるかもなーってのはちょっとあるけど。

新しいもの、斬新なタイトルかと言われると正直そうではないんだけれど
昨年のバイオハザードRe2のように
新しさは無いけれど全てに優れるという作品が評価されたじゃん。
だから俺は評価する。実際夢中でプレイしてたしね。

コエテクの夢、かどうかは断言できないが
後発だからこそ先駆者を超えたいって目標、つまり夢は絶対あると思う。
本作は人によってはソウルシリーズを超えたと評価されると思うし、
事実俺はブラボ・ダクソ3よりこっちのが優れてると思ってる。
ま、ここら辺は個人の好き嫌いってのもあると思うのであくまで個人的な感想だ。
※SEKIRO>仁王2>ブラボ>ダクソ3≧仁王1>デモンズ、というのが個人的な評価。

ただ、死にゲーの地上戦って意味だともう限界に来てるなってのも感じた。
単純にまずボタン数が足りない。
もう今作の時点で正直操作性は煩雑が過ぎるのでこれ以上は無理でしょう。
んで攻撃・回避・防御・パリィ・ステルス・召還・遠距離攻撃と
地上戦における要素自体はこれ以上拡充は無理っしょ。てかやめてくれ。

後、地べたを駆けずり回る探索も正直もうお腹いっぱいだよねって。
事実上、二次元的なスタイルには限界が来てると思う。
そういう意味でSEKIROが三次元の要素(ジャンプ)搭載したのは流石のフロムの慧眼で。

なので次回作は武器の数を減らしてでも主軸となる別の何かを作らないとダメだと思う。
発売前後のディレクターのインタビューで事あるごとに
「α体験版で仁王1.5って言われたのがつらかった」と言ってるけど
こっからさらに要素乗っけ、では次回作は仁王1.8くらいにしかならん。

一つの夢は叶えたと思う。
夢のまた夢、とも言うがならばコエテクは次の夢を見つけりゃいいと思う。
死にゲー大好き、アクション大好きな貴方にはお勧めの一本。
ぜひ夢の後押しをしてあげてほしい。

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↑やっぱりこの作品はこのスクショで〆るべきでしょう。夢の先にはまた夢があると思いたい。

*1:浅井長政のいるマップ「籠中の鳥」は非常に分かりにくいマップ構成をしており、クソ。

*2:浅井長政・・・カウンター、パリィ、突撃技等よけにくい技を持つクソボス。

*3:浅井長政・・・ウンコ野郎。なお本職のウンコ野郎家康は本作は戦えない。