星の悲鳴が聞こえねェか?(挨拶)
PS、そしてゲームそのものの方向性を決めた、と言ってもいいほどの名作ファイナルファンタジー7。
しかしその傑作性に反してCMでは
君はもう、クラウドになったかい・・・?
という激寒クソキャッチコピーが使われていたことを知っているだろうか。
自分は過去、オリジナルFF7を神羅ビルで辞めた人間である。
理由は後述するがクラウドになろうとしてなれなかった人間が20年以上の時を経てようやくクラウドになった
『FINAL FANTASY7 REMAKE(以下、FF7R)』をレビューしよう。
なお、本稿は致命的なネタバレは避けているが、シナリオには言及しており新鮮な体験がそがれる可能性があるため、
まだクラウドになっていないプレイヤーが読む場合、覚悟を決めるか魔晄をキメるか今すぐ買いに行く準備をしてほしい。
ではよしなに。
□概要
↑金髪の男がクラウド。黒人がバレット。発展した化学は星の命を基にして作られていた。
神羅カンパニーが支配する、科学文明の栄えた街「ミッドガル」。
星の生命エネルギーでもある魔晄を搾取して動力エネルギーとする神羅カンパニーの政策に反抗する組織「アバランチ」。
両者の対立は激化の一途をたどっていた。その対立の中で分派アバランチを率いるリーダー、バレットは壱番魔晄炉爆破作戦を決行するが、その作戦を成功させるため傭兵として雇ったのは過去神羅カンパニー直属部隊「ソルジャー」であったクラウドという男だった。
爆破作戦成功後の撤退中に彼は銀髪の男の幻影を見る。
それはクラウドにとって、そして星にとって最も重要な男の姿であった。星の生命をかけた世界一有名な日本のRPG、そのリメイクの第一章。
と、いうわけで言わず知れた名作RPG「FF7」のリメイクである。
まず、プレイ後の印象を率直に言うと
「最新技術で過去のJRPGを余すところなく作り上げる」
というのが至上命題だったのだろうな、というのを感じた。
ただし、その「」の後に「そして、」という言葉が入る。
本作は最後までプレイした場合、(REMAKEと謡いつつも)リメイクというよりリブート、という印象が非常に強い。
最大の理由は後述するが、まず戦闘がアクションとなっている、というところからだ。
(コマンド式も選べはする)
□シンプルながら奥深い戦闘
↑ボタン一発で攻撃!技もL1を押しながらボタンを押すことで簡単に出せるぞ。
たたかうがワンボタン式となっていて
敵に攻撃を充てることでATBゲージが溜まり、
それを消費した強力なわざやまほうを撃つことが出来る。
見た目がアクションに見えるだけで実際にはコマンドじゃ?と思う人もいるかもしれないがそうではなくて、
例えば回避であったりガードであったり、
あるいは壁に隠れて敵の攻撃をやり過ごすといった非常に分かりやすいアクション的な、敵の行動を回避する行動が重要になってくる。
本作、敵の攻撃がかなり苛烈かつ地味。
矛盾しているように聞こえるだろうが、いつの間にかダメージを受けていつの間にか瀕死になっていることが多々あるので
特に多数相手には回避を意識しないとどんどん厳しい状況に陥るぞ。
↑バーストゲージをためて一気に削る!気持ちよく敵を倒せる良いアクションだ!
本作の戦闘の特徴としてバーストゲージの存在がある。
今回、多くの敵に弱点が設定されており、それは例えば特定の部位であったり、弱点属性だったりする。
その弱点を叩くことによりバーストゲージが溜まり、溜まり切った時にはバースト状態に移行する。
バースト状態は敵が行動できなくなり、かつダメージ量が上昇するというボーナスタイムとなる。
つまり、一連の戦闘の流れは以下1~3のようになる。
戦闘中のキャラクターは各々得意な点が違い、バレットは空中の敵をガンガン撃ち落とせたり、
ティファはバースト状態の敵のダメージ倍率をガンガン上げられたり、
クラウドは多彩な剣術で範囲攻撃も可能でとにかくガンガン敵を倒せる。
エアリスは…(弱くはないし強いけど)笑顔を見てたらガンガンいこうぜって気になるってことで。
戦闘中にこれらのメンバーを頻繁に切り替えて各メンバーの長所を生かして活躍させる、
操作自体はかなり忙しいが、面白い戦闘になっている。
アクションも効果音やエフェクトの派手さが気分を高揚させて非常に楽しい。
↑カテゴリで大まかに統一されているためゲーム後半には弱点は感覚でわかるようになる。
今回特に気に入ってる点として、
例えば人型の敵なら火、機械なら雷、空を飛ぶ敵なら風、と
カテゴリで統一された弱点属性が設定されている。
先述の通り、弱点を突くとダメージ量も大幅に上がり、バーストゲージも大きく加算される。
結構敵が硬いためこういったシンプルな設計は大歓迎。
狩りゲーだとえっこいつ氷属性弱点かよ!!?とかよくあるじゃないですか。
そういうのと比べるとぐっと楽で直感的。
ほーいいじゃないか、こういうのでいいんだよこういうので。
↑ムービーで登場!ムービーで形態変化!リアルタイムでムービーは流れてゲームの進行は止まらない!
んで、本作の戦闘を語るうえで避けては通れないのがボス戦だろう。
すべてのボスがHP減少と共にムービーシーンを挿入して
第1形態⇒第2形態⇒…というような動きのパターンの変化が起こる。
このムービーシーン、ぶっちゃけ演出過多でゲップが出るレベルではあるが
「なんかすげぇ」感をバリバリに出してくる。
この「なんかすげぇ」感はかなり重要。
いうてFF7買うような人って普段そこまでゲームしない人もいると思うんすよ。
そういう人満足させるにゃ「なんかすげぇ」は重要。
説明できないがとにかくクオリティが高いのは分かる。
こういった視覚的な凄さってのは誰にでも利いて即効性が高くてGOODやと思います。
↑難易度ノーマルではちょこちょこ見てしまうこの画面。EASYもあるので下手な人は安心してね。
ただ、戦闘面の問題を上げるとすると大きく2つ。
戦闘バランスが悪いことと事前の準備が必須ということ。
雑魚戦闘はごり押しできるところは確かにできるのだが、
基本的に弱点属性を突くこと前提の作りとなっている。
そうしないと全滅することも割とよくあるのだ。マジで。
でも本作、パーティのメンバーの入れ替わりが非常に多い。
例えばバレットは最初の魔晄炉爆破作戦以降は長いこと離れる。
次にエアリスは神羅ビルに囚われる間は使用できない。
なので例えばバレットにかみなりマテリアをつけていた場合、
取り外してクラウドに渡しておかないと機械の敵相手ではピンチになる、というわけだ。
ある程度キャラごとに属性を分担していたのだが
(特に前半はマテリアの装着数が限られるため、)
やっていくにつれて常に操作できるクラウドに全属性を集約するのがベストになる。
俺は気持ちよくバスターソードをぶんぶんしたいのに
何故魔法使いプレイをするのだ…という疑問が湧いて来た。
と思ったら
クラウドも操作できない戦闘が起こった。
ふぁっきん。
本作、優しいことに各戦闘の開始前にセーブされており直前に戻すこと、つまりマテリアの付け替えが可能となっているのだが、
このロードが長い。
オープンワールドでもないのにここまで長いのは正直なところ不思議にすら思うほど。
次回作では戦闘中にマテリアの付け替えはつけてほしいな、と思います。
とはいえおおよそ基本的には褒め。よく作ったと思う。
□グラフィックの進化、しかし保守的なゲーム内容。
↑毛穴やちょっとシミのようなものも見える。でも美しく魅える。技術の進歩ってすごいわね。
そしてまーここを語らないわけにはいかないだろうグラフィックの進化について。
まずキャラモデリング。
一言、めっちゃ綺麗。
一部のムービーでは毛穴までレンダリングされてることがわかるんだけど、
全く違和感なく不気味の谷を越えた冒険者たちがそこにいた。
↑はい!エ・ロ・ス!!エ・ロ・ス!!直接がなくったって間接的なエロもいいもんだよね。
流石にリアルすぎるためか全体的に直接的なエロは控えられており、
例えばスカートの中は
闇よりも深い黒(DARKER THAN BLACK)となっている。
俺の頑張って覗こうとした30分を返してほしい、俺の塞がれた瞼から流れ出した涙。
おかしい、FF零式でパンツに拘ってたあの頃のスクエニはどこに行ったんだ。
ただ、それでもエロイのは流石のティファ。
コルネオの館に向かう際のコスチュームの破壊力はメテオ級。
ちなみにコルネオの館に向かう際のコスチュームはクラウドに対してとある質問をし、その結果で変わる。
へへっ男の好みに合わせようなんていじらしいじゃねぇか。
残念ながらほかのシーンではいつものコスチュームとなるため、コスチュームを変更するシステムが無いのが本当に悲しいし口惜しい。
↑バリバリ喋りまくる仲間たち。戦闘もしっかりしゃべるようになっているぞ。
ただ、グラフィックだけではなくキャラクターの個性付けもかなりしっかりしていてモデリング以上に人間らしさを感じるようになっている。
ムービーシーンは当然のことながら歩いている最中にガンガン会話し、戦闘中も回復時に感謝したり、倒れた時に心配するなど
全体のテンポを損なわずにバンバン喋る。
キャラクターの個性付けに一役買っているし、退屈な道中を紛らわしてくれる。
ただやってて思ったのが「すっげーテイルズっぽい」って印象でしたね。
それを感じたのがまずヒロインたちのジャパニーズな性格付けについて。
ティファもかなり思わせぶりで湿っぽい感じのキャラだが
特にエアリスについては後々死ぬのが分かっていないと正直かなりキツイくらい結構うっとおしい性格をしている。
クールぶってるクラウドとの相性は確かに良さそうなのだが
俺は跡部様ではないので「へっおもしれー女」とは思えない。*1
実際にいたら「うへぇめんどくせぇ女」って思う。
若干好き嫌いは別れると思うがとにかく性格付けについてはかなりがっつりとされている、と認識してくれればと思う。
↑アパートから見えるドキッとしたパイプの柱。フェチにはたまらんよな。
背景やムービーも大幅なパワーアップを遂げている。
特に語りたいのはこのパイプが集まった壁(柱)の造形ですよ奥さん。
スチームパンクって僕大好きなんですよ。
でもこのジャンルは名前こそ有名だけどその総数自体は結構少ないじゃないですか。
すくなくとも漫画やアニメで描かれることはマジで少ない。
作画カロリーがめっちゃ高いっていうのが実情なんだろうけどね。
もう大好物を嘗め回すように見たよね。
ただ、残念なのは中途半端さなんですよね。
背景は確かに進化した。もう本当にすごい。
ただ、単純なグラフィックの綺麗さをFF7Rこそが”てっぺん”だとは言えない。
それだけなら洋ゲーの存在が阻むんですよ。
これぐらいなら〇〇(適当なAAA級洋ゲー)でもいいっしょ。ってね。
↑貴重なティファのアクションシーン。ただパルクール的なアクションは限定的でほとんどない。
実際のところ、確かに綺麗なのだが行けるところはかなり限られており、
決して触れられない部分が綺麗なだけ、といえる。
先ほど褒めたパイプもアンチャーテッドやトゥームレイダーなら
「やべやべやべ」と言いながら歯を食いしばって昇ったりして結果途中で折れて更なるピンチに…
ということが目に浮かぶが本作の移動は殆ど徒歩。
一部ジャンプやパルクールめいた部分はあるがほぼ徒歩。
ちょっと瓦礫があったら「あっこりゃ通れねぇわ迂回しよ」という現代っ子魂を見せるクラウド達には少々がっかりした。
昨今主流のオープンワールドはちょっとの障害を無理やり突破することも可能だが本作はあくまでRPG。
しかも一番上に書いた通り、やればやるほど最新技術で「PS1のFF7」を余すところなく作り上げることが主眼であることを感じる作品。
戦闘以外はアクション面の進化もなくストレートに言ってしまうと
グラフィックが綺麗になった「初代PSのゲーム」でしかない。
ゲームとしては面白い、しかしFF7と言えば当時の時代の最先端、流れを作った斬新なゲームであった。
なのにそのリメイクが余りに保守的すぎないか。ってね。
ただ、その考えは本作のラストに否定される形となる。
□最大の評価点はシナリオ。保守的に見えたか?そう見せたんだよ!
↑プレート崩落という危機、本作最大の山場。アバランチメンバーは個性付けが旧作と比べると雲泥の差。
はっきり言うが本作の最大の魅力はシナリオだ。
グラフィックだ?戦闘システムだ?モデリングだぁ?それは上っ面だけだ。
そのモデルのパンツを見ようと四苦八苦した人間が言うことではないかもしれんが。
本作はミッドガル脱出まで、と事前に、かつパッケージの裏面にも記載がある。
オリジナルFF7では5時間程度で行けるそうだが
本作はちょっと寄り道して30時間弱かかるようになっている。
自分はオリジナルの方は神羅ビル(ミッドガル)脱出の直前までプレイしていたが
プレートが落ちてきて7番街が無くなる、という一連の流れをガチで忘れていた。
それぐらい印象が無かったこのイベントを本作の一つの山場とするために
リメイクではアバランチメンバー・スラム街の住人たちのイベントをしっかり描き、感情移入させるようにしてきた。
作品によっては開始1時間で瞬殺されてしまういつもの名前、ジェシー・ビッグス・ウェッジは本作がっつり描写され、それぞれのバックボーンも窺い知れる。
↑初登場のクラウド・ティファのアパートの大家。街はクエストをこなすことで反応が変わるぞ。
また、感情移入のための施策の一つとして何でも屋クラウドとして町中の困りごとを解決するミニクエストを用意している。
クエストのクリア数によって町中で住人の声(反応)が変わるところも非常に良い。
プレートが落ちた際には感情が揺さぶられたことを覚えている。
今度はガッチリと記憶に刻み込まれた。
ただそれでも、そこまでシナリオには良い印象はなかった。
例えるならば長期連載漫画をアニメにするにあたって
1クールのラストにひとまずの決着をつけるため盛り上がりどころを作る。
これってよくあるよねー!っていう捻くれた感覚だ。
そのための下準備程度ってのはよくわかったし、よく出来ているけれど
”保守的”な印象が強かった。
↑クリア前の最後のスクショ。ここからが本番。REMAKEはこれからだ。
「そろそろ終わり?まぁまぁの出来だったな。ブログでそこそこって書いたろ!」
そう思いながら神羅ビルを脱出しバイクを走らせていた頃、唐突にSHARE制限が起こる。
これまでスクショも動画も取り放題だったのに急にだ。
ははぁ最終章だけSHARE制限なのかな、と思っていた。
それは当たっていた。
しかし、これを制限する理由は全く違っていた。
FF7のリメイクはここからが本番である、というアナウンスである。
流石にSHARE制限もされているような章の内容について事細かに喋る無粋な行為はしない。
しかし、2つだけ言わせてくれ。
一つは改めて言うが本作はリメイクではなくリブートである事。
そしてもう一つは大幅なシナリオ改変があるということ。
最終章開始直後から本作でバラまかれていた伏線を一気に回収し
そしてその答えに驚愕した。
↑炎の中のセフィロス。何を燃やしているのかは皆さんご存じでしょう?
スタッフの「元のFF7なんて皆やっていようがいまいがシナリオ知ってるでしょ?」という傲慢にも似た自信が伺えるメッセージをぶつけられた気分だ。
はい、自分もクリアしてないけどエアリスは死ぬし、ユフィはマテリアを盗むし、
クラウドは野外でティファとチョメチョメし、バレットとデートをすることを知っている。
あまりにも有名な作品の場合、やっていなくても物語を知っている、ということは往々にしてある。
少なくともゲーマーという人種においてエアリスが死ぬことを知らない奴はいないだろう?
これをやっていいのは国内ではドラクエとFFだけだろう。
FF15の発売前、「ファイナルファンタジー(の本質)とは何か」という問いに対して
松田社長は「変化」と答えていた。
坂口博信氏退社後、ドラゴンクエストの堀井氏のような柱となるスタッフはおらず*2
一貫した骨組みも正直あんまりないからこその答えだろう、と思っていたが
本作ラストはまさに「変化」に相応しい。
評価を一変するすげぇラストだ。
□総評
単体としてはそこそこに近い良作。
ただ、次に物凄い期待のできる作品。という感じ。
ミッドガルまでは一つの一本道に出来るのはわかっていた。
しかし脱出後のワールドマップがどういう扱いになるのかということを考えると
結構根幹から変えていくんじゃないか?という希望すら湧いてくる。
ぶっちゃけオープンワールドにしてある程度シナリオもフリーになる可能性あるよねって夢が膨らんでいく。
実に次が楽しみになった。
さて、若干唐突ながら冒頭に言った自分が何故途中でFF7を辞めたのか、という話をしよう。
自分がFF7をプレイしたのはそれこそFF9が登場した後だったんだ。
有名だからそろそろやるか、と思っていたがまー・・・流石にね。
当時の時点でグラフィックはもう古臭い何かになっていた。
そしてシナリオ。これももう大体頭に入っていた。
そんな状態で古臭いRPGをやりますか?やりませんよね?
この大SNS時代においてネタバレを苦にしない人が「ネタバレの何が悪いの?私は楽しめるよ?」と主張することをよく見かけるようになったが
僕はネタバレを聞いてから見る楽しさよりも、ネタバレしないまま初めて見る衝撃のほうが価値が上だと思う。
ネタバレについてはガチで注意して可能な限り曖昧に、察せられないようにするのがSNS含めて自分のポリシーにしているが
発売1週間しないうちに既にネタバレをかましたIGNJapanを筆頭に割とネタバレが飛び交っているこの現状。
こりゃーあんまよくねーな。
だからさ、皆。興味あるんだったらさ、
いやマジでコレ。黙ってやっときなさい。
わかる、分作だから「あとでまとめてPS5で完全版出るだろうしそれでやるわ!」みたいな考えもわかる。
でもね、この作品は今、やるべきだよ。
本作をラストまでやれば次が気になることは間違いないし、その考察をしたくなる。
結果が外れたって良いんだ。
そのやきもきする時間と思いは財産だよ。
個人的な予想だが、分作の次に当たる作品は(シナリオの内容によるけど)もっとお祭り騒ぎになると思う。
そう思うからこそ、その盛り上がりに乗るなら今だ。
”過去の名作”がいくらでも楽しめるこの時代。
だからと言って今出ているゲームを楽しむうえで最適な時間は今なんだ。
なもんでこの記事の〆にはあえてこの言葉を使おう。
君はもう、クラウドになったかい…?
↑さぁ、クラウドになりに来なよ。