ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

神はサイコロを振らなかった。『GOD EATER3』レビュー

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神に祈るのは女にフラれたときと下痢の最中のトイレだけと相場は決まっている。(挨拶)

あの時飲んだ牛乳が傷んでいたのか、食い過ぎたのか。
結果には必ず原因が付きまとう。

このゲームの出来という結果はきっとこれまで積み上げてきたシリーズのノウハウ、そしてプレイヤーの遊び方という原因があるのだと。

と、いうわけで神に祈るどころかぶった切って食い尽くすゲームの最新作『GOD EATER3』をレビューしよう。

 

 

□祝!極東脱出!

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↑舞台は極東からフェンリル本部周辺に!マップは全部刷新!!よくやった!!

まずはこのことについて褒めねばなるまい。
極東脱出!極東脱出!!極東脱出!!!
うおおおおおおおお極東脱出!!!!!!

はい、何がなんだか分からないと思うので説明すると
これまでGEはナンバリングが2作しか出て無いのに完全版とリメイクで計5作品発売している。
その舞台が全て「極東」であり、「アナグラ」という拠点なのだ。
これねぇ、全シリーズをやっている人なら分かると思うんですけどガチでウンザリなんですよ。

え、そんなに?って思う人もいるかもしれんが
同じ登場人物同じ舞台が流石に5作連続で登場してしかも狩りゲー特有の拠点から全てスタートする仕様のためまいっかい同じ画面を見ることになる。
お前ドラクエ1~3が全部ラダトーム城からスタートしてさらに毎回セーブはラダトーム城だったらキレるだろ。
キレないってんならそこは怒るべきところだからちゃんとキレろ体に悪いぞ。

f:id:exa_axe:20190113003033j:plain↑ソーマに似た男、アイン。アリサやシエルなどは登場しないがこいつだけは出てくる。

GEシリーズはキャラ人気で持っている部分もあるのでアリサを筆頭に極東の人気キャラを切るに切れず
さらに完全版、完全版のリメイクと結果ズルズルと拠点そのものを更新できなかったのだろうが
ここでようやく切った!
よくやった!感動した!唯一ソーマに似てる人がいるがまぁ置いとこう!万歳!!!

この点を褒めておかないと極東に戻されそうだから過剰に褒めとくな!!!

□舞台とシナリオについて

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↑灰域と呼ばれるエリアが広がり人間の活動エリアが極端に減った。主人公は伝統のキャラクリ可能。

本作の舞台はGE2レイジバーストから十数年後(ぼやかされている)となっており、
GE2レイジバーストのエンディング後、大分世界が安定したかに見えていたのだが
灰域という一般のゴッドイーターでは対応できない厳しい環境が発生したことで
今の今まで出てこなかったがなにやらあったらしいゴッドイーターの本拠地「フェンリル本部」も壊滅、
ゴッドイーター含む人類はミナトという拠点を各々形成することとなった、
というのが本作の基本的な設定だ。
そしてこの灰域の打破が物語全体の大目標となっている。

さて、本作だが全体通してGE初代(およびGEバースト)への回帰を感じる出来になっている。

まず前作GE2から一転、困窮した世界に戻っている点。
GE2は何かにつけてパーティを行っており正直なところ本当に世界って困窮してたの?と疑うほどだった。
貧乏人と自称してんのに普段の買い物にコンビニを使うみたいなアレよアレ。
本作GE3もパーティ自体はあるがイベントシーンとしては2回ほどで、
「”厳しい世界”を壊すほどではない」という程度に落ち着いている。

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↑人型アラガミのフィム。主人公に懐き、後ろについてくる。おとさんと呼ぶなデッドボールで死ぬだろ。

また、本作の重要キャラクター、フィムは初代のシオと似た設定になっている点も。
人型アラガミという設定はそのままであり
なおかつ拠点内でのアイドル的扱いを受け、特定のキャラクターに懐きそして物語全体のヒロインである。
というところまで一緒。
違う点としては主人公に懐き、主人公をおとさんというMAJORな呼び方で呼ぶことだろうか。

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↑主人公だから特殊な能力はあるがリーダーは画面右のユウゴ。彼は止まらねぇからよ…安心してね。

デッドボールを頭に受けて死にそうな主人公は喋れないので、
見せ場はあるものの全体的に相方であるユウゴが交渉や説明を行う形となり
GE初代同様、鉄砲玉に近い扱いとなっている。往生せぇやぁ!

ゴッドイーターの中でも灰域に耐性のあるAGEである彼らは
理由は不明だが(本当に作中で語られない)ミナトから不当な差別と抑圧を受けており、この抑圧からの開放もシナリオの中の重要な目的の一つとなっている。
相方がリーダー、主人公が鉄砲玉というタッグもあいまって実に鉄血、実にキボウノハナーなお話となっている。

f:id:exa_axe:20190113034833j:plain↑見せる一枚絵のようなリアルタイムムービー。演出はなかなか頑張ってくれている。

演出面は強化されているため、なかなかシビれる構図やカッコいい殺陣を見せてくれるようになっており、
グラフィックの強化とあいまり、この点は素直に褒められる。

あ、及第点は挙げるけど基本的にシナリオは雑ですので期待しないでください。
粗くっそ多いけど狩りゲーにシナリオの出来を求めるのは野暮だよ野暮!

□良さを生かしつつさらに良くなった戦闘

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↑左がダイブ。右がバーストアーツ。ダイブは非常に使い勝手がいい本作の象徴ともいえるアクション。

本作の戦闘における新要素はダイブ・バーストアーツ・リンゲージ・アクセルトリガーとあるが、
中でもダイブに関しては一切文句が出てこない非常に良くできた新要素

フリーダムウォーズの茨やそれをパクッた討鬼伝2の鬼の手等、同じジャンル、狩ゲーの多くに搭載されていた高速移動手段だが
本作GE3でもダイブという形でついに実装された。

ただ、このダイブの他と優れている点は2つあり、
一つは基本的に低空移動であること。もう一つは盾を広げつつ突進していること。

ゴッドイーターシリーズの最大の魅力は移動と攻撃アクションがスムーズに繋げられる点にある。
初代から存在するステップ攻撃が代表格ね。
このダイブは敵にあたった場合はそれ自体が攻撃になるし、低空のため地上攻撃へサッと繋げられる。

フリーダムウォーズはともかく、討鬼伝2はどうしても空中攻撃に難があり攻撃が綺麗につながらず
いったん空中でタメが出来てしまっていた。
しかし本作はそのあたり上手く調理しておりアクションがきもっちええんじゃ。

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↑成長するバーストアーツ、新種のアラガミ。プレイヤーの好奇心をびんびんゆさぶるんじゃ。

そしてもう一つ、バーストアーツ(以下、BA)だ。
これはこれまでのブラッドアーツを通常、ステップ、空中という三つのアクションに付随する形で設定出来るようになっている。
バースト状態のみという制限がかかるようになったが、
GE2の「ええからとにかくブラッドアーツを出しとけ」に対して
戦闘から状況に合わせて三つの内から選択する形になるので単調さが大きく薄れた。

BAは成長する。
使い込むことによって攻撃力の上昇と本作で初登場したBAエフェクトが新しく追加される。
また、BAそのものも一つを鍛えることでどんどんと新たな技に派生する。

コンゴウのような従来のアラガミ(モンスター)もいるが新種の敵も多い。
BAの成長と合わせてプレイする目的となりグイグイとプレイヤーの背中を押してくれる。

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↑派手派手なエフェクトとアクションが爽快感を生む!きもっちええ!!

一点問題として、ヒットストップが無くなってしまい「斬った感」が逝去されてしまったが
バーストアーツのエフェクトが派手なことで爽快感は維持されている。
また、本作は前作より結合崩壊(部位破壊)のエフェクトが派手となり同時に長いダウンをするようになっている。
これにより結合崩壊→敵が立て直す→直後に結合崩壊!というずっと俺のターン!をキメられる。
狩ゲーというのは敵が厳しく攻撃が出来ない緩から敵のダウン等の攻撃チャンスに激しく攻撃する急という
緩急こそが狩ゲーのうまみ。いやうまあじ
狩ゲーとしてのうまテイストは存分に味わえるだろう。

□人生(ナンバリング)送りバント

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↑バレットエディット弱体化。強い弾は大幅な弾数制限を受ける。ふつーの弾でもそれなりに強いのだが。

しかし基本的には褒めたい戦闘もトータルで見ると
「置きに行った」印象が強い。

まず、バレットエディットが大幅な弱体化を喰らっている点。
GEシリーズといえば近接と銃を切り替えて戦うというのが大きな特徴であり、
その象徴ともいえるシステムであったバレットエディット
しかし本作は大幅に弱体化されており
特にこれまでお世話になっていた「ないぞうはかいだん」「のうてんちょくげきだん」
再現こそ出来るものの実用性はほぼ皆無となっている。

コスト制により持ち込める弾数が制限となったことで自由度がなくなった。

発売一か月後も様々な攻略サイトにおいて定番の改造弾が存在していないことが明確な証拠だ。
ぶっちゃけ照射弾L垂れ流しが一番強いとまで言われている…。

GE2の時点で(メテオ弾を考えなければ)近接戦闘寄りだったゲームバランスが

本作ではさらに加速し、銃モードそのものに必要性が疑問視される結果に。
(一応、属性をあわせて部位を狙って打ち込めば火力は近接の一連コンボよりも出るこたでるので銃モード自体が使い物にならないということはない)

また、本作の特徴であるBAについても
目新しさという意味では正直あまり、無い。
いやこれバースト状態で打てるブラッドアーツですよね?
三種セットできるようになっただけですよね?

f:id:exa_axe:20190113025658j:plain↑一応健在の遺された神機。しかしそこまでの強みはなくなっている。

GE2レイジバーストが圧倒的にプレイヤー>アラガミという狂ったゲームバランスとなった要因である
・遺された神機(のこじん)
・レイジバースト
は前者は強烈なナーフを受け、後者は削除であり代替もなしである。

まず、のこじんに関しては全力攻撃や複合スキルに代表される強力な効果は全て没収されており
一部装備にセットされているかあるいは仲間専用にされていたりと
「おれがつくったさいきょうのそうび」を作る分には非常に物足りない状態になっている。

レイジバーストについては元々ハチャメチャ過ぎたので残念ながら当然とは思う。
削除には賛成・・・ではあるが。

f:id:exa_axe:20190113030447j:plain↑捕食はジャンプ・クイック、そしていつものチャージ捕食しかない。プレデターかむばぁっく!

しかしだ、プレデタースタイルという神を”喰らう”という名前に合わせた画期的な戦闘スタイルを導入した前作、
GERのほうがよほど新鮮味があるといってもいい。

・・・もうなんつーかはっきり言おう。
バランスをとるために公式が管理しやすくしすぎてて物足りない。
今あるものを再構成してバランスをとることに終止して
新しいことをやろうという気概を感じない。

□神にサイコロを振らせなければならない。

f:id:exa_axe:20190113052630j:plain↑たった5分間だけの8人マルチの強襲討伐ミッションという新要素はあるがパンチが弱い。

狩ゲーは停滞期も多かった。
モンスターハンターPSP3DSの期間は非常に長い「大体いっしょ」期間となっていた。

本作もゲーム性の進化を捨てて安定を選んだ結果
ゲームとしてのバランスが非常に良い。
これまでのシリーズと比べてプレイヤーとアラガミの強さのバランスが最もちょうどいいと言っていい。

しかし代わりに新鮮さは減った。
新しい要素による偶然を嫌った結果、制御しやすい新要素=新鮮さのない既存要素の焼き直しが増えた。

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↑受付所でクエストを受注し敵を倒してデモシーンを見る。受付所だけはカットできないので水を差す。

今作の進化の無さはシナリオ面に大きく出ている。
狩ゲーのシナリオ進行は受付所→クエスト→シナリオ(デモシーン)という伝統的な流れがあり今作もそれを踏襲している。

結果としてぶつ切りのデモシーンをクエストごとに見せられる形となる。

これ自体ははっきり言ってカビの生えた古臭い方式であるといっても過言ではない。
それを恥ずかしげもなく出してきて改良の兆しもないのは少々気になる。

確かにこの伝統的な方式は便利だよ。
シナリオ管理がしやすいしデバックもしやすかろう。
しかしどうしても受付所を経由することから
熱いシナリオに水をブチ込む形になるため全体の印象がぬるま湯となるのを避けられない。
実際、ヌルい温度のほうがカビは生えやすいとか。

先ほどアクション面においては駄目だしした討鬼伝2は全てのシナリオ進行をオープンワールドで行うように変更した。
色々とオープンワールドに問題点はありつつもその点については批判する要素はなかった。
何より進化を感じたからね。

バランスを取るためには偶然たりえる要素は減らさねばならない。しかし新鮮さを残すならばその要素は必要となる。

勇気がいるのはわかる。手間がかかるのはわかる。
しかしシナリオにせよ新システムにせよ、
神(開発)はサイコロを振らなければいけなかったのだ。

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何かを変えるためにはチャンスを見計らい、何か新たな行動を起こさねばならなかったのだ。
奇しくもこのゲームの主人公たちが自分たちの境遇を変えるために行ったことを開発がやれなかったのは皮肉っちゃー皮肉か。

□総評

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↑プレイ後の感覚は良い。面白いんだよね、でもね。

出来自体は良い。
世間的な評価はやや叩かれ過ぎかな、と思う程度には。
実際、バランスは間違いなく過去最高だ。シリーズファンは普通にやっていいんじゃないかな。
だが物足りない。喰い足りないのもたしか。

それはボリュームの無さもあるが、何より新鮮味だろう。
変わらないことを求められるゲームもあるがこのゲームはそういう域にはいない。
(いつものゴッドイーターをやりたい人にはおススメではある、が)

次作以降はとりあえず慣らしたバランスにどのように新要素をぶちこむか、に注目すべきだろう。
個人的にはプレデタースタイルの復活が望ましいが折角のサイコロ、新しい形と新しい色を期待したい。

果たしてバーストたりえるDLCはどうなるのか。
全てをひっくり返すほどの新要素、出来ると・・・いいなぁ。

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↑彼らの未来は果たしてどうなるのだろうか。はたしてバーストは?