空になりたい、自由な空へ。(挨拶)
人には翼が無くても空を飛べる。
それはヘリ、飛行機、そしてゲームがあるからだ。
本作のサブタイトル、スカイズ・アンノウン。直訳で”未知なる空”である。
自分はこのシリーズを初めてプレイしたので文字通り未知のゲーム体験だった。
そこでまず単刀直入にはっきりと言おう。
このゲーム、クソ難しい。
いやこれ同系統のゲームをやって無い人間にはめっちゃムズいのだよコレ。
と、いうことで『ACE COMBAT7 SKIES UNKNOWN』をレビューしよう。
□まずはざっくりこのゲームの基本的な説明
↑左がブリーフィング、右が戦闘。ハイクオリティなグラフィックが戦意を高揚させる。
このゲームは章単位で形成された以下の流れで進行する。
- シナリオムービー
- ブリーフィング
- 機体のセッティング・準備
- 戦場での戦闘(ミッション)
- デブリーフィング
たまにシナリオが無く、即ブリーフィングに入ることもあるがおおよそこのとおりと思ってくれていい。
このシリーズをプレイするのは初めてだったため驚いた点が二つ。
一つは思ったよりリアル志向のゲームだったこと。
二つは架空戦記、それも現実の世界・史実をベースとしたお話ではなかったことだ。
まぁエースというくらいには
カットバックドロップターンだのなんたら必殺マニューバ!だの
そういう異次元の動きが出来るやつなんやろなぁ…と思ってたらんなこたぁなかった。
ざっくり言えば狙う!追う!打つ!コレしかない。
「ティキーン!そこだぁ!うかつな奴め!」と古谷徹ボイスでセリフをいいながら曲芸撃ち・・・なんて持っての外。
思っていたよりもずっとシンプル、ずっと無骨なタイトルだった。
次にシナリオと舞台設定について。
まったくの架空の世界での戦いとなるというのには少々驚いた。
始める前は現実の戦闘機が出てくることもあり、現実世界の国とリンクした「アメリカVSソ連とかかなぁ・・」と思っていたのだが
モデルとなった国はあるようだが(オーシア=アメリカなんかはモロ)、
完全な架空の世界、架空の国同士の戦いである。
↑世界情勢について、オーシアが味方、エルジアが敵ということだけ覚えておけばまま、ええわ。
ストーリーについて非常にざっくばらんに言えば
オーシア連邦(みかた)とエルジア王国(てき)との戦争のお話である。
・・・もう少し詳細に話そう。
エルジア王国による軌道エレベーター占拠と無人機によるテロ、そして宣戦布告により戦争状態となった。
その攻撃されたオーシア連邦の軍隊となる「IUN国際停戦監視軍」において
パイロットとして配属されたのが主人公トリガーである。
ちなみに主人公は顔も無い。声も無い。名無しの権兵衛くんである。
この軌道エレベーターと無人機、この2つが本作における重要なキーワードであることは覚えておいてほしい。
基本的な楽しみ方としては
架空戦記のシナリオを楽しみつつバリエーション豊富なシチュエーションの戦闘をこなし、
戦闘で得たポイントを機体開発や装備開発に注ぎ込む。
そして新たな機体を得て「デュフフwカッコイイでゴザルww」する。
というものとなる。
□格闘ゲーム・ソウルシリーズに連なる難易度
↑特殊兵装という特殊武器があるが基本は狙って追いかけてミサイルで敵を撃つ、それだけだ。
さて、改めて言うがこのゲームはシンプルで無骨なゲームだ。
先述したとおり狙う!追う!打つ!これだけだ。
それゆえにプレイヤーのスキルが問われる。
問題はプレイヤーのスキルをゲーム内でいかに上げていくか、というところだが
この点非常に不親切だった。
難易度はイージー・ノーマル・ハード、この3つに分かれている。*1
その中で始めてシリーズをプレイする人向けの「イージー」をチョイスしたのだが
このイージーがイージーしていない。
まず、チュートリアルの浅さが気になった。
チュートリアルステージのようなものが無いため、まとめて一気にではなく、
ミッションごとに段階を踏んで行われる形式なのだが、チュートリアルでは基本的な操作説明のみ教えられる。
マージャンで言うと、ツモと打牌のやり方、
そして「4面子・1雀頭を造ると上がれる」だけ教えられる感覚。
そんなモンで放り出されてしかも高難易度!
正直このゲームに対する個人的な印象として、不親切で難しいゲーム。
最初の印象としては非常に悪かった。
↑左下のレーダーを見て敵の進路を確認、そして後ろから追いかけるのが基本戦法。
まず弾があたらん。
正確に言うと弾の当て方が分からん。
正解を言うと「敵の尻(後方)について”SHOOT"という表示が出たタイミングで撃つ」
なのだがこの点に関するゲーム内でのチュートリアル・ヒントは一切無い。
言えやああああああああああああ!!!
ゲーム内で説明しない代わりにプレイヤーに
”気づき”を起こさせて攻略させるゲームはよくあるが
このゲームがそれをやりたかったのであればその導線が下手糞といわざるを得ない。
正直なところ自分は、
ミッション2で既に苦戦してたし
ミッション4では弾切れギリギリヘロヘロでクリアしてたし
ミッション7では雷に当たりまくり味方が落ちてやり直しまくり
ミッション12では実際に弾切れを起こしたので持ち込む武装をガッチリ吟味してやり直して
結果2度目もやっぱり弾切れになり、あぁもうダメだ、どうしたら良いんだと思ってたら
ミサイルが生えてきたのには震えた。
つまりどういうことかというと
標準武装であるミサイルは0になると一定時間で2つ分復活するのだ。
恐らく弾切れによる詰みの状態を回避するための仕様だろう。
この仕様自体はすばらしい。ゲームだもんこれくらいは全然OKだしありがたい。
でもね・・・
言えやああああああああああああ!!!
このゲーム、理不尽なのは自分の死以外でミッションの失敗が成り立つこと。
なおかつそれを回避するロジックを成立させるためには
何度も何度もプレイして敵の出現位置を覚えてその位置への先回りする、
あるいはその戦場に合わせた装備(特殊兵装)を用意する。と言った
由緒正しき死に覚え。
初めてデモンズソウルをやったときのドーンときてガシャーンとやられる感覚を思い出した。
このゲームについて正直かなりツイッター上で愚痴を言っていた。
しかし経験者からはそこまで難しくないよ?と言われていた。
先述の「ケツから撃て」というのもフォロワーからのアドバイスであり感謝していたがあまりにも難しく辛かった。
果たして僕は彼らと同じ空を見ているのかと。
・・・もう一つ思い出したことがある。 少し前に
格闘ゲームで勝てないからつまらない!という初心者がいて、
その初心者に対して経験者が「ガードやキャラぐらいは覚えて遊んだほうがよくない?」といったら
「そういう初心者お断りが格ゲーの衰退を招いたんだろ」と言われた
というツイートを見かけたことがある。
ガードごときで難しいとか、はぁ?お前頭チンカスでも入ってんのかよと思っていたがこのゲームをやって
「俺チンカスに・・・俺チンカスだった」
と自覚した。
経験者と初心者とであまりにも差が出る。そして基本的な説明があまりにも浅い。
何せ全ての戦闘機に基本的についてくる機銃、これについて自分は
ゲームクリア後に暇だから読んだ電子説明書で知ったぐらいだ。
説明が無ぇんだよ!マジで!!チュートリアル入れるならたーんと全部教えろ!!
機銃なんてそれこそ格ゲーのガードみたいな基本操作だろう。
だがそれらも教えてもらわないとわからないのが初心者なんだ。
ポンもチーもカンも役も覚えさせずに初心者に麻雀が出来るかよ、と。
調べさせるのではなく教えなさいよ、という話。
すいません、初心者には極力優しくするようにいたします・・・。
が、そんなゲームであってもクリアし、そして楽しんだ!のも事実である。
□閃きは無い。知識と経験がエースにする。
先ほど言った弾切れでヘロッヘロとなったミッション12、これで何かを掴んだ。
そこから先、ミッション13以降はこれまでの苦戦が嘘のようにスイスイとゲームをこなせていった。
地上の敵を一つ撃って次の敵にスムーズに狙いをつけて撃つ!
洋上の艦船にギリギリまで近づいてすれ違いざまに撃つ!
空中の敵をすれ違いざまに撃つ!ケツについて撃つ!
打つ!討つ!!撃つ!!!
追いかけるのではなく、むしろ移動のついでに撃てるようになったらもうエースの仲間入りだ。
そして俺がエースだ。
このゲームは主人公が戦果を上げていくことで
味方からヨイショ(賞賛)、敵からは畏怖のセリフを聞ける。
正直なところミッション12以前のギリギリクリアしていたころは
何言ってんだテメーラが弱いだけだコンチクショウ…
と身の丈に合わない賞賛に辟易していたぐらいだが
上手くなった自分には
むしろほめ方が足りないんじゃないかチミたち?ん?と言いたくなるほど。
良いぞ、現実はなかなか褒められないんだからもっと褒めてくれ。
闘志によって脳から分泌された脳内麻薬か・・・・・
あるいはこれまで死んだ無念感か・・・
そしてその昂ぶりから形造られてしまったテクニックか・・・
あるいはそれら全てが俺の内部で出会ってしまい
化学反応を起こしスパーク・・・・
実際、具体的に「わかった!」という気づきの為の契機はなかった。
ほんとーにすなおーに気づいたら上手くなっていたのだ。
それに気づいた時、俺は彼達と同じ空を飛んでいることに気づいた。
ようやく会えたな、戦友(経験者)達。
実際イージーをクリア後にノーマルをプレイするとあまりの楽さに愕然としたぐらいだ。
強くなったことに気づいた時からはもうヤミツキだ。
そして丁度ミッション13頃からシナリオも転換期を迎える。
そりゃあむさぼるようにプレイしたさ。
□無人機(AI)vs有人機のシナリオ
↑右はエルジア国王女ローザ。ヒロインではないが重要人物。
物量・兵の練度に劣るエルジア王国(てき)は無人機を使ってくる。
無人機ということで精密な射撃が可能であり、
事実物語の序盤では無関係な民間に被害を出さず要所のみを叩くことが出来るクリーンな戦争であることと
王国の王女ローザの演説により、エルジア王国に対して世論が傾いている描写があった。
それも相まり果たして戦争に有人機、つまり人は必要なのか?
という疑問が本作中でも語られる。
「AIなんかに人が負けるかよ!」と言うセリフを吐きながら落ちていく僚機を見るとさもありなん、と。
昨今、現実でも「仕事がAIに取られる!」と言うことが声高に叫ばれていることを考えると非常に現実に依った設定と言えよう。
しかし、面白いのがこの無人機を創るためには人が必要と言うことだ。
本作のライバル的な立ち位置となるミハイ、彼は老年でありながら自分の体に鞭を打ちつつ無人機のデータを集めるために空を飛ぶ。
いや、むしろ彼が空を飛ぶ為には無人機という理由がいるのだ。
伝説のパイロットだった彼も老いから戦争からは既に実質引退しているようなもんだが
彼は人一倍空にこだわりがある。戦闘機に乗りたいのだ。
そんな彼が空を飛ぶために無人機にデータ提供という理由が必要となる。
人一倍有人機にこだわりがある男が無人機に協力するという半ば矛盾した構造がたまらなく良い。
そして伝説のパイロットたる彼のデータを持つ無人機を人たるプレイヤーが倒す。その構造が良い。
なんつーかエモイ。
是非、諸兄には新たな伝説となってほしい。
□総評
まぁ初心者向けじゃあないっすよ。
実は主人公がルーキーではなく下手すりゃベテランの設定にされていて、作戦行動中にチェックポイントがあるがゆえに高難易度。
シリーズファン向けのレベルデザインと言ってもいい。
それを乗り越えられるか。
これがこのゲームの評価を決める重要なポイントだろう。
乗り越える価値がある
と言いたいがこの壁はあまりにも大きいため中々素直に勧めにくい自分がいる。
なもんで初心者に送りたいアドバイスが3つある。
- レーダーをよく見て敵の後ろに入ってミサイルを撃て。
- チェックポイントを超えた後、「チェックポイントから再スタート」をすると弾は全部復活する。
- 死に覚えゲーだと理解し、死んでもエースになるための必要経費だと思って気に病むな。
繰り返しになるが難しいゲームだ。死に覚えゲーだ。
それでもその壁を越え、山を越え、雲を超え、空へ上がってほしい。
貴方も僕と同じ空、天国に一番近い地獄を見てほしい。
以上だ。待ってるぜ、大馬鹿野郎。
↑戦場という地獄は、天国に一番近い空にある。あなたも同じ空に来ないか?
*1:正確にはもう一つ更なる高難易度がある