ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

Think!そしてFeeeeeeeeeel!『Sifu -師父-』レビュー。

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前を向け 強い男になるために。(挨拶)

男と生まれたからには一生に一度は夢見るカンフーマスター。
だがしかし、カンフーとは何か、それを理解している男はほとんどいない。

なのでジャッキーチェンがやったように椅子のまま動くことをカンフーだと思うし、
フェイロン炎を纏った蹴りを出すことをカンフーだと思う。

だが、ようやくまともなカンフーが出来る、やれる。
そして理解る(わかる)ゲーム『Sifu -師父-』をレビューしよう。

ではよしなに。

 

□概要

カンフーを極めるために、命は一つで足りるのか。

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闇のような夜に赤い血だまりだけが光っていた。

私は20歳になった。
しかし8年前のあの日は昨日のように思い出せる。

兄のように慕ったヤン。
彼を筆頭にした5人の弟子たちの突然の凶行。
その日私は父を失い、全てを失った。

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だが残ったものもある。
立ち上がれる体に産んでくれた母への感謝。
立ち上がれる力となった父への思いと兄への復讐心。

そして功夫

 

8年間の修業はこの時のために。

今。
往くぞ。

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本作はカンフー+SEKIRO+ファイナルファイトというのが一番わかりやすいと思う。
体幹ゲージが備わっているのもそうだし、逆走できない・武器を拾えるなどもそう。
ただ、驚くほどユニークな仕様があり、既存のゲームとはまた違った味わいがある。

さて、日本人の殆どが知っていると思うが
カンフーは無敵である。
事実、カンフーを覚えていれば人ひとり抱えて川を渡れるし、中華料理も作れるし、異世界転生だってできる。
事実として、誰だって一度は
ブルースリーに、ジャッキーチェンに、烈海王に、ラーメンマンに憧れる。
そしてこのゲームはなれる。

そういうゲームだ。

 

□誇り高い男は全力でぶつかる。正義のためなら血の汗も流す

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↑画面内に表示されている白いゲージがHP、そして黄色が体幹…もとい体勢ゲージだ。

ゲーム性としてはSEKIRO+ファイナルファイトといった先述の通り。

自分・敵どちらにもHPと体勢ゲージ…ぶっちゃけSEKIROの体幹ゲージの丸パクリだが、
その2つがセットされており、どちらかを0にすることで倒すことが出来る。

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↑敵の腹にどん!と一発。敵の攻撃をきっちりガードして反撃!乾いた打撃音がむしろ渋くてカッコいい!

んでこの格闘が楽しい!
弱攻撃と強攻撃の組み合わせによって様々な技を出しながら敵のゲージを減らしていくのは勿論、敵の攻撃を弾くことが出来る。

敵の攻撃をジャストタイミングで弾くと大きく敵の体勢が崩れ
隙だらけのドテッ腹にどすん。と掌打を撃ち込んだり、
ねずみ花火が弾けるようにパパパパッと連打を撃ち込むのが気持ちいい。
攻撃のバリエーションも多く、足払いや金的といった技は撃ち込むだけでも楽しいぞ。

 

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↑敵の体勢ゲージを削りきるととどめモーションに入れる。極めて短いながらもテンポよくカッコいいアクションが光る!

んで、敵の体勢ゲージを減らしきると「とどめ」が出来る。
正に映画のワンシーンのようなテンポのいいカットが入り、敵を倒せる。
(ちなみにこのアクションをするとHPが回復する。本作の回復手段は事実上コレのみなのでとても重要)

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↑瓶で殴れ!棒で殴れ!モーションは武器ごとに用意されておりどれも見惚れるぞ。

敵を倒して得た経験値を注ぐこむことでアクティブスキルが取れる。
すると椅子を蹴ってぶつけたり、敵から投げられた瓶やナイフをキャッチして投げ返せる。
瓶で敵を殴ることも、高いところから敵を放り投げたりもできる。
大量に襲い掛かる敵を弾いて殴ってと大暴れ出来る。
刀や棒術のモーションなども凝っていて男の子なら一度は憧れる
カンフーごっこ遊びとしては抜群の出来。

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↑ボス戦は必ずフィールドが変わり、モーションも変わる。倉庫から竹林へ!なんで?知るか!カッコいいだろ!?

さらにボス戦が凄く良い!
単純に敵とのがっぷり四つのアクションが面白いってのもあるんだけど
ボスが追い込まれると固有結界よろしくフィールドが変わってアクションも変わる!
倉庫から竹林へ、クラブから燃え盛る寺へ!
意味や理由は解らん!
だがヨシ!
カッコいいから俺にヨシ!
お前にもヨシ!

SEKIROのパクリにしか見えんので革新的とはいいがたいのだが、それでも
殴る・蹴るのアクションとしてはリアリティとダイナミックさが共存した破格の出来と言っていい。
打撃音も格ゲーのようなバキァアッっという音ではなくて、布と布が擦れ合うような乾いた無機質な音なので地味。
地味なんだけどこの無骨さが!カァッコいいんだぜぇ!!
龍が如くとかこんな感じにならんかな、と夢想するほど!

 

 

ただ難易度はとてつもなく高い!
下手すりゃSEKIRO超えてるよ!

 

□命をかける、それがヒーローだ。俺の魂は獅子のように強い。

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↑敵に倒されると年齢が上昇する。70歳を超えて死ぬとゲームオーバーだ。

本作の難易度を上げている要因はざっくり2点。
一つはデスペナルティがじんわりと重いこと。

本作は死んでもその場で復活することが出来る。
これだけ見ると既存の死にゲーより優しそうだが
年を取ってしまい、さらに70歳を超えた後に死ぬとゲームオーバーである。
そしてこの年齢は全5ステージクリアまで引き継がれ続ける。

んで、連続して死亡した場合、死亡時の加算数値も上がっていく。
20歳⇒21歳(+1)⇒23歳(+2)…という形で倍々ゲームのように上がっていくのだ。
この加算数値は自分を倒した敵を倒すか、強敵を倒すことで減算される。

よって、連続して死なない限りプレイヤーは51回死ねるが、
同じ敵に何度も倒されると最速11回死亡で終わりとなる。

 

死にゲーが高難易度ながらプレイヤーが多い理由は死んでも基本ノーリスク、だからだろう。
特にボスは死に覚えゲーともいうべき敵の攻撃を食らって覚える要素が強い。
だが本作は食らって覚えることにリスクがある。

難易度が急激に上がる第2ステージなどで死に続けて何とかボスを倒した!としても
既に年齢は68歳…となるとやり直しをせざるを得なくなる。
実際一回やらかしました僕は。

 

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↑敵の攻撃を回避!完璧なタイミングならスローモーションになって殴れる!ただ難しいぞ!

で、難易度が高い理由のもう一つは、
SEKIROにはなく本作はある回避の概念のためである。

敵の攻撃は上段・下段の2種類に大別される。
弾く場合はボタンをポンと押すのだが、回避はボタンを長押ししながらスティック操作がいる。
つまり、弾きと共存できないのだ。

基本的には殆どの攻撃が弾き・受けが出来るのだが、
一部にオーラを纏ったガード不能攻撃があり、それは回避をしないといけない。
…なんだけど、見てから回避がほぼ不可能である。

大体の攻撃は上段攻撃なので基本的にはそれをケアする形なんだけど
急に下段が来るとマジで反応出来ない。
格ゲーの中段が見えないとおじいちゃん煽りされるが、本作は全ての人間を老人にする。

SEKIROだと普段と違う強力な攻撃は「危」とか予兆が表示されるじゃん。
アレ、ないのよ。
なのですんごい難しいの。

 

んでさらに難しいのはこのガード不能攻撃が弾けるときがあること。
…意味わかんないでしょ?ぼくもわかんないの。
恐らくジャストタイミングのガードだとオッケーとか相手の体幹ゲージとかがどうとかあると思うんだけど、
わからん。
わからんままクリアした。
Don't Think.Feel!(考えるな、感じろ)はプレイヤーに考えるなっていう意味じゃねぇぞ。
分からなくてもクリアできることはメリットか?
否。
ゲームルールの不明瞭さはプレイヤーに不信感を与えるだけなのでかなりマイナス点だ。

 

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もう一つ、これは難易度とはまた異なる明確な欠陥について話す。
本作は一度クリアしたステージも再度プレイすることが出来る。

本作が5ステージで作られてるのは先述の通り。
で、ステージを突破した際、パッシブスキルと完全アンロックしたアクティブスキル、そして年齢を引き継ぐ。
例えば第2ステージを30歳でクリアしたら、第3ステージの開始は30歳からになる、というわけだ。

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↑同じステージでも上手くやれば年齢が違う。ちなみに加齢により顔と服装が変わるぞ。

しかし、やり直して25歳でクリア出来たら第3ステージからは25歳から出来る。
このアンチエイジングで以降のステージを優位に進めていくことが重要になる。

また、殆どのステージは一度クリアするとショートカットが解禁される。
敵の戦闘を大幅にカットしてプレイできるようになる…のだがこれが罠。

 

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本作のパッシブスキルは道中の龍の像に触れることで取得できるのだが、
ショートカットを使用するとこれを無視することになる。
つまり、ただ若いだけのアンちゃんが出来てしまう。

これが痛い。
若い時の苦労は買ってもせよ、という爺くさい説教が見えてくるようだ。

「敵との戦闘をカット」と「パッシブスキル」がトレードオフになっているのはわかるんだが
敵との戦闘を行わないことで経験値が入らない、ということで既にトレード関係になっているはずだ。
これにはプレイヤーにタダで楽をさせたくない、というクリエイターの傲慢を感じざるを得ない。
これを考えるとショートカットなんて使ってられない。何考えてんだ?

開発「考えるな、感じろ。(Don't think.feel!)」
うるせー馬鹿野郎!

 

さて、長々と不満を書いてきたがこのゲームを好きになれるかは割と真面目に
「フィーリング」
これにかかってる。

 

□いざ進め失うことを恐れず。前を向け天に届く夢を持て。

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本作は「なんか出来る様になった」が顕著である。
モンスターハンターなどでもよくないかい?
今までクリアできなかったクエストが一度クリアしたら次から簡単にクリアできるようになる、
この現象がビックリするぐらい起こる。

緊張してたのが取れたとか、慣れたとか理由は後付けできるが、
本作はもっと感覚的な「なんか出来る様になった」としか言いようがない。

 

敵の攻撃が来るタイミングが分かる。
どのタイミングでガードすればパリィになるのか、どのタイミングで殴ればいいのか。
そういったことが理解(わか)るようになる。

つまりどういうことかわかるな?
考えるな、感じろ。(Don't think.feel!)

 

と、言いたいところだが、実際には割と考える要素はある。
というより本作の本質は
「最適化のゲーム」。
RTA的なチャートを組んでいくゲームといってもいいかも。

 

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↑敵の位置は変わらない。あと、言いそびれたんですがノーダメージで戦い続けるとスコアが5倍ほど違ってくるぞ。

こういったゲームには珍しく、敵がほぼ巡回しない。
ランダムで敵の位置が変わるということが殆ど無い。
なのでここに敵が隠れてるから後ろから殴って、ここまで来たら敵が降りてくるからまず殴って…と。
何度かプレイして敵の配置を覚えて戦い方を作っていく形になる。

こういった未来予知的なプレイングを嫌うユーザーはいるんだろうけど
年齢とあと経験値がそのままスコアアタックみたいな形式になっているので割とアリだと思うのよ。

プレイが上手くなることが面白いゲームって世の中に無数にあるけど、
本作は年齢って言う分かりやすいスコアがあるから励みになることがまず良い。
んで、ランダム要素がほぼないので知識がプレイスキルに直結する珍しい面白さがある。

特にボスにおいてはこのモーションならこれで回避するという覚えゲー要素は結構ある。
一見無法なボスもパターンが設定されていて、
この攻撃は確実に上段上段下段のコンボ!と理解するとグンと勝利に近づく。

 

やってること自体は死にゲー同様に「死んだから同じところからやり直し」ではあるんだけど、
年齢って言う死んではいけない理由があるから味わいがガラッと違う。
んで敵の数がそのままリスクだからいかにスピーディに敵を倒していくかというチャートをちゃーんと組む様になる。
さらに繰り返しプレイすることで弾くタイミングなどを何となく理解していき、出来るようになる。
プレイヤーが「フィーリング」で理解出来始めてくる。
そうするともう止められないわけよ。

 

感覚という名の野生と知識という名の理性
野生と理性が混じりあってより正しく、よりカッコよく戦うことが出来るようになる。
そしてカンフーは無敵になる。


烈海王なれる。
ラーメンマンにも成れる。
ジャッキーチェンにも成龍る。
ブルースリーにだってホワチャア。

いつか必ず貴方のカンフーは無敵になれる。

 

□総評

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良作。

ストーリーに関してはうーん、という感じ。
一応ボスたちが凶行に走った理由が表現はされてはいるが
全体的にあいまいでありスッキリとは語られない。
これなら相手の事情を全部語るか全部無で良かったのではと思わなくもない。

あとねー、ラスボスの仕様が酷いの。
特定のパッシブスキルが完全に無駄になる仕様で、ちょっとこれはクリエイター側の考えの無さが気になる。
高難易度を謡うなら理不尽と取られないように注意を払わないといけない。
さっきのショートカットの下りも併せて傲慢さが伺える作りになっている。

 

とはいえ。
カンフーゲーとしてはこれ以上はねぇ。
モーション全てにこだわりを感じるし、全てがカッコいい。

僕らがスクリーンで見たカンフーがそのままホワチャア出来ることには無上の喜びを感じる。
憧れのカンフーマスターがいる人には無条件でお勧めしたい一作だ。

 

さて、なりたくないですか?
ラーメンマン烈海王にジャッキーチェンにブルースリー

考えろ、なりたいだろ?感じろ、なれるぜ?

ではまた。

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↑憧れた男になれ。あんたならなれるぜ。