もうそろそろでわさドラのほうがのぶ代ドラより長くなるらしいね(挨拶)
攻略サイト、皆さん見てますか?
僕はとにかくネタバレが嫌いで基本的に1週目は見ずにプレイしてクリア後に見るというプレイをします。
正直様々な攻略サイトはサイドバーに第〇章みたいな形でリンク作ってくれますけどアレも結構なネタバレだと思うんですよね。
え、もうクリアなのこの章で?ってなったりしますし。
だがこの会社のゲームは果たしてゲーム内で情報が完結しているだろうか?
というわけでそんな会社の最新作『ELDEN RING NIGHTREIGN(エルデンリングナイトレイン)』をレビューしよう。
ではよしなに。
□概要


世界的に大ヒットした『ELDEN RING』の素材を元にしたスピンオフゲーム!
パーティプレイも可能ではあったが基本ソロだった本編。
そこから意外にも3人でチームを組んで戦う、という大幅に方向性を変えたものになっている。
エルデンリングにローグライク、バトロワ、Apex、素敵なものをいっぱい!
全部混ぜるとむっちゃ面白い…いや、バカのお子様ランチみたいなものが出来上がってしまった。
おそらくゲーム性自体にピンとこない人も多いだろう。
そこら辺をじっくりと説明しながらレビューしていこう。
□だからここにおいでよ一緒に冒険しよう
まずはゲーム全体のシステムについて。
本作はエルデンリング本編のゆっくりと様々なエリアを攻略していくスタイルとは真逆のゲーム性となっている。
具体的に説明しよう。


- 鳥に捕まって空を飛び、マップに降りる(ジャンプマスターシステムは無)
- ファーミング開始。拠点を選んで敵を倒し、ボスを倒す。
- ボスを倒すと3つの強化のうちの一つを選ぶ。別の拠点を目指す。
- そうこうしている間にエリア縮小(Apexのアレ。本作は雨)
- 上記を繰り返し2回目のエリア縮小までファーミングする。
- 2回目のエリア縮小で最終円に到達。雑魚ラッシュ→夜ボスが登場する。
- 夜ボスを倒すと一日目が終了しシームレスに二日目がスタート。
- 上記を繰り返し二日目も突破すると、三日目のクエストボスのエリア前に到達。
- 最後の準備を整え三日目クエストボスを撃破する。
…と一気にいろいろ書いたのでわかりにくいと思うが、
簡単に言えばマップから拠点を選んで走ってそこに行き拠点ボスを倒して強くなる。
強化されたキャラで3日目のボスを倒す…ってのが本作の基本の流れだ。
しかしここで大きな問題であり、本作最大の特徴がある。それは
ゲームテンポが超高速であること。
Apex同様にエリアが縮小して活動範囲が狭まっていく。
PvP要素もないし、最初のエリア縮小は5分、2回目は11分とApexよりも長めのように見えるが
この間にどれだけの拠点を潰せるかで経験値(ソウル)、ひいてはプレイヤーのレベルに繋がるので一切無駄にできない。
何なら武器や魔法などの説明すら読む時間が惜しい。
本当に冗談抜きで無駄な時間など一つもない!って程にハイスピード!
とにかく敵の拠点に突っ込んでバサバサ敵を倒して次の拠点に走り抜ける。
「超高速ファーミング蛮族アクション」と呼んでも一切過言ではないほどだ。
そうそう、本作はプレイヤー自身のダッシュが非常に速くなり、
更に壁蹴りによる二段ジャンプでガンガン山を登れるようになっている。
落下ダメージすら完全になし!という状態。
移動能力は大幅アップしたが代わりに霊馬がいなくなった。
要は馬がいなくなってプレイヤーが馬と同様の動きをするようになっているんだ。
馬車馬の如くマップを走り回る本作にぴったりの改変だ。
肝心の強化方法だが、本編でも存在した祝福でのレベルアップの他に
ボスを倒した際に、ローグライクお馴染みの「三つのうちから一つ選ぶ」アレがある。いい加減このシステム名前付かねぇかな!
武器は勿論、スタミナ回復速度等の能力強化パークに「ダッシュすると〇〇発動」のような特殊能力パークなどを選ぶことになる。


また、本編には存在しなかった要素として「拾った武器に能力強化パーク」がついており、
レベルや各種パークを集めていくことでプレイヤーは強くなっていく。
ただ、ローグライクにお馴染みの〇〇ビルドのようなものはほぼほぼ不可能である。
拾える武器やパークに一貫性のない完全ランダムであることや、
上質戦士に全然使う気もない魔術強化パークが出てくる、
夜ボスを倒してもデッキの核になる強力なパークが出ない等ローグライクとしては正直かなり雑な出来になっている。
例えば傑作ローグライク『Slay the Spyre』だと毒ビルドやナイフビルドみたいなのがあり、このビルドが構築出来たら勝ち確定だ!みたいなのがあるが、本作には一切ない。
ただそれでもゲームに慣れていくと後半にはローグライクの美味しいところである
インフレしたプレイヤーが強いボスを瞬殺する、みたいな快楽要素はあるのでご安心を。
クエスト終了後には勝っても負けても結果が表示され、どのようなルートを通ったかが表示される。
もうお分かりだろうが本作は
「どのようにエリアを高速に回ってレベルを上げていくのか」というゲームであり
その最大の肝はルート構築である。
マップを開くとピンを立てられる。
仲間と共にどこに行くべきかを検討し、攻略していく。
三人が心を一つに野を走り、山を駆け、いかに効率的に敵を狩るか。
三つの心を”効率的に”一つにすれば100万パワーというわけだ。
□何者でなくても世界を救おう
続いて戦闘について。
と言っても大筋はエルデンリング本編と同様である。
遺灰こそ一部のキャラの特権となっているが、
戦技やガードカウンター、両手持ちなどの要素は本編に続いて引き継がれており、
我が導きの両手大剣ピョンピョンバッタも勿論可能である。
それでは変更・追加点は大きく分けて三つ。
一つは装備系統の簡易化。
自分はソウルライクが好きではあるものの、
防具の重量で回避や動きが変わる要素がいまいち嫌いだったんだけど、
本作は防具が盾を除いて一切なし!
そもそも超高速ファーミング蛮族システムで防具まで考え出すと無駄に時間を食うためこれは必然的な改変だろう。
続いて蘇生の概念。
マルチプレイがゆえに当然蘇生はある。
万葉集にも書いてあるほど当たり前だ。
しかし本作はよくあるそっと近づいて手を差し伸べて蘇生…なんてのはない。
なんと死んでる味方を攻撃して復活させるのだ。
地獄の獄卒でももうちょっと労働環境が良い…!
蘇生回数自体は無限ではあるが、
倒れるごとに必要なぶん殴り…蘇生ゲージが増えていき最後には中々大変になる。
しかも一定時間殴れないと自動回復するので難しさに拍車をかけている。
この辺り、蘇生回数無限と合わせて上手くバランスをとっている印象だ。
最後にアーツとスキルの概念だ。
本作はキャラメイクは不可能で8人のクラスから各プレイヤーが選んでマップに乗り込む。
そして各キャラには固有の技があり、低コストのスキルと必殺技に当たるアーツがある。
例えば初期キャラである追跡者にはパイルバンカーのような爆発を引き起こすアーツがある。
これは大ダメージは勿論、ボス相手であっても必ず怯ませる特性付き!
ボイスチャット(VC)があるなら
「アーツ行くぞ!」と声をかけてぶっぱし、
相手が怯んだ隙に全員で叩く、といった連携も出来て一体感を感じられて楽しい!
様々なキャラを使っていろいろな戦略を取ることが出来る点は非常に面白い。
ただ、これらの追加があっても戦闘バランスは少々キツめ。
特に序盤のボス、ケルベロスことグラディウスには非常に手を焼き泣かされた。
本編には「ソロで戦うとキツいが遺灰(デコイ)を使うとヌルい」という両極端になるバランスの問題があった。
本作は三名で戦うのでそのあたりどうするんだろうと発売前に思っていたが
三人で戦っても一切押されない強さのボスというバランス調整で対抗してきた。おバカ!
そんな強い強いボスにどうするのか?
あるだろう新約聖書の一説には。
三人寄れば文殊の知恵ということわざが…!
□君が遺したもの探し続けること
本作最大の面白いところ、というのは三人マルチだからこその面白さだと思う。
VCを繋ぎ、情報交換しながらプレイするという楽しさ。
これが僕が本作をプレイしていて一番面白いと思ったポイントである。
いやおめぇよぉ三人でVCしながらプレイしてつまんねぇゲームって中々なくねぇ?って思うだろう。
だが違うのだ。
そこは本作の特異性が面白さを増幅させているのだ、と言いたい。
本編もそうであったが、このシリーズには謎が多い。
意図的に伏せているストーリーの謎は勿論だが、それ以上にシステムの謎が。
様々な仕様や機能について大きく説明しないことでプレイヤーの調査を促している。
ぶっちゃけ、一部のキャラに至ってはスキルやアーツの説明すらまともに行っていないほどだ。
だからこそ、捗る。
実際、プレイしていて「こいつのこの能力ってどう使うの~?」とか聞いて教えあうのは勿論だし、マップの攻略でも教えあうのは重要だ。
一例をあげると本作のマップ内には「魔法塔」って拠点がありまして、
入るためにはランダムで選ばれる条件のうち一つが設定されているので
それを当てないとダメなんだけど、
これもVCつないであれやってこれやってと試せる。これが楽しい!
発売して約一週間なんだけどいろんなYouTube動画だったり攻略サイトを3人各々プレイ前に確認して「ちょっとこれ試してみたいんだけど」と試せる。楽しい!
何ならこの特殊マップどこ行きゃいいの?わからん!
わかった俺が今から攻略サイト見る!!
とプレイ中にかかわらず戦闘は任せて攻略サイトを見ていたほどだ。…楽しかった…!シナリオに謎が多くネタバレもくそもないからこそ攻略サイトを見れるってのはあるんだよね。
ソードアートオンラインって作品あるじゃないですか。
あれに最前線で進める攻略組ってのがいる。
様々な情報を持ち寄って集めてゲームを進める人たち。アレに近い感覚。
ボスだってそう。
先ほど苦戦したケルベロスだって戦い方がある。こういう時はガードが良いらしい。
弱点がある。この属性が効くらしい。
と装備を整え戦略を見直し、やっぱりヒィヒィいいながらもそして…
勝つ。
くうぅ~~~おもしれ~~~~~!!
ってなる。達成感はグンバツの出来。
実は本作自分の周りのフォロワーは「マルチプレイのフロムってあんまり…」と
当初敬遠して買わない人も多かったのだが、
人柱上等、ダメでも泣かないぞ。と僕は買ってプレイしたことで
ボスを攻略するのではない。
ゲームそのものを攻略(ハック)するという得難い特異な体験を得た。
初日に購入して爆速でプレイした人間の特権として言うが
ワシはマグロの中落ちを炙りで頂いたが発売日に買うてない貴様は?
と人柱として悦に入るような楽しいゲーム体験が出来た。(貴様!?)
…だがしかし。
さて…ここまでだが、
全てマルチで友人同士でVCを繋いでプレイした場合の評価である。
以降は野良の話になる。
□機械だって涙を流して震えながら
本作は友人とプレイしない場合、
完全一人のソロか、
VCなし、テキストチャットもない野良のスリーマンセルを組むことになる。
前者のソロも大概だが、
後者はゲームデザインが破綻している。
ゲームデザイン、という言葉はあまりにも幅が広く定義が難しいためあまりよろしくない言葉ではあるが、あくまで僕の定義としては
- プレイヤーに正しい順路で遊んでもらう仕組み
- ゲームを通してプレイヤーに「正しい遊び方」を伝える仕組み
をゲームデザインだと思っている。
(人によってはそれレベルデザインじゃね?と言われそうだが僕の定義ってことで)
一例を挙げると同じくフロム製の『Bloodborne』。
あれは初期こそ武器がないままゲームが始まり、必ずどこかで死亡する。
しかし、死亡するというほぼ逃れられないゲームのステップにて拠点に強制連行することで
プレイヤーにデスペナルティを教え、武器の重要性を教え、
強化の概念を、レベルアップできることを伝えることが出来る。
まさに順路を整えている、という意味での見事なゲームデザインだ。
まぁ、素手でボスを倒してやったぜ、という上位者もいるようだが…
だが本作にはそういった「正しく遊ぶため」の順路が全くない。
簡単なチュートリアルの後、ポンとさぁマルチプレイをやれと放り出される。
これで困ったのが結構あって。
本作には意思疎通の方法が事実上マップにピンを指す。しかない。
改めて言うがゲーム内VCは勿論、テキストチャットすらない。
なので誰かがIGL*1となって、ピンを指して次ココ!ボスを倒したら次ココ!とどんどんと移動して拠点を潰しまわることになる。
どうだろう、初心者がプレイして訳も分からずとにかくついていくだけ、
となるのが目に浮かばないだろうか。
勿論、最初はそれでゲームを覚えていってくれたら良いのだが…。
また、ピンに対しては同調の意思は出来ても拒否の意思は出せない点も辛い。
IGLが優秀ならいいが意見が分かれてしまうとどちらかが折れるしかなくなってしまう。
しかも折れるまでは無言で、だ。気まずい…。
さらに問題なのはマップ構造の複雑さについて。
顕著なのがマップ内にある「城」という拠点なのだが、
これは地下・広間・二階・屋上と各フロアにボスがいる、みたいな作りなんだけど
慣れていないと他のプレイヤーがどこから入ってどこで戦っているのかわからない。
アイテムの説明を読んでいたのか?はぐれたのか?
理由は様々ながら遅れた結果、外周でぐーるぐーるしてしまう初心者が発生。
中で戦っていたプレイヤーは数が足りずに負けてしまう…なんてことも多々あった。
これはプレイヤー批判ではない。
なぜなら僕がぐるぐるマンだったからであり、
ぐるぐる野良マンをやられた立場でもあるからだ。
ピンのシステムが見ている視点に刺すApex方式ではなく、
マップを見て空から刺す形なので特に地下は誘導できず最初すっげー困ったんだよね。
野良を待ってあげればいい、だって?
このゲームのテンポがそうさせてくれない!
一分一秒を争うゲームで相手が入り方わからない子だな、と理解して待ってあげるほど余裕はないのだ。
相手がきちんとゲームの仕組みを理解しているかもこちらからはわからないしね。
いやマップわからないならソロで一回下見してだな…だって?
それをやらせるのがゲームデザインだよ!!
てか何故いきなり責任の重いマルチに放り込むんだよ!!
大多数の人はゲームでさえ他人の迷惑にならないようにしたいのに!
最初の一回目は強制ソロで2回目からは仲間の力を借りようみたいにマルチ解禁にするとかなんか方法があったんじゃないかな、と。
先ほどの魔法塔もそうであるようにこのゲームって知識がすごい重要なんだけど
超高速ファーミング蛮族ゲームが故に伝えるのが難しい。
正直ねぇ、フロムソフトウェアはプレイヤー皆が攻略サイトを見ている前提でゲームを作りすぎちゃっている。
本編でもこれどうやってこのクエスト見つけりゃよかったの?みたいなのあったでしょ?
この悪癖とゲーム全体に流れるテンポのすさまじい早さが
全くもって野良でやるゲームとして嚙み合っていない。
高難易度は高難易度でも「友達のいない人に更に高難易度」ゲームになってどうするんだっていうね…
□総評


三人VC有りなら良作。
野良のみだと凡作寄りのそこそこ。
でしょうか。
決して悪いゲームではありません。
自分は不満点はありつつもしっかりと楽しめました。
ただただ野良に対して厳しいゲームなんです。
ネタバレ防止で伏せますが、
例えばとあるボスはギミックボスになっていて、
ギミックを解除しないと敵が強化されてしまうって要素があるんですが
これ、どうやって野良同士でギミック解除方法伝えればいいんでしょうね?
ゲームデザイナーにこれどうするつもりなの?って直接聞いてみたいレベル。
正直、「死んで覚えろ」をPvPでもないマルチのゲームでやるの大分頭がイカれてるとしか…。
ただ、全体的に難易度がキツめとはいえ
キチンと知識を蓄えていけばかなり楽にプレイできるようになります。
ルートをばちっと決められていい装備が出来てレベルも上がってボス戦をあっさり突破できると本当に爽快。
実際自分も全部VCパーティではなく、野良3人で突破したボスもいます。
難易度上昇アプデが来ると最初聞いたときはクリア前だったので正気を疑いましたが、
今や野良でも「大分こいつら弱いな…難易度上昇アプデ欲しいな…」となる程。
勿論野良でも楽しめる人はいると思いますが…と前置きしたうえで
ゲームデザインとしては落第点であることは言いたい。
謎の多さと導線の少なさと不親切があまりにも多すぎる。
しかし3人VCになるとそれが全て長所として返ってくる!
謎が多ければ多いほど「ほな試してみるか」「ほな調べてみるか」となり、
「ゲームを攻略する」楽しさに繋がる。
本当に驚くほど特異で異質なゲームだと思います。
ゆえに本記事は(もう予測できたオチでしょうが)この言葉で〆たいと思う。
悪いな、このゲーム三人用なんだ。
もしやりたくなった方はまず、友達を2名巻き込むことを強く推奨します。
ではまた。
*1:In Game Leader ゲーム内で指示を出す人