ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

僕は何のためにこのゲームをやればいい?惜しい「世紀末デイズ」レビュー。

 

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20世紀最高のゲームのユーザーインターフェース(以下、UI)は何か?
と聞かれたら僕は間違いなく「初代トルネコの大冒険」と答える。

ローグという下敷きがあったにせよあまりにも最初から完璧で一部の隙も無い、
機能美の極地ともいえるUIは僕の心をとりこにした。
ゲームを評価するにおいてUIを重要な一つとしてみているのは恐らくこのゲームの影響だろう。

しかし、スマートホンというプラットホームにおいては
ローグ系統のゲームはその美しさが消えており非常に煩雑でわずらわしい。
四本の指でスムーズに動かせ、ボタンを押すことにすら快楽のあるコンシューマに対し、2本の指ですら難しくなるスマホではお話にならなかった。
事実シレンスマホゲームはサービスを終了していたりする。

しかし、本作はローグライクではあるものの風来のシレン型から脱却し、スマホに適した進化を遂げた、
それが「世紀末デイズ」である。

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スマホ向けの非常に良くできた仕様変更と高性能なオート

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↑基本はタップで操作する。カメラは3つの角度に変更可能。

謎の組織からの電波ジャック、直後宇宙から槍が降って来たことで国家としての機能が麻痺。
まさに世紀末と化した東京で異能の能力を得た高校生が妹を探す・・・という物語。
開発はDeNAシレンシリーズのスパイク・チュンソフトだ。

このゲームは基本的には風来のシレントルネコの大冒険ベースなのでモンスターハウスがあったり、店、そして泥棒があったり、救援があったりする。これは嬉しい。

だが、違う点として

  • 3人パーティ+フレンド1名の4人構成
  • 戦士・ヒーラー・タンク・アーチャー・魔法使い という区分けのジョブがある。(実際には△△班という名称)
  • シレントルネコの弓矢にあたる遠距離攻撃が一部のジョブにしかない。
  • 必殺技がある

等差別化されているが、最も大きい点は
レベル継続制であることと、
武器と防具を道中で拾って装備が不可能。
この二点だろう。

この二点はソーシャルゲーム、特にガチャでキャラを集める以上必然の仕様変更。
武器や防具にしても
・ジョブ毎に武器は専用→つまり道中で拾った武器が特定のジョブに偏るのはマズイ。
・死んだ場合の対処について
等を考えるとダンジョン前にキャラクターに固定で持たせてしまうほか無いだろう。

上記2点の仕様のためはっきり言ってしまうと
シレントルネコ独特の緊張感今ある手札から最善手を選ぶ・冒険を軌道に乗せる、といった感覚はまるで味わえない。
似ている別ゲーム、いや独自の進化をしたゲームといってしまっていいだろう。
独自の進化と言えばガラパゴスゾウガメは一年絶食しても生きられるとか。(豆知識)

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↑右下のキャラアイコンが出ている状態がオート。場面にあった行動を行う。
さて、このゲームの良い点はほぼオートに収束されると思われる。
えっオート操作褒めるんスか?先輩頭大丈夫っすかwフォカヌポゥwwww
と笑ってしまう人もいるだろうがどれだけ切望してもいまだにオート操作が導入されないスマホゲー/GrandOrderがあるくらいだ。オートは重要。
そもそもスマホローグライクを一々操作するというのは夜に影を探すようなもの<ナンノブマイビジネス>でもある。

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↑必殺技もオートで。右はモンスターハウスだが、あるならばここで全体攻撃アイテムを使う。
例えばシレンシリーズではおなじみの
「自分が動けば敵も動く。動かなければ敵も止まる」
というルールにおいては
相手との距離が1マス開いている場合、自分から動くのは不利となる。
このゲームのAIはそういう場合、空振りを選択し敵を誘導相手が遠距離攻撃もちの場合は自ら詰め寄るといった自分が有利になる立ち回りを選択する。

アイテムの使用についてもAIはかなり優秀
HPや状態異常、満腹度の不足は自分でアイテムを使うし、
モンスターハウスにおいては真空切りの巻物・混乱の巻物*1に当たるアイテムを自動で実行する。
とにもかくにも行動パターンが最善手を取るようになっている。
唯一、杖にあたるアイテムに関しては少々頭がよろしくないが、ぶっちゃけ
最初から最後までオートでなんら問題が発生しない。
オートについてはHPが危険域に達したら自動で解除されるし、行動についてもオプションで様々な制限、抑制ができる。
はっきり言おう。
プレイヤースキルなど不要!
レベルと装備を強化して、オートでもぐるゲームといってもなんら過言ではない。

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↑ゲーム実況が仕様として盛り込まれている。ダンジョンクリア後のリザルトはツイッターにシェアも!
また、面白い試みとして

  • プレイ実況が非常に容易にできるようになっている点
  • クリアしたダンジョンのリザルト画面をツイッターにシェアできる。

といったSNS、配信対応も行われている。
これは中々面白い試みであると思います。まぁ自分はやりませんが。

あと、メインストーリーのダンジョンそれぞれにスコアが用意されており、
スコアを規定値を超えるとクリア報酬が2倍になる、
さらに各章の3つのダンジョン全てを規定値を超えたスコアを取るとハード、ベリーハードと難易度をあげて挑戦できる。
なので配信当初からボリュームは結構ある。

なもんで配信直後に絶賛ツイートをかましたぐらいには基本的には高評価なのだが、
プレイを続けるうちに
「何のためにダンジョンにもぐるのか」という導線が欠けていることに気づいてしまったのだ。

□さて、今日は何をするのか。日々のモチベをどう担保する?

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例えば既存のゲームで例を出そう。
グランブルーファンタジー「強くなること」が最終的なプレイヤーの目標となる。
この目標に対してモチベを支えるのはマルチバトルだ。
マルチバトルで自分より強いものを見て競争心が芽生えたり、弱いものを見て悦になったりと味方との差がまるっきり見えるようになっていることがそのままモチベに繋がる。

別の例としてFate/GrandOrderがある。
こちらはうって変わって他者とのマルチの無い、事実上ソロゲーとなっている。
しかし、レベル上限開放回数が有限である聖杯の仕様やそもそもクエスト周回がキツイというのもあいまり、
レベルマックス・スキルマックスなど
「鍛え上げたキャラをSNSなどで公開すること」が
一つのステータス、およびモチベーションとなっている面がある。

前者はメリットだけではない。実際、ついていくのがしんどいと引退する人間も多数。
後者もゲームバランスをそういう狙いで作りこんだわけではなく、ユーザーがそういう風潮を作り上げたという「偶然の要素」が大きい。
つーか人気ブランドじゃないと軌道に乗る前にサービス終了だよこんなもん!

世紀末デイズはFGO同様に薄いマルチ要素がある程度で基本的にはソロだ。
他のプレイヤーの情報はサポートキャラのレベル程度しかわからない。

他のプレイヤーとの競争要素が無い。というよりゲームを楽しむのに他人の存在が介在しない。お前ソシャゲーか?
というだけならまだいい。

□舞台無ければ役者は踊れず。何のために強くなるのか?

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↑よくある曜日ダンジョンで簡単に素材が手に入ってしまう。
このゲーム、武器や防具を強化するためには強化素材がいるが、
それらは敵からのドロップを狙うのではなく曜日クエストをこなせば悠々手にはいる。
だがシレントルネコでおなじみの「武器”+1”」というプラス要素は無い。
特定の敵からしか出ない武器や特効武器というのも無い。合成も無い。

シレントルネコでお馴染みの
「武器と防具を鍛え上げて持ち込む最初から非常に強い敵が出てくるダンジョン」
なんてものもない。ていうか実質全部それだし。

例えばドラゴンクエスト1なら最終目標はりゅうおう撃破だが、

  1. りゅうおうを撃破するためにはベホイミが必要、だからリカントを狩る
  2. リカントを倒すためにラリホーが必要、だからおおさそりを狩る
  3. おおさそりを倒すためにギラが必要、だからスライムを狩る。

といった塩梅に強くなるための(実際にはもっと細かいが)段階が存在する。
だが、このゲームはそういった段階が事実上存在せず
上で例えるとリカントを倒せる程度もあれば(現時点での)ストーリークリアとなってしまう。
何よりの問題はベホイミを使わないと倒せない敵がいない。
頑張って強くなってもそれを振るう場面が、成長した”かい”が、無い。
ベリーハード?あるけどクリアしても得るものが無い。
レベルマックスも頑張りゃ出来るよ?出来るけどさぁ誰に使うんだよその力!

つまり、
強くなって他プレイヤーに差をつけることSNSで自慢すること
レアドロップを拾って喜ぶことも無い。
お気に入りのキャラクターを鍛え上げても使う場所が無い。
強さの終点自体は必要だが、

それ以前にある「強くなることの目的地」にぶち当たるまでがあまりにも早すぎる。
福岡から出発し東京にゴールがある旅で、
よくよく考えると東京行ってやる事ねぇわと広島で広島焼き食って帰ってる。

ストーリー自体はサクサク進められるのでとりあえずやるのだが、現在開放されているストーリーを限界まで進めてしまうと
プレイヤーが能動的に進める為の要素が無くなりモチベーションに著しく悪影響がでている。
スマホゲーは毎日起動するのが前提であることを考えた設計になっている。ログインボーナスが典型だよね。
実際、起動させちまえばオート操作で存分に出来ることを考えるとUI面ではそういった設計が出来ているといえるがプレイヤーの目的という導線に関しては欠落していたといえる。
一日○回といった日数制限の強化・高難易度クエスがあるだけでも大分変ったような気がする。

□終わりと改善策と

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↑強化する方法はいくらでもある。でもどこでそれを使えばいいのか・・・本当に惜しい。
個人的な信条として本ブログでは
つまらないものを紹介しないようにしよう。
と思っている。
つまり、本作も基本的には高評価だ。

しかし配信から3週間たち、今あるストーリーをクリアした現在、
何のためにこのゲームをやればいいのか分からん状態にある。
なもんで現状、オススメできるかというと
「悪くは無いがハマるには至らないと思う」という感じに。

ハマるタメに何が必要かというと
兎にも角にも鍛えたキャラを使えて更に強化する要素だろう。

  • 最強クラスの武器防具が必要、かつさらに強い武器が手に入るダンジョン。
  • キャラクターの成長要素の拡大。
    例えば上限突破後改めてレベルマックス→レベルを初期に戻すと一部ステータスにプラスがつく等。
  • 武器・防具に対してスキルを厳選できる要素。

といった形。
ちょうど高難易度ダンジョンは追加予定と言っているが予定は10月頃。
はっきり言ってかなり遅い。致命的にも等しい。

クローズドベータテストまでやって意見を集めて不満をプチプチ潰していたことを考えると運営はかなり頑張っているほうだと思うし、
これまで討ち死にが多かったスマホローグライクにおいてようやく花開きそうなタイトルでもある。

そして何より開発がシレンシリーズのスパチュンと考えると
今後の運営の頑張りには期待はしたいかな。と。
でもまぁ高難易度ダンジョン配信までは復帰コード取ってアンインストール・・・かなぁ・・・。と思ってしまう程度には物足りなさを大いに感じている。
ぐぬぬ

*1:前者は部屋内の敵に一律ダメージを与えるもの。後者は部屋内の敵に混乱の状態異常を付与するもの。