ねぇルフィ、中段見てから座るのやめなよ（挨拶）
衰退したと言われて久しい格ゲー界隈。
しかし、毎年何かが出てはプレイヤーはジワジワと増えていたように思う。
そして毎回心をやられる新人プレイヤーも出ていたように思う。
新人の貴方にも、復帰勢の貴方にも、格ゲーを愛している人にもこのタイトルを勧めたい。
というわけで
『Street Fighter 6（ストリートファイター６）』をレビューしよう。
ではよしなに。
□概要
皆さんご存知、日本における格闘ゲームの代名詞、シリーズ最新作！
ストリートファイター６である。（以下、ストリートファイター＝SF）
まず、面白い！です。
前作５，前前作４がかなりディフェンシブなゲームだったんですよね。
攻めるためのシステムがあんまりなくて。
あと逆転要素として取り入れたシステム*1が
結局マッチ後半が本番になる＝序盤の攻防の意味が薄いシステムになってしまった。
そこを今作はドライブゲージという初期状態でマックスかつ、
マッチ間でのゲージ持越し無というゲージを用意し、
それに連なる複数の特徴から攻め攻めなゲームになった。
まずはそのあたりの話をしていこう。
□リアルをカラフルに越えようぜ。
↑ど派手なエフェクトと共に発生するインパクト！敵は膝をつき、大きな隙を晒す！さらに叩き込め！
まず分かりやすいのがドライブインパクトだろう。
SF4にて存在したセービングアタックはダメージを一発受け止めて反撃するという技だったが、
今回は２発まで受け止めて反撃可能。
このおかげでかなり雑に出せるようになっている。
しかも敵を壁際に追い込んでから放つと、
たとえガードしてても敵を壁に叩きつけて大幅な隙を作り出せる能力になっている。
↑インパクトにはインパクト！見てから反応して返せると気持ちいい！俺は返せねぇ！！
弱点は意外にも同じドライブインパクト。
相手がインパクトを放った後にインパクトを放つと後出し側が必ず勝てる。
なので雑に出しちゃうと負けるんだけど
決まるとマッジッでっ気持ちいい！！
ただ、僕のスト６には
敵がインパクト打った後にインパクト打つ機能が壊れてるみたい。バグかな？
↑パリィ！敵の攻撃を受けて無効化する。ジャストタイミングならば大きな隙を生んで叩き込める！俺は出来ねぇ！！
もう一つ、ドライブパリィについて。
前作５ではリュウ含め一部のキャラにしか存在しなかったパリィが全キャラに実装されている。
SFシリーズでは上段・中段・下段と攻撃の高さに合わせてガードしてあげる必要があったが、
パリィは全て対応する。
更に完璧なタイミングでパリィすると一定時間スローになる。
これで確実な反撃が可能だ。
これまた決まるとマッジッでっ気持ちいい！！
でも僕のスト６には
俺がジャストパリィするシステムが入ってないみたい。バグかなぁ！？
ただ、この2つのシステムが存在するためか、
本作は全体的に攻撃技が強力…無法になっている。
↑今作で大暴れしてるやつら。初心者はこの2人使うといいかもね。
特に目立つのはJPや本田といった強力な必殺技を持つキャラ達。
ガードさせてその硬直の間に次の技が飛んでくる飛び道具とか人の心無いんか？ってなる。
なんなら一部の超必殺技は上段・中段・下段の連続攻撃を発生させるといったものもある。
パリィでガードできるんだから技は強力にしておこうぜガハハｗというカプコンのアホアホ調整が光る。
糞に対してクソを押し付けて勝つ、というアホアホスタイル。
でもこういうの好きだろ？オレァ大好きだね。
↑分かりにくいが緑の光を放ってダッシュで近づく！敵の判断の前に殴れ！
その他にドライブラッシュというシステムがあり、
一気にダッシュして敵との距離を詰め、発生がスピーディなため高速の上下二択を迫ることが出来る。
さらに普段繋がらないコンボが出来るようになる。
リュウ使いとしては鎖骨砕きからコンボが繋がるようになってちょっと感動する。
勿論決まるとマッジッでっ気持ちいい！！
流石にこればっかりは俺でも出せるぜ。
でもなぁ…最大反撃だけは出せねぇんだよなぁ…！やっぱバグだわ。
あとドライブリバーサルってシステムあるけどまぁこれはいいや。ほぼ使わねぇから。
↑敵（右側）の体力ゲージの下にある灰色のゲージ。これがバーンアウト状態のドライブゲージ。
これらの行動には冒頭で述べたドライブゲージを消費する形になる。
使いすぎるとドライブゲージが枯渇するバーンアウト状態となってしまうが、
ゲージ自体は最初はマックスな上、自動回復＋攻撃を当てると回復する。
要は最初から積極的に仕掛けに行け！という仕組みになってるわけ。
受け・攻め・カウンターと様々な基本システムが強化され、
ずっとアグレッシブにプレイできるようになった。
格ゲーは衰退してると言われ続けてるけどなんやかんやで毎年必ずなんかは出る。
ただ、多くのタイトルが結局ディフェンシブなゲームになりがちなんだよね。
『グラブルバーサス』なんかは攻撃を当てられない！って初心者がかなり多かったみたいだし。
しかし本作はちゃんとオフェンシブに出来てるのは凄く良いなと感心した。
↑インパクト同士の衝撃はスローモーションで！どっちが勝つんだ？！というわくわく感。
後一個大きいのは
ドライブインパクト・パリィ成功時のスローモーション状態、
ゲージを使い切った後のバーンアウト状態にとにかくド派手なエフェクトと、
視聴者が「あっここが注目ポイントだな！」というのがわかりやすくなっていること。
インパクトはほぼ同時に出すと画面がスローになりどちらが勝つかわからなくてハラハラ。
バーンアウト状態だとインパクトもパリィも使えないので防御が甘くなり大ピンチでハラハラ。
あとバーンアウトは単純に有利不利の状態がやってない人でも分かりやすいですよね。
前作SF5でもVトリガーがその「視聴者の目を引くための要素」になってたと思うんだけど
ずっとぐっとわかりやすくなっており、
良い意味で現代的（eスポーツ的な意味で）な印象を強く感じた。
↑左のリュウから右のルークへ。時代はうねり人の夢が起こる。それはけっして止めることのできないものだ。
主人公がリュウ⇒ルークへと変更されたことが象徴であるように
”新世代”に向けた作りになっている。
□世界中全部変えてしまえば
↑待ちゆく人に殴りかかってバトルバトル！
さて、本作は発売前後で話題となった
ワールドツアーという一人用モードが搭載されている。
これは架空の都市を舞台にしたストーリーのあるアクションＲＰＧとなっている。
しっかりと作られた町があり、そこを探索できるし、
リュウやルークといった各キャラクターの弟子となって技を覚えることも出来る。
RPGなのでレベルを上げたりスキルを振って
ステータスの暴力で誰でもクリアできるようになっているぞ。
ただコレそんな面白くないんすよね。
↑横スクロールアクションっぽいがうーーーーん。如何せん格ゲー経験者には楽しくはない。
格ゲーのRPG部分といえば『グラブルVS』なんかもそうだが
横スクロールアクションみたいな感じにすな。
アクションが流用できるのはわかるんだけどこのシステムどうあがいても面白くねぇんだわ。
↑◇この後ろ姿は…？
僕もボーボボっぽいのを作ってすぐ辞めた。
ただ、正直なところワールドツアー最大の利点は
初心者向けの遊びながらシステムを学べるモードってとこ。
上級者がやるには正直物足りないシステムではあるが
初心者が「とりあえずこのモードがあるから手を出してみようかな」と
”買う理由”を作れる点は評価したい。
↑名前の横にあるのが操作の種類。「M」モダンのザンギェフ、「C」クラシックの本田。
更に本作には
従来のクラシック操作と
必殺技が簡易コマンドになったモダン操作の二つがある。
モダン操作は簡易コマンドでの必殺技のダメージが８０％になるというデメリットを抱えているが操作が非常に簡単。
一言で言えばスマブラとおんなじ操作方式。
十字キー＋必殺技ボタンで打ち分けられる。
なんとボタン一つでザンギェフのスクリューパイルドライバーが出せてしまうのだから驚きだ。
んで、ボタン連打でコンボを繋げてくれる。
僕この方式大嫌いなんですよね。毎回似たようなコンボ見せられるだけだもん。
オイ聞いてっかジョジョASB。おめーの事だ。
ただ、本作は弱連打or中連打or強連打でそれぞれ違うコンボを出してくれる。
状況によって押すボタンを変えられるためスゲー良い。
超必殺技まで繋げてくれるもんだから少し隙を与えただけで取り返しのつかないダメージを与えられるんだからたまらない。
コレには僕もニンマリよ。
このモダン、決してクラシック操作の劣化版、というわけではなく
モダンできちんと最上位ランクに到達できた人が存在する。
モダンからクラシックになる人もいれば、クラシックからモダンもありだというプロもいる。
極めつけはカプコン公式からも「モダン操作で世界一になってくれる人がいてほしい」と
劣化ではなく新しい操作方式であることを明言している。
そう、”新世代”に向けた強烈なメッセージである。
□この世とメタモルフォーゼしようぜ
↑実況者は4人の内から一人選択。解説者は選ばない、という選択肢も含めて５つの内一つ。
そんな新世界・新世代とは全く関係ないオールドなオッサンプレイヤーにとって、
最も褒めたい要素が実況機能である。
プレイ状況に合わせて実況ボイスが入り、プレイヤーの臨場感を高めてくれる。
格ゲープレイヤーにはおなじみのアール氏、
アナウンサーの平岩氏などが熱のある実況をしてくれる。
例えば敵のジャンプに合わせて対空攻撃を決めると
「上は通さない！」とか「上にもアンテナを張り巡らせている！！」なんてね。
で、だ。
実はこの実況機能。
実況者ともう一つ解説者という枠がある。
これは実況に合わせて解説してくれたり掛け合いをしてくれるんだがその一人に
高橋ひかる、という女性がいる。
誰！？！？！？
・・・あー・・・はいはい、あれか、グラビアアイドルの格ゲーファンかな。
いやもしかしたらプロとかそういう子かな。と思って物は試しに設定していると
この子、浅い。とんでもねぇ浅瀬モンスター。
「今のがSA技ってやつですね！」とかもう”明らか”。
この女全くもって格ゲーを知らねぇ！！なんだこいつ！！？
ドラクエにVtuberモチーフのモンスターが出てきたけどそういう枠？？？
ってなる程度にはわからん人選だ。
しかしこの子の良さというのはプレイを続けるとジンワリと染み入るように分かり始める。
この子、ずっと褒めてくれるんですよね。
自分がミスしたとき、相手にやられた時、そして何より連敗してるとき。
負け試合であろうととにかく自分の試合の中での一瞬の輝きを褒めてくれる。
ナニコレすっごーい！って。
↑僕が負けても立ち上がれるのは勝てるから。勝てると信じてるから。では初心者は何を杖にすればいい？
何故難しいゲームの一つであるFPSがライト層にも流行り、
格ゲーがライト層に今一つ受け入れられないのか。
これ、僕は格ゲーは勝ち負け以外に気持ちよくなる瞬間を得にくいからだと思います。
FPSだと最終的に負けたとしても連続で2キル出来たら凄く気持ちよくなれるじゃない。
その”瞬間”のためにFPSをやれるほどに気持ちいい。
そして僕は格ゲーでそこそこ勝てるからゲーム内での、
インパクトの成功やパリィの成功、今まで出来なかったコンボの成功。
相手の行動を潰したりとかも勿論。
そういった気持ちよくなる瞬間に物凄い価値を感じられる。
その価値はいずれ勝ちに繋がることが分かるから。
けど初心者に「対空昇竜が出来たけど結局負けたからつまんない」と言われたらまぁ反論できないよね。
ワールドツアーでチュートリアルをこなしました。
モダン操作で必殺技は確実に出せるようになりました。
それでも勝てるとは限らない。
それでも対人戦で気持ちよくなれるとは限らない。
だからこそ、貴方は上手いんだよ、と褒めてくれる実況が”効く”。気持ちよくなれる瞬間を救い上げてくれる。
結局、この高橋って子の正体は全くわからん。本当に誰だ。
一度調べようと思ったけどやっぱりやめました。
なんか知らん女がよく知らん競技を全く知らない俺のために応援してるんだぜ。
意味わかんねぇ状況だけどこの状況がすごく気に入った。
無償の、いや金は払ってるから有償かもしれんがこりゃあもう愛だぜ。
一人で行かなければならない格ゲー道の途中で、こんな素晴らしい応援を頂けること。
このゲームでの生活は俺にとって至極の記憶になる。
紛れもなく、素晴らしき日々がここにある。
それはきっと上級者であろうと初心者であろうともだ。
□総評
傑作だ。間違いなく新時代の礎となる。
とにかくひたすらに楽しい。
紹介できなかったが本作のランクマッチはとにかく再戦が早い。
マッチングが本当に早い。
トレーニングモードで練習しながらマッチング待とうと思ったら技を出す前にマッチングされる。
連勝ボーナスがあるおかげで”波に乗った”瞬間の快感もひとしお。
連勝からプラチナ到達はもう脳汁ブシャア！
たまらん幸せ！ただ、俺は適正グラマスだから今プラチナにいることがバグなんだよね。
もっと強く、もっと上にあがってやろうという力が湧いて止まらない。
では初心者にはどうか？
新規向けに強く強く打ち出された施策は効果を上げているとは思う。
プロモーションのおかげでかなりの盛り上がりを見せて新人がいっぱい入ってきている。
そして、モダン操作に慣れてしまえば最低限ちょっとプレイした人とはいい勝負がすぐ出来る。
正直、初心者向けにはこれ以上なく優しい環境にはなった。
しかしどうしたって初心者はどこかで壁にぶつかるだろう。
モダン操作のおかげでその壁にぶつかるのが少し遅れるだけで。
必ず、どこかで、絶望する。
けれどもこれ以上のやさしさは難しい。
僕は一緒に強くなろうとは言いません。
僕は一緒に勝とうなんて言いません。
けど一緒に気持ちよくなろう。楽しくやろう。
この記事を読んでいる貴方がマッチだとかゲーム内で僕に会うことはあんま無いと思う。
交わらないけど僕はゲームを始めた貴方の隣で歩いている。
誰だか知らん女やら実況の人が貴方と一緒に歩いてくれる。
それを支えに続けてほしい。
いつか気持ちよくなる瞬間を理解した時、貴方は絶対強くなれる。
新世代たる貴方が新時代を作ってくれ。
そしてもしもどこかで僕と貴方が交わったら楽しく戦おう。
…出来れば手加減をしてくれよな！
スト５からのプレイヤーも復帰勢も新人にもおススメできる紛れもない傑作だ。
格ゲー人類皆、幸福に生きよ！
ではまた。
↑さぁ、貴方が手を取るだけで素晴らしき日々が始まる！
