ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

大丈夫さ前に進もう。『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』レビュー

血でも砂は固まるだろ(挨拶)

人は誰でも「名作と世間で言われるけど全然合わなかったゲームがある」と思います。
自分はウィッチャー3にホロウナイトを2回トライして撃沈していたり。

そんな「諦めたゲーム」がフルリメイクでリベンジしてきた。
さて結果はどうだったのか?

ということでロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』をレビューしよう。

 

なお、自分はオリジナルのロマサガ2を序盤で投げ、
ミンサガはクリアしたという経歴のため結構システム周りの記憶があいまいなところがあると思う。
なのでそのあたりは温かい目で見ていただきたい。

ではよしなに。

 

□概要

SFCで発売されたフリーシナリオRPGロマンシングサガ2、そのフルリメイク!
過去の皇帝の記憶と能力を受け継ぎ、数千年に渡る戦いに挑むという今なお類似作品が見当たらないほどオリジナリティあふれる名作と称されるRPGである。

HD2Dでのリメイクはあり得るかもな、という期待を寄せていた人は多いだろうが
まさかまさかの3Dでのフルリメイク。
ファンの人にはそれだけで感涙ものだろう。

 

さて本作元はSFCではあるが、様々なハードに移植・リマスターされており、
自分もPSVitaで購入し、ぶん投げている。

主語と枕がデカすぎると言われかねないが
ロマサガ2を諦めた人ってかなりいっぱいいるんじゃないかな…ッて…。

何故人は名作と称されるロマサガ2を投げだしてしまうのか?
それは「俺は今正しく遊べてるのか?」という不安が一番のネックだったと思う。
少し難しい話だと思うので例を出そう。

例えば初代マリオの場合、左に戻ることは出来ずに右に右に進み、そして旗を取る。
これでそのステージはクリアということで”正解”がわかる。
行動が制限されることによって行くべき道が明らか。
そしてあからさまな正解を用意してゲームの進捗をわかりやすくしている。

しかし仮に旗が無くなったらどうだろうか?
次のステージにスムーズに移って制限時間だけは伸び続ける、
そんなゲームになったらどうだろう。
行くべき道は分かっているのに迷う、という何ともわけのわからないこととなる。

本作の特徴的なシステム、年代ジャンプ。しかし初見ではコレが正解かわからない。

自由度が高いために何をすればいいかわからない。
そして勝手に年代が飛ぶ。

これらシステムの煩雑さとフリーシナリオということ。
何より「戦闘を繰り返すと敵のレベルも上がってしまう」という点が非常に難しく
「詰んだらレベル上げで解決する」ということも”出来なさそう”。という不安。
(クリアしたことが無いのでわからないが多分無理なんじゃね?という思いがあった)

ゲームクリアを全体のゴールだとすると、短期的なゴールがわからないゲーム。
ゆえにプレイ中果たして正しくゲームをプレイ出来ているのかと不安になる。

しかも人気が高いせいで
テンプテーション見切らないと終わりだの術研究してないと詰むだの、
詰みの情報がばかり流れてくるのがまた罪深い!

それが僕にとってのロマサガ2だった。
毎度毎度カンバーランドを救うことなく終わる。
それが僕のロマサガ2だった。

ではフルリメイクたる本作はどうなのか?
そのあたりを踏まえて話していこう。

 

□受け継がれる意思

まず大きい点として挙げられるのが、
各種メリットの提示。

本作は本拠地となるアバロン以外の土地を訪問し、
その土地の困りごとを解決することで支配下に置いて領土を広げていくのが基本的なゲームの進め方となる。

最初からメリットは全開放されているため、何のためにプレイするのかわかりやすい!

オリジナルプレイ時に土地を支配下に置いて何の意味があるのか?と思っていたが、
本作は支配下地域の増加に伴うメリットを最初から全提示している。
支配下地域を増やすと新しい施設が建てられたり、拡張が出来ると明言してるのね。

ある意味リメイクだからこそできる豪快な技とも言えるがこれでようやく僕は
「あぁ、支配下地域を増やして設備投資をして強化していくゲームね」と理解できた。
”短期的なゴール”が明確になったのだ。

古参からすると「最初っからそういうゲームだろ!?」と言うと思うかもしれぬ。
でも、オリジナルをやってた身としてわっかんなかったんだって!!

なんでこのゲームわざわざ皇帝が七英雄倒さないといけねぇんだよ!
父親の仇うち終わった時点で因縁も何もねぇじゃん!!
んでなんで急に支配下地域増やすの!?
てかめちゃめちゃ侵略行為では?!理由を教えろよ!!とか思ってたの。

…いやリメイクでも割と侵略行為なのは変わってねぇな!

 

30回戦闘を行うことでアビリティゲット!つまり30回は絶対やった方がいいのだ。

また、戦闘回数についてもメリットを提示した。
クラスごとに固有のアビリティが存在し、
30回戦闘をこなすとアビリティが習得できる。
つまり、1世代につき30回までは余裕で戦闘してもよい、という明確なハードルをメリットで提示したのだ。
これ滅茶苦茶頭いい…。

30回敵を倒すと敵が強くなりますよ、という危険ラインではなく、
こちらが強くなるという明確なメリットの提示。
心理的にすごく軽くなった。ゲームプランナーのセンスが光る。

また、これのおかげで仲間(クラス)の加入にメリットを感じるようになった。
先述の通りアビリティはクラスごとに固有!
しかも各クラス男女ごとにも違う!
故に何が覚えられるんだろうとワクワクした。

ゲーム中盤以降にはなるが、覚えたアビリティはクラス間で付け替えも出来るようになるとグッとゲームが変わる。
ゲームに変化があるのは良いゲームの証拠!

 

□時代のうねり

続いて戦闘に移るが早速本作最大の発明はコレ!
閃く可能性のある技に「電球マーク」が付く!
これ天才の発想(ワザ)。
チャンスチャンス今閃きチャンス!と分かりやすく提示してくれる。

電球は大中小の三種類あるのもニクい。
何故なら人間が最もワクワクするのは「リーチがかかっているタイミング」だからだ。

大は激アツ。これで思いつかなかったら台パン。
中はアツい。これで思いつかなかったらちょっと悔しいが理解ある台パン。
小はまず無いが、これで思いつかなかったら控えめに台パンだ。

何思い付くのかなぁ!と思いながらボタンを押して
実際に閃くとやっぱニヤッとしてしまう。
シンプルにうれしい。

ただ、技の威力自体は正直一発逆転するほどではないのが殆どであり、
劣勢を一気にひっくり返す形勢逆転の手としては「見切り」の方が担っている。

原作プレイヤーには耳タコだろうがここで見切りについて説明させてもらう。
見切りとは敵の攻撃発生時にその攻撃を文字通り見切って回避する効果。

父があえて受けて見切り、それを受け継いだ息子がはい、はいとその攻撃を避ける!

冒頭の仇敵であるクジンシーは事実上そのチュートリアルになっており、
父王が大技「ソウルスティール」をあえて受けることで見切り、
息子が父の能力を受け継ぐ際にその見切り情報を受け継ぎ、見切りを装備することが出来る。
そうしてクジンシーを倒す。

敵の攻撃を覚えたという「記憶を装備する」という本作を代表する珍しいシステム。

そう、敵の攻撃の「記憶を装備する」ことで対応できるのだ。
記憶を受け継ぐというゲーム性とストーリーにマッチした見事なシステムである。

そんなシステムとシナリオが合致した見事なチュートリアルであるが
実際には一回受ける必要はなく、要は「防御版閃き」であることをプレイヤーが理解するのは中盤ごろだったりする。
チュートリアルとは一体。

自分もVita版でクジンシーを倒して終わった時は
次代の皇帝のために七英雄の技をあえて受ける必要があるのかな、と。
七英雄戦は毎回見切りのために皇帝が死ぬ必要があるのかなと思ってた。
これチュートリアルとしてはしっぱ…はい、はい。

ただこの見切りという要素は閃き以上にドラマを生み出す装置として優秀。
これは本当に起こったことだが
ラスボス戦において死にかけていたこちらのパーティが
三連続で見切りを見事に決めて次ターンで撃破した時にはあまりにも痺れた。
馬鹿にはしたものの文字通り命懸けで次代に繋ぐというシチュエーションはエモく見事にマッチしている。

弱点は一度当ててしまえば常に表示されるようになる。連携は爽快!

その他戦闘においては弱点と連携の追加が素晴らしい。
ミンサガなどでは仲間同士の行動を選んだ際偶発的に発生する連携、
これが本作ではゲージを貯めてから手動で発動させるものになった。

敵の弱点を突くと連携ゲージが上がり、
連携で発生する攻撃はダメージが二倍になるという利点がまず強い。
更に連携でトドメを刺すと技術点(いわゆる経験値)にボーナスが付く。
雀の涙ではあるがこの調整はニクイ。
雑魚戦でもポンポン使うようにするグッドな調整。

序盤はそこまでもなかったが
後半は弱点を突いたときのダメージ上昇の恩恵が高く、
全体魔法一発で蹴散らせる爽快感がある。
弱点を突くゲーム(メタファー)を最近やったが、このくらいの調整が好みですね。

 

画像ではわからないだろうが割と地味。演出カット出来ないのが勿体ない。

少々勿体ないなと思うのは戦闘エフェクトなどが非常に地味であること。

各魔法属性や武器の最終技くらいになると派手な技になるのだが、
それまでの技・魔法はかなりシンプルなエフェクト・モーションだ。
しかも、テンポについては一般的なRPGと比べると早いんだけど、
直近の作品(メタファー)がゲーム史上最高クラスのテンポのゲームだったので…ね。
今後のコマンドRPGは演出カットが必須かなこりゃ。

とはいえ、非常によく出来た戦闘システムだ。
オリジナリティの高さと快適さがばっちりマッチしており、
そしてなによりわかりやすい。

プレイヤーがわからないままゲームを進めることがないよう、
丁寧に整えられたゲームになっている。

そう、俺は今!正しく遊べてる!と理解できるようになった点が素晴らしい。

 

□人の夢

ただ、不親切な部分はまだ残っている。
序盤は適当にクエストを進めれば人の話からエリアが解放されていく。
例えば始まりの町で「運河があるからそこを取り戻しましょう」と言われるようにね。

右のミニマップに倒すべき目標や行くべき道が表示される。便利!

更に本作はFalloutシリーズのように次に何やるかをアイコンで明示してくれる。
更に初期からどこでもファストトラベルが解禁されている。
従って非常に快適にポンポンと物語を進められる…んだけども。
そのプレイスタイルだと途中で行くところが無くなる。

何のことはなく、話を聞く⇒行くべき場所が解放される。だけではなく
町の出口から出る⇒行くべき場所が解放される。というパターンが存在するということなのだが
急にルールかわるやん・・・と驚いた。

既存プレイヤーにだけわかりやすく言うと、

マジで20分かかったステップ。記念に撮っちゃったもの。

俺はステップに行くまで20分かかったぞ。
(上に書いているように特定の町の出口から出るだけでOK)

これは見落としだったら申し訳ないのだが、
町の外に出るための導線が全くなくアイコンも表示されないことが原因。
皆はね気を付けようね人生でとても大事な20分…。

 

また、合成術という宝箱から手に入る強力な魔法がある。
これが雑魚戦にもボス戦にも役に立つので是非手に入れておきたいのだが
全然見逃す位置にある。取らないまま進んじゃう。
一応システム的には宝箱の位置をマップに明示するような救済措置はあるのだが
合成術はなんかもうちょっと対策があって良かったのでは。

エストをクリアしても特にそれらしき音楽やエフェクトは無!寂しいよ!

最後にこれは完全に個人の好みだが、
エストをクリアした際にクエストクリアの旨のメッセージが無いのが割と残念。
Fallout4なんかでもドンドドドンみたいな音が出てクエスト完了されるじゃん?
そういうのが無くなんかなんとなくクリアっぽくなってるのは
ん?あ、今終わったの?!ってなったので。

 

とはいえ。

殆ど些末なものだ。
特に20分ステップではなく足踏みを踏んだことなど笑い話である。

 

今更だが本作のゲームバランス。
これ自体はかなり緩めなのも魅力に映った。

自分はゲームレビューをする上で難易度は必ずノーマルを選ぶんだけど
本作のノーマルはオリジナルの一つ下の難易度のためか、
本作で苦戦するシーンは殆どなかった。
一番難しかったのはソウルスティールを見切った後のクジンシー再戦。
後はワグナス・ラスボス戦で一度初見殺しにやられたくらいか。

武器・魔法のバランスも見事で弱い武器ははっきりというが無い。
後から追っかけるように鍛えても問題ない。

それでいて一筋のキャラを作っても強い!
初期に加入した格闘家を「体術って胸キュンじゃん!」と
忍者加入まですべての皇帝の親衛隊として使い続けたんだけど
単発火力はずっとパーティ内最強だった。
満遍なく鍛えてもよし、一芸キャラを鍛えてもよしの見事なバランス。

公式動画より。https://www.youtube.com/watch?v=WW1hIfj8RzQ

ラスダンで詰むぞ。と散々脅されたのも何だったのか。
なんとなくプレイしても何とかなってしまう難易度はとても印象が良かった。
あ、勿論既存プレイヤー向けに強めの難易度もあるのでご安心を。

 

最後にストーリーについてだがフリーシナリオゆえにお話は全体的に今一つ。
ただ、最大の魅力は本作の骨子となる設定。
七英雄と呼ばれる敵のボス達。
そして対比される主人公たち皇帝。

七英雄はかつて自分たちの国を救うために、
魔物の力を吸収していき強くなりすぎた(と、後々精神に影響をきたす恐れがある)故に
救った国から追放されたという完全なる悲劇のヒーローたち。

七人いるとはいえ基本的には「個の力」を伸ばしていった人たちである。

対してプレイヤーサイドは歴代の皇帝…というより
帝国そのものが一丸となって戦う「力の継承」での対抗である。

この対比がまぁ美しい。
この骨子となる設定が良くできていて、更にシステムに組み込まれている!
成程だから名作と称されるのかと納得した。

 

エンディングでの皇帝の決断も七英雄との完全なる対比となっていて成程と唸らされ、
ラストの演出にぐうの音も出ないほど唸らされた。

胸にこみあげてくる熱い思いが忘れられない。
この思いは”継承”されるべきだと。

 

□総評

傑作です。
今年のスクエニFF7リバースもそうだけどリメイクよく当てるなと。
聖剣伝説やってない身で言うのもなんだけど元ネタがあると本当いい仕事するなと。

興味がある人にははよ買え!と背中を押せるし、
過去に諦めてしまった人にも背中をドロップキックできるお勧めタイトルだ。

 

あまりにもわかりやすくなったという点において古参プレイヤーが
「ここまで簡単ではサガらしくない」と言いたくなる気持ちは正直わからんでもない。
自分もSFCやPS1で「難しいからこそハマったゲーム」が初心者向けに平身低頭になったら
「ちょっと一言よろしいかしら?」等と言わないとは言い切れない部分はある。

しかしあえて言う。このリメイクは傑作だ。
だって原作を諦めた僕が楽しくクリアできたんだもの。
ステップ20分でダレたこともあったが。

変なところは残しつつ、多くの部分を現代的にリメイクしプレイヤーをEDまで連れていった。
サガらしさ、よりもサガの魅力を次代に継承するための見事な仕事をやってのけたと思う。

当然、順番的にはロマサガ3リメイクを…と思うだろうが僕はあえて、
次代、つまり幻となっている「ロマンシングサガ4」が発売されることを祈りつつ本稿を〆よう。

ロマンシングサガ4もそうさ!!必ず実在する!!…多分。
ではまた。

まだ終わりじゃないぞ。もうちょっとだけ続くんじゃ。となってくれ!