ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

最高傑作、しかしいつもの。『FARCRY6』レビュー。

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アローラ!エクサと申します!(挨拶)

前作で冒険してコケた作品の続編ってどうするのが正解なんですかね。
冒険した部分をもっと伸ばすのか?それとも元に戻すのか?どちらも一長一短だ。

ではこの作品はどちらを選んだのか?ってことで、
『FARCRY6(ファークライ6)』をレビューしよう。

 

なお、本稿は本ブログにしては珍しく結構核心に触れたネタバレをしています。
直接シナリオはばらしませんが、こういう感じのシナリオだよってのは記述しています。
従って絶対にやる予定の人はバックオーライ推奨。
興味あるって人もバックオーライ。
買ったけど他のゲームやってるって人は「浮気」せずにやらんかい!ってことで。

ではよしなに。

 

 

 

□概要

―――一度ゲリラになった者は永遠にゲリラだ。

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↑主人公ダニー。右はその仲間たち。

熱帯の国「ヤーラ」。
独裁者「アントン・カスティロ」が支配するこの国を船で脱出しようと企てた三人の青年がいた。

アメリカに行こう。
なんにも当てはないけれどこの国に居続けるよりよっぽどマシだ。
笑いあい、明るい未来を描いていた。
その夜までは。

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↑左がアントン大統領。右が息子のディエゴ。

脱出用の船に乗り合わせた一人の少年を追い、アントンが追いかけてきたのだ。
少年の名は「ディエゴ」。ディエゴ・カスティロ。
アントンの一人息子にして未来の独裁者。

ディエゴを回収したアントンの手により沈む船。
そして命を落とす友。
だが主人公「ダニー・ロハス」はゲリラに助けられ、同時にゲリラへの協力を強制される。
協力はあくまで島を脱出するまで、という約束で。

 

…島を脱出した報酬に得たアメリカ行きの船を捨てて
ゲリラへ戻るダニーの目は炎をまとった復讐者か、
それとも炎を歓ぶゲリラの目か。

前作をFARCRY(以下、FC)5と考えると3年ぶりとなる新作。
途中でニュードーン(以下、ND)を挟んだとはいえ、かなり久しぶりという感覚が強い。
ジャンルとしてはオープンワールド(以下、OW)+RPG
まぁぶっちゃけ、経験者にはいつものFARCRYっていっとけば伝わる伝わる。

けれども間違いなくシリーズ最高の出来であり
UBIの帰還と言っても全く過言ではない出来である。
ウォッチドッグスレギオンがつまんな過ぎて
5年はUBIを切り捨てたくなる出来だったが本作をやって三年に刑期が縮んだ。

しかし、
オールドスタイルのOWの限界を如実に感じる出来でもあったことは否定できない。
と、いろいろな思いがある。
変更点を中心に語っていこう。

f:id:exa_axe:20211024000942j:plain↑み、ミン様(FC4のラスボス)じゃん!

なお、FC5のエンディングにて世界中に核が落とされたが
本作はその時空に無いのか一部過去の固有名詞が出てくるにとどまっているためご安心を。
まぁ4と5の間の時空の可能性はあるけどなガハハ!

 

□三年目の浮気くらい許してくれよ。

f:id:exa_axe:20211024001419j:plain↑各地の協力者と共に各地の支配者を倒して本拠地(首都)を攻めるというFC5スタイル。

さて早速だが本作は

  1. プロローグ
  2. チュートリアル代わりの小島
  3. デカい島の3つのエリアを自由に攻略
  4. 最終エリア。
    という流れでゲームが進行する。

ただこのチュートリアル代わりの小島、というのが実のところあまり面白くない。
システム的には要素が解放されていないという問題があるがそれ以上にとある問題がある。

OWは結局のところ
メインとなる柱と同時にサブクエストと収集要素が大量に横に並んでいる、という形式しかできない。
オープンエアーを打ち出したゼルダも結局その流れに勝てなかった。

で。
俺はOWが何故面白いのかというと
メインという大目的があるのにサブをやるという「背徳感」が面白いと思ってる。
一言で言えば「浮気」だ。

よくありませんか。
テスト期間なのに部屋の掃除を始めたり、
大掃除に読みふけるガラスの仮面の面白さ!

グッッッ…楽しい…!
メインをいい加減進めなきゃいけなのに兵士をぶっ頃がすの楽しい…!

 

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↑メインをほったらかして遊びまわる図。この楽しさはOWだよなぁ・・・

そう、メインクエストをほっぽいてプレイするサブクエストがンマー楽しい。
「俺、こんなことしてていいのかなぁ!?!?」と不安になりながらもやめられない止まらない。
深夜に食うカップヌードルのような蜜の味がタマらねぇ。

父さんの形見の剣を取ってきてくれ!と言われてるそばからするハンティングが楽しい。
仇を取ってくれ!と言われるそばからするボートレース楽しい!
仲間を解放してくれと懇願されてもこれから釣りしに行くんで!その後でな!

ゲームの進行に逆らって好き勝手プレイする、これはもうセックス以上の快楽だッ!
所詮僕らはファンキーなモンキーのベイビーである以上快楽には勝てない。
どれだけ緊急事態であろうとこの背徳行為の誘惑には勝てないのだ。

そもそも多目的トイレのようにヤれることが多いのだから仕方ない、ゲームが悪い。
メインクエストなど大体ガキの使いなわけだからそこに復帰したくても出来ないわけだ。
楽しいから。これこそがFARCRYであり楽しさなんだ。

結局のところ古臭いOWではあるものの
これがFARCRYにおいて最適解でもあるのだ。

 

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↑空を飛べるのでサクサク移動が可能。かなり早い段階で解除できるぞ。

また、本作にはウィングスーツとエアドロップ*1があるため

一つ拠点を潰したらそこを拠点に飛び回ってさらに多くの拠点を潰す楽しさがある。
基地つぶし職人の朝は早い。
朝も夜もなく丁寧に丁寧に潰していき、エリアから赤い点が無くなってムフフとなる楽しさはUBIだなぁと実感する。
…ただ実はウィングスーツ、FC5にもあったんですが全く記憶に無かった。

いやうん、ちゃんとクリアしたはずなんですが記憶からウィングスーツが消えていた。
それは恐らく、FC5の代名詞といっていい
幻覚と誘拐という強烈なマイナスの個性が強いからだろう。

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はい、前作経験者は警戒するであろう誘拐と幻覚は今回も存在はする。
ただし一回こっきりだ。どちらも一回だけ。

前作で致命傷となった要素なので思いっきりバラしてしまうが
前作とは違い誘拐・幻覚専用のクエストがある。
前作のように道中の民間人を助けたら誘拐される、
といったゲームを壊すものではないので評価は下がらないぞ。安心してほしい。

 

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↑宝箱を開けて装備をゲット。もちろん装備は画面に反映されるぞ。(今作は一部拠点でTPS視点アリ)

んで今回はスキルポイント制度を撤廃し、
装備によってスキルが付くような設計になっている。
また、一部のクエストや条件をクリアして得るスキルも存在する。

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この仕様変更の凄く良い点として、
大量に武器・装備を用意して各地の宝箱に入れてること。

FC5はプレッパーズの宝と称した
「めんどいパズルを解いてどうでもいいアイテムを手に入れよう!」って感じのクソみたいな収集要素だったことを考えるととても良い強化
本作も宝箱の収集要素はあるが、パズルの簡易化と報酬の豪華さの上昇で上手く緩和されてる。

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当然ながら装備はきちんとグラフィックに反映されるのが嬉しい。
自分は表情を見たいので頭装備は常にオフにしていたが馬鹿っぽい帽子などで遊びも出来るのもうれしい。

f:id:exa_axe:20211024005501j:plain↑フレンドとマルチプレイしたが装備が一緒で笑っちゃった。移動速度UPが強すぎる。

特に装備の中では移動速度を上げるものがあり、
これをつけることでダッシュ移動が強化され馬とほぼ同等の速度で探索が出来る様になる。
空中ダッシュが出来る様になる装備もあり、
本作の移動に関してはマジでストレスが無い。

車は呼び出せるし馬もヘリも使えるが、結局呼び出しに時間がかかる等の制限があるため
走りが早いのが結局一番楽になる。

少々残念だったのは
他の装備が移動速度上昇ほど有用なものが無い為ほぼ固定になってしまうということ。
コイツいつでもどこでもパーカー着てやがる…。

なので装備したまま何人か殺したらアビリティ取得とかで良かったかもしんない。
人の血をすすって成長するとかいったいどんな呪われた装備なんだよって感じでもあるが。

 

FCNDで批判が多かったランク制も実質的にRPGのレベルアップとほぼ同じになり、
システム面においては全体的に過去作の反省点を活かしてマイルドかつ便利に寄せた感じで基本的には褒めていいと思える出来に仕上がっている。

 

□厨軍隊狩り講座

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↑壁を壊して侵入!パイプの上を通る!と自由潜入が出来るぞ。

本シリーズは重火器を使って各地の基地を潰すのが基本的な流れである。
んで、本作の潜入・戦闘はグッと良くなっている。

前作FC5、特にその後継であるFCNDは
「ステルス戦闘するならこうしなさいよ」という見えない導線が顕著にあったように思う。

しかし本作は潜入経路が複数存在する戦場が殆どで非常に自由度の高い戦闘が出来る。
木の板の壁を壊したり、パイプの上を伝ったり…と様々な侵入経路を用意しているんだ。
正直ちょっとした感動を覚えるんだよね。
メタルギアソリッド5をプレイした時の感動が蘇ったもん。

 

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潜入前の調査も重要。
ゲリラは初手マーキングや!と高台から敵をスマホカメラで覗いてマーキングし、
一人一人どう料理するかを舌なめずりをする時にふつふつと沸き上がる高揚感。
FARCRYのみならず様々なゲームで言える楽しさではあるがこの高揚感はタマらない。

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様々な潜入経路からこっそり忍び寄り、後ろから弓矢で頭を、ズドン。
この時の「やった!」感はステルスゲーム最大の楽しみであり、それをたっぷり楽しめる。
幸せの青い鳥はどこにいるのか?と聞かれたら
今砕かれたあいつの頭の中にあると嘯いてやろうとも。

 

ただこの遠くからチクチクやったり背後から忍び寄って静かに基地を得るのもFARCRYだが、
途中でもーめんどくさいなー!って一気にぶち殺すのもFARCRYだ。

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↑気持ちよく吹き飛ばせる!FARCRYの不満要素はかなり解消される。

特に本作はスプレーモという特殊兵器を持っていることが大きい。
これは一言で言うと敵を倒してゲージを貯めて放つ必殺技、つまりUlt(ウルト)だ。
装備したスプレーモによって効果は変わるが
自分は最初のミサイル発射スプレーモを愛用していた。

流星群のように降り注ぎ、範囲攻撃なうえヘリも落とせる強力な武器で爽快感はグンバツ
いいか、げりらのりゅうせいぐんは強い。おいコラメモれ!

最初はステルス、でもどこかでうっかりバレてメンドくさくなるのはFARCRYあるあるだが
本作は一気に敵を吹き飛ばせる技の登場でそのめんどくささは大幅にカットされた。
正直、ゲームとしてはかなり完成系に近い仕上がりだろう。

 

ただ、不満点もあって。

f:id:exa_axe:20211024012149j:plain↑監視エリア外からガンガン増援が来るぞ。無限湧きではないが…

まず一つは無限湧き…に近いほど敵が湧いてくること。
実際には無限湧きではないのだが本作の兵士は非常に勤勉で
道路の脇に設置された基地で騒ぎを起こすと巡回してた兵士がガンガン参加する。

なのでステルスで東側を片付けて西側をランボー(隠語)して
終わったころには東側から敵が来る、なんてことが特に序盤によくある。
プレイしててこれ無限湧きかよ!なんやこの永パァ!(永久パターンと本気で思ったほど。

 

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↑リゾルバー武器は弱いものが多数。火炎放射器って何に使えるんだよ・・・ってなる。なった。

もう一つ今回、敵の種類によって特定の弾丸が特攻になるという要素がある。
これ自体は武器と敵の個性つけということで納得するが
様々な武器種に対して武器の装備数が事実上3つしかないのがネック。

その割を食うのが本作の目玉であったであろうリゾルバー武器である。

ゾルバーとはキューバに流れる精神、「そこに在るもので何とかする」である。
本作の武器の多くは実在の銃をモデルにした武器だが
ゾルバー武器の多くはハンドメイドで作られており一癖も二癖もある武器になっている。

この一癖二癖が邪魔。
当たると花火を出すロケットランチャーなど有用なのは無くは無いがまともな武器を使った方がいい。
武器スロットが事実上3つ、ステルス武器を考えると2つと考えると枠が無い。
今あるもので何とかするならリゾルバー武器を使わないという皮肉な結果になる。

 

と、不満は言いつつもなんだかんだ面白い戦闘です今回。
強くなるまでに武器を拾い集める時間はややかかるもののいったん強くなれば
無敵のゲリラとしてキューバに暴力と弾丸の嵐をふりまけるぞ。

 

□あなただってきっとそうさ。当事者を回避している。

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↑主人公の性別は選べる。ゲリラの極み乙女にもなれるぞ。作中にはチェゲバラを意識したシーンも・・・

出世作であるFC3以来の熱帯の国、キューバをモデルにした「ヤーラ」という国でゲリラ…
もうこれはどう考えてもチェ・ゲバラをしろという話である。

そして、ゲバラの仲間にはカストロ兄弟がいて本作の独裁者の名字はカスティロということや、
最初の脱出用ボートが破壊されて仲間を失う、つまり「グランマ号」を彷彿とさせたりと
実はしょっぱなから皮肉ってスタートしてるシナリオだったりする。

 

つーことで今回のシナリオですが、かなり良いです。

序盤は様々な浮気要素がプレイヤーを引っ張りますが
中盤からはシナリオがプレイヤーを引っ張り、
最後はプレイヤーをシナリオが積み上げた”使命感”が引っ張る。
(攻略順番は自由ですがゲーム内で推奨される順番でエリアを攻略する前提で序盤・中盤・終盤と言っています)

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↑作中ビビったシーン1・2。これ以上の衝撃もあるぞ。とにかく中盤以降は衝撃の展開が続く。

ゲームプレイがダレてくる中盤頃からアントン側を描写するメインシナリオで意外な展開をお出しして来る。
「わッ…わ…(感嘆)」「わァ…ァ…(泣) 」とか驚きの声が口から出てくるんですよね。
プレイしててちいかわになる。筆者はでかきもですが。
プレイヤーを飽きさせないように展開に変化をつけてくるのが非常に上手い。

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↑親子関係なのに異様なまでの緊張感を放つカスティロ親子。ディエゴの運命は・・・?

アントンというメインヴィランも魅力的ですが、ディエゴというアントンの息子もまたいい役です。
ディエゴと主人公ダニーはメインシナリオの中で奇妙な友情を結ぶことになり、
その数奇な運命にプレイヤーは惹かれてく。
ディエゴが保護欲をそそる美少年ということもありますが、アントンとの力関係から
冗談抜きでいつ死ぬかわからない緊張感がずっと続く
のでスゲェハラハラさせられます。

地域の制圧具合に合わせてメインシナリオが動く非常に理想的なOWRPGだったと思います。
最後の決戦前の準備シーンと戦争シーンは燃えに燃えた。

 

ただオチが弱いです。
あくまでテーマに沿った物語の結末ではあるもののオチが弱い。
凄く美味しい焼肉屋のデザートにピノ2個を出された感覚。

個人的な洋ゲーベストエンディングはFC4で、
個人的な洋ゲーワーストエンディングはFC5。
本作のエンディングはその中間、という感じ。

ただ、終わった直後はそのオチの弱さばかりに気を取られるけど
思い返して見るとゾッとする、という実にFARCRYなシナリオであったとも言えます。
意識せずヒャッハーとプレイするのもある種本作を象徴しているが、
本作はしっかり意識してプレイすると皮肉に始まり皮肉に終わり、道中すらも皮肉まみれというスゲェ地獄みがあるシナリオ。

 

f:id:exa_axe:20211024014853j:plain↑かなり分かりやすい条件なので多くのプレイヤーが気づくはず。ちゃんとスタッフロールも流れるエンディングだぞ。

さて、早速だが本作にもシリーズ恒例である隠しエンドは存在する。

それは最初の島を脱出したクリア報酬として得たボートで国外に脱出することだ。

しかしほとんどのプレイヤーはトロフィーを貰ってそこでサヨナラ…とはいかずゲリラを続ける。
理由は7800円を出して買ったから、という理由が大多数だと思うが
「ゲリラが楽しいから」だろう。

f:id:exa_axe:20211024015012j:plain↑マジで復讐とかそういうので取り繕わないんだぜこの主人公!楽しいからゲリラを始めやがる!

そしてダニー自身もゲリラの快楽に病みつきになってしまう。
なんと珍しい義憤でもなく復讐でもなく怒りでもなく「楽しい」でゲリラを行う主人公!
そんなダニーとプレイヤーはゲリラを改めて開始する。

 

でも、プレイする中でプレイヤーは少しずつ少しずつ不安を募らせていく。
プレイして果たしてゲリラが正しいのか?という疑念がこんこんと湧いてくる。

というのもプレイヤーを含めてゲリラは”作る”ことをしてないんですよね。
多くの武器や装備、施設は奪って手に入れる。
作ると言えるものは拠点内の施設とリゾルバーだけ。
ゾルバー、つまり”そこに在るもので間に合わせる”ことだけなんですね。
対してアントン側は”楽園を作る”ことを掲げていて実行している。

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↑今回賄賂を渡すことで情報を得ることが出来るようになっている。腐敗極まれり!ってやつだな!

厳しいノルマに人体実験、賄賂が横行し強権を振りかざす軍部とアントンとその政権は腐敗している。
だがアントン側は法の下に行われる独裁、しかしゲリラ側は無軌道な秩序である。
実際、ゲリラのリーダは革命が成功したとして次の大統領は暗殺されること、
つまり革命に成功しても混乱は続くことを予期している。

物語途中で現れる中ボス、コイツ自体は小悪党だがその発言の中で
「国を大きく強く出来るのはアントンだけ、お前ら壊すだけじゃん」
「国を作るうえで(人体実験など)闇はある。SNSが登場したことで拡散しやすくなっただけ」
というセリフがある。
普通のゲームであればまたこのパターンかwと一笑に付すセリフだが妙に引っかかるんですよね。
このゲームでは。

f:id:exa_axe:20211024021129j:plain↑ある意味名シーンであるこの問答。回答はプレイして確かめてくれよな!

それこそゲリラのリーダーとアントンのとある会話で出た
アントンの「私を追い出した後どうするのか?」という質問への回答は本作のゲリラの象徴ともいえる。

実際アントンの住処に攻め入った際、
机の上にあった都市建築計画のモデルをゲリラがうっかり崩すシーンの皮肉にはうへぇ…となってしまう。
あくまでもうっかりというのがポイント。だからこそこの皮肉が美しい。

 

様々なゲリラへの疑念はあったが、
既に隠しエンドに繋がる国外に出るボートは無くなってしまっていた。
だからやるしかなかった。

壊し続けてたどり着いたラスト。
盛り上がった最終決戦の後の拍子抜けするダニーの最後の選択に「オチが弱い」と呆気にとられつつも
最後に「楽しいから」でゲリラを続けたダニーの笑顔にゾッとした。

でもね、思うんですよ。
「楽しいから」ゲリラを続けたダニーの笑顔は
プレイヤーに向けて「楽しかっただろ?」と言ってるように見えるんですよね…。

 

最後に。
FARCRYと言えば狂気。
これまでのヴィランって狂っている、狂気を持ったキャラであったんだけど
アントン・ディエゴ両名共にそこまで狂気を感じなかったんですよね。
カリスマを感じつつも狂気は感じない、ちゃんと話せば何とかなりそうな感じがある。

じゃあ今回誰が一番狂っていたのかというと…?

 

□総評

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良作です。
傑作じゃねぇのはウンまぁいつものFARCRYだからねぇ。

自分は楽しめたしシリーズ最高傑作だと思うが
メタスコアが75点という割と低めの評価!
だが評価の内容自体はかなり正論でして。

このゲームをあなたが楽しめるかどうかは
貴方が直近でUBIのゲームをやっていないかどうかである。

FARCRYそのものはFC5から数えると3年たっているものの、
アサシンズクリードでもウォッチドッグスでもこのOWのスタイルがほとんど変わらない。
プレイして受ける印象が他のUBIゲームと変わらなすぎるんだよ!
実際最近アサクリ・ゴーストリコンあたりを触ったよって人はお勧めできません。
2周目をやってるようなもんなんで…。

でも今回をやって思ったのは変に浮気はしない方がいいと思うってこと。
余りにも冒険しすぎたことでFC5は大コケしたわけで。

革新性を求めたくなるのは事実だが完成したテンプレートにこれ以上何を載せるのか。
ファンですら具体的にこうしろっていえないやつはいじらん方がいいんです。
システムに不満はあって修正しろってのはあっても、ここに何を追加しろってのがあんまりないですね。

 

さて、本作は初めてUBIゲームをやるっていうんならお勧めだ。
FC5でUBIを見限った、というプレイヤーも触ってみる価値はあると断言できる。

今更だがFARCRYとは「期待はずれ」あるいは「程遠い」という意味である。
だが本作は期待通りに面白く、そして期待通りに期待外れの結末を迎えてくれる。
是非プレイしていつも通りの後味の悪い結末を迎えてほしい。
大丈夫、それが癖になるぞ。
ではまた。

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↑ゲリラとして、貴方がヤーラにもたらすものは平和か混乱か?さぁ「楽しい」ゲリラを始めよう!

*1:ファストトラベルした際に空中にリポップすること