今年のM1の審査員誰がやるんだろうね。(挨拶)
昔からPSメインでゲームしていると年末にかけてはゲームがあんまりでないんでじっくり一つをやることが多かったんですよね。
しかし今年は注目作が本当にバンバン出てくる年末で嬉しい悲鳴を上げている。
それではその嚆矢となった大作の一つ。
『メタファー:リファンタジオ(Metaphor: ReFantazio)』をレビューしよう。
ではよしなに。
□概要
アトラスの放つ完全新規ファンタジー!
社の代表作たるメガテンともペルソナとも違う新たなる可能性!
新しいシステムへ変わっただろうと誰もが思ったろう!
変われっ!!
…早速ですが本作は
ペルソナ6あるいはペルソナF(ファンタジー)です。
アトラスの放つ完全新規ファンタジー?
嘘つけコノヤロウ!
中身ほぼペルソナやないかい!
か、変わらねぇ~~~~~!!!
装備して戦うペルソナ(人格)もアーキタイプ(英雄)に変わり、
世界観もファンタジーになっているがゲーム内容はほぼほぼペルソナである。
まぁどこがペルソナでどこが魅力なのか、そこら辺を含めてレビューしていこう。
□鳥人メシ
せやかてこんなファンタジーな世界観はペルソナやないやろ!
それがな、オカンが言うにはカレンダー・コミュ・人間力システムがあるんやて。
ほなペルソナやないかい!
はい。
本作もペルソナ5と同様に、以下のようなゲーム進行となる。
-
事件が起こる。
-
〇日後までにダンジョンをクリアしないとゲームオーバーと宣言される。
-
クリア後、あるいは攻略中に余裕を見てコミュや人間力を強化する。
- ダンジョンをクリアして次の事件が起こるのを待つ。
言い逃れするつもりもない程ペルソナである。
同じものばっかりリリースしやがって!虎舞竜か!
一応過去作との違いとして大きいのは…大きい…いやそこまで大きくないんだけど
まず一つが町の数が複数あること。
コミュの概念があるために大きな町を一つ舞台にしてそこから動けないのがペルソナシリーズだったが
本作は序盤が終わったあたりから全体マップで移動が出来るようになる。
そして都合のいい魔法が発現することで
なんと全ての町とそのエリアをファストトラベル出来るようになっている。
最初の町の酒場から3番目の町の雑貨店へひとっとびできたりするわけよ。
これ自体は本当に便利で褒めるところしかない。
また、実質一枚絵をペタッと張り付けてるだけであるが、
各地の景勝地を紹介してくれて世界旅行感があるのは良い。
折角ならそこを(ダンジョンにするなりして)冒険させてほしい、という思いは胸に浮かぶが。
しかし、一枚絵を背景に店だけ存在するだけのものを村と言い張るのを見て
こ、コンパイルハートだ!ネプテューヌだ!とセガアトラスのコンパ魂に胸を熱くした。
(アトラスは現在セガ傘下。そしてネプテューヌはセガをモチーフにしています)
とまぁ弄りも入れつつも
世界の広がりを感じさせる作りにしてるのは非常に良かったと思う。
ただ如何せん、
本当になんて言うか…ファンタジーの頭とペルソナの体で作られたペルー人って感じ。
このゲームを開いてファンタジーとペルソナの丁度境目の部分を見てほしい。
□いい加減プレスターンは欠陥システムだと認めろ
パーティが怪物の力を借りて戦う!そんならペルソナに決まってるやろ。
いやそれがな、うちのオカンが言うにはダウンとその後の総攻撃が無いらしいねん。
ほなペルソナと違うか~
戦闘について語る前にまず本作のペルソナことアーキタイプについて説明しよう。
ペルソナペルソナと言うが
方向性自体はジョブシステムに近い。
基本職をマスターするとステータスボーナスを貰えるとともに上級職が解禁される。*1
ジョブチェンジする際にはスキルを引き継ぐことが出来るため、
なるべくジョブを渡り歩いたほうが良い。
そしてそのジョブごとに弱点や耐性があるのだが
…ここでプレスターンの問題を話そう。
本作は戦闘システム自体は真・女神転生(メガテン)寄りのプレスターンバトルです。
ただ、プレスターンが抱える問題がまた露呈したなと。
ではプレスターンについて改めて解説しておこう。
- プレスターンが登場したのはPS2のメガテン3から。
- 仲間の人数分行動回数を貰えるが、
弱点を突く・クリティカルを与えることで行動回数が0.5回分の消費に軽減される。 - しかし逆に攻撃が回避・無効化されると2回分行動回数が減る。
更に反射・吸収されると一気にターンがあちらにわたる。 - つまり、4人パーティなら最大8回、そして最少が1回行動になる。
- このルールは敵と味方両方に適用される。
そしてメガテン5(無印版)のレビューでも言ったが、
「プレスターンは事前準備ゲーになる」と。
メガテン3発売当時としてはかなり出来が良いシステムであったのは間違いない。
主人公が死ねば終わりという緊張感。
相手の弱点属性を突くと連続で攻撃できるという快楽。
たった一回の回避がどちらに発生するかで盤面が極端に変わるシステムはスリリングであったしドラマも生み出した。
戦略次第でジャイアントキリングも出来る戦闘にエキサイティングした。
しかしプレスターンはシリーズが続くごとにつまらなくなっていった。
未知のシステムだからこそ面白かったのが、
理解が深まることでベールが剝がれていった。というのもある。
しかしそれ以上に
バリアという概念の誕生で簡単に対策が出来るようになり、
次のターンでの行動を予言するようになり、
レベル差補正まで付いたシリーズはもう最悪。
そしてその「準備ゲー」は本作で更に加速する。
まず本作は町に情報屋というNPCがおり、
受けたクエストやこれから忍び込むダンジョンの情報を何故か既に知っている。
例えば「ボスは氷が弱点らしいぜ。魔法使いを2体連れていきな」というあまりにも直球のアドバイスをもらえる。
…これはバカにしてるやないかい?
また、全ての戦闘で時間を巻き戻して戦闘の最初に戻ることが出来るようになった。
ドラクエで言うと時の砂が標準装備された形だ。
これを使うことでとりあえず敵に火・氷・雷~と弱点を片っ端から当てて試してみることが出来る。
いや、オカンが言うにはバカにしてないらしいで。
ただ、装備している属性と相手の弱点がかみ合わないパターンもある。
しかし何より怖いのは
敵の攻撃属性がこちらのパーティの弱点と噛み合ってしまうこと。
敵のメイン属性に対して弱点むき出し感度3000倍のパーティでは、戦略でどうこうできるレベルに無い。
時の砂で戻しても耐性は変えられないので
結局一度全滅してセーブポイントからやり直してジョブチェンジして再戦が正解となる…。
ほなオカンこれ大分バカのシステムやで!!?
結局、このプレスターンというシステムは
ホラーゲームで怖いから、と全力ダッシュして敵と当たって死んだらやり直す。というゲーム性になり下がった。
あるいはハイ、そこの角からゾンビ出てくるからね~と教えてくれるホラー。
どちらにせよゲーム性は丸々崩壊しきっている。
一応、本作独自のシステムとして
敵に一度だけ弱点を無理やり付与させるスキルが登場した。
だが、これもプレスターンの特効薬足りえない。
中盤までだと
・弱点付与魔法(1T)⇒弱点攻撃(0.5T)はプレスターンの差し引き的に2T消費するよりオトクになる。
・合体攻撃(2T)で弱点付与。最初だけ損するがあとはずっとその攻撃で回数を稼ぐ。
といった、結局2回殴ったほうが早いので使わなかったものの、
戦略的な計算や理屈があるため開発がやりたいことはわからんでもない。
と多少評価はしていたのだが…
だがゲーム後半で「1T消費で壊属性を弱点にする壊属性攻撃」が登場した。
もはや戦略もクソも消え失せた!
ボス戦闘の殆どがこれを打つための環境を整える形になってしまう。
明確に褒められる点としてはテンポが良いこと。
味方側の行動はほぼ全て演出カットできるためサクサクであり、
弱点を突いて一気に倒せると戦闘が本当に一瞬で終わってしまう。
リザルト演出の方が長い戦闘がマジであるくらいだ。
それとなんだかんだで弱点にあてるとヨシッてなるのは利点かと。
いま『ロマサガ2R7』やってるんですが、弱点にあてた時の快感はやはりこちらが上だなと思ってしまった。
だからこそプレスターンが好きで、そして早く捨てろと
愛憎のような想いを持っていしまうのかもしれない…。
□それでも物語は止まらない。
まーここまでボコボコに言ってしまったが
それでも本作は高評価である。
ペルソナめいた既視感の強さや、進化しないプレスターンにうんざりしつつも
音楽・戦闘バランス・キャラといった各項目のクオリティは高く、完成度も高い。
やり始めて約2週間で50時間の旅を終えたほどしっかり熱中出来たクオリティの高さ。
特に印象が良いのがシナリオである。
シナリオの基本的なあらすじとしては
ゲームスタート時の冒頭で現国王が将軍である「ルイ」によって殺害されてしまう。
正当後継者である王子はそのルイの策略によって呪いを受けており動けない状態にある。
後継者はどうなってしまうんだ?と世間が盛り上がる中行われた国葬。
国王が死後強まる魔法を発動させ
「世襲じゃなくて一番人気なら誰でも国王になれるよ」と後継者選びをあたかも選挙のようなイベント化してしまう。
主人公は友人である王子の呪いを解くためにルイに近づくことを決意。
その為に後継者選びに参加することとなる…
というのが基本的なあらすじだ。
まず、選挙とRPGを組み合わせる発想が斬新!
オモロイ!
現実において選挙が始まる直前に発売されたのは偶然にしてもちょっと出来過ぎ感があって笑ってしまった。
特に本作の主人公が持っている本はこちらの世界(現実)をモチーフにしているようで
「いかなる人種も差別されない」「立候補者は公約を言ってそれを破っちゃダメよ」「主権在民」と
こちらの世界の人種差別のなさと民主主義のすばらしさを語っている。
…お…おう!(目をそらしつつ)
対抗相手となるルイは力こそがパワーという考え方であり、
力があれば別に人種を問わず重用するし、
自分を慕うものならば守ってやるぞというスタンス。
一方主人公は人種は問わないのは変わらないが、
自分を嫌う人や力のない人も含めて守るというスタンス。
力で統べる覇道vs仁で統べる王道は見飽きたテーマであるが、
チキチキ!次の王様は俺だ選手権~!という形で始まり、
民衆の支持が数字として表示され、プレイヤーが善行…つまり仁の道を行こうとすると順位が上がるのが嬉しい。
特に主人公は差別を受けている人種「エルダ族」である。
ゲーム冒頭は町中を歩いているだけで陰口を言われるほどなんだけど、
ゲーム中盤を越えた頃から候補者として信頼されていき頑張れ~とか言われ始めるのは良い表現だと思う。
ただ、主人公自体は滅茶苦茶差別を受けてる奴がめっちゃ努力して頑張った”結果”なんですよね。
生まれの不幸を嘆くのではなく、血統でもなく、努力した結果。
要はルイの理想を体現したのが主人公であると。
RPGというシステムも手伝い、シナリオが進めば進むほど悪役の正しさが証明されていく作りになっているがどうするんだろう?
という疑問1。
また、主人公が候補者として支持されていくにつれて、
元々の目的である「王子を助ける」というのは果たして”自分を支持してくれる無名の支持者”にとってどうか?という問題。
だって王子じゃなくて主人公を支持してるのに王子を王にするわけにはいかないじゃない。
という疑問2。
そしてルイが「自分を支持するならそいつは守ってやる」というのは民主主義の一側面ではある。
差別の撤廃と平等を訴える主人公が王子を立てるのは真逆の血統主義と言っていい。
しかしそれはどう解決する?
という疑問3。
ここら辺の疑問や矛盾をアトラスはどう拾うのかな~。と思っていたら
予想外の凄いパワープレイを見せてきた。
やや賛否分かれそうな内容だが、テーマには即しているし
強引に納得させるルール無用のシナリオを描いてきた。僕は評価しました。
時折ボスとして登場する(ベルセルクの使途を彷彿とさせる)化け物「ニンゲン」の正体が
誰もが予想する通りの答えであったりと
予想外と予想通りを交えて上手く物語が紡がれる。
いやアレをスルーするのはどうかと思うよ!な部分はあるにはあるがそこはご愛敬。
だが、本作のMVPはやはり悪役たるルイだろう。
本作のシナリオの満足度、それは悪役が非常に魅力的なのが大きい。
やっていることは文句なくカスだしクソ野郎だし褒める点もあんま無い。
完全無欠とはいいがたくやらかしもあるのだが、最初から小物さと大物感が入り混じることで格落ちすることない。
中途半端に人間性があるのもポイントが高い。あと、レスバに弱いのがかわいい。
そして、それでいてあと腐れなくぶっ飛ばせるという悪役としての魅力は高い。
本作は選挙においてはずっとルイが終始リードしているのだが、
このシナリオも同様に彼が物語を終始引っ張り、プレイヤーの首根っこを捕まえて前に前に引っ張ってくれる。
しかし、必ずプレイヤーは彼を超える。主人公と共に。
文句なく本作屈指のMVPであり、RPGの名悪役の一人。
(どうせ)出るであろう完全版で仲間になっていても全くおかしくないニクイやつである。
・・・え?完全版が出るかどうかわからないって?
アトラスは変わるって?
…いや…変わらないと思うよ…
□総評
世間的には傑作でしょう。個人的には良作です。
ペルソナやったことない人にはスパッとお勧めできます。
ぜひやりましょう。
でもやったことある人、特に最近ペルソナ5をやったよって人には
「う、うーん。一旦FFリバースとか黒神話挟んでからにしない?」と言います。
中身まんまペルソナですよ?良いんですね?ってのが評価の分かれ道です。
僕自身は面白いかと問われたら間違いなく面白いというんだけど、
いくら何でも志が低い。に尽きる。
新たにスタジオを立ち上げ、”Re”ファンタジオと銘打ちながら、
やってることがペルソナかい!っていうね。
オープンワールドにしろとかまでは言わないけど
多くの点でペルソナまんまなのは個人的な心象としては凄くよろしくない。
とはいえ、一般的に考えて
「新規IPなんだから新しいシステムを投入した斬新なタイトルにしないと減点」
というのは異常者と言われても仕方ない。僕は異常者だけども。
ただせめて、もはや20年も使い尽くしたプレスターンだけは変えてほしいものだが…
いやでもな、アトラスのオトンが言うには
このシステムは「ファスト&スクワッド」って言うらしいで。
いや絶対ちゃうやろ。
プレスターン、もうええわ。
どうも、ありがとうございました!
ではまた。
*1:ただし、コミュレベルを上げることも条件となっている。