Gって1匹見ると2億匹くらいいる気がするよね。(挨拶)
現代のゲームの多くはフォトリアル(実写風)が主流となっています。
アニメ調はしぶとく残っているとはいえ、大作となると選択肢としては選ばれにくいのかな、と。
そんな中アニメ調の新規IP大作を出すッてことに僕は覚悟と情熱を感じるッ!
期待しないわけがねぇ!
ってことで『SCARLET NEXUS(スカーレットネクサス)』をレビューしよう。
なお、2ルートあるうちのユイト編のみのレビューであること、(理由は後述)
また、本作は縦横無尽なハードのマルチタイトルとなっているが、
本レビューはPS5版でのプレイとなる。その2点はご了承いただきたい。
ではよしなに。
- □概要
- □絵はプロレベル。システムはRPG…にしないとダメでしたかね?
- □カッコいいに勝るアクションは存在しない(断言)
- □いけぇ!俺のクソ国家! vs 行きなさい!クソみたいな私の独立都市!
- □あ、これ今月の仲間料金先に払っとくね。
- □総評
□概要
世界には怪異と呼ばれる正体不明の存在が跋扈していた。
それらを倒す討伐軍に主人公ユイト・スメラギは親友と共に入隊する。新たな環境で出会う新たな仲間達。
その中でユイトはカサネ・ランドールという
自分の古い記憶の中にいる女性とうり二つの女性と出会う。
しかし彼女自身には全く心当たりはなく肩を落とすも
同僚としてよい関係を築いていた。”あの日”が来るまでは。
突然討伐軍の一部がクーデターを起こし、討伐軍は二つに分かれた。
ユイト・カサネもまた、それぞれの理由からそれぞれの組織に分かれることとなる。分かれた組織・分かれた道。
再び重なることはあるのか。
そしてその道の先に何が待つのか。
2つの視点から描かれる超”脳”力ブレインパンク・アクションRPG、開幕。
今時珍しい完全新規IPでのアクションRPG。
さらに現在(2021年7月)テレビアニメまでやっているという気合の入りよう。
個人的テイルズ5本の指に入るヴェスペリアチームが作っている、
ということで元々割と期待していたタイトルでもある。
はたしてその期待に応えてくれたのか?
早速レビューしていこう。
□絵はプロレベル。システムはRPG…にしないとダメでしたかね?
↑アップだとほぼアニメ。動いちゃうと流石に3Dであることを理解しちゃうがスクショはアニメだわ・・・。
映像表現は素晴らしいの一言。
アニメが動いている、と錯覚させる意味ではXrd以降のギルティギアに譲るが
アニメ調のRPGという意味では完全に一つの壁となる作品だ。
少なくとも今後、アニメ調RPGが出たら間違いなく本作と比較されてしまう。
それぐらいのクオリティを叩きだした作品だ。
つーか今放映中のアニメより作画良くね?
↑おっぱいもロリもおっさんもいるぞ!デザイン自体もとてもよく出来ててベリグー。
キャラモデリングに関しては凄まじいの一言。
上のスクショ、イラストじゃないんだぜ・・・!
可愛い・カッコいい・オッサンも含めて全員デザインも神懸って出来もいい。
不気味の谷はとっくに超えて希望の山に足を踏み入れていて、
その最高峰に立っている。
神々が集う山嶺でバンナムはエベレスト南西壁冬季無酸素単独登頂を成功させた!
やっぱ放映中のアニメより作画良くね?
↑サイバーでパンクな街並みはちょっと写真を撮る感覚でスクショしてしまう。しかし町の意味は・・・
また、街の作りも奇抜ながらセンスのいいサイバーな世界観。
それを余すところなく表現するハイクオリティモデリングで目を奪われる。
どう凄いか、を説明せずとも「なんかスゲェ」と理解してしまう。
恐らく多くのプレイヤーがまず一枚は、とスクショを撮ってしまうことだろう。
どう見ても今放映中のアニメよりウンタラカンタラ。
しかし、まともに街を歩くのは最初だけだ。
早速ダメ出しで申し訳ないが、
本作の最大の問題は「単調さ」である。
シナリオは1話、2話と話数形式となっていて各話の中で
- シナリオパート
- ダンジョンでのアクション(探索)パート
※探索の合間にちょこちょこシナリオが挟まれる - ボス戦
- アジト(拠点)での仲間との交流パート(スタンバイフェイズ)
という構成になっている。
一般的なRPGとの大きな差が分かるだろうか?
…と言っても答えは先ほど上げているか。
答えはそう、「街を歩くことがない」のだ。
本作はワールドマップが存在せず、場所を問わずワープが可能。
(一部ダンジョン攻略中は不可)
本当に初期の初期にだけ街中を歩く必要があるが後期は一切不要。
んで、街を歩く必要が無い、ということは
街で装備を作ったり買ったりするということもないということ。
本作は一応装備の更新はあるものの、はっきり言ってかなりつまらない。
物語を進めた時に新しい街に行く、武器を手に入れる!という楽しさが無い。
一応街中にはサブクエストを受けられる要素はあるが、
下手すりゃ気づかないまま終わる程度の重要度で…。
僕はゲームは
「どれだけ褒めてくれるか」・「(ゲームを進めることで)どれだけご褒美をくれるか」
というところに重点を置いて見ているので
後者の要素があまりに足りない本作は少々残念ではある。
街が実質一つなのは仕方ないんだけど
例えば軍で功績を上げると街でも行ける場所がどんどん増えてくとか
そういう要素があればなーって感じ。
↑とにかく単調なゲーム。その要因の一つがダンジョンのシンプルさだったりする。
あと、ダンジョン構成に関しては非常に不満。
とにかく全体的に頭を使わない作りになっている。
行くべき場所が明確にわかっておりそちらの方向に走るだけ。
ギミック自体は無いわけではないが、
対応する超能力を使うだけというシンプルさに首を傾げてしまう。
↑主人公の念力でオブジェクトを動かせ、その上に乗れるのだが意味は・・・ないです・・・。
主人公の超能力は念力(サイコキネシス)なので、
高い場所にあるアイテムを取るためにそこらへんに配置された箱を動かす、
みたいなパズル要素が出来なくもないだろうに。
超”脳”力なのにプレイヤーの脳を使わないとはコレ如何に?と思っちゃう。
また、道中に脇道はあり、序盤はせっせと脇道のアイテム回収に勤しむのだが
中盤頃はとっとと駆け抜けてしまった方がいいことに気づいてしまう。
なぜなら道中にレアアイテムがほぼ存在しないから。
いや、あるのかもしれないけど
序盤での宝箱のショボさに気づくと後半でなんかもういいやってなってる。
ギミックの無さも含めてダンジョンに関してはまー褒めるところが無いです。
本作はブレインパンク・アクションRPGとして銘打たれてるが
はっきり言ってRPGとしての面白さは無い。
正直なところ、アクションゲームとして売り出した方がよかったように思う。
ただ、そのあたりのマイナス点を補ったのがアクションとキャラクター、そしてシナリオである。
□カッコいいに勝るアクションは存在しない(断言)
↑派手で激しいアクションを簡単に楽しめる。画面内にR2とかボタンが出てくるが超能力だからいいんだよ!多分。
まずはアクションについて。
とんでもない傑作だ!…とは思わないですが
とにかく「カッコいい」を山盛り詰め込んで旗まで立てた
中二病患者向けのお子様ランチって印象。…誉め言葉ですよ?
↑このカクットが分かるだろうか?わかってくれるか?カッコいいだろう?
剣を振って攻撃の軌跡が描かれるのは定石のように良くあるが、
本作はなんつーか「カクッと」なってる。
ただこのネオンのような「カクット」(仮称)は
本作を一発で表現した名エフェクトである。
本作は全体的にエフェクトと音へのこだわりがすんばらしい。
特にこの「カクット」は
医者から不治の病だと首を横に振られた僕の中二病にビンビン来る。
ハイテンポで剣を振ってくれるし、切った後の音も良い。
特に回転攻撃やコンボの〆に当たる横一線の薙ぎ払いは
ヤダこの攻撃…イケメンすぎる…!と僕の中二病がずきゅんぱきゅんと走り出す。
↑煉獄さん・・・!エフェクトに関してはあまりの出来の良さにちょっとマジで感心する。これが”エフェクト”だよ。
さて今回、念力に始まり、加速装置・硬化・ステルス・透視といった様々な超能力を使えるが
今回俺が推すのは武器に炎の力を宿すことが出来る超能力。
火のエフェクトでちゃんと周りが明るくなる。(エフェクト自体が発光している)
というだけで割と大満足なんだけど、”絵”になるんだよね。
鬼滅の刃の炎の呼吸じゃね?とは思わなくもないがとにかくカッコいい。
日本に2億人はいるというエフェクト検定4級の僕も絶賛する出来。
↑派手だが決して邪魔にならないカットイン。素晴らしい。
また、念力以外の超能力は味方から「借りる」形になるのだがこの際に
カッチョいい動くカットインが入る。
画面の大半を埋めるため邪魔に見えるがほぼ一瞬(体感1秒ほど)で消えるため邪魔にならない。
イラストではなくモーション付きのモデルなので一味違ったかっこよさがある。
↑とどめ専用のアニメーションは凝ったものが多い。そして押並べてカァッコイイんだこれ。
んで、敵にはブレイクゲージというのがあり、
弱点を殴ったりすることでゲージを枯渇させることが出来る。
枯渇させるとブレインクラッシュというとどめ専用のアニメーションに移行出来る。
程よい長さのカッコイイイモーションで〆てくれるので爽快感がある。
モーションが気持ちいいから爽快感があるってのは正直職人の技です。凄い。
本作はレベルアップごとにスキルポイントが貰えて、
それを割り振ることで能力を成長させる、というよくあるシステム。
序盤から中盤にかけてはポイントを振って様々なアクションを覚えることが
ゲームを進めるモチベーションになっていた。
まだ見ぬ”カッコいい”があるはずだと思ってね。
日本のゲームにおいて「カッコいい」は可能な限り優先してほしい項目の一つでもある。
それを満たしてるなら半分以上OKなんですよ。
ここまで褒めておいてアクションに関して傑作ではない、と評した理由の大きなポイントは
「ハイにならない」からなんすよね。
カッコイイ!以上の良さが無いからアガらない。
序盤・中盤は「カッコいい」が支えてくれるが後半は…とそれは後述する。
とはいえ、このカッコよさは是非皆に味わってほしい。
全国に二億人はいるであろうアクションはカッコよきゃいいだろ協会会員としては
太鼓判を押すぞ。
□いけぇ!俺のクソ国家! vs 行きなさい!クソみたいな私の独立都市!
↑ネタバレ?いえいえ序章もいいとこなんですよこのクーデター。ここからの展開こそが本作の根幹。
シナリオについては男女の主人公がそれぞれ別の組織につき、
敵味方に分かれて戦うというシナリオ。
まーた共通の敵がいるのに人間同士が戦いあう流れかァ…と。
ゾンビ映画さながら、親の顔より見た展開にげんなりしていたが、
予想外の方向にシナリオが転がっていく。
平たく言うと
「どっちの陣営がよりクソなのか」バトルが始まってしまう。
キャラクターを掘り下げてアイツがクソ・コイツがクソというバトルをすることは多々あるが、
陣営同士のクソバトルは初めて見た。
宇宙世紀のガンダムにおいて地球連邦が腐敗しているのは、
数で劣る敵対組織(ジオンやエゥーゴ)といい感じに戦わせるためなんだよね。
つまり数で勝る組織が正常に動いているのは勝てなくなるからNG。
なんだけど
まさかどっちも腐ってるとか思わないじゃんアゼルバイジャン。
第三勢力も登場するがこちらもクソなので完全に狙って作ってるわコレ。
現実なんてそんなもん、と笑い飛ばしてもいい話ではあるが、
アニメ調RPGで現実を見せつけてくるなよ。怖くて泣いちゃったろ。
↑子供の力では体制をひっくり返せない。というシナリオを最近よく見るが果たしてそればかりでいいのか?
ただ、その陣営がクソバトルも含めて基本陰鬱な設定なのだが
シナリオ全体に不思議と笑って爽やかな印象があるのは
過ちを認めることの重要性や、正すことへの前向きさ等だろう。
最近のお話って見る側と作る側の高齢化からか、
「結局子供より大人が強い」みたいなの凄く良くあるじゃないですか。
最近の『閃光のハサウェイ』なんかも結局体制側の方が強すぎて勝てない若者のお話ですし。
(まぁハサウェイ自体がアホの中二病というのは置いといて)
なんで、子供が子供としてのまっすぐさで悪を正すってのは逆に斬新で凄く良かった。
余りの潔さに「え、そうなる?」とビビる部分も無くはないんだけど、
フィクションなんだしこれぐらいでいいんだよこれぐらいで。
んで、もう一つ爽やかな印象になったのは仲間のおかげ。
本作最大のウリである仲間について次項で語ろう。
□あ、これ今月の仲間料金先に払っとくね。
↑復活させてくれたり、合体攻撃やコンボを決めてくれる等仲間に頼れる部分は多い。
本作の仲間要素については結構、というかかなり考えられている。
戦闘で一緒に戦う・プレゼントを贈る・キャラストーリーを追うことで
信頼値は上がり、戦闘でやれることや掛け合いが増えるのが嬉しい。
戦闘時に能力を借りると先述したが、
攻撃からかばってくれたり、合体攻撃をしたり、復活させてくれたり…
とプレイヤーの行動それぞれにプラスする形で様々な好影響を与えてくれる。
↑プレゼントを喜んでくれるのは当たりまえ。背景見てみ?アイテムが増えてるだろ?
じわっと嬉しいのが
プレゼントを贈ると拠点内の自分のスペースに飾ってくれること。
拠点にそれぞれの部屋ではなくて机がデンと置かれてるのはシュールだが、
視覚的にプレゼントがどんどん増えていくことが嬉しくなる。
ちなみに一部のアイテムは実際に使ってくれたりする。
ラケットを渡すと何もないところで素振りをするキャラはシュールだが、なんだか嬉しい。
↑絆を高めることで戦力としても上がるが、最大のポイントはそのキャラを深堀してくれること。愛着がわく。
アジト内で話しかけると発生する、絆エピソードそのものは
クオリティはまちまちなので一概には言えないが
少なくとも気に入ったキャラクターはいくつもいるので良く出来ているとは思う。
キャラ自体は全体的に魅力的なのですが、
その中でも僕のイチオシはこのハナビちゃん。
この子は凄いですよ。
牛の乳を搾ったら生クリームが出てきた、というレベルで
100%どろり濃厚な「負け幼馴染」!
感じるわこの子から…!芙蓉楓や田村麻奈実のオーラを!
恐らくピンとこない人もいると思いますが、
「こんな殺人鬼がいるかもしれない部屋にいれるか!わしは部屋に戻るぞ!」と言った人がその後死んだら
得も言われぬ”美しさ”を感じませんか?
彼女はそれ、美しさの塊です。
- 鈍感な主人公とイマイチ押しの弱い幼馴染!
- 大切に思われてるが主人公からは気の許せる”仲間”扱い!
- クールな女ヒロインが恋のライバル!
- ちょいちょい主人公にアピールしてもスルーされる!
役が揃い過ぎてて満貫どころか役満の域やでコレは…!
日本に2億はいると言われている負け幼馴染大好き協会会員はこれもう大好物でしょう。
ダルビッシュでも投げられないど真ん中ストレート。
今時怖くてこんなん投げれないくらいですよ。でも投げましたよこのゲーム!
ダレてきたゲーム後半のモチベはこの子が大いに支えてくれました。
道中のイベントごとに
あーこれは勝てそう勝てそう・・・!やっぱ引きやがった!このアマ!
と興奮が止まりませんでした。
結局負けるのか勝つのかはぜひ、クリアして確かめてみてください。
と、滅茶苦茶特定の一人を馬鹿に…もとい可愛がった感じになりましたが、
仲間の存在はシナリオ上でも凄く大きいです。
主人公とラスボスは仲間という点で対比構造になっていますし、
主人公の名前がそのまんま表してるように
物語上で「絆と繋がり」ということがキーワードにもなっています。
みっちりと仲間との絆を描いた上でたどり着いた最終決戦。
そこで描かれる王道、もといベタベタな演出には
「このゲームをやっててよかった…」と心から言えました。
他でやられたら笑っちゃうだろうけど、
仲間を丁寧に描いたからこそ描ける仲間との絆や繋がりをダイレクトに描いた、あまりの王道演出には説得力があり、
なんつーかその…心を動かされた。
きっとそれは、
このゲームと主人公の持つ「念力」なのだろうと確信しました。
是非ハナビちゃんの恋路と共に見届けてほしいですハイ。
□総評
良作です。
評価のマイナス点として大きいのはとにかく単調さからくる中盤~終盤までのダレ。
スキルポイントを振ってアクションを覚えきるあたりでゲームから新鮮さが無くなる。
特に敵の種類の少なさはキツかった!
やることが同じになるので「カッコいい!」で支えきれなかったんじゃい!
このダレのせいで、本来相互にシナリオを補完しあう
もう一人の主人公編をやる気力が湧かなかったので結構致命的でしたね。
ちゃんと意味のあるダブルヒーロー制を作れてるのは評価。
だけど、ダレから来る飽きへの対策が無かったのがちょっと残念かな…。
ただ、今後アニメ調グラフィックのゲームはこれが”壁”になります。
グラフィックだけじゃなくて演出まで優れてるので
生半可なゲームでは太刀打ちできない金字塔が出来ちゃった。
本作のモチーフは彼岸花ですがその花言葉には「情熱」というのがあります。
正に情熱の賜物であるグラフィックは一見・そして1プレイの価値がありますよ。
興味ある人にはお勧めです。
つか2億人くらいプレイしてほしいです。その最初の一人にならんかい?
さて、彼岸花には「情熱」以外に幾つもの花言葉があります。
その一つをこの記事の〆とさせてもらおう。
「また会う日を楽しみに」
↑続編が出たら買うぜ。だからもう一度情熱を持って頑張ってくれよな!