ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

愛してるぜベイベ。『新・女神転生V(5)』レビュー。

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みんなー!愛し合ってるかーい?(挨拶)

ゲームって全部が優れたタイトルもあれば、どうあがいてもおもんないゲームもあるじゃないですか。
で、困るのは全体的にはちと微妙なんだけど「ここだけは優れてる」っていう一点突破型のゲーム。
僕はこういうゲームは肯定派になるんですよね。愛情さえ持つこともある。
苦痛が続いてもなお、一瞬だけでもその苦痛を取り戻すように面白いゲームを。

と、いうわけで『真女神転生V(5)』をレビューしよう。

 

ではよしなに。

 

□概要

僕の守りたい東京は、君の東京ではない。

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いつもと変わらぬ日常だった。
品川駅を抜け、学園から帰宅する主人公。
世間では連れ去り事件の話で持ち切りだが自分には関係ないものだと思っていた。

その瞬間までは。

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急な地震。唐突に異世界へと送られる主人公。

目の前に現れた悪魔に今まさに殺害されそうになった刹那、
謎の男「アオガミ」が現れ主人公に力を与える。
主人公が得た力は悪魔でもあり神でもある力、「ナホビノ」の力であった。

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アオガミに導かれ「ベテル」という組織に合流するため、
異世界を行く主人公。
異世界の名前は「トウキョウ」。18年前に東京だった場所────。

 

世界を創生する旅。その結末はあなた次第。

 

ポケモンよりずっと前からあった野良のモンスターを捕まえて戦わせる
ブリリアントな輝きを放つRPG、その最新作。
勿論、高難易度RPGとしてのプライドは維持しその牙は衰えていない。

で、本作。
正直な本音としてはお勧めしねぇな。って感じの出来。
けれど俺と、メガテンファンなら確実に好きになる出来だ。

自分はメガテン3からアトラスファンとなり、
アバタールチューナー1・2、ペルソナ3・4・5とプレイしてきた。
が、メガテンに関しては3以来。

懐かしくも新しい東京に思いをはせつつ、説明していこう。

 

 

□ああ懐かしくも厳しくめんどくさい東京砂漠

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RPGであり、クエストもあるがやることは基本的に

  • 戦う
  • 仲間にする
  • 合体する
  • 次に進む

の繰り返しである。

ストーリーは勿論あるがかなり薄味。
ある種ダンジョンRPGのような割り切りすら感じるほどストイックだ。

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↑後半のマップだがとにかく上下に移動させられるマップ構成。非常にめんどくさい。

また、本作においてダンジョンと言えるものは存在せず
ごくごく一部のみ屋内での戦いがある程度。
(その屋内も広すぎてダンジョンと言うよりフィールドに近い)
その代わりと言っては何だが全てのフィールドがダンジョンじみた複雑な3D構造をしている。

そんなわけでいよいよもってダンジョンRPGと言えなくもないが
本作をプレイした印象としては
RPG化した死にゲー(ソウルライク)という印象。

 

というのも一つのエリアにおいて
セーブ&回復ポイントがかなり狭い間隔で大量に設置しており、
なおかつ今作はMP消費量が高く設定されている。

そしてうっかりすると死んでしまう難易度の高さから
そのポイントへひーこら言いながらなんとか到着するってゲームスタイルになる。

シンボルエンカウントになったことで過去作程敵の奇襲⇒全滅という流れの心配が少なくなっているためヌルくなっている印象はあるが、
それでもうっかりすると死ぬことがある。
正直めんどくさ・・・とはいえこれがメガテンである。

ただ先述の通り死にゲーのようにセーブポイントが非常に大量にあるため、
戦闘で死ぬ程度なら正直そこまでストレスは薄い。

唯一、マップ構成がゴミのように煩雑なため、
遠いところの宝箱を開けた後に全滅するとガチでイラッとする。
砂漠だらけのマップの面白く無さと複雑さのせいで面白く無さに拍車がかかっている。

進行のたびにセーブするくらいの感覚でないとストレスが貯まるので、
正直ソウルシリーズのように回復ポイントでオートセーブくらいの親切さが欲しかったかなと。

 

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↑悪魔会話は今回も健在。すいません、瀕死にしてボールを投げさせてもらえませんか。

また、シリーズ伝統の悪魔会話も凄くめんどい。
野良の悪魔を仲間にするにあたって主人公が悪魔と会話(TALK)するわけだけど、
パターン化されておらず、下手すりゃ完全ランダムなんじゃないの?ってくらいに
「正解」が無い。

こういうタイプの悪魔はおだてりゃ仲間になる、みたいなパターンが分からず
マジで”感覚”で何となくコレで通してる。
野生の悪魔をブリリアントに瀕死にさせて輝くボールをぶつける方が分かりやすいよコレ。

 

後、俺を仲間にしたいなら、と稼げる金額よりも圧倒的に多いお金を要求して来る。

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それに対してプレイヤーの金策は基本自販機の小銭漁りという始末。
正確に言えば自販機に残ったアイテムを売ってお金にするわけですが、
自販機の遺物を漁って転売して悪魔に貢ぐと考えるとかなり冒涜的です。
一応主人公は神様みたいなもんなんですがいいんですかね…?

 

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↑今回UIが一気に良くなった悪魔合体。そしていつもの魔人アリス!君カワウィーね!

そして悪魔合体な!

今回、逆引き合体や過去仲間にした悪魔をお金で引っ張ってきて合体できるなどUIの便利さは物凄く上がってる。

でも、元々こういう仕様とはいえ、
異なる悪魔を2体以上合体させて一つにするって時点で手札が一つ減るわけ。
コレ、冷静に考えると結構不合理だと思うんすよ。

このゲームって耐性と使えるスキルの幅が何より重要だから手札はある程度持っておいた方がいいワケ。
そうすると、失った手札は補充しておいた方がいい。

さっきのクソめんどい会話か、高額で悪魔を再召喚しないといけない。
一回勧誘した悪魔位サクッと仲間にさせてほしいんだけど…。

合体による新しい悪魔との出会いと言うワクワクとめんどくささが両立してる。

 

全体的に凄く不合理…つーかめんどくさいんですよね。
決してライト層向けではないめんどくささ。

あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
面白ッ。

はい、手のひら返すよ。

 

 

□僕がめんどくさくても友達でいてくれますか。

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基本的に凄く凄く不合理なんですよね本作。
この不合理を愛せますか?
というのが本作を楽しめる一つのボーダー。

昨今のゲームって高難易度って言っても割とユーザーフレンドリーじゃないですか。
SEKIROの形代のような試行錯誤のためのコストを稼がせることもあるけれど
それこそソウルシリーズは死んだ!ハイ次!と突撃できるようになってる。
なんだけど本作全体的にめんどくさいんですよ。

 

f:id:exa_axe:20211212011422j:plain↑出来る限り属性を複数持たせたくなる。攻撃の幅はそのまま強さになるのが本作だ。

先ほどの悪魔合体も会話も滅茶苦茶面倒。

今作、後述するとある都合によりせっかく悪魔を作っても結構すぐオサラバになってしまう。
コイツ合体させたところでそんなに戦力にならんよな。
てか冷静に考えると合体を頑張っても
ここのボスを倒したらすぐまた合体していなくなる様な悪魔じゃない?
究極無駄じゃない?
みたいな思いもあるんですけど
凄くスキル構成を練ってしまう。

だって楽しいんだもん。

チャージ持たせるか?補助持たせるか?みたいな、
たった一つスキルを持たせるか否かで凄く考えてしまう。
使わないかもしれない、無駄な行為かもしれません。

何度も言うなよ。その無駄が楽しいんじゃないか。
人造人間じみた発言ですがこの精神ですよ。
無駄になることが分かっていながらもやってしまう中毒性が悪魔合体にはある。
世界の片隅でこっそり核兵器を作るようなこの感覚がたまらなく愛おしい。

 

f:id:exa_axe:20211212011700j:plain↑手持ちに対応する悪魔がいると始まる特殊会話。仲間にしたいだけなのに!と思いつつも結構楽しい。

悪魔会話でも特定の仲間を持ってる状態で会話すると
勧誘したかったのに特殊会話が始まってどうでもいいアイテムだけ寄越されて終わったりするわけ。
スゲェ煩わしいじゃん?無駄無駄。
でもこの無駄を楽しめる人間なら面白いワケよ。

フィールドの構造自体は凄く不便なものの、行く先行く先で新しい悪魔と必ず出会える。
めんどくさいと思いつつも会話して仲間にして合体させてまた新しい悪魔と出会って。
6属性全部持ちの悪魔を筋肉モリモリの物理型悪魔に合体させてやっべー…これスキルどうしようって悩むのも良い。
(実際ここは正直あんまり利点ではないかもしれんが)

 

ただ、面白いと言い切れるのは正直この会話と合体部分、あとは戦闘だけなので
プレイヤーによっては飽きが来る点は否定できない。
特にペルソナから入ったプレイヤーにとってはシナリオの薄さややれることの無さは辛いだろう。
とはいえ、メガテンファンには垂涎の出来ではある。
悪魔さえ作れれば良い。悪魔と戦えれば良い。悪魔と会話さえできればよい。
そういった字面にすると頭のおかしい人たちには18年前に恋焦がれたタイトルがそのままの姿で登場したといっても過言ではない作品だ。

 

ただそんな無駄を許容する人間でもちょっと耐え難いものがある。

 

□プレスターンバトル、嫌いかもしれん。

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↑弱点を突くかクリティカルで行動回数が増える。戦略を練ってしっかりと戦う必要があるバトル。

メガテン3で初導入され、以降のアトラス作品の多くに導入された
プレスターンバトルだが、
導入当時は新鮮さもあって歓迎されたが既に15年以上もたっていて古臭いものという印象が強い。

知らない人向けにざっくりいうと以下のようなルールで戦闘をすることになる。

  • キャラクターの数だけ行動回数があり、行動することで1消費される。
  • 敵の弱点を突くかクリティカルをキメることで行動回数の消費が半分の0.5になる。
  • 逆に無効化・回避されることで行動回数は2消費してしまう。
  • つまり、4人PTの場合だと最大8回行動できるため一ターンで大ダメージを与えられる。
    が、逆に回避・無効化されると最大2回しか行動できない。
  • このルールは敵と味方両方に適用される。

 

f:id:exa_axe:20211212013748j:plain↑アナライズをキメて敵の弱点を知ること。これが最も重要。情報こそが戦闘の要だ。

元々と言えば元々なのだが、このプレスターンバトルのネックは
勝敗は戦う前に殆ど決まっている、という点だ。

本作、特に序盤の終わりから中盤頃が一番顕著なんだけど
敵にアナライズして弱点を知り、敵のスキルを知り、
弱点を突ける行動と敵のスキルにあわせた耐性を持つ仲間を連れていくことが最も重要。

つまり、最初は全滅前提で突っ込んでしまうのが一番効率的なのである。
ね?死にゲーっぽいだろ?

無論、なんとなくで勝ってしまうパターンも起こり得るし、
敵があからさまに火属性を使ってくるなってのが分かって事前に準備出来てしまうパターンもある。
ただ大半はアナライズしてハイハイ弱点これねってプレイする。

メガテンシリーズで常に重要なバフ・デバフ呪文や回復魔法は
どうしてもプレスターンを1消費するので弱点を突いた直後などでないとかなり勿体無い。

普通のRPGでは補助を全開にしてから殴るのが最大効率だが
本作の場合は弱点を殴ってから補助をばら撒かないと効率が悪い。
アイテムでも何でもいいから兎に角弱点を突くことが大前提なんだよね。
任意で有利になる、から義務になってるのはめんどくさくていけ好かない

まぁでもこれはメガテン3からそんなもんと言えばそんなもんではあったしそれも踏まえて悪魔のスキルを練るのも戦略なので許容範囲。
だが数々のめんどくさ要素を許容してきた自分ですらどうしても気になる点がある。

 

f:id:exa_axe:20211212015004j:plain↑攻撃時に敵のレベルが分かるようになっている。そして敵のレベルがこっちより高すぎると・・・。

プレイしてて「なんか敵が固いな」って思うシーンが結構ある。
でもクリアできるんで気にせずプレイしてるんだが、
終盤のエリア、レベルが10以上の雑魚モンスターにすりつぶされてその正体に気づくことになる。

本作はアダムとイブに准えたような物語が展開されるのだが、本作最大の禁断の果実、
それは「レベル差補正」に手を出してしまったことだ。

本作はざっくりレベル差が±3までは問題ないんだけど、
それ以上になるとがくんとダメージが上下する。
例えばこちらのレベルが4以上だと一気に楽になり、逆だとダメージが驚くほど通らない。
先述のレベル10も差があった雑魚モンスターは10分の一近くにまで与ダメージが減少した。

 

僕はライト層に向けたタイトルならレベル差補正ってのは大正義だと思ってる。
だって簡単じゃん。レベル上げちゃえば勝てるんだから。
ドラクエとかがやる分にはなーんも反論しない。
ライト層にレベル以上にわかりやすい要素は無い。

でもメガテンってライト層に向けたタイトルじゃねぇじゃん。
あくまでもハードでコアでダークで高難易度な悪魔的タイトルじゃん。
しかもこのレベル差補正はゲームバランス調整する上で楽をするためだけのものだ。

ライト層に向けるんならさっきの悪魔会話や合体のめんどくさい要素を改善して出せ。
コア層に向けるならこんな手抜き要素を出すんじゃあねぇよぉ!
ライト層を取りたいのかコア層に向けてんのか矛盾して食い合ってるんじゃい!

 

f:id:exa_axe:20211212020421j:plain↑主人公のレベルが高くたってダメ。悪魔自身のレベルが足りないと弱点ついてもほらこの通り。

低レベルクリア出来るゲームが名作とは言わんが、
プレスターンバトルの面白さって明らかに敵の方が強いのに戦略次第で勝てるって点。
ドラクエの魔法の様に一定ダメージを絶対に与える仕様ならともかく、本作ではレベル差があまりにつきすぎるとダメージが一切通らなくなるため絶対に勝てない仕様になっている。

適正レベルまで上げればスリリングな戦いが出来ることは保証するが、
入手経験値にすらレベル差補正がかかってしまう本作では「適正レベルまで上げろ」という神の見えざる手が見えていることが気に食わない。

しかも悪魔は主人公よりも経験値取得量が少ないのか、レベルアップが正直遅い!
結果的に次々悪魔合体で更新していく羽目になる。
さっき言ってたせっかく凝ったスキル構成も一瞬で無駄になっていく作りになっている。

本作のレベル差補正はとりあえずプレスターンバトルにしておきました!理由はないですが!というスタッフの自白を見せられているようで凄く悲しかった。
何が面白いのか、というのを理解してからシリーズを作ってほしい。

プレスターンバトル、好きですか?僕は嫌いになりましたよ・・・

 

 

□総評

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人に勧められない良作といった印象。

面白い?面白いけどメガテンファンが歓喜するタイプの面白さであり、
他のゲーム、特にペルソナユーザーが面白がれるかというと結構つらいと思う。

ライト層向けにマイナスにデカいのが
シナリオの薄さとキャラクターの掘り下げの薄さ。
メガテンなのでシナリオが薄いのは仕方ないと自分は許容してもいいが
それでもキャラについては製作途中で力尽きているような後半部分が丸々吹っ飛んだようなキャラが多い。

何ならレベル80のころにレベル40のキャラが助っ人にパーティ加入したりするほどで、
明らかに「シナリオに変更があったな」とプレイヤーが理解できてしまう作りにはガッカリだ。

 

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↑本作の陣営ごとの主要人物。しかし、太宰に比べてユヅル君は目立った活躍は無い。

唯一太宰というキャラクターは濃密に描かれているもののそれ以外はかなり印象が薄い。
人間の主要人物たちが昔の女神転生のように
ロウ・カオスそれぞれのヒーロー・ヒロインになるかと思いきや、概ね目立った活躍も無く終わる。
正直太宰が濃密なだけに悪目立ちした印象すらある。

ライト層にとってシナリオってかなり重要でモチベに繋がるんだけど
キャラクターとプレイヤーを引っ張るシナリオの提供間隔が正直かなりイマイチで、
特に国会議事堂までの序盤のしんどさはかなりある。
メガテンマニア以外は正直シナリオには一切期待するなとハードルは下げておこう。

 

とはいえ、悪魔を集めて合体して・・・というシリーズの根本的な面白さは変わらず。
ニヤニヤしながらスキル構成を考える楽しさはこのシリーズならではだろう。
ここをしっかり残してくれるなら僕は愛すよ。このシリーズを。

 

是非、貴方も最高の悪魔体験を楽しんでほしい。

ほら、こういう色っぽい悪魔もいることだしさ。

あんたも愛してやれる悪魔を見つけてくれよな!ではまた。

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↑本作最高のモデリングと言っていい人魚の悪魔。是非仲間にしてやってくれよな。