幽門、開いた〜!(挨拶)
Twitterを中心に子供の頃の方が楽しかったという言葉を聞きます。
確かに最近、「腹いっぱい」のリミットが小さくなった気がしますし、串カツは腹いっぱい食えなくなりました。
それでいて腹は出る様になる人体のバグが起こっています。デバック不足だろ。
でも僕、大人になってよかったこととしてゲームを
何となくで買えるようになったことは明確にプラスだと思ってて。
というわけで何となく興味があって買ったらクッソ面白かった『HADES(ハデス)』をレビューしよう。
ではよしなに。
□概要
見下ろし型のアクション+ローグライクというジャンル。
ローグライクは幾つもプレイしてきたが意外と見下ろし型アクションは珍しい。
全く情報を入れずにプレイ開始した自分がまず面食らったほどだ。
本作にも勿論ストーリーはあるが、ぶっちゃけ1行で済む。
オラこんな冥界いやだ。地上行って母に会うだ。
これである。本当にこれだけである。
(一応シナリオ展開はちゃんとあるよ!)
そして基本的なゲームの流れは
- 武器種を選ぶ
- 戦闘して強化を取る
- ボスを倒す
これだけ。
ストーリーを含めて非常にシンプルなゲーム性である。
しかしゲームというのは
えてしてシンプルに説明出来るものほど面白いのは皆さんご存知のはずだ。
さて、ローグライクというジャンルは日本人向けに説明すると
どうしてもシレンやトルネコといったチュンソフト作品を例に挙げるほかない。
分かりやすいヒット作が無いからね。
ただシレンはリソース管理型ローグライクであり、
本作はデッキビルド型ローグライクである。
なのでシレンをアクションにしたものというより
Slay the Spyreをアクションにしたもの、というのが最もわかりやすいだろう。
Slay the Spyreと聞いてピンと来た人はもうこの先を読まずにプレイしてほしい。
分からない人は、本ブログの過去記事を見てアクセスの養分となった上で以下を読んでくれよな!
□どんな風に僕を癒してくれる
まず最初にいっておきたいこととして
このゲームは高難易度ゲームではない。ということ。
このゲームは
「どうやって無双するか」を考えるゲーム、なんだ。
本作は先ほども言ったように武器種を選んでせっせとランダム生成されるダンジョンを攻略する。
シンプルなゲーム性だがローグライク、そしてアクションとしても
かなり珍しいシステムが幾つか採用されている。
↑本作の象徴功徳!一冒険だけ持続する強化で、神ごとの特性に合わせた様々な種類がある。
早速だが本作の象徴ともいうべき
功徳、という1冒険中のみ継続するスキルについて。
本作はギリシャ神話をベースにしており、
聖闘士星矢を読んでいたおじさんおば…おねぇさん方は見知った名前がよく出てきて驚くはず。
自分は大体グラブルで出てきたアレだ!となったのでまだ若者ですが。
本作はステージ(本作では区画と呼称)制を取っておりそれを攻略することになる。
殆どはそこにいる敵を全滅させることで次の道が開き、そしてご褒美が必ず出てくる。
ご褒美の種類としては
先ほど言った強化アイテム。そして功徳だ。
↑雷神ゼウス!彼にあって能力を得ることで攻撃時に雷を落とせるようになる!
例えば通常攻撃時に雷撃を追加で放てるようになる雷神ゼウスの能力や
ステップ時に波を発生させて敵を吹き飛ばす海神ポセイドンの能力のように
ギリシャ神話の神がそれぞれの特性に合わせた多種多様な能力をくれ、主人公を強くしてくれる。
また、全ての功徳に5段階のレア度が存在したり、
複数の神から功徳を得ることでデュオ、つまり両方の特性を併せ持つ強力なスキルを得られる等のランダム要素も完備。
この功徳を集めていき主人公を強化していくのが本作の探索の基本的な流れだ。
手にした功徳によっては同じ槍という武器種を選んでも
投擲にボーナスをつけて延々と槍を投げ続けるなげやりなヤリマンになったり、
ダッシュ攻撃に電撃効果をつけて手当たり次第に手を出すヤリマン、
通常攻撃に吹き飛ばし効果をつけて敵を壁ドンし続けるヤリマンにもなる。
ヤリマンは強い。実際、武器種は多いがその中でも僕はヤリマンプレイがお気に入りだ。
↑予言のおかげで一武器種のみ、同じような功徳のみという選択をやめて様々な選択をするようになる。
一度強い功徳を選ぶとその後も同じ功徳ばかり選びそうになるが、
そこは予言というシステムがフォローを入れている。
予言はいろんな条件を満たすことで強化アイテムを得られるようになっているんだ。
その中にすべての功徳を使うこと、がある。
なのでプレイしてて「オッ予言埋めに選んだけどコイツ強いじゃん!」と
新たな発見を促しているのはやるなぁ…とニヤリとする。
↑BackAtack!右はちょっとわかりづらいが柱ごと攻撃して敵を柱で押しつぶしてるぞ。
また、テクニックの介在する要素が強くプレイヤーの成長を実感させてくれるところも良い。
本作は珍しいところとして
- バックアタック(背面からの攻撃)の概念
- 敵を吹き飛ばして壁にぶつける
- 敵同士をぶつける
- 柱を壊して敵を潰す
- (趣向が少し違うが)異なるデバフを2つ付けると敵に与えるダメージが大きくなる。
上記で敵に追加ダメージを与えられるという要素があり、
武器火力が少なくても様々なテクニックでカバーできる点が魅力の一つでもある。
実際、ダッシュ(ステップ)から後ろに回り込んでバックアタックをするのは基本テクである。
↑最初のボス、メガイラ(メグ)。最初は普通にボコられるが慣れてくるとノーダメも行けなくもないぞ。
ステージを攻略していくとそのエリアでのボス部屋があり、
最初はそのボスにぶっ飛ばされることも多いだろう。
ただ、敵はパターンでしか動かないためプレイヤーが学習していくとボスに中々負けなくなる。
プレイヤーの成長が起こるわけだ。
やはり「倒せなかった敵が倒せるようになる」というのは目に見えてわかりやすい成果であり嬉しい。
壁を乗り越える楽しさをしっかりと得られるぞ。
↑静止画では表現しづらいがとにかくテンポが速い。また次のステージとご褒美はプレイヤーが選択できすぐ行ける。
んで最後、ゲーム全体に流れるテンポが非常に良い。
まず攻撃アクションはどれもこれも非常に速い。
他のゲームだとモーションが遅い代わりに強力な攻撃、というバランスのとり方をするが
このゲームには「早くて強い」か「超早くて強い」しかない。
これが令和の速度だ。お前ら老人についてこれるか?
また、当然のようにステージ間はロードも無く非常にスピーディ。
移動速度は功徳などでバフをつけることもできるが遅いと感じることは無い。
さらにさっき言った、テクニックの向上によりステージ攻略速度もガンガン上がっていく。
サクサクという言葉のゲームにするとこうなるんだなとすら思える。
んでこれはローグライク系のレビューで毎回のように言ってますが
ローグライクには”流れ”がある。(断言)
野球を見てる人にはわかるであろう流れだ。
ローグライク、特にシレンで言うと
透視の腕輪取ってパコレプキンの腕輪を取ると「こりゃもう勝ったわガハハ!」ってなるでしょ。
ローグライクはこの”流れ”が来てサーフィンの様に乗りこなすことに快楽を見出すわけ。
ただ、HADESの場合は違う。
リソース管理系は流れに乗れるかどうか、波を待つ必要がある。
だがHADESは、デッキビルド系は流れを、波を作れるのだ。
先述の功徳と、テクニック部分で説明した如何にダメージを伸ばすのかという知識。
これを掛け合わせて「どうやって無双するのか」を考えるんだ。
↑手に入れた功徳をさらに伸ばす方向で鍛えていくと無双できる。バランスよりも特化したほうが面白いぞ。
ステップ時に敵を吹き飛ばす波を生み出す。
では敵を壁にぶつけた時のダメージを上げよう。
さらに波を当てると敵を裂傷という状態異常にするようにしよう。
んで敵を毒(本作では二日酔い)にする弾を発射できるようにしよう。
ダブルデバフで火力を上げよう。
と、どんどんと功徳を盛っていく。
んで元々仕様として自動ターゲッティング(敵の方に向く)もあり、
きっちりと功徳を仕上げていくと
適当にボタンポチポチで勝てる状態になる。
最初は弱いのでしっかりと回避して被弾を減らしていく必要があるが、
中盤頃からは火力で圧殺できるようになっていく。
ここらへんになるとウキウキで心が躍りだしてくる。
最終的にはタマキンが踊りだすような絶頂モンの快感を味わえる。
心が躍るとタマキンが躍る。心が先でタマキンが後だ。
勿論最初からボタンポチポチで勝てちゃうとつまらないけど、自分が育て上げた主人公だ。
練り上げた主人公だからこそ達成感があってすこぶる気持ちいい。
↑最終ステージは毒攻撃が厄介だが敵自体は弱め。鍛え上がった主人公だともうスイスイとクリアできる。
細かい話だがこのゲームの気の利いているところとして
最後のステージはそのひとつ前より雑魚が弱い点(いやらしい能力はもってるが)。
明確に主人公の方が強いんですよ。力関係が完全に上位になる。
だから爽快感がもんのすごいの。
デッキビルドの「後半の方が何でもできるようになる」って言う快感原則が凄くしっかりしてて、
元々後半の爽快感は高いんだけどそこにさらに敵がちょっぴり弱くてさらにドン。
反面、ラスボスは異様に強くてこれ勝てるの?!となってしまう点はあるが
終わってみればとても丁度良い歯ごたえだった。
素晴らしい。
たった30分であまりにも高い高揚感。
・・・今「ん?」と思った貴方。流石だね。
実は本作、
同じダンジョンを何度も何度もクリアするゲームになっている。
ランダムダンジョンではあるがほぼ同じような内装のダンジョンを何度もだ。
ゲームのエンディング(およびエピローグ)を見るためには
クリア回数は5回程度では済まない。(ネタバレを避けるため正確な数字を言わないが)
同じダンジョンを5回以上もクリアしないとエンディングは見られないんだ。
同じダンジョンを…?五回以上も…?!
と引いた読者もいるだろうがそこは安心してほしい。
本作が凄いのはここからである。
□去る小林尊、そしてジャイアント白田
今の(つっても最近出てないが)水曜日のダウンタウンで
ネタ要因と化したジャイアント白田を見てるとわからないだろうが
昔の大食いバトル系番組は妙に熱があった。
その中でも白田は特に衝撃的な登場だった。
んでその大食い番組の中でも「味変」(味変更)というのは凄く重要な位置を占めていた。
自分も昔、よほど俺が哀れに見えたのかフラッと入った店が大量に飯を出してくる店で
そこそこ美味しいがとにかく同じ味の無限列車だったため残してしまった。
ホームレスでも飯を残すんだ…という視線が僕の心のやらかい場所を今でもまだ締め付ける。
で、何が言いたいかというと
このゲームの凄いとこは味変が非常にいっぱいある。というところ。
ジャイアント白田はジャイアント白田しかいないじゃないですか。
でもこのゲームは色んな白田がいたほうが面白いってスモール白田もジャイアント黒田も用意してるわけ。
同じダンジョン・同じ武器種なのに全く違うプレイングが出来るほど味変を重視してる。
まず武器種が6つある。
- 剣
- 槍
- 盾
- 弓
- 拳
- 銃
各武器はそれぞれ攻撃方法が全く異なる。
先ほども言ったが功徳の取得仕方によってメインとなる攻撃手段がまるっと変わるのも面白い。
7つも攻撃手段*1があるが飛びぬけて強くなるものもあればまんべんなく強くなることもある。
↑武器自体が6本あってフォームが4つ!そして冒険中に攻撃方法が変わってしまう!
更に武器ごとに4つのフォームがある。なので事実上6*4の24パターンを選べるわけ。
ヤバない?(一つ足りないが)実質レインボー白田が4人もいるんだぜ?
更にダンジョン道中で特殊なアイテムを取得すると武器の攻撃方法が大幅に変わる。
場合によってはモーションすら変わる!
ヤバない?もはやオリハルコン白田だぞ?
とにかくプレイングの幅が非常に広くなるんですよ。
ほぼ同じダンジョンではありますが、一度たりとて全く同じ冒険はない。
ついでに言えば装備した武具によって神々やボス戦での会話まで変わる細かさ!
んん~ジャイアント万華鏡。
そう、ジャイアント白田は一人ひとり、人の数だけいたっていいんです。
多様性はジャイアント白田からスタートするって言ってもいい。
つってもさ。
流石に雑魚やボスの攻撃パターンが分かっちゃうと正直楽に勝てるようになっちゃうんですよ。
最初のボスとか速度を考慮しないなら多分ノーダメで勝てる。
(ただし、ノーダメ撃破報酬みたいなのは無いんでやる意味はない)
なのでどっかで飽きるかな~って思ってたら
↑一度クリアすると条件を変更してプレイ可能!そしてご褒美ももう一度得られるので何度もプレイしたくなる!
一度クリアすると様々な縛りをつけて難易度を上げてプレイすることが出来る!
武器種毎にクリアする度に報酬が貰える!
↑一度ボスを倒してもまさかのパターン変化!これはマジで感動した!
その縛りの中にはボスの攻撃パターンを増やすという味変まで出来てしまう!
うっひょ~ミクロマン梶原~~!!(称賛)
…えーっと何の話でしたっけ。
アンジェラ佐藤でしたっけ。
違いますね。HADESの話ですね。
シレンやトルネコは複数のダンジョンを用意して味変をしています。
後、プレイしてて拾うアイテムが全く違う。
これ自体は頑張ってると思うんですがやっぱり味変としてはちょっと少ない。
しかもどうせみんな最終的には「もっと不思議」ばっかり潜りますからね。
反面、Slay the Spyreも複数のキャラを用意して同じダンジョンのプレイスタイルを変える味変ですが、
HADESの味変はちょ~っとマジで多い。凄い。
トラップが即死級になったり、見たことない敵が出て来たり、
ツルツルと滑るようにSUSURUように食えるのに全く飽きない。
先ほど言った5回以上クリアしないと見れないエンディング。
そしてその後にエピローグまで存在するのだが
どちらも勢いでペロリと平らげて皿まで食ってやった。だって飽きないもん。
なんというか、
歯ぐきから血を出しながらご馳走様でした。と言いたくなる作品でした。
↑破竹の6連勝を決めた回。しかし、構成は似たような感じになってしまって飽きがドカンと来ていた。
ただ一点だけ本作の弱点・・というか悪いところを上げておこう。それは
シレンなどに比べると(ほぼ)必勝パターンが存在すること。
最初は武器種毎に周回数でご褒美が貰えるから
1周目は剣⇒槍⇒盾…、2周目は順番変えて銃⇒剣⇒盾…
みたいな感じで武器種を順繰り変えてプレイしてたから飽きが来なかった。
けど、
トロフィー狙いで弓4周目!弓5周目!弓6週目!ってやっていくと凄い勢いで飽きがくる。
お菓子の家をたらふく食ってたら魔女菅原が助走つけてドロップキック食らわせてきたみたいな飽きの衝動がドカンとくる。
結局武器ごとに強い攻撃と相性のいい功徳があり、パターン化しやすいんだよね。
トロフィー取得のために特定の武器でクリア回数を積み上げていったんだけど
そうすると完全に刺身の上にタンポポ載せる流れ作業になる。
週によっては出てこない神と功徳があって変化はあるけれど
割とどれでもなんとかなっちゃうからサクサクとボタンを押してクリアするだけになってしまう。
これを回避するためには
プレイヤーが自主的に味変”しなきゃいけない”ってのがちと惜しいなと。
オープンワールドでどこからクリアしていくかと舌なめずりしてる時は面白いけど
クリアする直前で攻略対象が残り少なくなっていくとやる気がすり減っていくように、
楽しいから色々やったろ!という自由が義務に変わる時が”来る”。
ここら辺はどうしても主観になりますが
「クリアを保証しない」シレンの方が自分としては好みだったりします。
ただ、これはエピローグまでクリアしてからの意見。
少なくともエピローグまでは本当にモリモリプレイしておかわりし続ける中毒性がある。
もし気になった人は出来れば是非のんびりとプレイしてください。
ビュッフェスタイルの様に大量の選択肢に悩みながらプレイしているときが一番面白いですぞ。
□総評
文句なしの傑作です。
うーんローグライクは傑作が多すぎる。
暗い・グロイ要素は殆ど無くこういったゲームにありがちな高難易度ってわけでもない。
この武器とこの功徳が強い!と武器と功徳毎の相性や序列を理解し始めるとポンポンポンッとクリアできます。
ついでに、クリアするだけならイージーモードが完備されており絶対クリアできるようになってるのでご安心。
割と老若男女、聖闘士星矢時代のレディース&ジェントルマンにもお勧めできる出来ですぞ。
さて、ジャイアント白田はギャル曽根の登場により大食いを辞めたと本人が言っています。
実際、熱を持ったアスリート形式だったフードファイトが、
ギャル曽根を頭にお茶の間受けする面白おかしくバラエティ方向に移った。
言うなればテレビ的な王道が見つかったと言っていいのかなと。
ただローグライクは違う。
自分はすりこみのように初めてプレイしたローグライクであるシレンをこよなく愛してはいるものの
まだまだ千回遊べるローグライクは見つかっていません。
シレン4は500回程度でした。
今年、縁あって様々なローグライクをプレイしているがどれもこれも面白かった。
まぁ最近のローグライクの多くは海外産ばかりですこーし…寂しいけれど。
今後もローグライクは海外を中心にではあるが宇宙のように無限大に膨張していくだろう。
だが俺の胃袋は既に宇宙だ。
まだまだ腹いっぱいには足りないので今後もいっぱい出てほしいなと。
そして最後に「何故か頭に浮かんだ」と言うだけでネタにされ、
軸に添えた結果、一気に記事が書き上がってしまった単なる被害者であるジャイアント白田氏。
氏に感謝を。
ありがとうジャイアント白田。
ジャイアント・感謝!
今度店に串カツ食いに行くから許して。
ではまた。
↑どれだけ時間がかかってもいつか食べに行きます。皆もHADESをやってハデス白田になろう!