BBA結婚してくれと昔言っていたアニメキャラの年齢を越えました(挨拶)
僕は常々、「今は効かないがローグライクはそのうちガンにも効くようになる」と思っています。
そんな人間ですから、新作ゲームがローグライクと聞くと我慢できずに駆け付けてしまうわけですよ。
こりゃ頭までがん細胞が詰まっとるかもしれません。
つーこって。『RETURNAL(リターナル)』をレビューしよう。
ではよしなに。
□概要
私は、この星に墜落した瞬間を何度も繰り返している。
私、宇宙飛行士セレーネは惑星アトロポスに不時着した。
まず違和感。次に既視感。
それらが混ざり合う奇妙な感覚を感じながら探索を進めていく。自分の目の前に”誰か”が倒れている。
仲間かもしれない、と助け起こす。その顔は誰よりも見た顔。
親よりも友よりも子よりも見た顔。
わたしだ…!この死体は私なのだ…!そして私は巨大な生物に打ちのめされる。
目覚めたとき、私はまたもアトロポスに墜落した。間違いない。ループしている。確信した。
私はこの惑星への不時着を何度も繰り返していると。この星からの脱出を目指し、私は幾度ものループへ立ち向かう。
生きるため、そして生き返るために。
TPS×ローグライク×弾幕×高難易度という結構珍しいタイプのゲーム。
まずはっきり言っておこう。
よくある「下手でもずっと続けてればクリア可能」というゲームではないです。
ローグライクゆえにランダムダンジョン。
つまり、難易度の階段をしっかり作ることは不可能です。
下手すりゃあまりにも簡単にクリアできた人と、全くクリアできない人が出てくる。
それも実力差ではなくて運の要素で。
ただ、クリアした当人からしても
高難易度とローグライクとTPSの混ぜ合わせがいまいちチグハグな印象が強い。
マリアージュじゃない、異物混入でもない。なんつーの?
「底があせぇーーー…」ってのが一番素直な感想だ。
□BBA結婚してくれ!…いややっぱいいや!
↑主人公、セレーネさん。スーツのおかげなのかジャンプもダッシュも異常に早くて気持ちいい!
さて、ゲームの主人公たるセレーネさんは見てわかる通り、
中年、というよりは初老に片足突っ込みかけてる年代だ。
容赦ねぇな。
Made In Japanならメイドが似合う美少女にしそうなもんだが、米国は容赦しない。
ただこのババア、凄い。
とにかくキビキビと動き、飛んで跳ねて銃を撃って剣すら振るう。
動き自体はDistiny2を彷彿させるがより速い。
画面からスッスッスと音が出ているかのように錯覚するほど走りが早い。
エイム自体もオートエイム機能を持つ武器や
エイムアシストが強烈なので適当にやってても当たるのもいい。
触ってて不快感が無い。
もう操作自体が気持ちいいんだよね。
ババア…気持ちいいよババア…!
↑剣が手に入る。初期銃よりも火力は高く、ステップで踏み込んでバシッと斬るとこれまた気持ちいい!
んでTPSということで遠距離からぺチぺチというスタイルも出来なくはないが、
このゲームは敵に近づかないとダメな要素を2つほど入れている。
1つは敵を倒した際にドロップする通貨がすぐさま消えてしまうので
前に出て敵をある程度近距離で倒した上でのお金回収が必然的に必要となる。
もう一つはバリアによって銃が全く聞かない敵の存在。
この2要素が上手くゲームにスリルを与えている。
このババアが行うステップ(ゲーム中ではダッシュ表記だがステップの方が分かりやすいでしょ)は
ステップ中完全無敵状態になるわけよ。
なので懐に潜りこみつつ剣でビシィーッと斬りこむことが出来る。
あと金も拾えるので一石二鳥さ。
↑このゲームの代名詞である弾幕。ゲーム後半は本当に絨毯のように撃たれる。アドレナリンは要素としておもろい。
だが敵も負けてねぇ。
完全無敵状態になるって?
ならよけきれない弾をぶつけてやる!と弾幕をがっつり張ってくる。
少年漫画かよって解決方法ではあるがまーこの要素がこのゲームを特異な存在に押し上げている。
相手は弾幕を張る。ババアは命を張る。
はったはったのがっぷり四つ。
このスリルを上手くスルリと抜けられるとまぁ気分が高揚していく。
丁度、アドレナリンというシステムがあり、
ダメージを受けずに敵を倒していくとリロード速度上昇等様々なボーナスがついていく。
ババア…熱くなってきたぜババア…!
↑様々な武器がある。そして武器ごとにアビリティが大量にあって面白い!
また、このゲームは武器やアクセサリが大量に用意されており、
武器にはいくつかのアビリティが設定されており、敵を倒すことで解放されていく。
いうなれば武器のレベルアップ要素ね。
これがねぇ、楽しい。
特に序盤は結構いろんな武器が微妙感あるんだけど一つアビリティを解放することで
世界が変わったかのように武器の印象が変わる。
武器バランスは一部を除いて良好で、最強議論が巻き起こる程度には拮抗してる。
なので色々使ってみると良い。
特に後半で大化けする武器もあり、見放して完全に使わないのはもったいないぜ。
ちなみに僕のおススメはフルオートロケランです。サイッキョ。
↑強化されるアーティファクト。寄生虫を当たり前のようにつけたあたりはギャグかよと。
他のゲームで言うところのアクセサリについては2種あり、
アーティファクト(以下、長いのでAF)と呼ばれる純粋な強化アイテムと
寄生虫というメリット・デメリットを両方孕むアイテムだ。
寄生虫なんて普通見つけてもつけないだろうけど
このババア試着感覚で自分の体に寄生虫だの未知のテクノロジーをつける。
ババア…老いてなお好奇心は消えてないのかババア…!若いな…!
↑何度でも立ち上がるセレーネさん。冒険を進めるとどんどん汚れていく様がカッコええ。
そして、このゲームって死ぬと最初から始まるループ構造が
システム的にもシナリオ的にも組み込まれており
主人公もまた、目覚めた際にそれ(自分の死)を理解している。
なんなら道中に自分の死体を見つけちゃってるしね。
武器も無くなり、鍛えた能力も消え、AFも寄生虫も消える。
常人なら気が狂うような環境にいてもなお、
「次はいける」「やってみせる」と言いながら立ち上がるババア。
細かい点だが、着陸直後は綺麗だったパイロットスーツが
攻略するステージにあわせて汚れていくのも不屈感が表現されてまた良いのよ。
ババア…お前マジカッコいいぜババア…
(一応、何回繰り返せばいいの。とか気が狂ったループもあるようだが)
と、ここまでババアことセレーネさんの魅力を紹介してきたが、
アクションそのものはキレッキレでマジで面白いです。
100点あげていい。不満らしい不満が全く出ないレベル。
そしてゲーム自体の話もしようか。
あんまり出来が良くないゲームバランスの話を。
□高難易度って言ったじゃんって言いながら殴ってくるな。
↑ゲーム中最大のインパクトがコレ。本当に最初の最初、一回目の起動時に表示される画面がコレ。
このゲームの大きな問題は2つある。
一つは難易度の作りについて。
このゲームはゲーム開始直後に
「このゲームは意図的に難易度を上げてます」と宣言している。
それ自体は構わない。望むところだ、楽しみだ。
だがゲームバランスが悪いことへの免罪符にはならない。
これが許されるなら世のフリーゲームすべてに
「このゲームは意図的に難易度を上げてます」というラベルが貼られてしまう。
閉店間際のお惣菜でももうちょっと半額ラベルを貼るのに葛藤があるのに。
んでね、このゲームは面形式になってるんですけど
最初の1面の出来は白眉なんすよ。
一度切りゆえの緊張感。
敵もやや弱めながらうっかり死ぬこともある道中のバランスが絶妙。
きちんと道中で見つけた武器やアイテムを拾い集めてステータスを積み上げてく楽しさがあった。
↑一面のボス、フリーキ。公式Twitterで言われていた最も多くのセレーネを葬った敵。だが滅茶苦茶おもろいボス。
ボス自体も予備動作がしっかりあって敵の動きを見切って最適な行動をする、という楽しさがあった。
あたかも死にゲーのような、スリリングでありながらノーダメージクリアも狙える絶妙なバランス。
ここまではマジで神ゲー。間違いなく。
しかし、3面にてとんでもない敵が現れる。
↑クソおぶクソ。三面で登場し、多くのセレーネを葬り、心を折っていった敵(ゲロカス)。
「ドローン」と呼ばれる、高火力・広範囲・しかも見えにくいというゲロカスである。
コイツがンマーとにかく強い。
正直、ゲーム内の脅威度ではすべてのボスより高い。
ここまで階段状に難易度が上がっていくゲームが
いきなりロッククライミングになったレベルで高い壁。
良いゲームてのは死んだときに自分が悪いと言えるゲームだが、
ドローンのミサイルや神風アタック等は高火力もそうだが何より見えにくい為、
なんで俺今死んだ?!?俺が悪いの?!という感情が湧く。
無論、ローグライクゆえ積み上げた武器やステータス・アイテムはパーである。
俺が地獄行って三途の川で楽しく石を積み上げてたらドローンが来て
ドーンときて、ガシャーンとやられる感覚なわけよ。
今までの鬼はそこまでひどく無かったじゃん!と積み上げるのが馬鹿馬鹿しくなっちゃったよね。
なんで3面で急激に難しくなったん?!と思うがこのゲームは当初からこう言っている。
「このゲームは意図的に難易度を上げてます」
うっせー!バーカ!!
高難易度こそ繊細なゲームバランスが必要なわけであって
いきなり強くて速い敵を出したらいいわけじゃねぇよ!
製作者が途中で飽きたフリーゲームかお前!
この三面を超える方法はドローンにあわせた武器やAFを持っていくこと。
これまで好きな武器を使ってね、みたいな顔をしていながら
3面からはいやこれ持って来いよ、みたいな顔をしやがるのが素でムカつく。
さらに、この3面を超えるとこれより難しい面がねぇ。
5面にもドローンは再登場するんだけど、
武器のアビリティ数が増えておりこちらの方が強くなる、ヌルくなる。
最終面に至っては敵が物凄く弱い。
武器が強いのもあるだろうが明らかに弱いんだ、敵。
どこ行ったんだよ「このゲームは意図的に難易度を上げてます」!
なにやってんだよ「このゲームは意図的に難易度を上げてます」!
ただのバランス調整ミスだぞ「このゲームは意図的に難易度を上げてます」!!
ただまぁこれはまだいいんすよ。いや良くねぇんだけど。
このゲームの最大の問題は「底の浅さ」だと思う。
□バケツだと思うじゃん。洗面器なんすよコレ。
↑ループから抜けられない理由はテクニックではなくアイテムでは…?と感じてしまう。
先ほども言った通り3面は特定の武器やAFの有無で難易度が大幅に変わる。
つまり持ち物検査。
これはゲームの自由度・プレイの幅、つまり底の深さと相反する概念だ。
無論、他のローグライクにはこれがあるだけで難易度が変わる要素は多々ある。
風来のシレンの透視の腕輪のようなアイテムね。
ただ、シレン筆頭に他のゲームってそれが無くても別の装備やアイテムでカバーできるわけ。
この「配られたカードで勝負するしかないのさ」っていうのがローグライクの醍醐味なのよ。
でもこのゲームは他の要素でカバーするってのが殆ど無い。
無いならテクニックでカバーしてね、みたいな作りのように見えるけど
それと同時に、代わりにこれがあったら勝ち確定みたいな装備があるのがね。
HPが回復する手段が限られてるので、敵のHPを吸い取るアサルトライフルや、
与えたダメージによってHP回復するAFがあればまぁまず負けねぇ。
それぐらい明らかに飛びぬけて強いのがあるのよ。
アイテムパワーのバランスが取れてない上にとにかくアイテムの数が少ない。
数が少ないから組み合わせる面白さが無い。
これが底の浅さの原因だと思う。
↑ゲーム中に存在するお金を投入してAFを購入するショップをぐるぐる回り、特定のAFを狙うパチスロプレイ。
流石に0ではないんだが装備同士のシナジー、コンボも少ない。
僕が認識しているのは以下の二つくらい。
ただ、確実なクリアを目指すなら
これらのパーツが出るループが発生するまで粘るのが最善策なのよね。
実質パチスロを回すようなもんです。
このゲームはステータスアップやアイテムなどで戦力の積み上げを出来るようになっていますが
このパチスロ必勝理論に気づいてからは、まともに働くなんて馬鹿馬鹿しくなる。
だってちょっと攻撃力上げてもAFの有無でほぼ変わるんですから。
ババアが朝パチンコ屋の前に行列作って並んでるようなもんすわ。
カッコよかったババアが実はパチカスだった、と考えると悲しくなってきますね。
ループスタート時の「やってみせる」「次は行ける」が別の意味に聞こえてきますやん。
恐らくいるであろう「え、そんなん無くてもクリアできるでしょ」って人は正しい。
実際自分も2周目はそうしたし。
ただ一周目で何としてもクリアしたい!って思ってたときには僕とババアはパチスロを回していたよ。
ローグライクって本来、もっともっとゲームの深さ・攻略の幅が出るゲームのはずなんですがまー浅い浅い。
ローグライクを名乗ったわりに開発陣の
ローグライクへの理解と愛が足りない。
と、ここまでボロクソだがゲームそのものは面白かった、という評価なんです。
それはなぜか?
大当たりを引いたからだよ!
□朝のパチンコ屋に並ぶババアのように
↑パチンコホール・アトロポスに早朝に並ぶセレーネさんじゅうななさい。
実際のところ引きさえ良ければクリアは格段に容易だ。
自分も1周目のクリアの際は上記のコンボを引き当てたからだ。
ほぼ全部の有用アイテムを取り切った時にゃ
後半ステージはもう無双も無双、完全に確変に入っていた。
特別難易度が低いのもあるんだろうが、最終面なんてボス含めて一発で通ってしまった。
え、嘘でしょってくらいヌルイ。いやヌルくなった。
ローグライクはしばしば波に例えられるが、まさに波、それも大波。
運によってすべてをかっさらうほどの大津波であった。
普段飲まれるのはユキチだが今回はババアのイノチ。
雑にプレイしても丁寧にプレイしても消えていくババアに募る苦労と苛立ち。
回る回るドラム。回る回るリーチ。
止まらぬ止まらぬドラム。取れぬ捕れぬアイテム。
昔のトラウマが蘇る。
ビギナーズラックに期待したら20分せずに1万円飲み込まれた海物語。
この無残に消えた諭吉と命があるからこそ取れた勝利。
気ン持ちよかったァ~~~~!!
いやぁこれまでの負けがぶっ飛ぶ大勝利。
正直あまりの大勝利っぷりにいやこのまま無限に戦ってもいいんですよ?と思う始末。
が、しかし。
どうもね、一周目は通常エンド固定みたいなんすよ。
真エンド見たかったら2周やれってよ!
しかも新エンドのための新しいアイテムが落ちてるから
ランダムマップの中でそれを探して歩き回れってよ!
そ、底があせぇ~~~~~~!!
底の浅さポイントいちおくまんてん~~~!!
底の浅さが底知れねぇよもう。
プレイ時間の引き延ばしにしたってもうちょっと何かなかったんか。
流石の僕でもこれもう馬鹿にしてんのかとコントローラーをブン投げてしまおうかと思った。
ドリフトしてたまに左を向くデュアルセンスをだ。
だけれどもちゃんとコントローラーを手に取り、始めていた。2周目を。
まぁ…面倒だけどやれるやろ、一周目クリアしたしな。
と納得したように僕とババアはまたパチスロを回し始めた。
あの時勝った気持ちよさが忘れられなくて、
あの大津波には総てを燃やしたって良い、そう思えたから。
なのでギリッギリローグライクの矜持はあったと言えなくもない…のかなと。
アレ?どんだけ負けて不快な思いをしても
勝った時の記憶が忘れられなくて続けてしまう?
やべ俺パチカスの思考じゃん…!
□総評
ちと落ちる良作、ただし開発のローグライクへの理解と愛は足りません。
アクション部分はマジ最高だっただけにローグライク部分がダメダメなのは本当にガッカリ。
なので「ローグライクと聞いて我慢できずに駆け付けた」ような輩にはガッカリすると思います。
あとシナリオは正直クソ寄りです。
考察すら難しいレベルのものをお出ししてくるな。
それとエラー落ちが割と多い点もマイナス。
まさかPS5そのものを落としてくるとは思わなんだ。
所謂処理落ちからのフリーズという基礎的なバグだが再現性があったうえ、
アプリが落ちるのではなくハードごと落とすという
ファーストパーティの自覚のある?バグにはわろけてしまう。
↑真エンド後、ちょこちょこプレイしてからのスクショ。確か死亡100回は超えなかったはずです。
さて、他の人のプレイを見ると死亡回数50回以下でクリアしている人も多い。
僕はギリ100回行かなかった位で確かに下手だったかもしれん、雑だったかもしれん。
しかし俺は真エンディングまで見た。
だからこそ心から言える。
負けは多いがトータルでは勝ってる、と。
俺はパチカスになった。お前もパチカスになれ。
ローグライクなんてどうでもいいよ!
ババアがキレのいいアクションしてれば満点だぜ!というフェチ野郎と
一度の勝ちのために粘れるパチンカスにはお勧めの一本です。
気になる人はホール、じゃなかったアトロポスで待ってるぜ!
↑待っています。さぁジャンジャンバリバリお取りください。