ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

死してなお繋げ。スパチュンノウハウの集大成『ザンキゼロ』レビュー

ポストアポカリプス(文明が死に絶えた後の世界)物って
たとえ核が降ろうがゾンビが沸こうがなんだかんだで人類はそこまでやわじゃないと言わんばかりに生存者の集団が生き延びてることが多いよね。
北斗の拳やウォーキングデッド、FalloutThe Last Of Usとか。
しかしこのゲームは違う。ガチで人類が滅亡した世界なんだぜ。
どう?ワクワクしないかい?

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ある事件から自殺を考えた主人公、
屋上のフェンスをよじ登り、そして体重を支えていた手を、足をついに離した────
目覚めるとそこは真夏の廃墟の島。
何故か見覚えのある老朽化したガレージで自分を含めて8人、
言うなれば運命共同体互いに頼り、互いに庇い合い、互いに助け合う。
一人が八人のために、八人が一人のためにだからこそ戦場で生きられる
嘘を言うな!
猜疑に歪んだ暗い瞳がせせら笑う。
お前も、お前も、お前も!自分のために死ね!
次回、『ザンキゼロ』
こいつらは何のために集められたか────

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あ、はい茶番終わったんでレビュー行くよー。

 

■ざっくり前置き

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ゲームとしては一本道のシナリオ、
ダンジョンRPGにアクション要素とサバイバル要素をプラスしたという感じ。
各章ごとに視点が変わり、例えば1章なら主人公だが、2章は別のキャラへと切り替わり
七つの大罪になぞらえた各自の罪を見つめトラウマを克服し、自分たちの過去と真相へ近づく物語である。
そう、盗まれた過去を探し続けて彼らはさまようのだ。

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↑階段を上がると年を取る。可愛いデブがババアデブに!
大きな特徴の一つとして、主人公たちは全員クローン人間であり老化が非常に早い。
幼年→青年→壮年→老年となり、美少女ですら容赦なく老婆となりグラフィックにも反映される。 

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↑排泄をステータスに組み込んでいるゲームは割と珍しい。漏らした場合のセリフも複数完備だ。
もう一つの特徴としてサバイバルと銘打ってるだけ有り、HPの他に
ストレス・スタミナ、そして便意というステータスがある。
トイレに行かず最大値を超えると漏らす羽目になったりする。
おっさんは勿論、美少女もウンコの臭い染み付いてむせることとなる。

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ダンガンロンパモノクマに似た進行役。ただし、彼らはアシスタントでありこちらの(謎めいた)味方。

さて、シナリオ自体はデスゲーム系統を下敷きにしており、似通った点が多い。
・目が覚めたらいきなりクローズドサークルに入れられてる
・同じようにわけも分からず連れて来られた人間が複数いる。
・メンバー内に内通者がいるのではと疑う人間がいる。
・ふざけたキャラクターによる進行とミッション(目的)説明
・指示されたミッションをこなしていくことで進行する
・何故つれてこられたのか、共通点が不明だったキャラ達に実は・・・?

とはいえこのゲームはデスゲームなんてもんじゃない。
なんせ驚くほど簡単に死に、そして驚くほど簡単に生き返るからだ。

■繋げ、戦え、死ね、そしてまた繋げ。シカバネシステム

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エクステンドマシーンで生き返る!生き返ると死因に関連したボーナスを得る!安心して死ね!

ボス戦は殆どが初見殺しとも言うべき強火力でサクッと死ねる。
4章あたりから敵の火力もかなり高くなっており、サクッと死ねる。
トラップ(毒矢)に引っかかってサクッと死ねる。
しかし、今作の目玉として搭載されているエクステンドでサクッと生き返る。
そしてエクステンドに付随するシカバネシステムは"死がバネ"になる、ということで
キャラクターの死に様によって生き返るとボーナス(パッシブスキル)を習得する。

例えばボスに殺されたら生き返るとそのボスからのダメージを減らす
毒矢にやられると毒、そして矢に対する耐性が上がるというものであったり、
背面が海マスの状態で死亡すると「背水」という背面が水だと攻撃力が上がるなど
いうなれば免疫のような形でボーナスを取得する。

これを受けて思い出すのは同社の看板ソフト風来のシレン
遠投をつけて合成の壷を投げたり、おばけ大根に混乱させられたまま死ぬなど
これも様々な死に様やミスを嘆くも同時に笑い、次はこいつに気をつけよう、
とプレイヤーが次回の冒険の糧にしていく作品で
本作は可視化されたボーナスだが発想はシレンからじゃないだろうかと推測している。

このシカバネボーナスは「強くなること」に直結することから、ともすれば不謹慎とさえ言われそうな話だが
「いかにして(スキルを取るために)効率良く死ぬのか」ということに頭を使うのがかなり楽しい。

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↑基本的に若い方が能力が高い。さて、誰から逝こうか?

そろそろ寿命のアイツ、あのクリーチャに殺されてないなとか
若いうちに死んでおいたほうがいいし、イノシシに轢かれてみるか、とか
なんてのを考えながらプレイしはじめる。たのしい!(語彙)

それの極地として
荷物を持ちきれないほど持たせて、ストレスをたっぷり与え、餓死させる。
という悲惨な死を全キャラクターに経験させることとなる。(マジ)
耐性が着くから!仕方ないんだ!!
ついでに言うと全員脱糞を経験することとなる。(マジマジのマジ)
耐性が着くから!仕方ないんだ!!!
いうなれば運命共同体ウン命によって繋がれた絆、俺たちが脱糞フレンズだ。

脱糞の話はともかく、つまるところ
(過去の)お前も、(今の)お前も、(脱糞した)お前も!
(未来の)自分のために死ね!!!
という未来の自分のために今の自分が死ぬゲームになっている。
さだめとあれば心を決めろ!

■悪くはない。しかし少々難ありの探索と戦闘…。

f:id:exa_axe:20180714133137j:plain↑移動は良くあるDRPG。右スティックにてポインタ(オレンジの丸)を動かす。はて、このポスターは?
さて、このゲームを構成している要素が八割ボトムズであることが分かってくれたと思うが
このゲームのメインとなる探索と戦闘についてはDRPGにアクション要素を追加しており、戦闘と移動が当然そのままシームレスに繋がる。

画面はこんな感じで実に良くあるDRPG仕様の画面だが、正直言ってこの似非DRPG仕様のせいで見てくれが非常にしょぼくなっている。
また、この仕様には基本的にはそこまでの面白さは無いのですが良い点として「部位破壊」があげられます。

f:id:exa_axe:20180714133217j:plain↑少々わかりにくいが全員で一斉攻撃!敵の髭をブチ切って毒ガス攻撃を制限だ!

Rスティックで狙いを定めて、全員でチャージ攻撃!
敵の部位が吹き飛び、敵によっては素材が落ちます。テンポが非常に良くてスカッとします。これは非常にグッド!
部位破壊することで敵の攻撃パターンも制限でき、また各ボスにはトロフィーが設定されていることからやりがいもある。
この部位破壊については非常に優秀なシステムだといえます。

そういえばスパイクチュンソフト進撃の巨人も出してました。
(コエテクの方が好きですが)
コレもまたスパチュンノウハウから来ていると言ってよいかと!
・・・ゴメンちょっと無理があった気がする。

ただまぁ、やはり探索と戦闘は全体的にやや調整不足感は無きにしも非ず。
特に第6章あたりから敵が異様に固く、
敵の攻撃をよけてチャージ攻撃を当てるという単調な作業を
一人の敵に対して何度も行う羽目になるため単調さが加速度的に上がる
さらにラストダンジョンは非常に長く複雑であったため再加速
そうそう問題を一発で解決する革命的なシステムは作れないだろうが、
もう少し手を加えて楽するように出来んかったのかと。

また、サバイバル部分で一点ネックなのは拠点拡張について。

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↑アップグレードでトイレも豪華に。とはいえトイレの優先度は低い・・・

本作は拠点拡張システムをとっており、各施設をアップグレードできる。
アップグレードにより、やれることが増えるわけだが
そのアップグレードに必要な材料の中でキーとなる材料が「パーテーション」
これはランダム出現せず、1ダンジョンに一つ以上置いてあるという形のようなのだが、
アップグレードの優先順位を間違えると大火傷する。てかした

上述したとおり敵が6章あたりから固くなるため
「工作室」という武器を強化する施設を優先して強化するべきだったのだが
パーテーションが足りず、何よりそもそも見つからず、攻略サイトに頼ってしまった。
クリアすること自体はさほど難しくないのだが、何度も殴る行為は辟易するほど面倒
はっきり言って難易度をイージーに下げてしまいたいほどに。

ゲームにおいて難しいと面倒くさいはイコールではない。
「難しい」は工夫ができるもの、「面倒くさい」は工夫ができないもの、だと思う。
パーテーションのようなキー材料はボス撃破後の部屋にそのまま置いちゃったほうが良かったと思います。

■プレイヤーを誘い魅了するストーリー

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さて、ストーリーだが・・・はっきり言おう。
「極上」であると。はっきり言って大好き。
ゲームを進めるにあたってコレほどまでに推進力の高いシナリオは久しぶりだった。

各章で自分の罪を見つめ、トラウマを克服すると書いたが、
ダンジョンを進めていく最中にテレビからビデオが流れ、各自の過去が暴かれる。
第1章はチュートリアルも兼ねているとはいえ割りと堅実なシナリオであったのだが
第2章からいきなり話がぶっ飛び始める。

パワハラや不倫は序の口。果てには近親相姦まで飛び出す。
シナリオライターの頭のネジが数本どころか脳みそが吹っ飛んでるヘビーなシナリオは
行き過ぎの域を超えていて悲劇さえもまるで喜劇だ。

f:id:exa_axe:20180714133335j:plain↑でぇじょうぶだ。エクステンドマシーンで皆生き返る。

物語も二転三転とし、プレイヤーが慣れてきた?というところに爆弾がバシバシ落とされるため全く飽きさせない。
それどころかこの後の展開が知りたくなるようグイグイと引っ張ってくれる

ここら辺の落としてあげてさらに落として!というシナリオの巧みさは流石ダンガンロンパスタッフが作っただけのことはある。

とにかく先を見たい!とプレイを開始して一気にクリアしてしまった。
土日は暗澹とした曇り空のようなシナリオに嵌まり込み、
平日は一転、猛烈な豪雨となったシナリオを駆け抜けるように。
クリア後はやや賛否分かれるようだが
個人的には快晴の夏空のような爽やかな気持ちで終われる
まぁ、引っかかる部分が無いわけではないが「こまけぇこたぁいいんだよ!」の精神である。
面白いゲームってのはマイナスをプラスで吹き飛ばせる、そういうパワーを持ったゲームなんだ。
そしてザンキゼロはそういうゲームなんだ。

■総評

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一見難しそう、とっつき辛そう、という印象があるかもしれない。
事実、R-17(D指定)は伊達じゃない。グロテスクな場面も多く登場するため少々人を選ぶ面もある。
また、上述したとおり探索と戦闘面は面倒な要素が多い。
しかしオートセーブやダークソウルライクな死んでも取り返しがつく要素、むしろ死んだ方が利点が大きいというシステムは意外なほどやりやすく、ハマる。
個人的にはスパチュンノウハウの集大成、傑作だと言いたい出来。

SFは好きか?
サバイバルは好きか?
ポストアポカリプスは好きか?
エッグいシナリオをやきもきしながら楽しみたくないか?
ならザンキゼロを買うのはいかがだろう。
是非夏の内に楽しんでほしい。

・・・ん~。もうちょい気の引くパンチが必要か?

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じゃ、じゃあパンツで手を打ってくれないだろうか・・・

・・

・・・

私が悪うござんした。

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↑夏が似合うゲームだった。きっと、夏が来るたび思い出すのだろう