ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

復活の無双。『真・三國無双 ORIGINS』レビュー。

あけおめ(だいぶ遅い挨拶)

冬に”あき”の話をするのもなんだが、シリーズに飽きることは結構あると思う。
自分も名前は出さないけど某有名シリーズをもうええかと買わなくなったことはある。

んで特に無双シリーズは「PS2のはやったんだけどPS3から手を出していない」と言う人は本当に多い。
これはガンダム無双に代表されるコラボ無双もそうなんだけど
やることがあまりに同じ過ぎて感情が動かなくなる、感動しなくなることが大きいと思う。

なら、変わるしかない。
背水の陣を引いて再び立ち上がった
『真・三國無双 ORIGINS(しんさんごくむそうおりじんず)』をレビューしよう。

ではよしなに。

 

 

□概要

コーエーテクモの大看板。
無双シリーズがタクティカルアクションとして帰ってきた。
これまで実在武将を使うゲームだったのがオリジナルの主人公一人を操作するゲームとして。
イメージが湧かない中年たちはPS2時代の無双が豪華になって戻ってきたとおもっていいよ!

 

まず一点褒めておきたいことがある。
それはコエテクの「切る勇気」だ。

長年付き合ってきている自分の視点だと
実は無双ってファンの批判に敏感なシリーズだったりします。

で、切るべき代表例にして最たるものとして「無双武将の数」がある。
前作となる三国無双8は何と90人ものプレイアブルキャラが存在し、
その全てにシナリオとEDが存在した。
たまに旧作ファンから「キャラ別シナリオがある無双に戻ってほしい」という意見を見たことがあるが
それが最新作だぞ。舐めてんのか。

PS2の頃からキャラクターはいっぱい増えた。でも、全員は使います?

しかし当然ながらキャラの数が多いと様々な面で負担が上がる。
必然、システムやグラフィックといった面への悪影響が発生しうる…。
その悪影響を三国7⇒三国8で更に増やしたままオープンワールドにしてしまった。
そりゃボロボロになるわ。

勿論、実在武将を使えてこその無双シリーズ、という意見には肯定する面はある。
ただ、90人プレイアブルがいたとてそれ全てを使う人間は稀有な存在であり、
かけた労力に対するプラス評価が乏しすぎる。
葉っぱ一枚一枚の葉脈を細かく描くのと変わらない。
「キャラ別シナリオがある無双に戻ってほしい」を真顔で言う人がいる程度には買う理由として弱い。

 

故にここで切った。
〇〇がいないから買わない、なんて言われようと切った。
いつもの草刈りでよかったのに、なんて言われようとも。
プレイヤーに嫌われないようにと「いつものまま」肥大化し続ける無双シリーズを漸くリセットした。

勿論自分もリストラは悲しいが、
仮に三国無双9が出て、三国無双7と同じようなゲーム性だった場合
待っているのはシリーズの安楽死である。
「この方向性は限界は見えているが俺を安心させたうえで座して死ね」と言うほどの破廉恥さは持てない。

では切った結果。変わった結果はどうだったのか。
そこら辺を交えてレビューしていこう。

 

□聞こえるか聞こえるだろう遥かな轟き

敵味方共に大量に表示される圧倒的臨場感の戦場!

本作最大の特徴は、圧倒的臨場感の戦場表現である。
圧倒的、というのをあえてつけるほどの凄まじさを見事表現した。

眼前を埋め尽くす敵の群れは過去シリーズのワラワラを忘却の彼方に吹き飛ばした。
三国無双シリーズは毎度敵の数に驚いていたが、これ以上が本当にあるのかと戦慄するほどの数。
更に今回からは死体が消失しない。オイオイオイオイ死んでるわコイツラ。

キングダムでも見たような盾兵の整列。美しいがぶっ壊せ。

ただ敵が多いだけではない。
盾兵が横一列にブワッと並びさながらファランクスの如く守備陣を引く!
弓帯が一斉に撃ち、雨ではなく滝の如く降り注ぐ矢!
岩石で崩れる壁…!
梯子を抱えて走る兵…!
映画で見たような世界がそこに描かれる!

嘘みたいだろこれ全部味方なんだぜ。

更に本作は味方の量も凄い。
三国無双6頃から印象が薄くなった味方だったが画面が見づらくなるほどの存在感で帰ってきた。
ただ数が多いだけではなく、敵味方が発する雄たけびや地響きが戦場を轟かせる。
ヘッドホンでプレイすると地響きが耳を越えて腸(はら)にまで響く。
乳酸菌のごたる地響きである。

音については戦っていると弓矢の音がピュンピュンするのも嬉しい。
BGMに伝統の無双ロックが流れるのだが弓矢の音や兵士の叫びがちょうどいいエフェクトになっている。
兵士の悲鳴が生きて腸まで届くぜぇ。

 

戦う前に軍議が必ず開かれる。戦場では味方が戦いしっかり敵を倒すぞ。

さて本作は三国無双6・7と異なり、
PS2時代(三国2~4)のタクティカルアクションに回帰している。
凄くわかりやすく言うと三国6・7は戦国BASARAのように一人で突っ込み一人で何とかするゲームだった。
しかし、本作は「士気」という概念が戦場を支配し、士気によって味方が敵を倒したり倒されたりするゲームになっている。

画面右下の青と赤のバーが士気。ポジティブな結果で青が増えていく。逆もしかり。

まず士気について説明しよう。
拠点を制圧する・武将を倒す・敵城の門を開けるといった行動で青い部分が増える。
逆もしかりで赤い部分が増えれば増えるほど危機的状況となる。
この青と赤の量で敵の強さが変わり、赤一色の時はひたすらに敵が強く雑魚ですら容赦なく体力を5割削ってくる。
翻って青一色となるともはや名だたる武将すら赤子の手をひねるか如く。

画面中央上の◇が戦域のマーク。戦意は武将名の横にある「^」マーク。

もう一つ、戦域(と戦意)という要素がある。
戦域そのものは敵と味方が接敵している戦場だが、戦意の高い味方が多いとこのマークが青くなる。
当然ながら敵も味方も同じ陣営と一緒に戦うと勝ちやすいわけだ。
積極的に赤い戦域を回って助けるもよし、青い戦域でサクサク倒して部隊をまとめるもよしだ。

この2つが戦場にて相互に作用し、同じ戦場でもランダム性と起承転結を作り上げている。

先述の通り、戦闘に入る前に軍議が行われ
例えば関羽は北へ張飛は南へ行く、というような簡単な行動指針が表示される。
どちらかについていき一緒に戦うことも出来るしあえて一人で東に行くことも出来る等
プレイヤーには自由度が与えられる。

だがプレイヤーが東で大暴れしている間、関羽張飛のどちらかは倒れるかもしれない。
では最初から関羽と一緒に戦うと張飛が倒れるかもしれない。
しかし迅速にプレイヤーが敵を倒して士気をあげると関羽張飛共々敵をバッサバッサと倒してくれているかもしれない。
などなど、プレイヤーの選択や行動如何によってその後の戦局は千差万別だ。

とはいえピンチは見過ごせないと馬に乗って北へ南へと奔走することも多い。
北で関羽がピンチ!?助けたら今度は張飛が泣き言言い出した!?
敵と戦いつつ頭の中は次はああしてこうしてと刻々と変わる戦場を忙しなく駆け巡ると…楽しい!
楽しいのだ!
この慌ただしさこそが無双なのだ!

あれやってこれやってとタスクを出されてそれをバンバン捌いていく楽しさが無双だ。
PS2時代の無双が大幅にパワーアップして帰ってきたと両手を叩いて歓迎したい。

 

ここまで助けた味方が勢ぞろいし、隊列を組む。壮観だ。

そして様々な「起承転」を乗り越えると最後にその結果「結」が現れる。
全てではないが多くの戦場で「大軍団」というマップを埋め付くほどの敵の群れと戦うこととなる。
その決戦の口火を切るのが「総突撃」なのだが
これまで誰を助け、誰を助けられなかったのかがありありと表示される。

生存している武将が少ないと当然数は減るし、
通常であれば曹操袁紹といった高位の武将が行う突撃号令が
生き残った誰かが号令をかけることにもなる。
ギャルゲー的に言うとグッド・バッド・ノーマル・トゥルー突撃があると思ってくれてよい。

全軍突撃ー!!地響き・怒号・雄たけびがオーケストラの如く響き渡る!

そんなトゥルー突撃は本作の小さなクライマックス。
唸り声・怒号・雄叫び…声という声をあげて突撃する様は感動するBGMだ。
実質KeyでありLeafであり、作曲者はだーまえだ。

実際、この突撃は物凄く高揚感が高まる。
火矢や投石がお出迎えしてくれる中、燃え盛る炎を心に宿し、あたかも水門の堰を切った濁流のように、雄叫びを上げながら仲間とともに駆け抜ける様は感動する。

無双武将はたった一振りで千人を超える撃破数をたたき出すことも。

そして大軍勢を前にしたとき(これは好みだろうが)自分は毎回随行武将にバトンタッチする。
本作はプレイアブルキャラ(主人公を除く、実在武将)は9人までに減らされ、随行武将という形で交代してでしか操作できない。
だがその分圧倒的な強さになっており、あたかもシューティングゲームのボムのような扱いになっている。
特に無双乱舞は比喩抜きで場所によっては1000人を吹き飛ばせる大爆発。
圧倒的臨場感を否定する、嘘みたいな大技だがこの爽快感は凄まじい。

 

臨場感も爽快感も異論なくシリーズ最高。
文句なしの戦場だ。

 

□必殺の技が討つのは我が身なのかと

さて、アクションについても話していこう。

僕は常々、無双というのは
「ボタンを連打する快楽を味わうゲーム」だと思っている。
ボタンを押すと敵が死ぬ!楽しい!だから連打するね!という押すとご褒美が出てくるボタンを猿に与えるようなもの。

今回のアクション面で素晴らしいのは
とにかくボタン連打でモーションが途切れず動かせること。
適当にボタンを押してるだけで格好いいモーションがサクサク出てきて気持ちいい。

黄色い盾のアイコンが外効ゲージ。これを削ると収撃という特殊行動が淀みなく出せる

また本作、武将クラスには「外効」というスタミナゲージのようなものがあるのだが、
このゲージを削り切ると「収撃」という大ダメージ、
相手が瀕死の場合はトドメを与えるアクションが出せる。

これがコンボ中だろうが何だろうが全ての動作より優先されて発動可能である。*1
この思い切りが素晴らしい。三国8の反省が生きている。
更にとどめモーションは複数存在してる点も好(ハオ)。

回避とガードはいつでも発動可能。ジャストガードは専用モーションが入って弾き返す!

こういったキャンセルがそこらかしこに用意されてるのが本作の特徴だ。
特に防御・回避どちらも攻撃途中に繰り出せるという点もよい。
死にゲー・特にモンハンにおいては攻撃ボタンを連打する行為へのお仕置きが用意されてるのが常。
というより、そこでバランスを取るのが基本的なゲームデザインなんですが、
我無双ぞ?と言わんばかりに何にもお構いなしにいつでもOK!これエライ!

ガードは全方向にガードが出来、ジャストなら相手の体勢を崩すことが出来る。
回避はガードよりジャスト判定が緩い代わりにリターンがガードに比べて薄め。
どちらも攻撃モーション中でも敵の攻撃に反応して即時反映のため安心してボタン連打が出来る。
更に、後述する武芸という必殺技を打つためのゲージを回収する最大効率のアクションとなっている。

武芸は戦国無双5でも存在した4つまでセットできる必殺技。
ただ、戦国5よりもスピーディでテンポの良いアクションとなっている。
とにかく各アクションがサクサクと発生して終了することでボタン連打の障害にならない。

ガード破りの攻撃はオレンジ色に光る前兆がある。そこをガツンだ!!

しかしガードがあるなら当然ガード破りの強烈な敵の技があり、それを封じる技もある。
その技が発勁である。
仁王プレイヤーなら「妖怪カウンター」で通じるだろう。

通常攻撃ボタンを連打しながら時折回避とジャストガードを織り交ぜつつ
発勁かまして武芸でガンガンに攻める。
新規要素がボタン連打を阻害せず丁度よく別の操作を”拾える”ってのが良い。

 

本作は武器種がギュッと減らされることで特徴が増大。
モンスターハンターのように…とまでいうと流石に嘘だが
本作はかなり各武器に特色が付くようになった。

当初はコレ弱くね…と思っていた武器(特に槍)も
ある武芸が一つ手に入るだけで大きく変わったりするのも楽しい。

武器種は三国8の38種⇒9種に大幅削減されたもののモーションの拘りと
これまでになかった回避しながらの攻撃といったパターンの追加等
たった9種で38種に圧勝できるほど満足できる楽しさが詰まっている。

これで武器種の少なさに文句言う奴は流石にちょっと考えた方が良い。
…でもあえて言うなら武器種=随行武将の数なので
主人公専用の武器が欲しかったかなー(もっと考えろ)

 

と、長々語ってきたが一番言っておきたいこととして
無双がちゃんと無双らしいアクションで帰ってきたことが嬉しいってこと。
もう無双は時代遅れだからソウルライク風にしましょうね!とかゲームジャンルを変えることなく
無双らしさを残しつつパリィや回避を邪魔にならないように見事に融合させた。

僕が無双作れって言われたらもっとタイマン要素やボスバトル追加してたと思う。
けどコエテクって僕らより無双の芯を理解してたんだな…と感動した。

 

□闇の中 心揺さぶる目覚め始まる

光に向かう関羽(右)。闇に向かう黄巾。そして光と闇の間を行く主人公。

本作は事前に説明があったとおり、
黄巾の乱から始まり、途中で仕える国を選び、
三国それぞれの立場から三国鼎立前最大の見せ場である「赤壁の戦い」へ向かう。

この切り方の良い点として、盛り上がる点ももちろんあるのだが、
三国志としては珍しいほぼほぼ明確な悪役が存在することだと思う。

ファンならご存じだろうが
赤壁以降は悪役として描きやすいキャラというのが殆どいない。
関羽が同盟相手の呉に倒されてしまうが、呉からすると倒す正当な理由があるし蜀もそうである。
正義VS正義という戦いになるのだ。

しかし、赤壁前であれば明確な敵、そして悪役が描ける。
張角董卓呂布…彼らは明確な「悪役」であり悪い奴だからこその描き方が出来る。

特に董卓が素晴らしい。
過去作では酒池肉林を謡うデブであったが、本作は独自の理を持つ悪役として活躍を見せる。
悪だからこそ言える含蓄・魅力、悪ゆえのカリスマにこれまでのちょっとコミカルな悪い奴の印象は全くない。
だからこそ良い。
特に二章が丸々董卓の章のようになっているのだがこの二章を〆るムービーが堪らんぞ。

 

選んだルートによっては少々ダレる部分があるのは事実だが
何度も見たはずの赤壁に至るまでの流れがひたすら丁寧に丁寧に描かれており、
各ルートそれぞれしっかりとシナリオが面白い!
特に董卓戦後は即赤壁の印象すらあった呉は「家を継ぐ・守る」というテーマをベースにして
どういう動きをしてどういう戦いをしてたのかをしっかり描かれている。
過去作やウォーロンではなんか気づいたら死んでた孫策ががっつり活躍してくれる。

 

赤く光る赤壁の海。両軍の船が向かい合う。

そして赤壁の戦いだがこれはもう大スペクタクルである。

シリーズで何度も何度も赤壁は描かれてきたので、
おおよそこうなるんだろうなとは思っていた。
正にそれを王道の演出と真正面からぶち破るパワーで描かれていて何も変わっていないのに面白い!
唯一例外だったのが主人公だが、主人公の設定をこう使うかと膝を叩いた。
すっげぇ分かりやすい伏線だったのにチクショウ!

グーで殴ってくるだろう、と思ってパーを出したら”壁”のようにデカいグーで殴られた。
しかし頬の”赤”さと熱さがたまらなく嬉しいのだ。
なるほどこれが”赤””壁”…!

 

…うーんひどいこじつけだ。

 

□人よ命よ始まりを知る

完全に見た目固定の主人公。ルックスはイケメンだ。

さて、本作発売前に色々言われた要素の一つとして
キャラクリが無いこと、主人公の見た目・性別が固定であることへの批判があった。

無双のキャラクリの歴史は案外長いため期待していたファンたちの
気持ちは、わかる。(わかる)

キャラクリは諦めるけどせめて男女は選ばせてくれへんか…
という女性とスケベなオジサンの嘆きをよく聞いた。
気持ちは、わかる。(わかる)

先に結論を言うとキャラクリが無い理由を100%正当化するのは正直難しい。
これならあって良かったのでは、と思った。

まず主人公の見た目を固定した理由の一つは恐らく「切る勇気」だったのかなと推測する。
キャラクリと好感度(会話)システムを天秤にかけて後者を取った、と解釈している。

同社開発・販売のウォーロンより。すさまじい完成度のキャラクリだった。

あくまで個人的な意見だがキャラクリ主人公というのは「マヨネーズ」だと思う。
どんなにマズい飯(シナリオ)でも誰でも呑み込めるようになる便利な調味料。
実際「キャラクリだからこんなもんでしょ」とウォーロンのシナリオを呑み込んだ人は多くないだろうか?

ただいかんせん、要所要所でマヨネーズ味に我慢しなければならなくなる。
例えばキャラクターが喋らないとか、仲間キャラとの会話の際に最後の最後まで「キミ」呼びだったり。
要はマヨ=誰にでもそれなりに合うが故におおよそ同じ味、それなりの味になる。ということだ。

そして好感度(会話)システムだがまさにここがマヨネーズドカ盛になってしまう。
エンパイアーズが顕著だが、
彼らはどんな男・女に対しても同じ口説き文句を行うのだ!
さっきまで敵だった奴だぞ!敵の国の男(女)だぞ!
無双武将たちには(仕方ないが)なんだこのマヨ野郎共と思わされたものだ。

 

会話イベントはマップに武将が表示されてる時のみ。逃すとなんと2周目という徹底ぶり!

翻って本作だが、とにかく好感度周りがガチガチの仕様である。
物語途中で死んでしまう董卓袁紹は分かるのだが、
夏侯淵関羽といった序盤からいるキャラでもガッチガチの固定。
2章にならないと会話できない・2章でしか会話できない等、
よくある好感度を山盛り稼いで一気にイベントが見られるという形、ではない!

親戚にいると面白かわいいオッチャンだったんだろうなと思わせる名族。

特に印象的だったのが袁紹
最初から好意的であったのだが、シナリオ進行中に敵として戦場で出会うことになる。
で、戦場で叩きのめした後に袁紹から手紙が来る(!)。

ヤダ怖い、アタシ何言われるんだろうな、とおっかなびっくり会話しに行くと
「お前ワシが目をかけてたのにさー!戦う前に一言挨拶くらいしろよ怒らないから」と窘められてしまった。
め、名族…!と自分の中で物凄く袁紹への印象が爆盛。

呂布と運命を共にする陳宮。わかっていた運命ではあるが切なく面白い。

また、キャラとルートによってはキャラがお別れの挨拶をしに来ることがある。
あたかも死期を悟った猫のようで切なさと共に面白い、を感じてしまう。
ちゃんとシナリオに組み込まれる形で会話ができるのが素晴らしい仕様!

キャラの見た目や出自が固定であり、会話できるタイミングも固定となるとこういった利点がある。
(また、キャラによっては主人公の見た目の特徴を褒める台詞も存在する。キャラクリが無いからこそ、だ)

 

あっこれ乙女ゲーで見たことある!汚れた進研ゼミ中学講座!

義兄弟になろうぜと誘ってくる張飛を筆頭に全体的にデレデレな会話イベント。
これまでのシステムなら興味すら湧かなかっただろうが、
タイミングが固定だからこそシナリオの一部として楽しく読み進められた。
本作のシナリオの高評価はこういう点も大きいと思われる。
マヨ化を上手く避けている。

ただまぁ、男女問わず…いや男が特にだがデレがとんでもなく激しいため、
「これBLゲーだったらこの後ヤッてるな…」となるほど。
十八禁版ならこのあとイベントCGが出るイベントですよコレ。

 

ただこれ、男の友情だからギリギリアウトで済んでるだけで女性主人公だと大分意味合いが変わってくる。

 

未亡人を抱いて息子と護衛を亡くす男、曹操(史実)

例えば史実で女性好きである曹操は女性主人公に対して
「お前強いな!それはそれとして今夜閨で夜の宛城一発どう?」くらいは言わないと僕は不自然に思う。
こういった男女で会話に差があるべきキャラが存在し、男女差などほぼほぼ色恋沙汰である。
だが色恋沙汰は特に男女で解釈違いが起こりやすいのもあって扱いが難しい。

「いや自分は男女で会話一緒でも気にしないから女性主人公入れてほしかったよ~」ってのもいるだろうが
言われるんだよ!この手のは絶対!!
「女主人公に手を出す曹操はアリかナシか」と不毛な議論が!

更に男女問わず同じ対応をするだろうキャラも「手抜き」という誹りが起りうる。
正直こんなの考慮にも値しない不満なんだけど、
冒頭で述べた通り無双はファンの不満に敏感でリストラ時の不満が怖くて90人まで肥大化したシリーズだ。
漸く「切れた」のにまたマヨで肥大化されても困る。
故に元栓を閉める方向にしたのだと解釈している。

なので、今回の見た目・あだ名・性別これらが全て固定なのは僕はかなり肯定的に見てる。
あと男女いると会話のみならず、ガニ股止めろモーションに男女差つけろとか…ね…。
今回は要素を絞ったからこその完成度だろう。

 

たまらないぜハニハニくらい言え!選択肢のセリフすら喋らない(ボイス無い)ぞ。

ただ欲を言えば、というより当然あってしかるべき仕様として
キャラクリしない見た目固定主人公は喋らせんかい。
切る勇気はあるのにアクセルを踏む勇気が無かった。これは正直疑問に思う。

さらに主人公はプレイヤーが名前を付けられるものの、(デフォルトネームは「無名」)
ムービーで呼びかける際はあだ名の「紫鸞(しらん)」で呼ばれることも多く、名前をつける意味合いは薄い。
普段「無名様」と呼ぶキャラがムービーだけ「紫鸞様!」と呼んだのは流石に吹き出した。

これならキャラクリあって良かったのでは?と言われるとそうだねとしかいいようがない。
迷いにマヨった挙句、一見無難に見える最も中途半端な道を選んでしまった。

 

とはいえ、マヨネーズだって調理次第では料理の味を支配しすぎることなくしっかりと美味い。
発売から11日で76時間ほど一気にプラチナトロフィーを取るほどのドカ食いをキメて完全に「至った」。

旗を掲げよう。黄巾ではなく白旗を。
傑作に降参という意味と、
続編を早く出せ、三国志の終わりまで一兵残らずぶちのめしてやるからなと意味で…!!

 

□総評

傑作だ。それもシリーズ最高傑作だ。
PS2の頃に覇権を取ったゲーム。
しかし当時出来なかったことを最新技術を駆使して夢を叶えた。
無双らしさと新しさを絶妙なバランスで融合させた完璧なリブートである。

 

細かな不満点としては、武将の行動がややワンパターン気味な点が気になる。
ジャストガードすると相手が無防備になるのでそこに連続攻撃を叩き込む、
すると必ずスーパアーマーで反撃されるという流れがテンプレになっている。

このスパアマ攻撃もジャスガで取ってさらにずっと俺のターンが出来るとはいえ、
一定以上のダメージでぶち破れる等何かしらの選択肢があるべきだったかと。

スキルパネルで能力を強化できるがゲーム性があまり変わらない。武芸で変化をつけている

それとスキルパネルでジャンプも回避と同等の扱いになる能力を得られるが、
本作のジャンプは高火力の技が出せるとか敵の体勢(外効)を崩せるというわけでもない。
ゲーム性の変化・アクションの拡張性が武芸習得のにみ偏っておりアクションゲーとしての薄さは少し懸念としてあるかなと。

とはいえこれらは本作だけ遊ぶ分には大きな問題とはならない。
続編で解決されればよい課題かなと。

 

さて、無双が衰退した理由の一つとして飽きがあるといった。
そして、もう一つ。無双をやったことが無い人にお勧めする方法が無かったのだ。
昔遊んだ人が「またやりたい」と言ったら勧められるシリーズ作品はあれど、
全くやったことない人に「なんかゲームない?」と言われた時勧められる無双が無かった。
そしてやったことないはずなのに「どうせ無双でしょ?」とうっすら舐められてたり。

しかし漸く万人にお勧めできる無双が復活した。

無双を愛する人へ。
また、かつて無双を愛した人へ。
そして、無双をここから始める人へ。
是非プレイしてほしい。
ではまた。

売り上げはわからんが評価は高め。続編を信じるぞ!!!

*1:唯一ジャンプ中のみ対象外となっている