ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

粗削りDiamond。『ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~』レビュー。

見たこともやってないことを評価してはいけないよ(挨拶)

エクサ家において家訓があります。

エアプは〇す。
未プレイが褒めるレビューも貶すレビューも言ってはいけないし、
未プレイがそのどちらのレビューにも不平不満を言ってはいけません。
言及せず、無視をしなさい、と。
こういう人が増えたらSNSはもっと平和なんだろうけど。

そして自分にはあえて、あえて言及もプレイも避けてきたシリーズがあります。
そのシリーズの最新作、

『ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~』をレビューしよう。

ではよしなに。

 

 

 

□こんな違う僕ら出会うはずもないはずもなかったさ。

さて、アトリエなんだけどぶっちゃけると自分は
エスカ&ロジーのアトリエ 〜黄昏の空の錬金術士〜』しかやったことなくて。

避けていた理由として大きいのは女性主人公で恋愛エンドがある、という点。

わ、ワイは男やのに何故男を攻略せなならんのや…?
だ、だからといって女性キャラで女性攻略も意味が分からねぇ…!

基本、主人公=自分の分身として見るため感情の置き所がわからなくなるからだ。

昨今の男主人公はロジーだけなので上記をやってみたものの、
今一つピンと来ず前後含めてアトリエを避けるようになっていた。

そんな中友人との飲み会で「最近のアトリエは恋愛要素ないよ」と言われ、ほな最新作やってみるか、と体験版をプレイし…まぁそういうわけだ。

ほぼほぼ初めて、という視点からレビューしていこう。

 

なお、実質アトリエシリーズ素人童貞だから、
ドラクエのメラってだっせぇよな!ファイアにしろよw」みてぇなお約束を無視する発言があるかもな!
そこは目を瞑るか優しく〇してくれよな!

 

□形のない約束いつだって思い出して

本作において語るべき内容は大きく分けて四つ。

まずゲームのほとんどを占める探索について語ろう。

本作はオープンワールド(以下、OW)ではないが、非常に広いマップが4エリア分用意されている。

皆大好きUBIタワー。解除することで周辺のマップにアイコンがつくぞ。

OWではないといっても文法自体は完全にOW。
UBIタワーが存在し、タワーを解除すると周辺の「?」マークが表示され、「?」をストーリーそっちのけに潰していくのが基本的なゲームプレイスタイルだ。

2段ジャンプは最初から。壁に向かってる状態だと三段目も可能!登山が楽しい!

特に本作は最初から2段+壁蹴りの三段ジャンプが解禁されている。

本作のマップはかなり立体的なつくりになっていて「?」マークの位置は上だったりするのだ。
そうすると当然ベセスダ式登山で無理やり上ってしまうことだってできる。
これは間違いなくズルなんだけど、スタッフも当然想定済みのズルだろう。
こういったプレイヤーとスタッフの共犯関係は嬉しいよね。

フィールドにはガチのマジでてんこ盛りの素材祭り。初めてのアイテムは??で表示。

そして、アトリエということでフィールドで素材集めをすることが出来るのだが
とにかく山盛り存在する。

当然の権利のように一部の素材以外は歩きながらサクッと採集可能!

モンスターハンターワールド方式だと思ってくれるとわかりやすいかな。
これは「やって当たり前」の仕様なんだけどやってる!なら褒めよう!偉い!

テキトーにぶらついて使うかどうかもわからんアイテムをひょいひょい拾い集めるのがなんだろうこう…フワッとした楽しさがあるんですよね。
何に使うかもわからんのに。

この開拓任務、10%ごとにご褒美を用意しているのもニクいぜ。

そして本作の目的の一つとして「開拓」というものがある。
それを明示化した「開拓任務」というのがありまして、
これをこなしつつストーリーを進めつつマップを調査しつつ調合素材を集めつつ…といういろんなことをまとめてやれるってのが
ま~~~~~~~~~楽しい。

OWの面白さって結局のところ「兼ねる」ことが出来る寄り道なんですよね。
今日の夕食はししゃもよ~って500m先の魚屋に行く途中で肉屋があるじゃん?
そういや石鹸切れてたなってドラッグストア行くじゃん?
ニンジンが安いってんでちょっと足伸ばして八百屋も行くじゃん?

結局その日の夕食はハンバーグにニンジンのグラッセとししゃもと石鹸の付け合わせになるわけよ。
美味しくなったじゃん?いいことじゃん?

 

バイクの追加で速度アップ。一部には謎解き要素もある、掛け合いもあるぞ。

元々遅くなかった移動速度もバイクの追加で更に早くなり、細かく仲間内で掛け合い含めた会話が入るため飽きさせない。
エリアで区切られているとはいえOW構文としては割と100点に近い出来を叩き出しており、不満点はあるものの非常に優秀。

 

では不満は何かというとこれまたOWらしい「繰り返しのダルさ」。
最初から最後まで基本的には同じことであり、それはエリアが変わっても同じ。
一応本作は新エリアに入る=新素材が手に入る=新しい調合が出来る、という形で若干のカバーはできていて新エリアに入ること自体はワクワクする。

だが、やっていること自体は完全に一緒であるためピークは序盤~中盤まで。
後半はやはりというかなんというかストーリーを中心にさっさとクリアするフェーズに入ってしまう。

 

固い壁。シナリオ進行で開くのかと思いきや…あと柄が汚いのは何なんだ。

もう一つ、マップ内に開けられない固い壁がある。
ストーリー進行で開くんか?と思いきや先ほどの開拓任務の100%報酬がキーだった。
これは良くない。

さっきの寄り道理論で言うとこれはハンバーグを作った後に財布を魚屋に忘れたことに気づいたようなもの。
完全な無駄足だし、なんら「兼ねて」ない。
目的が終わっているのにもう一度来い、なんてあまりにバカバカしい。
50%あたりの報酬にしていれば完璧だったのに惜しいなと。

 

とはいえほぼ100点に近い探索なのは間違いない。
何より「気合」を感じるのが良い。
良い作品というのはやっててスタッフのやる気が滅茶苦茶伝わってくるものだ。

 

□新しい日常とあなたが描いた虹は混ざらず

さて、では次に戦闘だ。

戦闘シーン。通常技は勿論アイテム攻撃すら全てモーションが異なる!派手な合体攻撃も!

先に褒めて置く点としてはモーションへのこだわりだ。
本作は〇△□×ボタンに通常攻撃、
R1で切り替えて〇△□×ボタンでアイテム攻撃(消費はしない)が出来る。
んで敵がブレイク(気絶)すると合体アイテム攻撃が出来るってのが基本システム。
ジャスト回避からのカウンターやガードもあるアクション寄りと言っていいだろう。

割り振られたボタンで攻撃が可能なのだがすべてのモーションが異なる。
これには驚かされた。

特に序盤で作れる氷の斧の攻撃アイテムは後半で上位互換となる氷の斧がある。
これすらモーションが違う。合体攻撃もだ!
こんな明らかに手を抜いてくださいという箇所で気合を見せてるの、何?ってなる

 

数少ないが故かとても凝るボス戦。戦闘中にムービー演出まで入る。

また、数が少ないとはいえ…いやむしろ数が少ないからこそか
ボス戦の演出はえらく凝っておりこれまた気合を感じる。
なんか全体的な雰囲気も相まってテイルズオブシリーズを思い出したほどだ。

あい、褒めるのはここまでだ。
正直なところ戦闘についてはきっぱりと面白くない。
少なくとも期待して買うものではない。
なぜなら致命傷が三つほど存在しているのだ。それはもう死体では?

画面右上にヒット数が出る。しかしダメージ表示(画面の-99等)の数とあわない

まず一つ目はヒット数の問題。
画面右上にHITとヒット数が表示されるのだが、
明らかに連続ヒットしていても1HITとカウントされてしまう。

これ、要は敵の攻撃を受けずにどれだけボタンを押せたか、しかないのよ。
テイルズオブやスターオーシャンシリーズをやっているプレイヤーならわかると思うけど、ひたすら連続ヒット数が上がる技って楽しいじゃん?

そういう美味しいところをしっかり捨てている。マグロのカマを捨てるが如く。

 

画面左中央に表示されているようにR1ボタンで切り替えるのだが…

続いて通常攻撃とアイテム攻撃の切り替えについて。
上記の通りR1ボタンで切り替えるのだがこれがすさまじい失着。
R1を押した後「切り替わったな!ヨシ!」という目検確認が必要なタイムラグが発生するようになっている。
毎戦闘で現場猫させられてるよ。

R1ボタンをホールドして〇△□×、という仕組みにしなかったのが非常に謎。
ガードやジャスト回避まで組み込んだゲームでなんでこんなアホな仕組みに?

流石にスクショだと効いてる感がわかるのだが戦闘中はエフェクトなどで見えぬ。

最後に敵が怯まない、ということ。
明らかにアクション方式の戦闘なんだけど敵が怯まない…というか見えない。
味方が敵を囲んで派手なエフェクトで殴り続けるということもあって見えないんだ。

アクションでこれは致命的。

 

おそらくだがこれはアクション要素を取り入れたコマンドバトルを設計したのかなと。
だがわりーんだけど、
帯にショートで襷にはlongといった全ての面で中途半端な出来になっている。

 

猛烈な速度で上がるレベル。グッとガッツポーズしただけでレベルが5ぐらい上がった。

一応その、妙にレベルアップが早かったり、
調合をガチればサクサクと倒せるようになっているので、
それほど重要な要素ではない、というのはわかるのだが戦闘がつまらないのはRPGでは死に体だぞ、と。

ここは明確に何とかしてほしかった部分ではある。

 

□どうしようもないほどにもう引き下がれない

続いて調合なのだが、面白い!だけど底が浅い!で終わる。

アトリエの華と言えば調合ではあるが、
本作はメインの材料一つに様々な素材をぶっこんで材料同士をリンク(範囲に入れる)形である。
とはいえ、ここでしっかり仕組みを説明してもわかり辛いので割愛。

途中から様々な要素が解禁されていくと一気に面白くなる!あっオモロ!

当初は今一つ面白味を見いだせなかったが、中盤ごろから面白味を見いだせるようになった。
フィールドの素材→中和剤といった中間素材→武器や攻撃アイテム、といった形で刻んで物を作っていくことに気づけたこと。
また、中盤ごろから調合スキルやコアの底上げ等様々な要素が解禁されていくことで、
「かけ合わせる」数がどんどん増えていく。
こ~れが楽しい!
数字が増えると楽しい!(小学生並みの感想)

中盤ぐらいは「なんだよ調合面白いじゃーん」と良い感じに程よく楽しんでいたのだが…
実は気づいてないだけで中盤あたりからもうバランスがぶっ壊せるんだ。

 

”目覚めて”しまったために品質999のバランスブレイカーが出来てしまった。ええんかこれ。

冗談抜きでゲーム自体の面白さを損なう可能性があるためこの記事では伏せるが、
システムに気づいてしまえばあまりにもあっさりと地獄の釜の蓋が開く。
アイテムの品質をあまりにもポンと上げられてしまいヌルゲーと化す。

この仕組みに気づくのが早ければ早いほどゲーム自体が単調になる。
ゲームの仕組みに気づくと面白くなくなる、というのは如何なものかと…。

 

□形のない約束いつだって思い出して 愛してる。

では最後にシナリオについてだ。

レビューを見ると賛否両論の印象もあるが、
個人的には高評価のシナリオである。
ただ、明確に一点マイナスがある。

本作は敵味方共に「失ったものを取り戻す」ということを目的としている。
このテーマの一貫性はディモールト・ベネ(めちゃ良)。

錬金術が引き起こした凄惨な事故。母の命を引き換えに収まったが真実は…?

主人公であるユミアは、母の影響で好きだった錬金術が原因で大きな事故が発生し、
「母の命」と「好きだった錬金術の信用」が失われている。
真実を知るため、そして後者を取り戻すために調査団に参加した。

開拓・調査においては必須であるにも関わらず調査団のモブ(右)は厳しい態度をとる。

当然のように当初は調査団の面々からも警戒されており、冷たい態度を取られる。
そして物語途中からは…というわけだ。
このシンプルな構成はシンプルさを皮肉りつつやはりニヤッとしてしまう。

 

しかし中盤、とあるイベントが発生する。
これによりシナリオに格段に深みが与えられている。

ユミア自身にある影響を与えることで、
仲間そして敵にもうまく因と縁(えにし)をつけられている。

これ上ッ手ぇな~~~って本当に感心した。

徹底的にユミアという主人公を立てて最初から最後までユミアの物語として成立させて見事にまとめ上げている。お見事だ。

 

さて、上述の「明確に一点マイナスがある」についてだが一言で言おう。
仲間のキャラは全員魅力的…ではなく仲間の印象が薄い。

まずユミア含めて6人のパーティだが内4人が辛気臭い。
決して鬱シナリオでないにもかかわらず暗い印象があるのはこのせいだろう。

左の男性がヴィクトル、キツネ耳娘がレイニャ。面白味は(ないです)

更にヴィクトル・レイニャの二名は特筆して面白味が薄い。

ヴィクトルは初期メンバーであるが性格はとにかくまじめで堅物。
特に序盤の出会いは監視役ということもあってユミアに対して警戒心を持っている。
打ち解けてからも正直言って特に見せ場もないため「とにかくまじめ」という印象しかない。

話に集中できなくなるタイプのデカパイ(ニーナ)

ニーナも面白味は薄いのだが、この人が出てくるだけで
話に集中できなくなるタイプのデカパイなので許す。

うわでか

いやだって…これだぜ?ムービーに出るたび「うわでか」と笑ってしまう。
あと、終わってみるとテーマ的に重要なキャラではあったので…。

 

ヴィクトルの場合、盾で戦うキャラなのでユミアをかばうシーンなどがあれば良いし、
テイルズオブシリーズなら確実にそうした。
しかし、一貫して活躍するのはユミアのみという割り切り方をシナリオがしているため会話シーンで目立てないと印象が薄くなる。

序盤の辛気臭い3(スリー)と化していたパーティは正直かなりしんどく、会話がまじめすぎて面白くない。
体験版直後はアレ…なんか面白くないな、と印象としては底を打っていた。

どこのVtuber?って感じのデザインなのにナイスガイ・ルトガー。

そんな辛気臭い3に強制的に加入したルトガーが救う。
軽口・皮肉に嫌味にぶっきらぼう。だが空気は読むしフォローも言える。
そんなコミュ力の鬼が加入することでグンと空気が良くなり面白くなった。

会話シーンでは主役級に目立ち狂言回し的に大車輪の活躍を見せ、こいつならユミアを持って行ってもいい、と思えたほど。

 

しかしながらヴィクトルに関してはある意味僕のせいなのかもな、と。

彼が恋愛対象である場合、真面目な王子様役(貴族の出でもあるので)としては100点のキャラではあるので
恋愛的な攻略要素があればもっと面白味は出たと思う。

ただ、アトリエに恋愛要素を求めない自分のような人がいていつしかそういうものがなくなったことで結果、彼の魅力を出すことがしにくくなったのかなと。

とはいえこれは「ユミアのアトリエ」である。
ユミアのためのユミアによるユミアのためのゲームであり物語である。

そういった意味では貫徹しており非常に面白く良く出来たシナリオであったことは保証するぞ。

 

 

□総評

そこそこ。です。(上から三番目の良い評価ですね)

探索は本当に面白いのですが戦闘と調合については落ちる点があり、
全体的に説明不足な点が多い。
そして説明不足によって奇跡的にバランスが取れてた時期はどうかと思うんすよ。

本編だけでは軽装(上着を脱いだ)と水着しか着せ替えがないのは眉をひそめる。

あと、僕も子供じゃないしマネタイズは理解してるけど
着せ替え関係がほぼ全てDLCってのはどうかと思う。*1

直前でプレイしたゲームがアサクリシャドウズってのも良くなかっただろう。
綺麗なおべべを着せてやりてぇと装備品を集めるのがモチベに繋がったが、
本作は防具は勿論アクセサリなども見た目に全く反映されない。

強い道具を作ったらあとは調合やる必要がないんだけどこれが加速している。
調合をやらせる必要性はもうちょっと産んだほうが良い。

 

さて、結構厳しめの意見が多めだったと思う。
だけどこのゲーム、気に入ってはいるし次回作も欲しいなとは思ってるんだ。

なぜか?
「気合」を明確に感じたからだ。

初期→ルトガー加入直後。ここから更に増えるしパターンも多いぞ。

これは本作のメニュー画面なんだが一枚絵ではなくキャラモデルが表示され、
何パターンか存在する。
さらに仲間の加入に合わせてキャラが増える!

装備画面もちゃんとキャラが動く。タイトル画面は進捗に合わせて変わる!

装備画面なんかも3Dモデルが動くし、タイトル画面は進捗に合わせて表示が変わる。
これがメタスコアに影響するか?
しねーよ!でもこういう芸の細かい点は好きだよ!

 

とにかく全面から「やるぞ!」って気合はすごく感じる。
粗削りなダイアに見える。

故にあえて言う。

気合で気合を買ってやれ。

ゲームの評価に気合を入れるのはどうかと思う!
思うが気合は重要なファクターだ。

 

もっと面白いものを作れるように、もっと気合を入れられるように。
将来ダイアモンドになるかもしれないものを貴方の気合でカットしてくれ。

買っと(カット)…だけに…

ではまた。

未来のダイア(だといいなあ)を記憶に刻め。

*1:初期の軽装とシンプル水着のみ。