このゲーム面白かったわー。さ、封印してたネットのレビュー見るぜ!
え、めっちゃ酷評されてる・・・。
という経験は誰しも一回はあるもの。
まぁ確かに
便所の水で放射能と喉の渇きを潤せて
今しがたクエストを完了したNPCをシャッガンでぶっ放せて
追いはぎレイダーから逆に追いはげて
スーパーミュータントのポッケに爆弾をプレゼントできて
夜は拾ってきたぬいぐるみを家に並べられて
犬が見てる前でNPCとレッツロマンスできて・・・と
これらがウリのRPG最新作が上記の要素をオミットしていたら
そりゃあ酷評されるってモンではある。
しかしながら完全に見捨てられない自分がいて、
そして楽しんでいる自分もいるんだ。
というわけで『FallOut76』(以下、FallOut=FO)のレビューをしよう。
□楽園のようなアパラチア、一人ぼっち恐れずに生きようと夢見てた。
↑キャラクターメイキングを済ませてレッツ再生。さぁて、何処を歩こうか。
まずは簡単にこのゲームの説明をしよう。
本作は基本システムはおおよそ前作FO4と同じだが、まず舞台設定が大幅に違う。
本作は2077年の終末戦争時に核シェルター“Vault 76”に避難して25年後の
2102年のウェストバージニア州=「アパラチア」が舞台となっている。
FO3が200年後、FO4が210年後と考えると非常に現代に近い時代設定といえよう。
プレイヤーはゲームスタートと同時に「再生の日」に目を覚ます。
Vault内で簡単なチュートリアルを受け、地上に出る。
プレイヤーの目的はずばり「再生」。
核を受けて崩壊したアメリカという国の再生を目的としたRPGである。
しかしながら、核が落ちまくったアメリカのわずか25年後の地上は
残念ながら当然の苛酷な環境であった。
なんと人間のNPCが0。また一つどころか全ての村が死んだ。
↑石化した人間の死体が転がるアパラチア。人間はスコーチとなり、スコーチはいずれ石となる。
どういうことも糞もアパラチアの人間は放射能と体が石化する病、
そしてとある理由にによって全滅しており
スーパーミュータントや、グール、動物、ロボット、そしてスコーチ。
これぐらいしか地上には生存していない。
地上にいる人間は全てVault76から出てきた人間、
つまり生存する人間全員がプレイヤーというオンラインゲームとなっている。
当初聞いたときはなるほどかなり思い切った、面白い設定じゃないか!と思ったのだが
いやーつまんねっぞこの設定。
まず、はっきり言ってしまうと良い点と悪い点をざっと並べて批評すると
「面白いクソゲー」となる。
また、加点方式だろうが減点方式だろうが
「面白いクソゲー」となる。
□オンライン化で失ったものは何か。
↑とにかく重量に悩まされるゲーム、☆付きの装備は特殊効果を持つがホイホイ捨てる羽目になる。
早速だが不満点から始まる。
オンライン化に伴い大きく4つの重要な要素が失われている。
まず本ゲームは重量(WT)という大きな敵に生涯苦しめられる。
結果的にプレイヤーは思い出を失う。
各アイテムにはWTが設定されており
プレイヤーはおおよそWT200前後の重量、
スタッシュ(保管倉庫)はWT400の重量まで保管できる。
あれ?少なくない?と思った旧作プレイヤー、大正解。
ずっと不足し続ける。
アパラチアはとにかく”山盛り”だ。
環境が残っているのもありロケーションは非常に多岐にわたる。
母なる山々、薄暗く曇った空に、美しくもおぼろげな月光、
カントリーロードを口ずさみながら坂道を下りると見えた
”かつて人がいたであろう町”に不思議と郷愁の思いが湧き、
自分の田舎に思いを馳せている自分がいた。
そんなアパラチアにはFO3はおろかFO4より資源があまりあるほど残っている。
さらに敵は銃などの火器を当たり前のように持っており
これらを素直に拾い続けていくと十分とかからず荷物袋の中がパンパンになる。
旧作と比べて過重デメリットが大きいため泣く泣く諦めるしかない、という問題にぶち当たる。
まぁこれはRPGで常々発生する取捨選択の一つとして仕方ないことだ。
問題はスタッシュ。
オンライン化したことにより、スタッシュ容量が大幅に削られてしまっている。
↑大量のジャンクと弾丸の処理にずっと困る。400程度じゃ思い出も夢も守れないぜ!
大量のジャンク*1や弾丸などを格納してたらあっさりと限界に至る。
マジである。
自分のスタッシュも装備を全部捨てたにもかかわらずジャンクと弾丸だけで埋まってしまった。
これの問題は倉庫整理に時間がかかるというのもそうだが、
折角集めた昔使った装備を見てニヤニヤするという遊びが出来ないという点にある。
こいつには世話になったからなぁ捨てられないねぇや、なんていうことは出来ない。
本作はそんな余裕は一切無い。
なので自分は”今使わない装備”はユニークだろうと思いでだろうと全部捨てた。
思い出はいつも綺麗だけどそれだけじゃスタッシュが空かないわ。
そして次に、プレイヤーは夢を失う。
ゲームバランスや設計も大概ボロボロだ。
旧作はボタン一つでパンツをはきかえるかのごとく難易度を変えられたが
本作はオンラインゆえその難易度は不変であり、
そして、レベル50を超えるまでは戦闘は楽にならない。
というのもレベルアップによって新たなPark(特殊能力・アビリティ)を得るのだが
戦闘を劇的に楽にするParkはレベル40前後からようやく登場する。
それまでは旅を楽にする(重量軽減やステータス異常回避など)方向のParkが多い。
また、装備にはオンラインゲームらしくレベル制限がついており、レベル50が最大となっている。
問題は当時の自分を大きく上回るレベル制限装備がゴロゴロ出ること。
せめてスタッシュが無限なら「いつかこれを着るんだ~」と
胸わくわくの武器がGISSIRI、色とりどりの防具がDOSSARI、このスタッシュで光ってると
空っぽのスタッシュに夢を詰め込めるのだがそうはならない。
オンライン化したことにより思い出と夢は全部捨てる羽目となる。
↑左はレベル15で挑んた場所であったレベル30のモンスター。右はVATS発動。
3つ目は自由。
本作はエリアによって敵のレベル帯が変わっており、
初期の街のあたりは精々レベル5程度だが東側に行けば行くほどレベルが上がっていく。
さらに言うと(マルチプレイの詳細は後述するが先に一点だけ)
レベルが高いプレイヤーがいるとその地域の敵のレベルが上がるという仕様があり、
レベル30くらいまで上がればともかく、
20前後ではメインクエストの目的地に向かうことすらはばかられる。
個人的にはレベル20前後で行くべき場所が増え、
世界の頂上という場所に行く頃が微妙に戦力が足りなくて一番キツイと思う。
レベル上げのために、ゴルフクラブ片手にホテルの周りのグールを掃除するゴルフ道場に通うのは多くのプレイヤーが通る道だろう。
そこでピストルの弱さ・不便さに気づいて近接攻撃の使い勝手のよさに目覚めるゴリラも多いとか聞くウホ。
オープンワールドとなっているが低レベルの間は世界を自由に探検できるかというと少々厳しい。
最後の4つ目は爽快感である。
旧作(FO3/FO4/FONV)から続くシステムとしてV.A.T.Sというものがある。
これはコマンドRPGさながら時間を止めて敵の部位を選び攻撃できるというシステムだが
本作はオンライン化したことにより時間を止める・スローモーにすることが出来ない。
なにより残念なのは時間を止められないことより
V.A.T.Sで止めを刺すと”敵の部位は弾け飛び、自分の顔がアップ”になるというトドメ演出が見られたのだがこれが無いことにより
元々大して面白くなかった戦闘がより味気なくなっている。
カバーアクションすらないシューターを楽しめると思うかい?
↑右はほぼ唯一と言ってもいい意思疎通できる生物(スーパーミュータント)。彼以外はほぼロボのみ。
さて、思い出も夢も自由も爽快感も失ってしまっていても希望はまだ残っている。
やはり探索は楽しい。何があるのだろうというワクワク感が、未来への希望がある。
とはいえ無人の荒野を探索し続けるとアラサーOLの様に空虚な孤独が去来する。
やだ・・・私何も悲しくないのに寂しい・・・涙が出ちゃう・・・。
とはいえここはアパラチア、ペットを飼って寂しさを紛らわすことすら出来ない。
本作はコンパニオン(仲間)が存在しない。犬もいねぇ、機械も連れ歩けねぇ。
昔街だった廃墟はあるが人間・・・というより意思疎通できる生物がほぼおらん。
驚くほど静かだ。
たまにパンパンと銃弾の音が聞こえることがあるが、それ以外は静寂しかない。
この静けさが独特の雰囲気、侘び・寂びを生んでいる部分もあるのだが・・・。
「Falloutシリーズは探索が楽しかった!!」というのはあるんだ。
しかし思い返すと探索は刹那的な面白さで、ここの探索が面白かったというより、
ファイアアントだらけの街につれてくクソガキやサバイバルガイドを作るクレイジー女、
渋い人造人間に元ロボットの女に、将軍と言いながらこちらをパシらせる黒人、と
結局人間の・・・人間(?)の思い出が強い。
だからこそ、寂しい。
この静けさから逃れるために他のプレイヤーを探すのだが
一ワールドに存在できるプレイヤーの数は自分含めて24人!
世界の広さは旧作の4倍!
出会わねぇ!マジ出会わねぇ!
□オンライン化で得たものは何か。
↑マップを見て位置を把握。会ったプレイヤーにハートを飛ばして御機嫌よう!また"愛"ましょうね!
メインクエストの目的地は全員同じであるため、こちらで出会うことはままある。
しかし、気ままなぶらり旅をし始めると一切会わない。
(特に北西部はろくなクエストが無いので)
今、会いに行きますといわんばかりにプレイヤーの位置を把握しその方向に進まねばならぬ。
勿論、たまに会って挨拶を交わし、ちょっと協力プレイをする分には楽しい。
とあるメインクエストで目的地に向かって走っている際に
おそらく同じ目的であろう他のプレイヤーパーティに同行したがなかなか面白かった。
自分はステルスビルドをしているので、他のパーティが撃ちまくるところを
後ろから近づいて敵をガツン!
双方共にハートを飛ばしあいこんにちわありがとうさようならまた会いましょう!
たのちかった!
このゆるゆるとしたオンラインプレイは数少ないオンライン化の魅力的な要素。
ではパーティを組んだらもっと楽しいのかな?!
いいえまったく。
野良でパーティを組んでみたが各々勝手にプレイするだけなのだ。
同じ目的のため?ハハッよしてくれ。
それならまださっきのちょっとした協力プレイのほうがまだ正しい。
↑突発イベントで一緒にプレイした野良のプレイヤー。一期一会のほうが目的のために協力しやすい皮肉。
突発的なイベントはいい、目的地で集まり各々戦うことがそのまま協力だからね。
メインクエストのような手順をがっちり踏まなければならないものについては
同じパーティでもクエストの内容が共有されないし、
何かを倒しても自分が一撃入れてないと経験値が入らない。
そしてこのゲームはMOではなくMMOであり、
さらにプレイヤーが集う酒場のようなものが無い。
「○○のクエストをクリアしよう!」という文言を掲示板には張り出せない。
一応ボイスチャットは対応しているが目的も違うのに
なんとなくパーティになった有象無象がボイチャをやるかというと・・・?
一応Parkをシェアしたり復活させることが出来る、というパーティを組むメリットはあれど野良で積極的に組む理由は皆無。
「友達と遊んだら楽しいのでは?」だとぅ?
馬鹿野郎友達と遊んでも楽しくないゲームなんてクソゲーオブザイヤー級のレアものだ。
友達以外とパーティを組む理由や、目的を同じとするパーティをスムーズに組めるかどうか
そういった要素こそがオンラインゲームのプラス評価につながるわけで。
モンスターハンターワールドが、フィールドに入ってから救援信号を出せるようにしてたろ?
あれのおかげでパーティを組むときの最初のまごつきを無くなった。
これに対して「FO76はそういうゲームじゃない」と反論したくなる人もいるかもしれんが
「そういう手段が無いこと」がダメなんだよ。
オンラインマルチプレイ自体が100%マイナスではないんだけれども
失われたものに対して、得たものの量と質が低すぎる。
□オンライン化しても失われなかったもの
↑ターミナルやログで記録を追い、シナリオを進めていく。何があったか?を考察する必要がある。
色々といったがそれでも失われなかったものがある。
まずはシナリオだ。
「人は過ちを繰り返す」というのがFallOutシリーズ全体を通してのテーマである。
そして本作はこのテーマを文字通り”核”とするシナリオである。
正直言って序盤は面白くなかったが、
NPCのローズと会った頃からぐっとシナリオに興味を持てるようになった。
人間のNPCを切り捨てておいてNPCに会った後ようやく面白くなるというのも皮肉だが。
何故アパラチアにおいて人間は滅んだのか。
レスポンダーは?レイダーは?それらに属さない普通の人達は?
パワーアーマーはあるのにB.O.S.*2はどうした?
初期の初期、コンセプトの発表からチラチラしてた謎がメインシナリオではこれら全て明示的に提示されその回答が得られる。
徹底して人間が登場せずテープなどで次の作業を指示される点については少々疑問だが、
(このテープを聴いているということは○○は上手くいったのね!じゃあ次は・・・となる。預言者かよ)
報酬の美味さもあり、サブをそっちのけでとりあえずクリアを目指し始める程度には魅力がある。
↑死体にドラマがあるのがFO。何を思い、何の為に彼らはそこにいてそして死んだのか。
そして上述していたが探索だ。
マップを埋めていく感覚や、FallOutらしいシナリオに影響しないが
妄想を沸き立たせるオブジェクト配置は見事。
籠の中に入れられた人骨やテディベア(人間の子供の死体の暗喩)、
軍のキャンプ近くで酒瓶の横にある白骨死体、
椅子に座って銃を握りしめたままの白骨死体、
山のてっぺん付近でベビーカーと二つの人骨を見たときにはおっと思わされた。
やめられない、止まらない。重量制限をものともせず
何かを見つけるたびに歩調が早くなっていく、そしてまた何かを見つける。
この無限ループは僕の"ちょっと一時間"を三時間に変えてしまう。
僕にとってFO3が洋ゲーアレルギーを治してくれた作品だ。
ついでに言うとNewVegasでアレルギーが再発しFO4で完治した。
僕にとってFallOutシリーズは原点だ、出発点だ、故郷だ。
そのシリーズとしての魅力は無くしてなんかいやしない。
故郷に連れて行く道としてこのFallOut76はその役目を果たしてくれた。
このアパラチアの道路はきっとFO3、FO4、FONV”から”と”へ”続いている。
そして僕は今日もアパラチアにいて、明日もアパラチアにいて、
昨日だってアパラチア、─いや家にいたかった。って思うのさ。
□総評
↑木がビョーン!首がニョローン!ガッタガタの挙動に本命はフリーズバグだコンチクショウ!!
まぁやっぱダメっすよ基本的な出来は。
急に豹変したように見えるかもしれんが冒頭でも言っているとおり
11月末時点では「面白いクソゲー」です。
この評価は変わらない。
メタスコアが大荒れしているが、
期待からのこの出来で過剰反応気味に見える部分はあれどここまでガタガタだと正直妥当というか、
これでタイトルにあやかって76点とかついてたら鼻でブフフのフォカヌポゥw
今面白い、あるいはメタスコアなんて気にするな!って言ってる人はガッタガタの挙動や多すぎるバグを軽視しすぎだと思う。俺とか。
現状はあまりオススメできないゲームだと言って良いだろう。
楽しんでプレイしている自分でさえ、今買うべきか?と言われたら
「ちょっと待った方がいい」という。
ただ、決して「買うな」とは言わない。
思い出も夢も自由も爽快感も失った。
しかしまだ希望が残っている!
何故ならば、このゲームはオンラインゲームである。
他のレビュアーも100%使っている表現だろうがあえて使う。
「再生の日」に目覚めるオンラインRPGなんだから「再生」する芽は十分にある。
何をどうしたらって言われると劇的な改善プランは正直無いけれど・・・
とりあえず、機械でも何でも良いから会話できるNPCの追加でしょうかね。
スタッシュと人間NPC不在が2大批判ポイントだろうし。
個人的にはやはり連れ歩ける犬か女の子が欲しい。
実際、すれ違ったプレイヤーはほとんど男だったのもあり、正直言ってパンティの似合うギャルが欲しくなるわけよ。わかるな?
しかし今はどうあがいてもそんなものはない。ならどうするよ。
なっちゃえばいいじゃん。女の子に。
・・・しょうがないにゃあ。
見抜きしてもいいぞ?
↑お気に入りの写真。フォトモードっていいよね。オチが弱いときにも使えるし。