ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

面白いかつまらないかで言えば”スゲェ”。『Red Dead Redemption2』レビュー

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ゲームの開発費というのはどんどんと増えて肥えてデブッており
一本コケたらそのまま会社ごと終わるんじゃねぇかって位には肥大化している。
しかしそれでもなお各メーカーは大金をぶっこみ毎年新作を発表している。

端から見るとどのメーカーも「自分のところじゃないように」と祈りながら次々100面ダイスを回しているようにさえ思う。

そんな中「俺の出すソフトが失敗するわけが無い」とラノベのタイトルが如く、
ともすれば傲慢にさえ見える自信から巨額をオールインし、
100面ダイスを100個回して、あっさり売ってしまったタイトルがある。
それが『Red Dead Redemption2』(以下、RDR2)だ。早速レビューしよう。

 

 

□ひたすら美しい。驚喜するグラフィックと世界。

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↑猛烈な吹雪でご挨拶。右が主人公のアーサー。ルックスもイケメンだ。

このゲームはまず、猛烈な吹雪がウェルカムドリンクだ。
時代は1899年。既にギャングという存在が時勢に否定されている時代
主人公アーサーを含むギャング一派はとある町で行った強盗でミスをした。
その結果、仲間を失いながら命からがら逃げのびて放棄された鉱山の中の廃墟にたどり着いた・・・
というところからスタートだ。

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↑雪の表現にドキリとさせられる。右は先ほど取った獲物だが、なんとこいつにも時間経過で雪が積もる。

まずこの時点でグラフィックに度肝を抜かれる。
えっ何これうわっすっげ。うひゃーなんだこれ。
うわちゃんと雪に足跡がつくやん。しゃがむとその分大きな跡がつくやん。
動物の足跡追えるやん。風の概念あるやん。うわーーーすげーーー。
ヘッドホンで聞くとうひゃーーー音すげーーーー!環境音すげー!
と、プレイ直後はひたすら美しいグラフィックとその世界の作りこみにひたすら驚かされた。

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FPS視点でも決して見劣りしないグラフィック。シネマティックモードは感動もの。

本作は基本はTPS視点だが、FPS視点・シネマティックモードと(細かく言うと他にもあるんだが)三つの視点に変更できる。
まーこれがどれで見てもキマる。
動物の皮を剥ぐ時、あえてFPS視点にしてみたら動物の筋肉の美しさに驚かされるし
シネマモードでは、ただの移動が映画のワンシーンのような特別な一瞬になる。

銃を撃つ際に撃鉄を起こすモーションが堪らない、
敵の足を打つ、敵が足を抱えながら反撃してくるモーションもいい。
先ほど狩った獲物を馬に乗せたあと少し走ると獲物に雪が積もったのを見てうはー!と驚喜した。

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チャプターが切り替わり、春になり拠点が変わって以降はさらにドン。
天候変化なども解禁され、より西部劇の世界に入り込める。
ここに”世界”がある。そう実感させられた。

が、しかし。

□プレイヤーをむき出しの凶器と化す操作性とシステム

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↑武器には耐久度があり、人間には体調がある。結構リアル志向のゲームだ。

まずはっきり言っておこう。このゲームのジャンルは
ウェスタン・ワールド・シミュレータ」だ。
間違ってもアクションやアドベンチャーやシミュレーションや君と響きあうRPGなどではない。
ロックスター公式が仮にアクションアドベンチャーと名乗っていてもプレイヤーは「あっこれはシミュレータなんだな」と気づかされる。

実際プレイヤーはゲームをプレイしている内にゲームと対話をするようなもんだ。
「やぁRDR2クンこのゲームってどんなゲーム?」とRDR2に尋ねると
RDR2クン「ウェスタン・ワールド・シミュレータだよ」と丁寧に回答してくれた。
安心しろ。決してヤクをキメたわけではない。

なので「ゲームだから」で誤魔化している部分が少ない。

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↑ただ人を殺しただけで逃げられる!指名手配される!チクショウ!なんでだよ!

たとえば敵を殺した場合、周りに目撃者がいるとそいつが
「で、でた~~~w天下の往来で人殺す奴!ww
 m9(・∀・)通報しますた!」

アメリカの田舎特有の2ちゃんねる訛りの英語を叫びながら警察(法政務官)に駆け込む。
「ち……違う……あたしそんなつもりじゃ……!」と思っても後の祭り。
こっちは「クソッ壺野郎め」と追っかけて口封じをする必要がある。
もしそれを行わなかった場合は指名手配されてしまい、ある程度の制限がつく。
まぁこれは序の口なんですよ。理屈もわかるしね。

その他にも

  • うっかり街中で町民と馬で接触するとで、でた~~~w
  • ここなんだろうと思って建設途中の家に乗るとで、でた~~~w
  • やぁ!と朗らかに声をかけて(指名手配でもないのに)
    近づいただけでで、でた~~~w
  • 自分の馬と他人の馬を間違えて乗るとで、でた~~~w

勿論「ち……違う……あたしそんなつもりじゃ……!」と思っても後のフェスティバル。

中でもイラつくのは今回人間相手に話しかけるときは
L2ボタンで注視するところからスタートする。
これ自体はなかなかいいシステムだな、と感心したが街中に入り、
やーそこのおっさん元気かいHAHAHAと挨拶をしようとすると
うっかり(武器を装備していたのを忘れていて)武器構えアクションが発生し
「で、でた~~~w天下の往来で人脅す奴!ww
 m9(・∀・)通報しますた!」

「ち……違う……あたしそんなつもりじゃ……!」
うっかりR2を押した日にゃあもう街を上げての銃撃カーニバル!

コンフィグで変更できるとはいえ2018年に×ボタン連打でダッシュするだの
思ったように操作できない・誤爆するだのといったガバガバ操作性の問題
相反するように無駄にしっかりした論理性がひたすらイラつく。
ファッキン!ファッキンロックスター!
操作性はともかく、この論理性について
「ゲームなのにたかがこの程度で・・・」と感じる
「この世界でこいつらはしっかり生きてるんだ!」と感じるか。

実際、彼らはゲームの中で生きているんだ!と実感できるくらいには
拠点や町を歩いていると数え切れないほどの会話パターンがある。
「ここは、サンドニの町だよ」などと言うシステムに縛られた人間はいない。

そんな彼らがいることを考えると「馬で轢いたくらいで通報すんじゃねぇよ」と思ってしまうプレイヤー側に問題があるような気もしないでもなくなってくる。
冷静に考えると重罪やんけ。
日本の国民的RPGとか当たり前のように住人の目の前で壺割ってるが、
こういう行為を許しまくってるほかのゲームがどうなんだと思わなくも無い。
ここまで作りこまれた世界ではプレイヤー側が合わせないといけないかな、と思ってしまうほどの魔力がある。

ただ、そういった親切なゲームと比較するとかなりめんどくさいのは事実。

そして他のオープンワールドとの違いとして最も大きいのは
このゲーム、ファストトラベルが事実上機能しない。

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↑拠点から各町へ。詳細な場所が分からない狂気のUI。そしてちょっと遠出すると絶望するほど遠い拠点。

どういうことかというと
主人公の活動拠点(キャンプ)から各町には飛べるようになっている。
また、各町⇔各町は存在する。
しかし、任意の場所⇒活動拠点へは飛べない、そこらへんの道端から街には飛べない。
ぶっちゃけこれ一つで相当ゲームの評価が落ちていると言い切っていいほどの大失敗だと思う。

特に序盤はキャンプで発生するメインクエストが多いのだがメインクエストをこなす度に遠くに行かなければならず、
エスト完了後も自動で帰れるわけではなく現地で開放される。
つまり、毎度毎度遠くから拠点に戻る必要がある。
ファッキン!ファッキンロックスター!

一応シネマティックモードにすると目的地へのオート移動は発生する。
この時の映像は普段の三割り増しに美しいのだがぼうっとそれを見てると
ギャングや馬車に突撃をキメるアーサーが多発する。
ファッキン!ファッキンロックスター!

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↑リアルな魚。なんとなく飲むコーヒー。1899年のウエスタンがここにある。

こんだけ文句言ったものの、
ギャングの一人として自由気ままに遊ぶ分にはとんでもなく最高のゲームなのだ。

朝起きて髭をそり、なんとなくぶらっと旅に出る。
昼は適当に馬を走らせ、気まぐれでギャンブルをやって得も損もなく時間をつぶしただけの結果に終わる。
夕は夕日をバックにウィスキーを飲み、そこらでウサギでも狩る。
夜は狩ったウサギで晩飯だ。そこらの木の下で野宿をしよう。馬のブラシも入れてやろう。
そしてまた朝。昨日は飲みすぎた。朝一のコーヒーで気合を入れて今日は魚でも釣ってやるか。
・・・というまさに西部劇の無法者のような自由な生き方をする分には非常にハイクオリティだ。

上記のような生き方で世界を一筆書きのように気ままにぐるりと一周するゲームであればきっと大きな文句も無く面白かったのだろう。
しかしこのゲームは拠点を初めとして目的地に行って帰って繰り返すゲームなので
移動する際の景観に飽きた瞬間に世界はとたんにつまらなくなる。
拠点の仲間を全部アレ出来たら自由になれるのかな・・・と銃を構えそうになるほどメインクエスト(と仲間)が邪魔

しかしメインクエストも面白いのがまた困りものなのだ。

□時代が織り成す狂気と侠気が交じり合うメインシナリオ。

メインクエストの大半は

  1. エスト開始場所に行く【移動】
  2. エストが開始される。
  3. エストの中で事件が発生する箇所に馬で移動する。【移動】
  4. 事件が起こる。(大半は銃撃戦だが他にも)
  5. エストが終了する。
  6. 別のクエスト開始場所へ移動する。【移動】

という感じでとにかく移動・移動・移動をやらなければならない。
上記で言うところの4番についてはかなり面白いのだ。面白いのだが
「楽しい一分間のために5分間のチャージタイムと4分間のクールタイムがある」ような按配になっていてこれがひたすらしんどい。

しかしだ。面白いんだよメインクエスト。

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↑敵対するギャング「コルム一派」のコルムと「ピンカートン探偵社」のジム。物語の最後まで付きまとう。

主人公のギャング団「ダッチギャング」*1は当初は「コルム一派」のみと敵対していたが
作中の行為によって次に「ピンカートン探偵社コーンウォール)」という組織とも敵対する。
物語が続くにつれさらにさらにと敵対組織が増えていく。 

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↑右はリーダーのダッチ。時代の終わりを理解しているアーサーと抗おうとするダッチの対比。

これは彼らにとって本当の敵は「時代」であることも意味すると思う。
1899年といえば日本でいえば後5年後には日露戦争が始まるような時代。
そんな時代にサムライが声を荒げるようなものだ。様々な方面から毛嫌いされる。
事実、作中でもインディアンが登場し、彼らは「旧時代の遺物」として、「価値が無いもの」として排除されていった。
「時代」こそが彼らを評価し、価値を決めた。

そんな中でギャングのリーダー・ダッチは何とかしようとあがく。
しかし、彼ら程度で何とかできる時代は既に終わっており空回りを続ける。
義賊として生きた過去が、カリスマが、信頼を置く部下が彼を縛る。
正視し難い不幸な現状と過去の栄光のギャップによりダッチは狂気に飲まれる。

そしてそれを傍で見つめる主人公アーサーもまた、
「自分たちの時代の終わり」を理解しながら何も出来ないでいる。

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↑十年前は義賊だった。夢があった、幸せがあった、信じる父(ダッチ)がいた。今、彼の手は空っぽだ。

・・・彼のベッドの傍らには10年前の新聞記事が保存されている。
10年前、彼らが銀行強盗を行い街中に金をばら撒いた「俺たちの全盛期」をいまだに夢見ながら現実に殺されそうになっている。

もう駄目だと理解していながら彼はダッチを見捨てられない。
忠誠がある。恩義もある。仁義もある。何より愛がある。
侠気がアーサーを縛る。

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物語の途中でギャングメンバーは宴を開く。
楽しそうに歌う彼ら、しかし何故か非常に物悲しく映ってしまうのだ。
これはきっと”彼ら”の生前葬なのだと理解してしまった。
日本の新撰組のような「滅びゆく人達」、「価値を失った人」
そういった悲哀を持った彼らの無様で、必死で、愛おしさすら感じる生き様をドラマティックに描くメインシナリオは事実楽しい。

アーサーは勿論、ギャングメンバー全員に愛着が湧くほどに。
(上述した気ままなウエスタン生活を楽しみたいと思う気持ちもあったが)
物語の続きが見たい一心で一気にクリアしてしまったほどに。
最後には涙を流してしまったほどに!

 

ただまぁその楽しい部分に
移動という氷水ぶち込んでかき混ぜてしまってるのはいただけない。

いやまぁホンマ移動に関しては文句しかない。何でこんなめんどくさい仕様にしたの?
RDR2クン「ワールドシミュレータだからだよ?」
うるせぇな馬鹿野郎。拠点へのファストトラベル位実装しろ。

メインシナリオに感動しつつも最後の最後まで操作性や快適性については文句しかなかった。
ファッキン!ファッキンロックスター!

□総評・そしてメタスコアについて

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ハイクオリティであることは今更疑う余地も無い。
しかし「面白いの?つまらないの?」という感想を問う質問に対しては
「スゴイ」としか答えられない。

最初のチャプター1(雪山)でくじけたプレイヤーに対して
「そこからもっと面白くなるから頑張って!」とか言う気しないもん。
「お前がそう判断したなら間違ってないぞ!」って言うもん。
プレイしてて”このゲームすげぇ!”がモチベーションにならないなら続けるのは絶対無理。

誤解を招きそうなので補足するが
「このゲームの凄さがわからんとかこのゲームをやる資格ねぇよ」じゃない。
「このゲームを続けるためには序盤の糞操作性や閉塞感漂う展開を
 ”コレスゲー”で乗り切らなきゃいけない」って話。

このゲームのチャプター1に関しては面白くないんだよ。
ひたすら「スゴイ」だけなの。
上述した雪山の感想見てみ?面白いとか書いてないやろ?
「が、しかし」と書いた意味はこういうこと。本当にスゴイだけなんだよ。

だからここでその「スゴイ」がモチベーションにならないなら
ここから先のチャプター2の中盤頃に訪れる「面白い」にたどり着けないと思う。

「合う人には合う」じゃなくて慣れちまえば大体の人が合わせられるんだけど
その慣れに至るまで、面白い部分に至るまでに徹底的に振り落としてくる。
プレイヤーを楽しませるための導線が徹底的に欠けてる。そういうゲームだと思う。

これこそが傲慢にさえ見える自信。
どうせお前ら俺らが作ったゲームやるんだろ?というのが透けて見える出来。
あぁやったけどさぁ・・・。

f:id:exa_axe:20181111014655j:plain↑ゲーム内でプレイできるポーカー。ゲームを買うのだってある意味ギャンブル。あんたもベットしようぜ。

少しだけ話はそれるが本作は発売前に非常にメタスコア*2が高いことで話題となった。
メタスコア98点!という異常ともいえる高評価を見て購入を決意したプレイヤーも多かろう。
自分もその一人だ。(まぁ元々買う予定だったが”絶対買う!”になったのはメタスコア)

日本人に限らない、のだろうけど国内のメディアの評価より
海外で評価されることのほうが信頼できるという人は多いと思う。

しかしメタスコア98点に対してユーザースコア*3は7.7(11月11日時点)とかなり下回っている。
これは自分のレビュー内でも触れているが操作性の問題が大きいと思われるが
ただそれだけではなくユーザーの期待値の高まりからの反動だとも思われる。

メタスコア98点!開発期間8年!声優1200人!セリフ50万桁!史上最大の開発規模!
これで期待するなというのが無理だろう。
期待値が上がりすぎてなんか思ってたんとちゃう・・・となるのはゲームに限らない。
映画もスター・ウォーズEP1スター・ウォーズEP7スター・ウォーズEP8多岐にわたる。
しかし今一度冷静になってプレイして欲しい。
思ってたんとちゃう…という理由で捨てるには惜しいゲームだ。

メタスコア・ユーザースコアに流されること無く、
ロックスター・RDRというブランドに流されること無く、
ついでにどこぞの辺境のブログの意見に流されること無く、
貴方の貴方自身の感覚でプレイし、評価して欲しい。

合う人には合うだの人を選ぶだの玉虫色の結論を出すのが嫌だ。
だからあえて自分の評価を伏せた上でこう叫びたい。
「試せ!買え!その価値はある!
 駄目なら売っていいぞ!」

狂気の開発工数にあなたもベットするだけの価値はある。
そして彼ら「ダッチギャング」の価値はあなたが決めろ。

まぁ、こんだけ書いてりゃ賛否のどっちっていうのはわかると思うけどね・・・。

f:id:exa_axe:20181111005644j:plain↑一番のお気に入り「セイディ」。素敵!抱いて!

*1:RDR1で言われている名称は本作には登場しない?っぽいのでこの呼称を使用する。

*2:メタスコア・・・わかりやすく言うとゲームメディア(日本で言うファミ通電撃PS)の点数を集めて平均化したもの。100点満点。

*3:ユーザースコア・・・呼んで字のごとく一般ユーザーによる点数。10点満点。