ホスピタル病院

自分をモヒカン社畜だと思い込んでいる17歳JKのブログ

オープンワールドの功罪をそのままマルッと受け継いだ「真・三国無双8」レビュー

猫も杓子もオープンワールド(以下、OW)の時代はまだ続いている。
最近ではキャラゲーであるワンピースすらOWになることを発表されており、
果たして本当に大丈夫なのだろうかという若干の不安をよそにOWの波は続いている

さて、そんなこんなで狩ゲー(討鬼伝2)にいち早くOWを持ち込み、
不安どおりに「アクションはいいがOWの出来・相性が悪い」とバッサリ俺に切られたω-force
もといコーエーテクモが放つ看板タイトルナンバリング、真・三国無双8もまたOWゲーになっています。

というわけでレビューなのだが、
先にコレだけ言わせて欲しい。
このゲーム、2月末に発売して2ヶ月で計5回のアップデート。
特にフォトモードが追加されているのはありがたいのだが・・・
未完成品を売るな。完成してから出せ。未完成なら延期しろ。カクカクとかあからさまじゃねぇか。
本レビューはアップデート後だがこの点は大いにマイナス。コエテク反省して?

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遊び方は由緒正しきOW

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↑大目標(オレンジ色の本マーク)に連なる形で小目標がある。

まず、骨組みはUBIのFarCryシリーズです。見張り台とかモロだしね。そこにコエテクの無双DNAをブチ込んだ感じ。

今作は時代ごとに章で分かれており、各章ごとに大目標がありそれをこなすと次の時代(章)に移ります。
ただ、大目標は章開始時点でのレベルでは到底クリアできない強さに設定されているんですね。
んじゃどうするんだって?

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↑小目標をこなすことで大目標(と関連する小目標)のレベルが下がる
実際には大目標のほかに小目標(つまり他ゲーでいうところのクエスト)があり、
これらをこなすことで
自身のレベルアップ大目標の敵の強さの緩和が同時に働き、クリアが容易になる。
というバランスのとり方になっています。

んで上記の大・小目的自体は時限性ではないのでその間にOW散策が出来るんですね。
そんでもって今回はちゃんと由緒正しきOW的楽しみ方が出来るようになっています。

個人的にOWやってて面白い部分ってのは各ロケーションが近くにあることで
どこかに行った後、近くのロケーションに寄る、さらに近くの別のロケに寄る、寄る、
という寄るを繰り返す状態だと思うんですが

このゲームでも全く同じことをやれますしやります。

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↑大量にある宝と収集品の山。これに小目的もあるので探索が止まらない。
小目的(クエスト)をこなす。
⇒おや、近くにニンジンがめっちゃ生えてるとこあるから行こっと。特にニンジンは欲しくないけど。
⇒へぇ、虎が近くにいるからせっかくだから狩っとこうか。後々いるかも知れんし。
⇒んー、ここまで来たらついでに見張り台まで上るか
⇒よっしゃ砂金めっちゃあるところ見っけた!取りにいこ!
さながら目の前にニンジンを釣らされた馬のように、最初は別段乗り気じゃなかった探索もいつの間にかちまちま目標を潰すことで楽しくなってくる。
スカイリムやフォールアウト、ファークライでもやった、由緒正しき「ついで買い」
あらこんなところに牛肉が、玉ねぎ玉ねぎあったのね、のゆるゆるとした散策。
コレが楽しい。

今作は道の概念があり、かなり精度は甘い、スニッカーズ並みに甘いが
道の上ならオートランが出来るようになっている点も良い。
で、道から外れると獣や盗賊がいるという現実世界を模した設定にされていますが
盗賊や獣にもレアバージョンが存在し、それと偶然エンカウントすることがある。
討鬼伝2のOWには偶然要素・発見要素が殆どなかったことを考えるとωフォーススッゲー頑張った。本当に。

本当にダラダラと、のんびりとプレイして
時間がどんどん吸われていくゲームに仕上がっている。
個人的に自分がOWに求めている要素はガッチリ入っており、十分に評価できます。

 

戦闘の爽快感はかなり高い。

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序盤は少々敵が少なく感じる部分はありましたが心配はご無用。
3章くらいからは毎章気づいたら3000人倒してた。
キャラクターによって攻撃範囲など性能が違うため撃破人数は変わってきますが
単純な表示数だけであれば前作7とそこまで変わらない。
アップデート後にはなったがかなり敵も近づいてきてわらわらしてくれる。

 

↑フロート攻撃からのリアクトとどめ。綺麗につながると気もっちええ
そして今作初導入のフロート・リアクト攻撃による攻撃手段の一新だがコレに関しては絶賛したい。
基本的には□ボタン連打で状況に合わせてポンポンと攻撃が出るのだが、
L1ボタンを押しながら□・△・×・○ボタンで敵を打ち上げたり気絶させたりが出来る。
当然ながらその攻撃から□ボタンで自動で連携できるため
モーションの切れ目を感じさせず自由なコンボが流れるように出来る。

↑フロート攻撃による猛追尾攻撃。□ボタンと△ボタンの組み合わせで暴れまくる。
敵が打ちあがっていたら追いかけて叩くし、ダウンすればダウンした敵に当たるように武器を振る。
ちょっと微妙なモーションだが敵との距離が離れていたら自動で走って追撃する等
本当に楽で爽快なアクションが楽しめる。
やってること自体は□と△ボタン連打だがアクションのバリエーションの多さが気持ちいい。

また、ある程度敵のHPが減ると敵の頭上に「△」マークが表示される。
このとき△を押すと一連の攻撃をキャンセルしてトドメのリアクト攻撃に移行する。
これがまた気持ちいいんだ。
そろそろ△が出るだろうなってタイミングで合わせられるとモッ最高。
一部キャラクターのモーションが無くなったが、切ってでもモーションを全て一新させたのは大正解。

少なくとも「敵をいっぱい出してそれをなぎ倒す」という無双の根幹は全く変わっていない。
モーションの変更については若干気になる人もいるだろうが、
コレまでの「最もダメージが稼げるチャージと最も攻撃範囲の広いチャージを出すだけ」の無双には
大分飽きてたので個人的には今回の大幅変更には拍手を送りたい。

 

評価点・トータルとしては

その他の良い点としては
・多少チープではあるが敵を倒す以外の小目的がある。
・意外とカスタマイズの利く隠れ家
・馬の成長要素
・装備・武器のカスタマイズ要素の高さ
・割と細かい史実ネタを拾う点
・釣りが一回一尾とかではなく、一気に複数つれるため効率が良い。
(ただし、釣りそのものはあまり出来は良くない)

ボリュームに関しては正直昨今の国産ゲームでもかなりずば抜けている。
OWそのものの広さと、各キャラクターごとのED、
アイテム類・武器類の豊富さ、キャラクターはおろか馬などの育成要素、
多岐にわたる強化方法など色んなものが非常にたっぷり詰まっており、
間違いなくコレまでのシリーズを過去にする超ボリューム。

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↑夏候覇のラスト。なぜ蜀に亡命したのかが過去作より非常にわかりやすい。
ストーリーは各キャラクターのENDがあるという点も良いが、
当時の国ごとの状況をしっかり描いており、
・何故魏は没落し司馬一族に乗っ取られたのか。
劉備の仕える先がなんでこんなに変わったのか
・呉は孫一族が主役だぜ!みたいな顔してるくせに孫堅孫策死ぬの早すぎ等
過去の無双シリーズがこういうことがありました!という
「歴史の点」を描いていたのに対して
今作はこういう理由や背景があったからこういうことに繋がりましたという
「歴史の線(流れ)」を描いている。

歴史上の細かなネタも拾い、(特に蜀の)美化がないため
これ一本、一ルートやれば三国志の話は相当網羅できる。
なんとなく知ってたとはいえ、
荊州周りの蜀の対応を改めて会話に起こすとそりゃ同盟してた呉も攻めてくるわと笑えてくるゾ。

ただ、没年不明のキャラクターが異常に長生きにされていて
諸葛亮より妻の月英のがステージ数が長かったり、
一部の武将では勝手に死なれてることもあるので
夏侯淵の敵討ちだ!」と言われてもアイツいつ死んだんだよ!ってなることもあるけどね。

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↑三国の立地関係をなんとなーくでも把握できるようになる。
あと古代中国の立地に詳しくなれるという点も面白い。
三国の位置関係はもちろん、長江MAJI広いとか
荊州がどれだけ危険地帯だったのか(本当に三国に隣接してて笑う)
魏がどれだけ都会で蜀がどんだけ山ばっかの駄目な土地か等がわかる。蜀is山BAKKA。
ツイッターで同じ意見を言ってた人がいるが)中国版桃太郎電鉄といえる。

歴史と地理、両方を学べる教材としてはこれ以上は無いかも。
お母様も是非お子様に薦めてあげてください。
ただまぁ古代中国の地理を学んでどこで生かすかはご家庭で考えてほしい。

ただ、当然ながら残念な点が存在する。
個人的に気になったのはAAA級タイトルと比べてしまうと
どうしても”安い”部分があるということだ。
OWとなると、海外AAA級と比べてしまうしその土俵に立ってしまう、立たせてしまう。
これこそがOWの功罪の罪部分

で、土俵に立ってしまうとどうしても気になる部分がある。

 

マイナス評価点。そしてOWに求められる高いハードル。

まず海外AAAタイトルと比べてしまうと大きな点として
・モーションの連続性の薄さ
NPCのリアクションが非常に薄い
この2点が気にかかる。

まずモーションの連続性だが、戦闘面では絶賛できるのだが、
戦闘以外がイマイチこだわっていないのが凄くわかる。
一番わかりやすいのはR1ボタンでの鉤縄だろう。

アサシンズクリードファークライ、ダイイングライトや
アンチャーテッドをやっているゲーマーならわかると思うが
海外ゲーは壁や崖、屋根のふちなどをつかんで登るアクションがジャンプからスムーズに繋がる。
 1.(特定のボタンを押しながら)ジャンプする
というワンアクションでOKなのだ。

しかし無双8の場合、ジャンプしてつかむということが1ミリも考慮されていないため、
 1.一旦建物の壁際まで走って
 2.止まって
 3.R1ボタンを押す。
という3アクションが必要になる。
無論、一度ジャンプして空中でR1ボタンを押しても登る距離を短くする等は出来ない。
必ず一番下からスタートだ。よろしくない。
なぜか三角飛びは実装されているのだが
コレイマイチ使いどころと開発が何を思っていれたのかがわからない。

その他にもダッシュの切れ目となるモーションがない点も気になる。
ダッシュ⇒歩き⇒ダッシュの中間に当たるものがない。デビルバットゴーストかよ。
また、上述したが敵と距離が離れたときに発生する攻撃モーションが
お前21世紀の今頃にイノシシかよって位の「ズドドドドド」という
地響きを上げて突進するモーションは端的に言って少々ダサい。
古代中国だから仕方ないかもしれないが
炎や雷を自発させられるんだから振り切って瞬間移動みたいにできなかったっすか。


次にNPCのリアクションの薄さ。
国内タイトルである「龍が如く」シリーズはPS2の時点でNPCとぶつかったら
自分と相手それぞれにリアクションが発生する。
街中でケンカをおっぱじめると逃げたり周りを囲んでやんややんやと騒ぎ出す。
無双8の場合、うっかりボタンを押し間違えて
街中で無双乱舞し始めるキチガイを見ても町民はほぼ反応を起こさないし、
店先に馬をぶち込んでも一切のリアクションがない。
古代中国ではキチガイが多くて日常的に起こっててへいちゃらなのかも知れないが物足りなさが募る。

バイオショック(無印)より、こんなに派手にリアクションしてくれるのだが無双は・・・
他にもXbox360で発売されていたバイオショックでは
敵を炎で燃やすと相手が慌てふためき水へ逃げ込もうとする動きをする。
無双8では火矢はおろか謎の技術で爆発する矢まで使えるが、
当たった兵士は一切燃えず、静かに倒れる。
火に慌てふためき惨めに生にしがみつく様を見たかったのだが
古代中国人は水属性だったのだろうか。
であれば仕方ないが。
史実を考慮したにせよそこについてはもう少し頑張ってほしかった。

最後にそもそもOWが「個々の武将を使った歴史追体験」に合っていないというご無体な話を。
今作はご丁寧に各キャラクターごとに進行度を持っているため、
例えば1章から使える劉備をクリアしても、
同じく一章で開放された関羽は一章からやり直しになってしまう。
同じマップ・殆ど同じ話を繰り返しでプレイする羽目になる。
したがって何度目も黄巾族を滅ぼさざるを得なくなる。

OWは大抵一人の主人公を使ってプレイするゲームが殆どで、
単純に複数回繰り返してプレイするのにOWは向いてない。
(クエストの結末が変わるようなものは別として)
OWの楽しさは「発見と探索、徐々に要素を開放する」という点であると思っているので、
同じ地域を別の武将で散策しても面白みは薄い。

各キャラクターでEDを持っておくのは素晴らしいが、
国ごとの進行度を進めた分保持し
キャラクターは進めた分好きな時代から始められるようににするとか
繰り返しプレイする分の負担を減らすようにして欲しかった。
特に三国志序盤の武将の大半は全員黄巾党イベントをこなすわけだから苦痛。
OWの利点を生かしていた部分もあったが、こういった部分に対する対応が全くの無策なのはよくない。

正直、ストレートに言ってしまえば
OWならエンパイアーズやクロニクルのようなオリジナル武将を立ててしまったほうが良かった。
ナンバリングである以上、個々の武将のお話にするのが絶対条件だったとは思うんだけどね。

その他の不満については思いつくままに書いたら長くなるため以下に箇条書きする
・ムービーのクオリティは高いが、会話(人形劇)だと座るモーションが無いために
そこらへんの街角で次の侵攻作戦を立ったままやり始める。国のトップやぞこの人。
・以前より思っていたがL2おしっぱで乗れるのはいいが、攻撃しながら馬を下りるアクションが欲しい。
一々降りてから攻撃はまだるっこしい。
・クエストの内容の大半が敵を倒すだけなのはちとつまらない。無双らしいが。
・ステルス要素があるがカバーも無ければしゃがむだけってもうちょっとこう・・・どうにかならんかったか。
・会話イベントが終わった後街中でいきなり武器を取り出してしまう仲間NPCの古代中国AIは酷いと思う。
・弓矢の速度が遅すぎて爽快感が薄い。
あと□ボタンで射撃というキチガイUIにしたやつ出て来い。俺がしばく。
・鉤縄については上記のモーションも含めて調整不足。強すぎて攻城兵器の価値が0だよ!
・やりたいことは凄くわかるのだが前線を押し上げる理由が薄い。
・マップはもうちょっと小さくしていいです。あんなに広い町で人がいない印象しかない。
・キャラクターの成長要素がレベルだけなのは残念。モーションが変わらないのはちとつらい。
・盗賊や獣のレアエンカウントにはもっと意味を持たせて欲しい。
レアドロップをくわえた武器の開発(リビルド)にランダム要素与えたり
フォールアウト4程度のハックアンドスラッシュ要素があったら大化けしたと思うんだ。
せめて珠を必ず出すようにしてくれるだけでもかなり変わったかと。
なっげぇなオイ!!

海外AAAタイトルと比べる意味はないのでは?と思うかもしれないが
国産OWの「夏色ハイスクル(略)」と並べて評価してこれより出来はいいねよかったねといいたいか?
OWって時点でどうしても評価の土俵は海外AAAと並ぶし並ばせてしまう。
ていうか並んでもらわないと困るだろう。
ゲームとしては面白いのだが、海外OWと比較すると何枚か落ちてしまう。
OWを作るってことは相当に突き詰めなければならない。
コエテクは技術力はそれなりにあるほうだと思うがまだまだノウハウ何より気合が足りていない。
これは穿った目線かもしれないがOWを作るにあたって発生する課題が10あったら7個解決して次頑張る、という印象がある。
最初に100点を取れなくったっていいやという甘えがあるようには思えてならない。

 

トータル総評

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↑文句は言ったがフォトモードはやはりありがたい。楽しい。
上記のレビューを見るとマイナス点が多く見えるだろうが総合的には良い出来である。
というかこれで「出来が良くない」といわれたらそれはもう殆どのゲーム会社がお手上げだろう。
ただ、全体的にやりたいことはわかるんだが技術や時間、仕様の煮詰め方が足りず、
「やりたいことはわかるがやり切れてないし、事実やってない」という印象もある。

個人的には物凄くいいものを作れる土台、ピザの生地が完成したという印象。
ここから何のチーズを使うのか、トッピングは何にするのかは次回作に持ち越しだが
次回作に期待できるレベルのものは出されている。

ただ、猛将伝はやめろ。マジで辞めろ。本気で辞めろ。
もう外伝的に描く部分はほぼ存在しない。ちょっとした追加要素でごまかされる客もほぼ存在しない。
おとなしくエンパイアーズかクロニクルか、素材を使ったRPG仕立てのゲームを作って欲しい。

細かい点がかなり目に付くため確かに満点・90点は挙げられないが
討鬼伝2のOWからは大幅な進化を遂げており、戦闘も非常に快適。
ボリュームは本当に過去最大。
爆発的な面白さではないがいつの間にか時間を吸われる。
正直、トロフィーの難易度が低目ということもあったがプラチナトロフィーを取ってしまった。


マンネリを打破し、久しぶりに無双にハマったなぁと本当に楽しめた。

出来れば攻略サイトを覗いて効率的にクリアしようと思わず、自由にプレイして欲しい。
傑作とは言いがたいが十二分に推せる、是非プレイして欲しい一本だ。

ただまぁ次回作は100点を狙って作れよな!!!

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↑なんだかんだでこの桃園の誓いを見るたびに無双をやりたくなる。